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2021.02.01
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カテゴリ: アート
『ヴィクトリア朝空想科学小説』という短編集のなかの「来るべき能力」という作品を読んだが、これが言語学的小説とでもいう趣きがあり、大使のツボがうずいたわけです。

・・・ということで、言語学的SFという括りで、小説や映画を集めてみました。

・『ことり』
・『地球にちりばめられて』
・『文字渦』
・来るべき能力
・ケン・リュウ著『紙の動物園』
・『メッセージ』という言語学的SF映画

文字表意文字(『メッセージ』より)


*****************************************************************************

図書館に予約していた『ことり』という本を、待つこと3日でゲットしたのです。
この本を『歓待する文学』というNHKテキストで、小野正嗣さんが高く評価していたので、即、図書館に予約していたものです。



【ことり】


小川洋子著、朝日新聞出版、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。

<読む前の大使寸評>
この本を『歓待する文学』というNHKテキストで、小野正嗣さんが高く評価していたので、即、図書館に予約していたものです。

<図書館予約:(1/19予約、1/22受取)>

rakuten ことり

この本を言語学的SFとまでは言えないが、言語学的ファンタジーであるので、ここに収録したのです。
*****************************************************************************
ディアスポラのHirukoが創りだした言語“パンスカ”が大使のツボに響くわけで・・・
即、予約したのです。


【地球にちりばめられて】


多和田葉子著、講談社、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語“パンスカ”をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る―。言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。

<読む前の大使寸評>
ディアスポラのHirukoが創りだした言語“パンスカ”が大使のツボに響くわけで・・・
即、予約したのです。

<図書館予約:(2/18予約、副本3、予約34)>

rakuten 地球にちりばめられて


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<『文字渦』2>
図書館に予約していた『文字渦』という本を、待つこと1ヵ月ほどでゲットしたのです。
「紙の動物園」のような言語学的SFが大使のツボであるが、この本はそれよりもさらに学術的であり・・・果して読破できるか?と、思ったりする。


【文字渦】


円城塔著、新潮社、2018年刊

<出版社>より
昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい? 秦の始皇帝の陵墓から発掘された三万の漢字。希少言語学者が遭遇した未知なる言語遊戯「闘字」。膨大なプログラミング言語の海に光る文字列の島。フレキシブル・ディスプレイの絵巻に人工知能が源氏物語を自動筆記し続け、統合漢字の分離独立運動の果て、ルビが自由に語りだす。文字の起源から未来までを幻視する全12篇。

<読む前の大使寸評>
「紙の動物園」のような言語学的SFが大使のツボであるが、この本はそれよりもさらに学術的であり・・・果して読破できるか?と、思ったりする。

<図書館予約:(9/05予約、10/16受取)>

rakuten 文字渦

『文字渦』2 :「第5回遣唐使」
『文字渦』1

「新字」という章で「第5回遣唐使」が語られているので、見てみましょう。
p111~114
<新字>
 堺部がこうして唐にやってくるのは12年ぶりのことであり、一度目は白雉4年の第2回遣唐使の第1船に、学生として乗り込んでいた。白い雉が見つかったために改元して白雉ということだから、どうも自分の人生の変転期には瑞獣が関わりがちなようである。

 瑞獣は天子の徳を讃えるのではなく、堺部の運命を告げにやってきているという見方もありうる。堺部としては12年前のあのときに自分の半分は死んだと考えている。ほぼ同数の人員を乗せたニ船から構成された遣唐使の第2船は九州の先で沈んで、ほとんどの者は助からなかった。自分が第1船に乗ったのはたまたまであり、生き残ったのは偶然である。であるならば、自分は半分死んでいる生者なのだと、堺部はすっきり考えている。

 前回は学生としての渡唐だったが、今回は重大な外交任務を負っている。大使は、小錦、守君大石。先の白村江の戦いにおける負将である。次に位の高いのが、小山である堺部石積ということになる。小錦は上から五位、小山は七位を数える。まだ三十代に手の届かない堺部が副使に任じられたのは、家柄と才、留学時の人脈を期待されてのことなのだが、単に体力を見込まれての人選である。
(長くなるので省略、全文は ここ )


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『ヴィクトリア朝空想科学小説』という本にアメリカの作家エドワード・ベラミイの言語学的SFが載っているので、見てみましょう。

