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2021.04.11
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カテゴリ: カテゴリ未分類
図書館で『コメ食の民族誌』という新書を手にしたのです。
「農耕の起源」に大きな関心を持つ大使にとって、この本は興味深いのでおます。





福田一郎×山本英治著、中央公論社、1993年刊

<「BOOK」データベース>より
ネパール―雲南―日本を結んでコメ食を基盤とする生活と文化が成立した。豆類、雑穀からコメへ。主食の変化は食生活のみならず栽培植物の品種、栽培技術、宗教儀礼、生活様式、さらには社会構造と深く関わっている。コメ食はネパール、雲南の各民族にどう滲透し、影響を与えているのか。植物学者と社会学者の共同作業によりシェルパ族、グルン族、徳宏タイ族等それぞれの対応を日本と比較検討、コメ文化の伝播とその逆流の意味を問う。

<読む前の大使寸評>
「農耕の起源」に大きな関心を持つ大使にとって、この本は興味深いのでおます。

amazon コメ食の民族誌


この本の冒頭から、見てみましょう。
pi~iv
<はじめに>
 植物学者である福田と社会学者である山本は、これまでネパール、インド、ブータン、中国の雲南へとよく出かけた。ほとんど大都市にはいない。1ヵ月間もテント暮らしをしながらヒマラヤの村を調査したり、2日がかりで雲南の山のなかを1000キロメートルも車で出かけたり、ブータンの山中の最奥の村まで調査に行ったりした。

 調査研究で二人を結びつけていた共通の課題は、それぞれの民族の食文化であった。食文化は人間の生存・生活のもっとも基盤をなすものである。何を、どのように料理して食べているか、という問題は、一方では、その民族の置かれている自然条件とそれによって規定される植物の品種・分布や栽培技術・方法と深くかかわる。

 他方では、栽培における宗教的儀礼・慣行や労働のあり方、家族構成や社会関係、さらには土地制度や生産力および消費水準と商品経済の浸透程度と深くかかわっている。

 従来の一般的な研究は、この両者を切り離しておこなわれてきたが、われわれは、それをつなげてとらえようとした。植物学と社会学という異例の学際研究が行われることになったわけである。

 民族によって、またその歴史的発展段階に応じて、とにかく人類は生存のためにさまざまな動植物を食べてきた。そして民族によってその料理・味つけも異なっている。たとえばそれは主としてツァンパやジャガイモおよび乳製品を食べているヒマラヤ高地のシェルパ族、雑食を残しつつ陸稲さらに水稲へと移るなかでコメを食べるようになった雲南のプーラン族、もともとは雑穀を食べていたがコメの味を知ってコメに強く執着するようにあったネパール山地のグルン族、水田稲作をおこないジャポニカ米を多くの香辛料で調理してカレー料理として食べているネパール平地のチェトリー族やネワール族、

 さらに雲南では、モチ米を主食として典型的な水田稲作経営とそれにもとづく農耕文化を形成した西双版納(シーサンパンナ)のタイ族と多くの点で共通性をもつ日本人のコメ食などの例からうかがい知ることができる。これらをみると、シェルパ族以外の諸民族においては、すべてコメが大きなウェイトを占めていることがわかる。

 われわれが歩いた諸民族にとって、コメは、他の食料にくらべると特別な価値をもっているのである。主食として確立している場合も、副食の範疇にくみこまれている場合もあるが、いずれにしても食事のなかで中心的な位置を占めていることに変わりはない。シェルパ族のように常食化されていない場合にも、潜在的にコメへの志向はみられる。

 したがって当然にイネの栽培に対する関心は強く、それぞれの自然的条件に適応するイネを栽培してきた。そして長い歴史のなあかで食べてきた品種が、その民族のもっとも好むコメとして常食されるようになった。

 栽培技術や方法に工夫がこらされ、また宗教的観念が自然的に発生し、宗教的儀礼・慣行を基盤とした農耕文化が形成された。それのみならず、これに対応して村の社会組織や運営、人びとの日常生活や家族の構造がつくりあげられてきた。

 水田稲作の村では、これがよく整序された形で確立されたのである。それは日本や西双版納タイ族の村にみることができる。すなわち、コメを通して、イネの栽培品種や分布の系譜、栽培技術や方法のみならず、民族の宗教や文化、経済や社会、生活や人びとの考え方まで知ることができる。


ところで、中尾佐助さんがアフリカで「農耕の起源」の探検調査を行っているので、紹介します。
『農業起源をたずねる旅』4 :豊穣な作物「油ヤシ」
『農業起源をたずねる旅』3 :アフリカの焼畑耕作
『農業起源をたずねる旅』2 :アフリカの遊牧民
『農業起源をたずねる旅』1 :アフリカの主要な穀物

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Last updated  2021.04.11 23:48:04
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