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2021.10.19
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カテゴリ: メディア
「内田樹の研究室」の内田先生が日々つづる言葉のなかで、自分にヒットするお言葉をホームページに残しておきます。
内田

最近は池田香代子さんや、関さんや、雨宮さんなどの言葉も取り入れています。
(池田香代子さんは☆で、関さんは△で、雨宮さんは○で、池田信夫さんは▲、高野さんは■で、金子先生は★、田原さんは#、湯浅さんは〇、印鑰さんは@、櫻井さんは*、西加奈子さんは♪で区別します)

・格差について
・『コロナ後の世界』まえがき
・紀伊田辺聖地巡礼の旅
・成長と統治コスト
・『日本習合論』中国語版序文
・日本のイデオクラシー

・倉吉の汽水空港でこんな話をした。
・中国はこれからどうなるのか?
・アメリカ大統領選を総括する
・アメリカの新しい論調から「ベーシックインカムについて」
・韓流ドラマとコミュニケーション・プラットフォーム
・文化日報への寄稿「パンデミックとその後の世界」
・反知性主義者たちの肖像
・『沈黙する知性』韓国語版序文
・書評・食いつめものブルース 山田泰司
・書評・白井聡「武器としての「資本論」
・『街場の親子論』のためのまえがき

・ホ・ヨンソン『海女たち』書評
・2020年度寺子屋ゼミ受講要項
・『山本太郎から見える日本』から
・『人口減社会の未来学』から
・「サル化する世界」についてのインタビュー

・週刊金曜日インタビュー
・桜を見る会再論
・『Give democracy a chance』2
・『Give democracy a chance』1
・沈黙する知性
・China Scare
・[週刊ポスト」問題について
・『低移民率を誇る「トランピアンの極楽」日本の瀕死』
・『ネット右翼とは何か』書評
・『最終講義』韓国語版あとがき
・『「そのうちなんとかなるだろう」あとがき』
・『参院選にあたって』
・『廃仏毀釈について』
・『論理は跳躍する』
・『「おじさん」的思考』韓国語版序文
・『市民講座』韓国語版のための序文
・空虚感を抱えたイエスマン
・大阪万博という幻想
・外国語学習について
・大学院の変容・貧乏シフト
・『知日』明治維新特集のアンケートへの回答
・カジノについて
・中国の若者たちよ、マルクスを読もう
・『街場の憂国論』文庫版のためのあとがき
・直言3月号「韓国の教育と日本のメディア」
・人口減社会に向けて
・時間意識と知性
・Madness of the King
・吉本隆明1967
・大学教育は生き延びられるのか?
・こちらは「サンデー毎日」没原稿
・奉祝「エイリアン・コヴェナント」封切り
・米朝戦争のあと(2件)
・気まずい共存について

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内田先生かく語りき8 目次

(目次全文は ここ )

(その38):『格差について』を追記




2021/09/25 格差について より
 階層格差が拡大している。所得格差の指標として用いられるジニ係数は格差が全くない状態を0、一人が全所得を独占している状態を1とするが、日本のジニ係数は1981年が0.35、2021年は0.56と上がり続けている。この趨勢はこの先も止まらないだろう。「一億総中流」と呼ばれた国の面影はもうない。

 日本における格差拡大の要因は何か。それは雇用形態の変化である。かつては終身雇用・年功序列という雇用の仕組みが日本のどの企業でも支配的だった。
 もうその時代を記憶している人の方が少数派になってしまっただろうが、あれはずいぶんと気楽なものだった。植木等の「ドント節」(作詞青島幸男)は「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」というインパクトのあるフレーズから始まる。もちろん誇張されてはいるが、それなりの実感の裏付けはあった。

 60年代はじめのサラリーマンの日常を活写した小津安二郎の映画では、サラリーマンたちは小料理屋の小上がりで昼間からビールの小瓶を飲んで、午後のお勤めに出かけていた。もちろん全員定時に帰る。私の父もそうだった。毎日、同じ電車で出勤し、同じ電車で帰って来た。雨が降ると、駅前には傘を持って父親を迎えに来た子どもたちが並んでいた。今の人には信じられないだろう。だが、人々がこの判で捺したようなルーティンを営んでいる時代に、日本経済は信じられないほどの急角度で成長していたのである。

 それはこの時代の日本人がたいへん効率よく仕事をしていたからだと思う。どうして効率が良かったかというと、「査定」や「評価」や「考課」に無駄な時間や手間をかけなかったからである。
 年功序列というのは要するに「勤務考課をしない」ということである。誰にどういう能力があるかは仕事をしていれば分かる。人を見て、その能力に相応しいタスクを与えればいい。別に査定したり、格付けをしたりする必要はない。難しいタスクを手際よくこなしてくれたら、上司は「ありがとう」と部下の肩を叩いて、「今度一杯奢るよ」くらいで済んだ。この時代の日本の会社は言うところの「ブルシット・ジョブ」がきわめて少なかったのである。

