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2018.08.24
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カテゴリ: メディア
国際政治学者のイアン・ブレマーさんがインタビューで「国際協調嫌う米国、強権体制進む中国、新たな冷戦の予感」と説いているので、紹介します。


(8/22朝日から転記しました・・・そのうち朝日からお咎めがあるかも)


米国と中国の間で制裁関税と報復の連鎖が止まらない。保護主義に傾き、国際協調から背を向ける米国と、強権体制を強めつつ経済強国路線を突き進む中国は、国際社会をどこへと導くのか。リーダー役不在の世界を「Gゼロ」と形容する、米国際政治学者のイアン・ブレマーさんに聞いた。

Q:なぜ米国のトランプ政権は中国に通商紛争を仕掛けるのでしょうか。
A:トランプ氏は貿易赤字は悪いものだと、ひたすら信じ込んでいます。通商について何も知らないのです。側近の高官たちはそれをわかっていますが、大統領に直言できません。

Q:台頭する中国への脅威論も背景にあるのでしょうか。
A:米国主導の秩序に中国が取って代わろうとしています。かつて米国など西側社会には中国が消費者主導の経済になれば、政治改革は避けられなくなるとの楽観論がありました。だが、それは誤りだった。 習近平国家主席は『終身元首』として権力を固めています。西側モデルを採用するつもりはないどころか、国際通貨基金(IMF)や世界銀行など米国主導の多国間協調と異なるシステムを築こうとしています。米国側には、今のうちに中国をたたいておくべきだとの考えがあります。

Q:方、米国は中国の通信機器大手に対する制裁を解除しました。トランプ氏も習近平氏の批判は慎重に避けるなど、一貫性に欠けています。
A:確かに、トランプ氏は中国内で多くの雇用が失われるのは問題だとツイートしました。(同様に通商政策で対立する)メキシコやカナダについては、そんな発信をしていません。それこそトランプ氏の心の中に入らなければ真意の見極めは難しい。

 トランプ氏は習氏を強いリーダーとみなしています。彼は同盟国よりも強権国のリーダーと良好な関係を持つことを望んでいます。通商問題と、北朝鮮など安全保障上の思惑を結びつけて考えるのもトランプ氏の特徴です。

Q:本気で中国と事を構えるつもりはないということですか。
A:米高官たちはせっかく好調な状態にある経済がこの問題で傷つく事態は望んでいません。中国もまた、緊張をエスカレートさせたくはないでしょう。

 ただトランプ氏自身は感情的になると自制がきかなくなります。たとえば北朝鮮との非核化交渉でプライドを傷つけられたら、かわりに『中国を罰する』ようなふるまいに転じる可能性もある。秋の中間選挙や、(米大統領選への介入をめぐる)ロシア疑惑の捜査のプレッシャーも強まるでしょう。米国大統領としての言動を予測するのが難しくなります。

    ■     ■
Q:中国市場の閉鎖性に対しては米国に限らず批判が強まっています。
A: 中国が国家資本主義と強権体制を維持しつつ、世界最大の経済大国になることは、グローバルな自由市場の終焉を意味します。中国モデルは普遍性に欠けるからです。米国モデルは価値基準を受け入れれば誰もが等しく参加できる。中国の一帯一路構想も、(中ロと中央・南アジアの計8カ国が参加する)上海協力機構も多国間協調の体裁を装っているが現実は違います。自転車のハブとスポークのような構造で、中心にあるのは北京。中国の経済的利益が最大化される仕組みだと思います。

Q:逆に中国が公正な国際ルールに基づいて自由主義経済体制を築けば「良し」となりますか。
A:中国がきちんと市場を開いて競争力をつけるのであれば、恐れるには及びません。それは中国が米国の価値基準に適応することを意味し、米国主導のシステムの重要性が増すことになるからです。

世界が中国モデルに牛耳られる最大の問題は、中国が中所得国であるからです。環境や人権などの優先順位が高い高所得国とは異なる物差しで統制される事態をあなたは望みますか。『中国だからダメ』ではなく、そもそも中所得国のシステムは脆弱でリスクが高いことを強調しておきましょう。

Q:トランプ氏も保護貿易主義への姿勢を強め、世界貿易機関(WTO)へ敵意を露(あら)わにしています。
A:トランプ氏が関心を持つのは長期的戦略や国益ではなく、目先の政治的利益です。環太平洋経済連携協定(TPP)が対中バランス上、長い目で見て米国に恩恵をもたらすことは考えず、反対する方が支持者に受けると考える。並外れたナルシシズム(自己陶酔)の持ち主で、『いかに自分が偉大に見られるか』が全てです。

