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2021.09.22
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カテゴリ: 歴史
図書館で『覇権の世界史』という本を、手にしたのです。
めくってみると、たくさんの地図を引用しながら世界史を語っています。
目のつけどころとしたら、黄河文明に対するモンゴル帝国の侵略あたりになるのです。大使の場合。





宮崎正勝著、河出書房新社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
悠久の歴史を編んできたドライ・ランドは大航海時代以降、海からイギリスに統合され20世紀後半になると強大なエア・パワーを持つアメリカが地球規模で一強体制を掌中にした。つまり、人類は「二度の空間レベルの覇権交代」をへて今の世界をかたちづくってきたのだ。それらの興亡はなぜ起きたのか?どうしてその国だったのか?読み進むほどに、歴史の必然が見えてくる!

<読む前の大使寸評>
めくってみると、たくさんの地図を引用しながら世界史を語っています。
目のつけどころとしたら、黄河文明に対するモンゴル帝国の侵略あたりになるのです。大使の場合。

amazon 覇権の世界史



『第1章』から四大文明を、見てみましょう。
p42~49
<『第1章 長い時間をかけて「陸」の世界は形成された』>
1. 農業を誕生させたのは「乾燥」だった!
■ラッキーだった「欠陥ムギの発見」 
 「陸」の世界史の起点は農業の出現である。のうぎょうは約1万年前に、東アジアの大地溝帯とユーラシアの大乾燥地帯の接点に位置する、ヨルダンの渓谷で始まった。それを可能にしたのが「欠陥ムギの発見」である。

 突然変異で種を地面に落とせなくなったヒトツブコムギの種子の発見と栽培が、飢えの克服につながったのだ。通常、ムギは熟すると種子を大地にバラ撒く。これは「種」の保存のために当然のことだが、そうすると人は、細かい種子を拾い集めなければならない。
 突然変異で成熟しても種子をバラ撒けなくなったムギを偶然に発見できたことが、人類にとって大変なラッキーになったのである。農業は、種子を落とせないムギに特化しての栽培から始まったのだ。人類は欠陥ムギ(人間にとっては都合の良いムギ)を選んで栽培し、不安定な狩猟・採集を併用しながら定住生活へと移行することになる(農業革命)。

 なお、普通、植物は毒、すなわち「苦味」「渋味」などで動物から「種」を守ろうとするのだが、乾燥して痩せた大地のムギには毒を作る栄養分が得られず、土中のケイ素を取り入れて種子を覆う堅い殻を作るしか方法がなかった。そのため、ムギを食べるには、堅い殻ともども種子をすり潰して粉にする必要があった。この粉からパンが作られたのである。

 畑に集まったオスを中心にメスが群れる習性を持つ家畜(偶蹄類)を飼育して、乳、肉、皮などを得る牧畜も始まる。ドライ・ランドの繊維質の固まりのような草の葉・茎を食べる動物は膨大な量を食べなければならず、反芻の能力が必要だった。家畜となったヒツジ、ヤギ、ウシなどがいずれも反芻する動物なのは、牧畜とドライ・ランドの関係を示している。

■なぜ砂漠で、ムギの栽培が広まった?
 ユーラシアのドライ・ランド(大乾燥地帯)を構成するのは、広大な砂漠・草原と内海の地中海である。しかしムギは、特定の砂漠でのみ生産できた。だが、 なぜ雨が乏しい砂漠で、ドライ・ランドのムギの大部分が作られたのだろうか。 これには当然、理由がある。
 今から5000年前頃に温暖化が進むと、北緯30度付近の中緯度帯の乾燥がさらに激しくなった。例えば、アフリカ3分の1を占めるサハラ草原がサハラ砂漠に変わっていく。多くの牧畜民が乾燥により難民となって砂漠を流れる大河(その水源は外部の湿潤地帯に降った大量の雨や、周辺の高山の雪解け水)の流域に移住し、ムギ不足が一挙に深刻化した。

 そうなれば、砂漠を流れる大河の水を利用して畑を造るしかない。外部からの乾燥難民の移住で人手は十分だったため、堤防、水路などが整備されて灌漑農業が始められることになる。灌漑とは「植物の生育を維持する目的で、人口的に土地に水を引く」ことだ。

