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2022.10.12
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カテゴリ: メディア
砂漠はツボでもあるので、ときどき覗いてみたくなるのです。
・・・ということで以前読んだ『リビア砂漠探検記』を復刻してみます。


2019.07.03 『リビア砂漠探検記』4 より
***********************************************************
図書館で『リビア砂漠探検記』という文庫本を、手にしたのです。
かなり古い本であるが・・・
冒頭に梅棹忠夫さんの寄稿文が載っているわけで、わりと格調が高いのである♪





石毛直道著、講談社、1979年刊

<「BOOK」データベース>より
古書につき、データなし

<読む前の大使寸評>
かなり古い本であるが・・・
冒頭に梅棹忠夫さんの寄稿文が載っているわけで、わりと格調が高いのである♪

amazon リビア砂漠探検記


砂漠縦断のトラック・キャラバンをつかまえるあたりを、見てみましょう。
p220~224
<キャラバンをさがす>
■少年時代からの夢を果したい
 なぜ、わたしはリビア砂漠を縦断するのか? フェザンと南方の交易関係を調査するとかいったもっともらしい名目をたてることはできる。だが、正直なところ調査のために砂漠を縦断しようと思っていたわけではない。予期される成果よりも、行為そのものの過程におもみをおくものである。調査はできればやるにこしたことはないが、それよりも砂漠を越えるということそれ自体が目的であった。ひとは、海辺に立ったら、そのかなたへ行ってみたくなる。それと同じく、フェザンの砂の海の一角にとりついた以上、そのはてまで見きわめたいと思ったのである。

 大砂漠を越える旅行をすることは、わたしの少年時代の夢であった。
 シュエルフへ行くことが「学問的なおもろさ」にもとづいたプランであるとすれば、砂漠縦断の旅は「個人的、冒険的なおもろさ」をもつものといえよう。そして、わたしは学問よりも、冒険をしたかったのである。二つのプランをたてたのは、砂漠旅行が不可能な場合を考えてのことであった。

 わたしは、トリポリで残務整理にしたがいながら、砂漠縦断のトラック・キャラバンについての情報をあつめようと努力した。トラック・キャラバンの出発点はいずれもトリポリである。会う人ごとに、わたしはキャラバンについてなにか知らないかたずねた。だが、そんなキャラバンがあることさえ、知らない人がほとんどであった。知りあいのリビア人の新聞編集者に情報をあつめてもらった。新聞社の情報網でも、はっきりしたことはわからなかった。

 2ヶ月に一度くらい不定期にトラック便がトリポリを出発して、セブハ経由のうえ、チャドあるいはニジェールに行くことがあること。このトラック・キャラバン以外に陸路チャド、ニジェールへ行く便はないこと。これらのトラック・キャラバンは海岸をもたぬアフリカ内陸のこれらの国へ、地中海からの商品やディーゼル油を売りつけて一もうけをしようとする冒険商人たちによって仕立てられること。商人たちは、その都度トラックをチャーターするので、いつ、どこのトラックがキャラバンに出かけるかは、わからない。以上が、新聞社から知ることができた情報のすべてである。どうしたら、キャラバンに便乗することができるかについては、まったく手がかりがつかめなかった。

 いっぽう、シュエルフ行きの情報は簡単に得られた。シュエルフへ行く定期便はない。しかし、警察のパトロール車がシュエルフへ行くことが多いし、国立病院が医師、看護婦の交代、薬品の輸送のためにしばしば車をだすので、それに便乗したらば1日行程でシュエルフまで行くことができることがわかった。わたしは、砂漠縦断はあきらめて、シュエルフで調査しようと決心しかけていた。

 またもや、幸運はカフェ・ボンボネーラで待ちかまえていた。残務整理を終えて、2、3日したらシュエルフへ行こうかと考えていた4月10日の朝、わたしは辻馬車の雑踏する広場を横切って、カフェ・ボンボネーラのそばを歩いていた。呼びかける声にふりむくと、歩道のそばのテラスにナハデリ氏が50代の恰幅のよい紳士といっしょに腰かけていた。ナハデリ氏、わたしをその紳士に紹介してくれた。紳士の名は、ハジ・ハムーダといった。

■実業家ハムーダ氏の大きな力で
 わたしは、ハジ・ハムーダの経歴とその会社を知っていた。タウナスが故障していたとき、デブデブからセブハへ出て、セブハでの用事をおえたのち帰路の便をセブハじゅうを駆け巡ってさがしたときのことである。あるいは、ハジ・ハムーダの会社へ行ったらデブデブ方面へ行く自動車があるかもしれない、ということを聞いて、ハムーダ氏の事務所へ出かけたことがある。その機会にハムーダ氏のことを知ったのである。

 かれは、セブハの出身者である。若いころ、雑貨商や運転手をしたこともあるらしい。金をためて、トリポリとセブハのあいだに旅客をはこぶ定期便をひらいた。その後、事業は順調にのび、ついにはチェニスとトリポリをつなぐ定期バスの会社を設立した。このバス会社は、現在トリポリ、セブハ間に週二回の大型バスの定期便をも運行し、乗客一人につき約二千五百円の運賃をとっている。
(中略)

 ハムーダ氏は、おうようにうなずいて、ナハデリ氏の通訳を介して。
「二時間ほどしたら、わたしの事務所に来なさい。あなたが南方へ行けるよう手はずをととのえてあげよう」
 といった。
 ハムーダ氏の事務所で、片言のフランス語を知る氏とわたしのあいだで、アラビヤ語、フランス語をちゃんぽんにした奇妙な会話のやりとりがあったあと、ハムーダ氏は秘書をよびよせて、一通の手紙を口述して、サインをした。

 その手紙は、「この書状持参のイシゲ氏が至急陸路スーダン地方に行けるよう、すべての便宜をととのえるべし」といった意味の文面のようであった。手紙のあて先は、セブハのハジ・ハムーダ事務所の支配人になっていた。

 書面に書かれているスーダン地方ということばは、スーダン共和国をさすものではない。チャド、ニジェールなどフェザンの南方、砂漠のかなたの地はすべてスーダンとよばれる。


『リビア砂漠探検記』3
『リビア砂漠探検記』2 :京大のアフリカ学術調査の歴史
『リビア砂漠探検記』1 :梅棹忠夫さんの寄稿文





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Last updated  2022.10.12 00:11:25
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