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2021.01.15
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カテゴリ: アート
図書館で『村上春樹と私』という本を手にしたのです。
ぱらぱらとめくると、なんか見覚えのある本だが、ま いいかと借りたのです。

なお、帰って調べたら、この本を借りたのは二度目であると判明しました。
・・・で、この記事は(その8)としています。


【村上春樹と私】


ジェイ・ルービン著、東洋経済新報社、2016年刊

<商品の説明>より
『1Q84』『ノルウェイの森』をはじめ、夏目漱石『三四郎』や芥川龍之介『羅生門』など数多くの日本文学を翻訳し、その魅力を紹介した世界的翻訳家が綴る、春樹さんのこと、愛する日本のこと。

<読む前の大使寸評>
著者のジェイ・ルービンは『1Q84』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』などを翻訳していて、世界的に知られているそうです。

rakuten 村上春樹と私


芥川作品の『羅生門』が語られているので、見てみましょう。
p154~157
<村上春樹さんの序文>
 出来上がった短編集の18の作品のうち、その時点まで英訳されていなかったものは9つほどであった。老人がぶつぶつ言いながら若者の作品群を鼻をつまんで無理やりに読むのとは打って変わって、まるで芥川再発見だったので、準備の段階から刊行の段階までのその仕事はたいへん面白くて、充実した経験だった。

 村上さんは序文を通して英語版に大いに貢献してくださった。典型的な日本人の読者にとって、そして作家としての彼個人にとって芥川がいかに重要であるか、西洋の読者に詳しく説明してくれたのだ。その序文を読めば、この仕事のために芥川作品を時間をかけて再読し、再考してくれたことは明らかである。芥川に対する村上さんの評価に日本の読者がふれる機会を本書が提供できたことを喜ばしく思う。

 長年にわたって私は『芥川全集』をときどき拾い読みしてきたが、今回読み直して芥川作品の多彩な表現にたいへん驚かされた。芥川のユーモアは私が英語訳で目にしていたものの域を越えていたし、作品世界をめぐる芥川の感覚的な描写の豊穣さは時に圧倒的である。『地獄変』の炎は、英語版“Hell Screen”でも忘れ難いものであったが、オリジナルはいっそう強烈で、息苦しささえ覚えた。

 芥川は舞台設定と小説構成の巨匠と言える。そして何よりも、ヴォイスの達人である。たとえば平安時代末期を舞台とする物語の語り手は多様きわまりない。
(中略)

 だが芥川は時として耐え切れないほど才走り、いわば日本版O・ヘンリーといった趣を見せる。成功したとは言い難い芥川作品に我々が不快感を覚えるのは、彼が技巧のための技巧を用いることに終始し、自分自身を注ぎ込むことのないまま、作家としての少なからぬ才能を濫費していると見えるためである。

 自分たちが生きる世界について考えるようになったばかりの中学生たちにとって、芥川は素晴らしく刺激的な作家になりうるが、アイロニーが強すぎて、結末のどんでん返しは計算されすぎ、登場人物たちは平板すぎて、読者たちが大人になるまで持ちこたえなれないものもある。年のいった読者にとって芥川が意味を持ち続けるのは、芥川自身の心の中に自分の才気への疑念が忍び込み、あでやかな衣裳よりも募る不安の方が大きくなった時の作品だ。

 英語圏では、文学に通じた者たちは(黒澤明の『羅生門』(1950年)を観たことのない人々でも)“真実は藪の中”という状況を“Rashomon”という外来英語を使って言い表す。
 『ニューヨーカー』誌の1993年4月12日号に掲載された、ロズ・チャストという才気ある漫画家の<西八四丁目のラショーモン>という漫画には、車一台分の駐車スペースをめぐる議論についてのさまざまな場面が描かれている。

 この「ラショーモン」という言葉があの映画に出てくる門の名前だと知って使っている英米人は少ないだろう。いくつかの視点から語られる入り組んだ話が短篇『羅生門』ではなく『藪の中』に由来することについても同様である。そして、映画のクレジットに原作者としての芥川という名前があがっていると気付くことも思い出すこともほとんどないと言っていい。


先日に読んだ辛島デイヴィッド著『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』では、村上春樹はルービンの作風を「忠実(=逐語訳)」と捉えていると紹介しています。
その辛島デイヴィッドの著書を紹介します。

【Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち】


辛島デイヴィッド著、みすず書房、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
村上春樹と英米出版界のスペシャリストたちの冒険。A・バーンバウム、E・ルーク、L・アッシャー、J・ルービン、G・フィスケットジョン、チップ・キッド…、そして村上春樹。Haruki Murakamiの世界への飛翔までの道のりを、30余名へのインタビューをもとにたどる、異色の文芸ドキュメント。

<読む前の大使寸評>
内容を覗いてみると、翻訳がテーマとなっているようで・・・
これが太子のミニブームにいたく響くわけでおます♪

rakuten Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち


『村上春樹と私』7 :英語圏における翻訳
『村上春樹と私』6 :文学鑑賞と年齢の関係
『村上春樹と私』5
『村上春樹と私』4 :アメリカでの村上講演会
『村上春樹と私』3 :村上作品の英訳
『村上春樹と私』2 :翻訳者の仕事
『村上春樹と私』1 :翻訳の苦労





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Last updated  2021.01.15 09:10:03
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