 大河の「水」を、簡単な道具だけで農業用水に変えるのは並大抵のことではない。しかし、王や神官のカリスマ性、官僚による民衆の組織、職人の技術などを組み合わせた人海戦術により、「水の循環システム」に支えられた広大な畑が出現した。「外部から流れ込む川の水」を利用する灌漑農業が始まったのだ。

■都市は水のコントロール・センター
 広大な畑を生み出すのは、簡単なことではなかった。
「河川文明は、水流の高低をコントロールしたり、洪水が消し去った境界を区分したり、共同の使役を義務化したり、諸税を徴収したり、交易を監督したり、法典を編集したり、国境を見張ったりする必要をともなった」 (『人間 過去・現在・未来』岩波新書)

 考古学者マンフォードは、灌漑のメンテナンスには複雑な作業が必要だったことを、このように指摘している。それに当たった王や特定の部族、神官、官僚などは、メンテナンスの代償に税を取った。まさにギブ・アンド・テイクで、これはムギの大量生産に必要不可欠だった。

「水の循環」にかかわる特殊な人々が住み着く大集落は、やがて「都市」へと姿を変える。都市は、人工的な「水の循環」を維持するコントロール・センターとなり、人々の結合の核となって社会の広域化を促進した。都市の形成にともなった人類社会の変動を「都市革命」と呼ぶ。

 エジプト、メソポタミア、インダス、黄河の四大文明は、「陸」の世界の四つの「核(コア)」地帯になっていく。月並みだが、次に四大文明とそれぞれの特徴を見ておこう。



2. 四大文明も乾燥地帯で起こった
■エジプト文明 ナイル川流域の循環型農業社会
 夏のモンスーンが、定期的にナイル川上流のアビシニア高原に衝突することで降り続く長雨が青ナイルに流れ込み、1ヵ月の時間をかけて地中海に流れ込んだ。6~10月まで続くナイル川の穏やかな増水(洪水)は、梅雨と同様に夏のモンスーンがもたらす降雨だった。
 エジプト王国の都メンフィスの年間降雨量は26ミリ、中流のテーベはわずかに1ミリにすぎない。外部からナイル川が流れ込み、多くの労働力により灌漑インフラが整えられたからこそ、砂漠が穀倉地帯に奇跡的な変貌を遂げたのだ。
(中略)

 エジプトは、東と西を砂漠、北を海、南を瀑布により囲まれているために牧畜民との交流が乏しく、洪水期と渇水期からなる循環型の農業社会が持続したことに特色がある。
 つまりは孤立した文明であり、そのために世界史の中心にはなれなかった。
(中略)

■黄河文明 唯一、海から切り離された内陸の文明
 黄河流域は、エジプト、メソポタミアと比較すると雨量が多く。ほぼ草原(年間降水量500ミリ以下)といってよかった。おのために、灌漑インフラの必要がなく、アワが栽培された。西のムギ社会とは、全く異なる農業社会だったのである。

 黄河中流域には、黄土を固めた壁により囲まれた邑(ユウ)が造られ、支流のイ水流域から開発が進んだ。邑の集合体が殷、周である。
 殷では骨占いによる神権政治が行われ、占いの結果は甲骨文字で書きとめられた。周は典型的な血縁支配で、その体制が封建制度である。

 黄河文明は、他の三つの文明とは異なり、陸に閉じ込められた文明だった。その理由は、以下のごとく黄河にある。

 中国の西北部を水源とする5400余キロの黄河は、上流の蘭州付近から西安までの間、黄土高原を湾曲して流れるために多量の「黄土」を溶かし込み、その量は1平方メートル当たり37キロにも及んだ。そのため、流れが緩やかになる下流では年10センチもの割合で土砂が堆積し、3年に2度の割合で流路が変わるほどの大洪水を起こしたのである。

 ゴビ砂漠から偏西風に乗り運ばれてきた黄土は養分と通気性・透水性に富み、水に恵まれさえすれば肥沃な「畑」に変わった。





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Last updated  2021.09.22 00:14:29
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