<来るべき能力> p99~102
 わたしがカルカッタでニューヨーク行きの客船アデラード号に乗りこんだのは、もう1年も前である。ニュー・ムステルダム島(ニューヨークの呼び名)が見えるまでは、変わりやすい天候に難渋させられたが、わたしたちはその地点から新しい航海の途についあた。
 三日後、ひどい嵐が襲いかかった。四日間、わたしたちは嵐の一歩前方を逃げに逃げた。その間じゅう、太陽も月も星もまったく姿を見せず、方角を知る手立てさえ掴めなかった。4日目の深夜に近いころ、稲妻の閃光が、目の前に低く横たわる陸地へ一直線に進んでいるアドラード号の窮状を照らしだした。

 船体の優位ばかりか、船尾を遠くへだたった海中にも、これまで船が暗礁に乗りあげなかったことが奇跡に思えるほど無数の暗礁や浅瀬が、一面に岩頭を突きだしていた。あもなく船は岩場に激突し、あっという間に分解した。海の猛威はそれほどすさまじかったのだ。

 さすがのわたしも生存の希望を投げだした。それも無理はない、はげしい衝撃とともに陸へ打ちあげられ、正気をとりもどしたとき、わたしはほんとうに溺死の一歩手前までたち至っていたのだから。肉体には、波間から身を起こすだけの力しか残っていなかった。その証拠に、わたしはそのあとすぐ足もとから崩れ落ち、それっきり正気を失ってしまった。

 気がついたとき、嵐は去っていた。すでに中天を越えた太陽が、服をすっかり乾かし、傷ついて傷みの走る四肢に活力をよみがえらせていた。海上にも陸地にも、船の残骸ひとつ乗船員ひとり見えない。どうやらわたしが唯一の生き残りらしかった。だが、わたしは一人ぼっちではなかった。あきらかにこの土地の住民と思われる人間が、幾人か群れになって傍らに立っていた。一見しただけで、わたしへの処遇に関する懸念を吹きとばしてくれるほどの親しみの表情で、じっとわたしを見つめている。

 白い膚をした。上品な顔だちの人間たちだ。容姿の特徴は、わたしの知っているどの民族のそれともちがっていたが、高度な文明を営んでいることは疑いなかった。

 会話のきっかけを、まず異邦人にゆずるのがかれらの礼儀らしいと知って、わたしは英語で問いかけたが、あいそ笑い以上の反応を得ることはできなかった。そこで今度は、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、オランダ語、それにポルトガル語を使ってたてつづけに話しかけてみたのだが、より以上の成果を得ることは難しかった。

 白人種で、しかもあきらかに文明化している民族であるのに、強大な海運諸国の言語をまったく知らないこの人間たちの国籍は、いったい何なのだろうと、わたしはひどく頭を悩ましはじめた。とりわけ奇異に映ったのは、かれらと意志の疎通を計ろうとするわたしへの侮蔑ともなった、いつまでも破れないかれらの沈黙だった。

 たとえ囁きひとつによっても、自分たちの言語を知らせる手掛かりを与えまいとするような、堅い沈黙だった。おたがいに意味ありげな笑顔を交わしあいはするが、先ほどから一度もくちびるを開かないのだ。しかし、この行動がほんとうにわたしをなぶっているものだとしても、かれらの全体的な態度からうかがえる、見まごうべくもない親愛の情と同情心とが、そんな憶測を拒否した。

 まったく突飛としかいいようのない憶測が頭に浮かんだ。この異邦人たちは、ひょっとするとことばが話せないのではなかろうか? 一民族全体がそうした障害者として生まれてきたという話は、聞いたことがなかったけれど、広大な南洋の未探検海域が今日まで人間の眼からひた隠しに隠してきた奇蹟がなにもなかったとはいえるはずもない。
(中略)

 わたしの当惑がいよいよ絶望的な色あいを深めだした丁度そのとき、助け舟が出された。民衆の環が開き、息せき切ってここへ駆けつけたことがすぐに分かる、かなり年長の男があたしの前にすすみ出、おそろしく慇懃に一礼すると、英語で語りかけてきた。だがその声は、わたしが耳にしたものの中でも、いちばんひどい出来そこないの声だった。


