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2018.01.31
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カテゴリ: アート
図書館で『小説新潮(2017年6月号)』という月刊雑誌を手にしたのです。
宮部みゆき・作家生活30周年大特集と銘打っているが・・・
彼女の作品は分厚いので、たぶんまだ読んでいないけど、もうそろそろ読んでみる頃かと、まずはこの雑誌を読んでみようと思ったわけです。



s小説新潮

雑誌、新潮社、2017年刊

<商品の説明>より
特報!宮部みゆき・作家生活30周年 未収録作品、インタビュー他

<読む前の大使寸評>
彼女の作品は分厚いので、たぶんまだ読んでいないけど、もうそろそろ読んでみる頃かと、まずはこの雑誌を読んでみようと思ったわけです。

amazon 小説新潮(2017年6月号)

こころ

宮部みゆき特集からはなれて、連載エッセイの一つを、見てみましょう。
p373~375
<漱石を知っていますか:阿刀田高>
 だが、閑話休題、ここではまず作品そのものを、そのストーリーを少しく追いかけてみよう。
 <こころ>は上・中・下の三部から成っている。すなわち「先生と私」、「両親と私」そして「先生と遺書」の三つである。すでにこのエッセイで紹介した<彼岸過迄>と<行人>にこれを加えて、後期三部作と呼ばれているが(因みに言えば<三四郎><それから><門>が前期三部作である)この三つは小説の構造としてよく似ている。含まれている思案の共通性はそれぞれややこしいが、姿は共通している。

 最後のほうの一章にこそ作品の力点があり、前のほうは、その前座のようなエピソードとなっていること、この印象が似かよっている。なにしろ大病の苦中での執筆であり、
―もっとうまくまとめたら、よかったんじゃないの―
 と言いたくなるところがないでもないが、その点<こころ>は、ドン、ピシャリ、構造的にわるくない。弱点もあるが、まあ、いい。上・中・下の三部は、まさしく下にこそ作品の要素が凝縮されているが、そして、

―もう少しこの先がほしいな―
 とも思うが、上から中、中から下、現在の構造が読む人の心を誘い、高ぶらせ、作者のモチーフを明らかにしているのも本当だ。滑らかに読めて、間然するところがない。漱石には<こころ>を執筆する直前には、もっと別な構想があったらしいが、結果として示されたものは、ミステリアスであり、さながら大きな渦がうねりながら焦点へと収斂されていくように美事であり、読みやすい。

 晩年の代表作として・・・いや、すべての中の代表作といて親しまれていることは充分に納得できる。このあたりが<彼岸過迄>や<行人>とおおいに異なるところだろう。

 まず作品は、
“私はその人を常に先生と呼んでいた。だからここでもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。これは世間を憚る遠慮というよりも、その方が私にとって自然だからである。私はその人の記憶を呼び起こすごとに、すぐ「先生」と言いたくなる。筆を採っても心持ちは同じ事である。よそよそしい頭文字などはとても使う気にならない。
 私は先生と知り合いになったのは鎌倉である。その時私はまだ若々しい書生であった。暑中休暇を利用して海水浴に行った友達からぜひ来いという葉書を受取ったので、私は多少の金を工面して、出かける事にした。ところが私が鎌倉に着いて三日とたたないうちに、私を呼び寄せた友達は、急に国元から帰れという電報を受け取った”

 という事情で、作品の中心人物なる“私”は夏の鎌倉・由比ガ浜あたりでただ独り無聊をかこつこととなる。海浜を少し離れたところまで泳ぎに出ると、同じように独り水泳ぎを楽しんでいる年長者を見つけて、
―どういう人なのかな―

 と気にかけ、好奇心を募らせ、言葉を交わし、少しずつ親しくなり、この人を“先生”と呼ぶようになる。“先生”も東京に住んでいることから、
「これから折々お宅へうかがってもよござんすか」
 と尋ね、
「ええ、いらっしゃい」
 と運命的なよしみが始まる、という事情であった。

 余計なことかもしれないが、小説家にとって、主要な登場人物をどう出会わせるか、これは思いのほか苦心するポイントなのだ。公園のベンチに座っていると、女がハンカチを落として去っていき、追いかけて「あの、もし・・・」では、ばからしい。編集者に叱られ、読者に笑われる。月並みではつまらないし、わざとらしいのも困る。


ウン 文芸雑誌をくまなく読むことはこれまでなかったが、けっこう読みどころがあるじゃない♪・・・それだけ暇になったのかも知れないが。

『小説新潮(2017年6月号)』1 :ミステリーの「参考資料」
『小説新潮(2017年6月号)』2 :作家・宮部みゆき誕生
『小説新潮(2017年6月号)』3 :近著『荒神』





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Last updated  2018.01.31 01:05:24
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