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2018.02.23
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カテゴリ: アート
図書館で『あなたは、誰かの大切な人』という本を、手にしたのです。
この本のタイトルがええなあ♪
「あなたは、誰かの大切な人」ってか・・・生きるうえの知恵とでもいうもんやで。



原田

原田マハ著、講談社、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
家族と、恋人と、そして友だちと、きっと、つながっている。大好きな人と、食卓で向かい合って、おいしい食事をともにするー。単純で、かけがえのない、ささやかなこと。それこそが本当の幸福。何かを失くしたとき、旅とアート、その先で見つけた小さな幸せ。六つの物語。

<読む前の大使寸評>
この本のタイトルがええなあ♪
「あなたは、誰かの大切な人」ってか・・・生きるうえの知恵とでもいうもんやで。

rakuten あなたは、誰かの大切な人


このところ、クルド人居住地域へのトルコの侵入で紛争が激化しているが・・・日本ではトルコは親日国として認識されているのである。
この短篇集でトルコにふれたあたりを、ちょっとだけ見てみましょう。
p98~101
<緑陰のマナ>
 私の仮寓は、インスタンブールの旧市街の中心部にあるB&B(朝食付き民宿)である。エミネさんの友人で、彼女が所属しているNPO「日本トルコ文化交流会」のメンバーでもある、アリ・エクシオルが、その民宿のオーナーだった。

 私が最初にインスタンブールを訪問したとき、何くれとなく世話を焼いてくれたアリさんだったが、私が本格的にトルコの紀行文を書くと決心して、ひと月ほどインスタンブールに滞在したいとの希望を伝えると、快くB&Bの一室を提供してくれた。

 日本に長らく住んでいた経験をもち、いまも大阪でトルコ雑貨の店を経営しているアリさんは、やり手のビジネスマンであり、大変な親日家でもあった。トルコの魅力を存分に書いてください、できれば大阪弁をしゃべるハンサムな商売人が出てきたらええな、と軽口を添えて、宿の中で最も眺めのいい部屋に案内してくれたのだった。

 学生時代から旅行が好きで、40代後半になったいまも年がら年中旅をしている私は、旅関係の雑誌の編集部を経て、40歳になったのをきっかけに独立し、フリーランスの「物書き」になった。以来、紀行文や、旅で取材した女性が主人公のほのぼのとした小説を細々と書いて、生計を立てている。

 大したものを書いているわけではないが、何冊か本を出してもいた。初版はだいたい三千部スタートで、それっきりだ。重版などしたこともない。それでも、本が出せるだけありがたかったし、よくぞ本が出せるようになった、成長したんだと、自分で自分を褒めもした。そして、こつこつとひとつのことを続けていれば、どこかで誰かが見ていてくれるものだと、「信念」と呼ぶにはあまりにも漠然とした思いではあったが、とにかくそんなふうに思って仕事を続けてきた。そして、エミネさんとの出会いによって、やっぱりどこかで誰かが見ていてくれたんだなあと、しみじみと思い至った。

 私とエミネさんは、インターネットを通じて知り合いになった。エミネさんのほうから、コンタクトをしてきてくれたのだ。
 ある日突然、私のブログに長々とコメントを書き込んできた人がいた。「日本トルコ文化交流会のエミネです。ご一緒にインスタンブールへ行ってみませんか」という長い件名で。

 あなたの本をいつも楽しく読んでいます。私が勤務している協会は、日本とトルコの文化的な架け橋となるために、在日トルコ人の有志が立ち上げたNPO法人です。このたび「国際女性デー」を記念した講演会とワークショップがインスタンブールで開かれるのですが、日本人作家で女性をテーマにした小説を書いている人を招聘したいと、トルコの作家・ジャーナリスト協会から連絡がありました。それに参加してみませんか。私とトルコの仲間たちがアテンドさせていただきます。ぜひ前向きにご検討くださればうれしいです。

 というような、日本人が代筆したに違いないと疑わせるほど流麗な日本語で、エネミさんは熱心に私をトルコ旅行に誘ってきた。あまりにもうまい話に、最初は詐欺メールじゃないかと疑ったくらいだ。

 しかし、以前から一度行ってみたいと思いつつ、なかなか行くチャンスに恵まれなかったトルコへの旅。その誘惑に、とうてい抗えるはずがなかった。そして、何よりもうれしかったのは、こつこつと続けてきた仕事を、やっぱり、どこかで誰かがちゃんと見ていてくれたことだった。

 エミネさんは、20代のときに、結婚したばかりの夫とともに日本へ留学した。地方の国立大学で、物理学の博士号を取得するほどの才媛である。以来、夫とともに日本に定住し、職も友人も得て、なごやかに暮らしている。

 メールで何度かやりとりしたのち、いざ会ってみると、わっ!と抱きつきたくなるような、ふくよかな体つきと、日だまりのような笑顔が、それはそれはすてきな女性だった。
 そしてもちろん、彼女の話す日本語は完璧だった。彼女の日本語には、よどみも迷いもない。エネミさんが話すのを聞いてみると、日本語とは意外にもきっぱりと明朗な言語なのだと思い知らされるようだった。ニュアンスとか、行間を読むとか、あ・うんの呼吸とか、そういうのが日本語なのだと思っていた私には、とても新鮮な体験だった。

 そんなわけで、トルコ初訪問は、息をつく暇もないほど濃密な、かつ有意義なものとなった。初めて触れるイスラム文化、建築、芸術すべてがすばらしかった。何よりすばらしかったのは、イスラム教徒の寛容さ、親切さだった。


『あなたは、誰かの大切な人』1





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Last updated  2018.02.24 08:56:34
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