ウン このSFは一種の言語学的小説にもなっているわけで・・・
大使のツボに当たったのです。

<ケン・リュウ著『紙の動物園』>
図書館に予約していた『紙の動物園』というSFを、ようやくゲットしたのです。
中国人の著わしたSFを初めて読むことになるのだが・・・・
3冠に輝いた現代アメリカSFの新鋭ということで、期待できそうやでぇ♪

この本には、あちこちに大きな手書きの漢字が見られるのです。
このような言語学的SFとでもいう本を見たのは初めてのことです。
p330~333
<文字占い師>
 リリーは笑い声をあげた。甘さんはいままでにあったどの中国人ともちがっていた。だが、彼女の笑い声は長くつづかなかった。学校のことがいつも頭のどこかにこびりついており、あしたのことを考えて、リリーは眉間に皺を寄せた。

 甘さんは気づかないふりをした。「だけど、ちょっとした魔法も使うんだよ」

 その言葉にリリーは興味を惹かれた。「どんな魔法?」

 「わしは測字先生(文字占い師)なのだ」
 「って、なに?」
 「爺ちゃんは、名前のなかの漢字や自分で選んだ漢字に基いて、人の運勢を占うんだ」テディが説明した。

 リリーは霧でできた壁に足を踏み入れた気がした。わけがわからず、甘さんを見る。

 「中国人は神託を受ける補助手段として書を発明した。そのため、漢字はつねに深遠な魔法を宿しているのだよ。漢字から、人々の悩みや、過去と未来に待ち受けているものをわしは言い当てることができる。ほら、見せてあげよう。なにか単語をひとつ思い浮かべてごらん、どんな単語でもいい」

 リリーはあたりを見まわした。三人は河岸の岩の上に座っており、木々の葉が金色や赤色に紅葉しはじめていて、稲穂がどっしり撓んで収穫間近になっているのがリリーの目に入った。

 「秋」と、リリーは言った。
 甘さんは棒を手に取り、足下の柔らかい泥に漢字を一字書いた。



 「泥に棒で書いたのでへたくそな字になっているのはかんべんしとくれよ。紙も筆もないのでな。この漢字は、シュウという字で、秋を意味する」
 「これからあたしの運勢がどうやってわかるの?」
 「そうだな、まずこの漢字をばらばらにして、戻す必要がある。漢字というのはほかの漢字を合わせて作られているんだよ。積み木のようにな。秋はふたつのべつの漢字からできている。この漢字の左側の部分はヒエという漢字で、キビや米や穀物一般を意味する。いまここに見える部分は、様式化されているのだけど、大昔には、この文字はこんあふうに書かれていたのだ」

 甘さんは泥に書いた。



 「ほら、茎が熟れた穂の重みで撓んでいるように見えるだろ?」
 リリーは心を奪われて、うなづいた。
 「さて、シュウの右側はべつの漢字、フォアで、火を意味する。燃えている炎みたいだろ、火花が飛んでいる?」



 「わしが生まれた中国の北部では、米はできないんだ。そのかわりに、キビや小麦やモロコシを育てておる。秋になり、収穫して脱穀し終わると、畑に藁を積み上げて、燃やし、灰が翌年の畑の肥やしになるようにする。金色の藁と赤い炎、そのふたつを合わせてシュウ、秋ができるのだ」

 リリーはうなづき、その光景を思い描いた。
 「だが、きみが自分の漢字としてシュウを選んだことでわしになにがわかるかといえば」甘さんはしばらく黙って考えた。そしてシュウの字の下にさらに数本の線を引いた。



 「さて、シュウの下に心を表す漢字シンを書いた。これはきみの心の形を表す文字だ。ふたつの字を合わせると、新しい漢字チョウができる。これは愁いや悲しみを表す文字だ」
 リリーは心臓がキュンと締め付けられる気がして、突然なにもかもぼやけて見えた。リリーは固唾を飲んだ。

  「きみの心にはたくさんの悲しみがあるんだね、リリー、たくさんの心配事がある。っきみをとても、とっても悲しくさせていることがある」
 リリーは老人の柔和で皺の寄った顔を見上げた。



