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2021.01.24
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カテゴリ: アート
安野光雅さんが亡くなったが(昨年12月に94歳で逝去)、安野光雅さんを偲んでこれまで読んできた本を並べてみました。

・原風景のなかへ(2013年刊)
・絵のまよい道(1998年刊)
・読書画録(1995年刊)

***********************************************************************

【原風景のなかへ】
安野s

安野光雅著、山川出版社、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
大地の原形によりかかり、住処や農地をかたちづくり原風景を求める旅にでた。むき出しの火山、氾濫する河川、山ふところに抱かれた神社、延々と連なる棚田など、自然は驚くべき早さで様相を変えていく。日本の原風景を求めて、列島各地を訪ね歩いた、初の画文集。

<大使寸評>
パラパラとめくってみると、絵になる場所とエッセイの組み合わせがいいではないか♪

rakuten 原風景のなかへ


安野光雅の絵は、司馬遼太郎の『街道をゆく』の挿絵の頃から親しんでいたが、ええなあ♪
この本のエッセイのうちで、「室津漁港」を見てみましょう。
p26~27
<室津漁港> より
 ヨーロッパに、黒一色のペンで風景を描く手法の絵がある。ペンだから細工が細かく、旅行案内のイラストなどで見たことがあるかもしれない。「絵は画面全体を見渡しながら描く」と、決まったものではないが、こうした絵は端から順に描いていくらしい。インクの乾かないところをこする心配がない。

 余談だが、大家の藤田嗣治も端から順に描いたことがある、と聞いた。描きながら全体の姿を見通しているのだろう。こんなことが言えるのは、ニュルンベルグの高台でそういうペン画を描いている人に会ったことがあるからで、一度試してみたいと思っていた。その人は貴婦人と見えた。目が合っても悪びれる風もなく、微かな会釈をしたが、風景から目をはなすことはなかった。

 画用紙はケント紙のようだった。左手にインク瓶を持ち、左上から順に、屋根瓦、窓枠、煙突、電柱と描いていく。煉瓦造りの家は、煉瓦のひとつひとつまで描くが、その数まで勘定しているわけではない。下書きはしない。一度描いたら消せない。ここが大事なところで「目の前の風景よりも、描いている画のほうが問題なのである」。

 描いたら消せない仕事をつづけて終わりに近づくのである。勢いのある達筆の絵は失敗することがあるのにくらべ、時間はかかるが必ず終わりに近づく。

 描いているうちに、家並みにつじつまの合わぬ箇所がでてきそうなものだが、こだわっていては仕事がすすまない。それでも教会の塔や銅像など肝心なところは描き忘れないから、「ニュルンベルグのどこそこあたりから見た風景」と、わかる人には、わかる仕掛けになっている。

 話は変わるが、週刊誌で『絵本 仮名手本忠臣蔵』を連載中、「城明け渡しの場」の赤穂城へいってみようと姫路から播磨灘界隈をまわったとき、室津漁港にたちよった。

 たくさんの家や船がかたまった漁港はニュルンベルグの貴婦人風に描くといいかもしれぬと考えたが、黒インクは持っていなかった。そこで、消すことのできる鉛筆で、消さないおきてを決めて左から順に描いた。室津漁港は何一つ残さずに描きたくなる漁港だった。いつかペンで試してみたい。


ちなみに、この本の表紙の絵が「室津漁港」になっています。

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<絵のまよい道>

安野光雅さんが、わりと直球で絵画について語っています。
横尾忠則もそうだが、安野さんも語ることが好きな画家なんでしょうね。


【絵のまよい道】
安野

安野光雅著、朝日新聞出版、1998年刊

<「BOOK」データベース>より
【目次】
迷路の入口付近/写実的な絵の立場/写実ではない絵の立場/倉敷のセルリアンブルー/漂白者の夜の歌/イラストレーションとファインアート/おわりに近く

<大使寸評>
安野さんが、わりと直球で絵画について語っています。
横尾忠則もそうだが、安野さんも語ることが好きな画家なんでしょうね。

rakuten 絵のまよい道


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<読書画録>
図書館で『読書画録』という本を借りたのだが・・・
水彩画の淡い色彩がええな~♪
著名な小説の舞台を、スケッチとエッセイで織りなした絵本のような画録になっています。

安野先生


【読書画録】
安野

安野光雅著、講談社、1995年刊

<「BOOK」データベース>より
檸檬を一顆、美術書を積みあげた上にそっと置いてきた梶井基次郎のあとをたどって描く京都河原町丸善の面影。樋口一葉「たけくらべ」の吉原大門あたりから幸田文「おとうと」の向島まで、こよなく読書を愛しむ画家が描く小説の舞台。懐かしい日本の三十六の風景をスケッチとエッセイで織りなす珠玉の画文集。

<大使寸評>
安野さんの水彩画は、淡い色彩がええな~♪
著名な小説の舞台を、スケッチとエッセイで織りなした絵本のような画録になっています。
安野さんのエッセイに人柄が表れていて、これもええな~♪

rakuten 読書画録


安野さんのエッセイに人柄が表れているが、大使好みのあたりを一つ紹介します。
(「大利根月夜」という歌は、カラオケの持ち歌でんがな♪)

<中山義秀『平手造酒』>
「大利根月夜」という歌がある。演歌の中でも、もはや古典に入る名作であろう。わたしにもあの歌の平手造酒を、自分のこと、という思い入れで歌うと何だか気分の良くなる年頃があった。
 ~男平手ともてはやされて
  今じゃ浮世を三度笠

 の平手に、自分の名前を換えて歌うのである。
「もとを正せば侍育ち」以下は、ざっと次のような気分となる。
「もとはと言えば勝負師の出だ。何しろ千葉道場で碁を学び、師範代にまでなって、男平手よと知らぬものもなく、すれちがう娘さんはみんなふりむいたもんだ。あのころの仲間は皆、立派な碁打ちになっているのに、俺はやくざな三文絵かきだ。故郷じゃ妹が待つものを。何?世をすねた理由は何なのかと? いや、聞かないでもらいたい。武士の情だ・・・」

 なりはやくざにやつれていても、まだ碁では誰にも負けないぞ、という、空想的プライドに酔うのである。あれはアウトロウの歌である(わたしは、むかし、専門棋士になるのを止めた、書いたことがある。わたしを知る人は誰も信じないが、本気にした人もある。断っておくがこれらは冗談である)。

 このような替歌の実験をいちどやってみてもらいたい。きっと何ほどかの感慨を持たれることと思う。
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安野5s

安野6

安野7

安野8


安野光雅美術館
安野光雅の画像




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Last updated  2021.01.24 13:37:17
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