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2018.01.20
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カテゴリ: アート
図書館で『ヨコオ論タダノリ』という本を、手にしたのです。
いろんな人と交流している横尾さんであるが・・・
荒俣さんともお友だちだったようで、ええでぇ♪



横尾

荒俣宏著、平凡社、2002年刊

<「BOOK」データベース>より
奇才・荒俣宏が教える横尾忠則を20倍楽しむ方法!作品の細部に分け入り、郷里・西脇を訪ね一緒に甘いものを食べ、博物学・図像学の知識を総動員する-五感+第六感を全開にして書き上げた、世界初の横尾論。

<読む前の大使寸評>
いろんな人と交流している横尾さんであるが・・・
荒俣さんともお友だちだったようで、ええでぇ♪

rakuten ヨコオ論タダノリ


日常の横尾さんを荒俣さんが報告しているので、見てみましょう。
p139~142
<横尾式「日常」の目撃報告>
「オーイ」と叫んで、手を振っている自転車乗りが見える。とても派手なアロハシャツに、愛らしい半ズボン姿。黒髪をぴったり後ろに撫でつけて、うなじのあたりで結んでいる。
 あれは誰か、と目を凝らすわたし。成城駅前での光景である。

「やっぱり横尾さん!」
 と喜んで、こちらも手を振る。くだらない現実世界に、そこだけ大きな波乱が起きる。その波乱の中心に立つ横尾さんは、ニコニコしながら自転車でそばまで乗りつけると、ペダルの上に置いた足と、地面につけた足とで、4の字の形に脚を交差させ、天使のように、こう、おっしゃる。

「さ、トンカツ食べに行きましょう、成城名物の」
 と、これがいつもの待ち合わせのスタイルである。作品制作中や企画会議での、こわいこわい横尾さんはいない。日常の横尾さんは小学生みたいに無邪気で、そのうえにいたずらっぽさがある。
「さあ、すこしでも現実の仏頂面をはぎとってやるぞ」といわんばかりの、「日常のだだっ子」の登場である。

 横尾さんは半ズボンとアロハを着て自転車に乗ると、たちまちフレンドリーな別の人になる。そして、退屈な日常をふしぎな方法で活性化する触媒となる。横尾さんはどうして自転車に乗るのだろう。まず初めに、それがわたしには謎であった。題して、自転車と半ズボンの驚異。どうやら横尾式「日常」には、ヨコオ・アートの本質を解く鍵がありそうなのである。だから今日は、そういうお話をしたい。

 とりあえず第一に、日常の横尾さんは、飽きないし、諦めもしない性格をお持ちなのである。
 ひとつ、こういうことをしようと思いたった場合は、どこまでも継続する。捨てるということを、しないのが、横尾さんの日常の活性方法である。

 いちばん有名なのは、横尾さんがUFOを見るまでの経緯だろう。横尾さんとて、いきなりUFOを見ることができたわけではない。UFOを見ようと思いたち、毎日、毎晩、暇さえあれば空を見上げていた。何年も何年も、空を見上げつづけたけれど、UFOは見えなかった。そしてあるとき、やっと見えたのである。見えだしたら、もう、やたらと見えるようになった。

「ぼくもUFOが見たくて、ときどき夜空を見てはいるんですが、ダメなんです」
 と、相談を持ちかけたときに、横尾さんはおっしゃった。1年とか2年じゃ話にならないよ、と。

 つい最近も、横尾さんが撮っている「朝のお出かけ写真」を、たくさん拝見した。毎朝、自転車でご自宅を出てゆくときの姿を、写真におさめるものだ。もちろん奥さまがシャッターを押すのだが、出勤サラリーマンと違って、毎日の衣服、小物などがカラフルな上に微妙に変化して、実に楽しいのだ。

 赤いアロハに黒の短パンのときもあれば、白ズボンに青いシャツのときもある。これに、今日はピンク、明日は白、という具合に替わる靴下の組みあわせが面白く、それでいて、愛用のカバンを小学生のごとく袈裟掛けにかけているところは、どの写真も変わらない。まるで着せ替え人形の写真でも見るように、おもしろいのだが、何よりもおどろくのは、これを毎日つづけていることだ。写真は、いったい何百枚になったのだろうか。この数の増加という物理力が、さらに平板な日常に活をいれる刺激剤の役を果たすのである。

 考えようによっては、こんなバカバカしい撮影をつづけて何になる、という否定的結論にもなろうが、それは凡人の発想だ。どんなにくだらない作業でも、百回、千回、1万回と重ねていくうちに、ある日とつぜん、やっていることの意味が見えてくる。「お出かけ写真」の場合、こういうことが発見できた。うんざりするような毎日の繰り返し、つまり「平板な日常」は、永遠に変化がないように見えて、意外にも真新しいドラマの連続なのだ、と。

 写真の中の横尾さんは、まるで早変わりの芸人のように衣装を替えては、また自転車の前に飛びだしてくるようだった。ときどき、前に着た衣装を着替え忘れたり、靴だけ替えなかったり、ミスをしながらも出てきて、ポーッズを決める。これが、たまらないほどおかしかった。横尾さんは東十条かどこかの小屋に出ている人気者の子役のように愛らしい。


この本も 横尾忠則の世界R3 に収めておくものとします。





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Last updated  2018.01.20 01:30:55
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