【紙の動物園】
ケンリュウ

ケン・リュウ著、早川書房 、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
ぼくの母さんは中国人だった。母さんがクリスマス・ギフトの包装紙をつかって作ってくれる折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動いていた…。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作ほか、地球へと小惑星が迫り来る日々を宇宙船の日本人乗組員が穏やかに回顧するヒューゴー賞受賞作「もののあはれ」、中国の片隅の村で出会った妖狐の娘と妖怪退治師のぼくとの触れあいを描く「良い狩りを」など、怜悧な知性と優しい眼差しが交差する全15篇を収録した、テッド・チャンに続く現代アメリカSFの新鋭がおくる日本オリジナル短篇集。

<読む前の大使寸評>
3冠に輝いた現代アメリカSFの新鋭ってか・・・・期待できそうやでぇ♪

<図書館予約:(9/27予約、4/12受取)>
rakuten 紙の動物園


『紙の動物園』1
*****************************************************************************
<『メッセージ』という言語学的SF映画>
『メッセージ』という言語学的SF映画が5月19日公開とのことで・・・これは期待できるかも♪
言語学とSF映画という大使のツボが二つかぶると・・・期待はいや増すのでおます♪

このドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、『ブレードランナー 2049』も手がけるそうで、すごいやんけ。

『ブレードランナー』続編と『メッセージ』の共通点 より
第89回アカデミー賞で8部門のノミネートを果たしたSF映画『メッセージ』(5月19日公開)のトークショーが4月13日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とタレントの関根麻里が登壇。『ブレードランナー』の続編『ブレードランナー 2049』(10月27日公開)も手がけるヴィルヌーヴ監督が、『メッセージ』と『ブレードランナー 2049』の共通点を明かした。

本作は、巨大な宇宙船の襲来と地球外生命体とのコンタクトというSFの王道的な設定と、ヒロインの人生の物語とを繊細に絡ませたSFドラマ。200人の映画監督の卵たちが集ったこの日。『ブレードランナー 2049』に続き、『デューン 砂の惑星』の続編の監督にも抜擢されたヴィルヌーヴ監督が登場し、学生たちの質問に答えた。

話題の監督とあって、学生たちからもたくさんの手があがった。映画監督を目指す学生から「準備をする時に追い詰められることがある。大きな作品を撮る時にそうなることは?」と聞かれると、ヴィルヌーヴ監督は「僕は撮影をしている時にパニックに襲われることがある。不安と戦いながら現場にいることが多い」と正直な思いを吐露。

次々と大作を手がける監督でも壁にぶち当たる時があるとのことで、大きくうなずく学生も。ヴィルヌーヴ監督は「すぐに答えが見つからない状態も、それをうまく自分の味方にしてしまうことを学んだ。すると、それがすごくパワフルなものに変わる。その時間を居心地のいいものに変えてしまえば、そこから素晴らしいものが生まれてくる」。さらに「僕は準備がすごく好きなんだ。作品のことを夢想できるからね。準備を好きになるといいよ」と真摯にアドバイスを送っていた。

『ブレードランナー 2049』は、現在「編集がそろそろ終わる段階。SFXも膨大だけれど、その作業も終わりそう。今、音を付けています」とのこと。それ以上「何もお話できない」と苦笑いを見せながらも、「僕にとってこれまでで一番の野心作で、一番難しい作品になった。早くお届けしたい」と胸を張ったヴィルヌーヴ監督。

「『メッセージ』も『ブレードランナー 2049』に共通するのは、ほとんどグリーンバッグを使っていないこと。なるべくカメラの前で物理的にセットを組み、役者にも実際の環境に触れてもらいながら、演技をしてもらった。超大作をそのように撮れたことは、夢が叶ったような思い」としみじみと語っていた。【取材・文/成田おり枝】



【メッセージ】
メッセージ

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、2016年、米制作

<Movie Walker作品情報>より
SFファンから絶大な支持を受けるテッド・チャンの短編小説を映画化し、第89回アカデミー賞で8部門にノミネートされ、音響編集賞に輝いたSFドラマ。突然、地球に襲来した異星人との交流を通して言語学者が娘の喪失から立ち直っていく姿が描かれる。主人公の言語学者をアカデミー賞では常連の演技派エイミー・アダムスが演じる。

<観るまえの大使寸評>
言語学とSF映画という大使のツボが二つかぶると・・・期待はいや増すのでおます♪

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Last updated  2021.02.01 00:08:22
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