「ブルシット・ジョブ」は人類学者デビッド・グレーヴァーの定義によれば「被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど完璧に無意味で、不必要で、有害でもある雇用の形態」のことである。

終身雇用・年功序列、懐かしい響きである。・・・家庭を二の次にして働く仕事人間ではあったが、希望はあったもんなあ。



2021/08/29 『コロナ後の世界』まえがき より
 この『コロナ後の世界』は「ありもの」のコンピレーションです。素材になったのはブログ記事やいろいろな媒体に発表した原稿です。でも、原形をとどめぬほどに加筆しておりますので、半分くらいは書き下ろしの「セミ・オリジナル」と思ってください。

 かなり時局的なタイトルになっていますが、それはいくつかの論考が今回のパンデミックで可視化された日本社会に深く蝕んでいる「病毒」を扱っているからです。それについて思うところを書いて「まえがき」に代えたいと思います。

 僕は今の日本社会を見ていて、正直「怖い」と思うのは、人々がしだいに「不寛容」になっているような気がすることです。
 言葉が尖っているのです。うかつに触れるとすぐに皮膚が切り裂かれて、傷が残るような「尖った言葉」が行き交っている。だから、傷つけられることを警戒して、みんな身を固くしている。あるいは、自分の言葉の切れ味がどれくらいよいか知ろうとして、「刃」に指を当てて、嗜虐的な気分になっている。

 そういう「尖った言葉」が行き交っている。外から見ると、あるいはスマートで知的なやりとりが行われているように見えるのかも知れません。でも、僕はそういう言葉がいくら大量に行き交い、蓄積しても、それが日本人全体の集団としてのパフォーマンスが向上することには結びつかないと思います。

 僕はものごとの適否を「それをすることによって、集団として生きる知恵を力が高まるか?」ということを基準にして判断しています。もちろん、その言明が「正しいか正しくないか」ということを知るのもたいせつですけれど、僕はそれ以上に「それを言うことによって、あなたはどのような『よきもの』をもたらしたいのか?」ということが気になるのです。

 言っている言葉の内容は非の打ち所がないけれど、その言葉が口にされ、耳にされ、皮膚の中に浸み込むことによって、周りの人たちの生きる意欲が失せ、知恵が回らなくなるのだとしたら、その言葉を発する人にはそれについての「加害責任」を感じて欲しい。
 よく考えてみたら、それは僕がずいぶん昔からずっと言ってきたことでした。

 若い頃は左翼の言葉づかいに対して、そのような不満を感じていました。「革命をめざす」といっている人たちがお互いに相手について「はしなくも階級意識の欠如を露呈し」とか「嗤うべきプチブル性」とかいう非難を投げ合っていたからです。正直言って、そんなことをいくらやっても得るところはほとんどないんじゃないかと思っていました。というのは、そうやって、「革命闘争を担う資格を持つ人」の条件を厳しくすればするほど、「革命の主体」の頭数は減るだけだからです。「世の中をよりよいものにしよう」と願う資格のある人間の条件を厳密化することによって、この人たちはどうやって世の中をよくする気なんだろうと思っていました。

 同じことは、そのあとフェミニズムやポストモダニズムにも感じたことです。今度は「はしなくも性差別意識を露呈し」とか「うちなる植民地主義に気づくこともなく」というふうに表現は変わりましたけれども、それでも「真に差別され、徹底的に疎外された人間だけがシステムを批判する権利を持つ(それ以外の人間はすべて無意識のうちに差別し、疎外する側に加担している)」ということになると、すてきに切れ味はいいテーゼではあるのですけれども、これもやっぱり、徹底すればするほど「世の中を少しでも住みやすくする」事業の仲間の頭数を減らす結果になる。

 僕が年来主張しているのは、おおむねそういうことです。みんながちょっとずつ「貧者の一灯」を持ち寄って、それをパブリックドメインに供託して、「塵も積もれば山」をめざすという方が「すべてのリソースを正しい目的のためだけに用いる」ことをめざすより話が早いんじゃないか。そう思っているのです。

「世の中を少しでも住みやすくする」事業においては、「仲間を増やす」ということが一番大切だと僕は思っています。自分と多少意見が違っている人についても、「まあ、そういう考え方もあるかも知れないなあ」と思って、正否の判断を急がない。中腰で少し耐える(あまり長くは無理ですけれど)。そして、どこかに「取り付く島」があったら、それを頼りに対話を試みる。


(以降、全文は 内田先生かく語りき(その32) による)





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Last updated  2021.10.19 08:35:33
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