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2018.04.29
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カテゴリ: 歴史
図書館で『飛鳥の木簡』という新書を、手にしたのです。
ウン 木簡ってか・・・大使の漢字の探求は留まるところを知らないわけで、つい、この古代史の本をチョイスしたのです。






市大樹著、中央公論新社、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
かつて日本古代史は、『日本書紀』『古事記』や中国の史書に頼らざるを得なかった。だが1990年代後半以降、三万点以上に及ぶ飛鳥時代の木簡の出土が相次ぎ、新たな解明が進み始める。本書は、大化改新、中国・朝鮮半島との関係、藤原京造営、そして律令制の成立時期など、日本最古の木簡から新たに浮かび上がった史実、「郡評論争」など文献史料をめぐる議論の決着など、木簡解読によって書き替えられた歴史を描く。

<読む前の大使寸評>
ウン 木簡ってか・・・大使の漢字の探求は留まるところを知らないわけで、つい、この古代史の本をチョイスしたのです。

rakuten 飛鳥の木簡



文字の本格使用あたりを、見てみましょう。
p36~40
■日本における「文字」
「日本最古の木簡」は、木簡が書かれた年代でいえば、確実には640年代のものとなる。一部、6世紀後半まで遡りそうな木簡もあるが、これはまだ確実ではない。
 いうまでもなく文字を記すという行為はずっと古い。5世紀後半の雄略天皇の時代に作成された稲荷山古墳(埼玉県行田市)出土鉄剣や、江田山古墳(熊本県玉名郡)出土銀象嵌太刀に刻まれた銘文など、日本での文字使用は5世紀までは確実に遡る。
(中略)

 もちろん、4世紀以前の日本列島でも、中国の後漢と交渉を持った奴国や、魏および西晋と交渉を持った邪馬台国などでは、文字を使う人が存在したはずである。しかしそれは、きわめて特殊な存在であった。中国の『魏略』という歴史書によれば、3世紀の日本では、四季を知らず、ただ春の耕作と秋の収穫によって、1年の目安にしていたという。これは暦がないことを意味しており、これでは年月日にもとづく記録を付けることはできない。

■暦の受容と文字の本格使用へ
 日本が暦を受容したのは、5世紀後半のことであろう。『日本書記』に付された暦日をみると、安康3年(456)8月条から持統紀までは、中国南朝の宋で445年に施行された元嘉歴に依拠して書かれている。安康天皇は、倭の五王の4番目「興」に比定されており、雄略天皇の「武」、〇恭天皇の「済」とともに、異論はあまり聞かれない。倭の五王は宋に朝貢した際、中国皇帝の時間的統制下に入ったことを示す証として暦を与えられたのである。

 ところが、雄略天皇による478年遣使ののち、600年の遣隋使派遣まで、中国との国交関係はなくなる。しかしこの間も朝鮮半島、とりわけ百済との交渉は頻繁になされていた。元嘉歴は百済でも採用されており、それは百済滅亡の660年まで続く。6世紀中頃、日本は百済に軍事的な援助を与える見返りとして、百済から各種の文物や技術・思想が伝来することになった。仏像が著名であるが、元嘉歴もその一つである。『日本書記』によれば、553年、日本は百済に対して、暦博士の交替(それ以前から暦博士が来日していた)および暦本の送付を要求しており、翌年に暦博士が来日している。

 602年には百済僧の観勒が来日し、暦本・天文地理書・遁甲方術書をもたらす。陽胡史の祖先である玉陳は、観勒から暦の計算方法を学んだという。そして、604年にはじめて暦日が用いられた。ここに暦法を理解し、独自に暦を作成する段階に入った。

 このように日本における暦の使用は5世紀後半頃に始まる。この頃から徐々に記録が作成され、木簡も使用された可能性がある。しかし文字を操ることができたのは、主に朝鮮半島に出自を持つ渡来人など一部にとどまり、仮に木簡が使用されたとしても、それは王宮とその周辺、あるいは一部の港湾などに限られていただろう。

 列島規模で木簡が使用されるのは、ヤマト王権の地方拠点ともいうべき屯倉が各地に設定される6世紀以後と考えられる。これについて『日本書記』に、現在の岡山県に置かれた白猪屯倉に関する興味深い話が伝えられている。

 欽明天皇が統治していた555年、白猪屯倉が設置された。このとき、屯倉に付随する田地を耕作する田部が設定され、その「籍」が作成された。だが14年後、年齢が十余歳に達しながら、籍に漏れ賦課を免れている者が多くなった。つまり、「籍」は最初につくられただけで、その後更新されなかったのである。

 そこで、渡来人の胆津に命じて、田部の調査を行なわせ、その「丁籍」を定めさせた。胆津はこの功によって白猪史の姓を賜り、白猪屯倉の田令に任命された。そして、敏建天皇の時代である574年、吉備に派遣された蘇我馬子は、白猪屯倉と田部を増益し、田部の「名籍」を胆津に授けたという。

 「籍」は「ナムフタ」(名の札)という古訓が伝わっており、木簡であった可能性がある。
 また『日本書記』によれば、540年に秦人・漢人らが渡来人を招集し、地方に安置して「戸籍」につけ、秦人の戸数は7053戸であったという。

白猪屯倉の田部の「籍」といい、戸籍をつくる技術は渡来人によって導入されたのである。全国規模の本格的な戸籍は670年の庚午年籍にまでくだるが、屯倉などでは先行して戸籍が作成されていたのだ。





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Last updated  2018.04.29 10:26:33
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