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2022.11.27
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『日本のいちばん長い日』という本を、待つこと〇ほどでゲットしたのです。




半藤一利著、文藝春秋、2006年刊

<「BOOK」データベース>より
昭和二十年八月六日、広島に原爆投下、そして、ソ連軍の満州侵略と、最早日本の命運は尽きた…。しかるに日本政府は、徹底抗戦を叫ぶ陸軍に引きずられ、先に出されたポツダム宣言に対し判断を決められない。八月十五日をめぐる二十四時間を、綿密な取材と証言を基に再現する、史上最も長い一日を活写したノンフィクション。

<読む前の大使寸評>
追って記入

<図書館予約』(11/16予約、副本13、予約3)>

shinchosha 日本のいちばん長い日


プロローグの途中から、見てみましょう。
p34~38
<秩父宮という弟がいるね>
 起草は国務省極東課の課員によってすすめられ、正午前には完成した。それは、日本の提案に対して明確に答える形をとらず、天皇制は否定しないが、はっきり保証はせず、ポツダム宣言に変更がないことを改めて主張したものとなった。午後になって五人は再び参集し、この案を承認した。

 天皇制について、もう少し明瞭な表現で約束した方がよいのではないかと感じたフォレスタルは、提出するとき、バーンズをひきとめて真意をさぐってみた。国務長官はニヤリと意味深長な笑いをうかべて、小声で言った。
「秩父宮という弟がいるね。誰が天皇になっても、天皇制さえ残ればいいんだろう」
 この回答案は連合国の承認を得るためにロンドン、モスクワ、重慶に贈られた。重慶からはすぐ承認の返事がきた。ロンドンは慎重に検討しこの案を承認した。

 モスクワは返答を翌日にのばすと強硬な態度をとった。しかし、これは急を要するもので、今夜のうちワシントンに返事を送らねばならないと、駐ソ米国大使ハリマンは必至の形相で催促した。やがてソ連の返答がきた。

ソビエト政府としては日本占領は、米国から一名、ソ連から一名のふたりの最高司令官による、それを条件に商人するという。早くもドイツ同様に、戦後の日本分割の意図を明らかにした。ハリマンは「まったく受け入れる余地はない」と突っぱねた。

 こうした複雑なやりとりがいくつかあって、結局ソビエト政府は折れて、じょうけんなしでバーンズ回答書を承認したが、これがモスクワ時間午前2時。そしてワシントンが連合諸国の返事をすべてそろえたときには、8月11日になっていた。

 こうした事情を知らない日本にとって、8月11日は、9日から15日までの激震の1週間のなかで、中休みに似た空白の1日になった。しかもこの日は終日、日本全国のどこにも空襲警報がなく、連合国側からの回答を待つほかのない鈴木首相は、午前は読書と瞑想で終え、午後からは書記官長や側近と細かい打ち合わせなどで費やした。

<連合軍最高司令官に隷属する>
 8月12日は日曜日であった。その午前零時半すぎ、迫水書記官長は同盟通信外信部長から、サンフランシスコ放送が回答を流しはじめたことを知らされた。
「まだ全文がわからないが、どうもあまりいい返事ではなさそうだ」
 迫水は暗澹たる想いに捉われた。
 陸軍中央もサンフランシスコ放送を傍受し、前轍を踏まないようにと、こんどはみずからの手で翻訳を開始した。

 外務省幹部は連合国の回答は不満足ながら、国体は護持されるとし、受諾する方針をきめた。全文を読むと天皇制に対する確たる保証はない。しかし「最終的の日本国の政府の形態は・・・日本国国民の自由に表明する意思により決定せらるべきものとす・・・」というのであるから半ば保障されたも同様だと判断したのである。

 行動を起こしたのは大本営の方が早かった。午前8時すぎには早くも梅津参謀総長と豊田軍令部総長とが参内、軍は回答文に絶対に反対である旨を奏上した。回答文中にあるsubject to を軍はずばり「隷属する」と訳した。こう訳せば「天皇および日本国政府の国家統治の権限は・・・連合軍最高司令官に隷属するものとす」となるのである。これを受諾するということは、
「国体の根基たる天皇の尊厳を冒瀆しあるは明らかでありまして、わが国体の破滅、皇国の滅亡を招来するものです」
 と両総長は力をこめて説くのである。

 外務省幹部は、このsubject to を「どうせ軍人は訳文だけをみて判断するだろうから」ときめてかかり、傑出した名訳を案出していた。「制限の下におかる」である。陸軍はこんどは乗せられなかった。かれらの訳出した「隷属する」でいかにして国体を護持できようかと硬化したのである。

 大臣室におしかけた少壮将校十数人はみな興奮し血気にはやっていた。陸相の義弟竹下正彦中佐が一同を代表して阿南陸相につめよった。「ポツダム宣言の受諾を阻止すべきです。もし阻止できなければ、大臣は切腹すべきです」。阿南陸相は唇をかたく結んだまま、何もいわなかった。

 外相が鈴木首相に会い、首相の意見も受諾案であることを確認し、参内したのは午前十時半をやや回っている。軍に遅れること2時間である。しかし、天皇の意思はもう一つに固まっていた。
「議論するとなれば再現はない。それが気に入らないからとて戦争を継続することはもうできないではないか。自分はこれで満足であるから、すぐ所要の外交手続きをとるがよい。なお、鈴木総理にも自分の意思をよく伝えてくれ」





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Last updated  2022.11.27 00:15:12
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