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2021.04.28
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カテゴリ: カテゴリ未分類
図書館で『洋書ラビリンスへようこそ』という本を手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると、見事なまでに知らない本ばかりであるが・・・
欧米では知られた本のようで、興味深いのでおます。





宮脇孝雄著、アルク、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
日々、好奇心の赴くままに膨大な洋書を読んできた翻訳家の乱読・多読な読書案内。読むほどに洋書や翻訳書やいろいろな本が読みたくなってくるエッセイ集。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、見事なまでに知らない本ばかりであるが・・・
欧米では知られた本のようで、興味深いのでおます。

rakuten 洋書ラビリンスへようこそ



『ニッポン大誤解』というタイトルからして面白そうなので、見てみましょう。
p290~293
作家の父が息子と共に日本へオタク文化探訪の旅に出る
 ピーター・ケアリー(Peter Carey)はオーストラリアの作家で、『イリワッカー』『オスカーとルシンダ』『ケリー・ギャングの真実の歴史』という代表作が訳されている。その割に、あまり知られていないのは、翻訳文学の読者でも、オーストラリアの歴史に密着した重厚な作風に抵抗があるせいかも知れない。

 重厚な作風といっても、ほら話系のユーモア小説にも分類できて、出世作の『イリワッカー』などは、139歳の詐欺師が語る偽オーストラリア史の体裁を取っている。『オスカーとルシンダ』は、レイフ・ファインズ、ケイト・ブランシェット主演で映画化されているので、ご存知のかたもいらっしゃるかもしれない。

 どの作品もかなり分厚くて、読み通すだけの時間がとれず、うちでは積ん読状態になっているが、2005年に新作が出たときには、以下の三つの点で、ちょっとびっくりした。まず、ほかの本と違って、かなり薄いこと。次に、小説ではなく、ノンフィクションだったこと。そして、日本文化をテーマにしていたことである。

 題して、Wrong About Japan(訳せば『ニッポン大誤解』といった感じ)。この本もしばらく本棚の片隅で眠っていたが、たまたま手に取って、読み始めたら、つい引き込まれて、読みふけってしまった。

 簡単にいえば、2002年、ケアリーさんが息子を連れて日本に来たときの滞在記である。 ケアリーさんは、故郷オーストラリアを離れ、ニューヨークに住んでいるが、12歳の息子、チャーリーのことを、ちょっと心配していた。チャーリーは無口で、あまり友だちもいないのだ。

 ところが、そんなチャーリーに近頃変化が表れた。アニメやマンガなどの日本文化にどっぷりはまっているらしいのである。ビデオ屋に行けば、『菊次郎の夏』とかいう映画を借りてくる。一度返しても、また借りてくる。毎晩、30分だけアメリカの純文学を読むのがチャーリーの日課だが、それが終わると、『AKIRA』とかいうマンガを読んでいる。もう6巻目に入っているらしい。

 ケアリーさんはもともと日本文化に興味があったので、息子とのコミュニケーションを深めるチャンスだと思い、勉強を始める。その成果が上がって、息子が『はだしのゲン』を読んでいると。こんなのもあるぞ、といって、スタジオ・ジブリの『火垂るの墓』を差し出せるくらいになっている。

 しまいには、チャーリーも、こんな話をするようになる。
「ねえ、パパ、もしペリー提督が日本に行かなかったら、原子爆弾は落とされなかったかなあ」
「うん、そうかもしれないね」
「だったら、ゴジラも生まれなかったことになるね」

ガンダムは侍ではなかった・・・。父親の日本観は次々否定されることに
 そのとき、ケアリーさんはこう思う。

The kid who would never talk in class was now blimming with new ideas he wasn't shy to discuss. I was exited by him and for him; and for myself too, because I'd already visited Japan twice and now realised I had a perfect pedagogic rationale for indulging my interest further.

“Would you like to go to Japan?”I asked.
“If you like,”he said, so dry I couldn't believe it.


 学校でひと言も口を利かなかった子が、今ではいろいろなことを考え、進んで議論しようとしている。そのことに私は興奮したし、チャーリーのためにもいいことだと思った。それは、私にとってもいいことだった。
 なぜなら、私はすでに二度も日本に行っていて、もう一度行って興味を深めたいと思っていたが、そのための教育上の口実ができたからである。

「日本に行きたいかい?」私は尋ねた。
「まあね」まったく気のない返事だったので、私は信じられなかった。


 チャーリーの言う<本当の日本>とは、お寺や美術館や日本庭園のことで、それより彼はアニメの監督に会ったり、秋葉原に行ったりすることを望んでいた。ケアリーさんの日本におけるエージェントが、『機動戦士ガンダム公式百科事典』を出版した講談社と縁があったこともさいわいして、アニメ関係者と会える段取りもつき、喜び勇んで二人は日本へと向かい、浅草の日本旅館に宿を取って、オタク文化探訪の旅に出る。

 ケアリーさんは日本通のつもりだったが、今度の旅で、自分が日本についてさまざまな誤解をしていたことを、自分の理解がまだ浅かったことを知る。


この本も 通訳、翻訳についてR19> に収めておくものとします。

『洋書ラビリンスへようこそ』1
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Last updated  2021.04.28 00:07:31
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