 トランプ氏は、それが米国主導だったとしても多国間の枠組みを嫌います。リーダーは一切、束縛されるべきではないという考えの持ち主だからです。自分の思うままに振る舞える方が他の強権リーダーとうまく渡り合える。プーチン氏や金正恩氏との首脳会談もそうでした。

Q:あなたはリーダー役がいない世界の現状を「Gゼロ」と呼んでいます。中国が強権化し、米国が内向きになると、国際秩序はどう変わっていくのでしょうか。
A:私がGゼロの問題を提起した7年前は、ここまで事態が進むとは予想していませんでした。世界的に好調な経済でかろうじて持ちこたえていますが、Gゼロがもたらす混乱は予想より長く続き、危険なものとなりそうです。

 だが、トランプ氏がGゼロの主原因というわけではありません。米国に限らず、過去5年間でリベラルな民主主義は弱体化した。ポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭、グローバル化を支持してきた既存の政治に対する大衆レベルでの反感の広がりなどが原因です。G7(主要7カ国)や北大西洋条約機構(NATO)など国際秩序を支えてきた枠組みも弱体化した。トランプ時代が終わっても、元に戻らないかもしれない。

    ■     ■
Q:いずれ米中の衝突は避けられないのでしょうか。
A:戦争や大恐慌といった深刻な危機が起きて今のシステムが崩壊することで、Gゼロが幕を閉じる可能性もあります。第2次大戦の終戦がそうだったように、ゼロからの再起となるシナリオです。

逆に、世界が米国と中国だけによって仕切られるシナリオもあり得ます。とりわけ先端技術分野で米中は他国より飛び抜けて先行し、互いに対抗している。新たな冷戦の到来を予感させるほどです。まさしく『世界を二分するシステム』と呼ぶべき状況で、グローバルな秩序とはいえません。

 とりわけ私が深刻に懸念するのは人工知能(AI)をめぐる米中の対立です。中国は独自のビッグデータを用いて米国と全く異なるシステムを築きつつある。 両国の軍拡競争の一翼をAIが占めていますが、この分野では抑止力も相互の協力も対話もありません。『冷戦』にとどまらず、現実の戦争につながりうるリスクです。

Q:日本も弱体化していくのでしょうか。
A:素っ頓狂な話と思われるかもしれませんが、大国の中で民主主義が比較的うまく機能しているのが日本です。人口減少に伴い労働者層の状況が良くなっている。欧米で起きているような移民の大量流入がない。戦争をしていない。ソーシャルメディアの普及度が他国と比較して低い。かくしてポピュリズムへの耐性を備えている。

Q:トランプ政権に追随する日本の姿勢に懸念も聞こえます。
A:一般論をいえば、日本の首相が米国の大統領と良好な関係を築くのは正しい。だがトランプ氏は政治家としてあまりに異色で、安倍晋三首相との関係も一方通行です。日本が得たものはあまりない。たとえトランプ氏が安倍氏を個人的に気に入っていても、彼は『見返りを与える』ことに関心はありません。北朝鮮との交渉で日本を蚊帳の外に置き、日本に関税を課すといった具合です。

 ドイツは『もう米国に頼らない』と言えます。代わりに強い欧州を築けばよく、差し迫った安全保障上の脅威もない。 だが日本は違う。日本周辺の厳しい安全保障環境を考えれば独自に対米協調路線をとることは理解します。

    ■     ■
Q:巨大化する中国と日本はどのように向き合っていけばいいでしょうか。
A:中国は(20、30年のうちに)支配的なパワーになる。中国との関係改善こそ日本がとりうる唯一の選択肢です。アジアインフラ投資銀行(AIIB)に日本は参加すべきだし、軍事力を強化して対抗していくことは賢明な策とは言えません。歴史認識をめぐる対立も解消しておいた方がいい。

しかし、日本は中国にないものを持っています。優れたインフラ、質の高いサービス産業。高齢化社会にうまく適合している。中国は豊かになればなるほどそうしたものを欲しがります。日本がそれを利用しない手はありません。

     *
イアン・ブレマー:国際政治学者、ユーラシア・グループ社長 1969年生まれ。98年に世界の政治リスクを分析する調査会社「ユーラシア・グループ」を設立。近著に「対立の世紀 グローバリズムの破綻」。


 記事はブレマーさんとの単独インタビューと、朝日新聞を含む日本の一部メディアによる合同インタビューをもとに構成しました。(ワシントン=青山直篤、沢村亙)


Gゼロの世界の先 イアン・ブレマー2018.8.22

ただいま、台風20号が神戸市の横を通過しました。風速は(体感的には)瞬間的に45~50メートルくらいだったかも。





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Last updated  2018.08.24 01:06:15
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