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2022.11.30
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』という本を、手にしたのです。




クリスチャン・ダベンポート著、新潮社、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
桁外れの資産と野心を持つ異能の経営者が、「未来のプラットフォーム」の覇権を狙う。強烈な個性がぶつかり合う開発競争の最前線!
【目次】
「着陸」/第1部 できるはずがない(「ばかな死に方」/ギャンブル/「小犬」/「まったく別の場所」 ほか)/第2部 できそうにない(「ばかになって、やってみよう」/リスク/四つ葉のクローバー/「信頼できる奴か、いかれた奴か」 ほか)

<読む前の大使寸評>
追って記入

rakuten 宇宙の覇者 ベゾスvsマスク


第7章でアメリカ人のフロンティア・スピリットを、見てみましょう。
p162~166
<第7章「リスク」>
 米国はニール・アームストロングとチャック・イエーガーとライト兄弟を輩出した国だ。フロンティアを切り拓くことは、メイフラワー号の時代から、西部開拓、月面着陸まで、長いあいだ米国のDNAに刻まれた特徴だった。マスクには、冒険に挑むことが米国人の理想とする生き方だと映っていた。

「米国は人間の冒険心でできたような国だ」とマスクはかつて述べたことがある。「ほとんど誰もが別の場所からここにやってきた人間だ。こんなにフロンティアの探検が好きな集団はほかにない」
 NASAか、議会か、あるいは大統領が、1961年に10年以内に人間を月に送ると約束したジョン・F・ケネディのように立ち上がらないのなら、この国では起業家たちが代わりに立ち上がるだろう。
 ケネディが墓場からよみがえって、待ち望んだ宇宙計画を始めてくれるのを期待するより、おそらく自分たち自身が、待ち望んでいる人間になるべきときだった。

 スペースⅩの本社に集まった面々は正式に手を結んで、「パーソナル・スペースフライト協会」という団体を結成していた。自分たちの動きに火をつけ、拡大させたいという期待のほか、業界団体を発足させることで、今の勢いを維持し、ワシントンDCや連邦航空局に自分たちの新しい産業が本物であることを示そうという狙いがあった。

 出席者の中にはマスクのようなシリコンバレーの人間も何人かいたことから、「パーソナルコンピュータ」をまねて「パーソナル」という言葉が選ばれた。コンピュータが企業向けの大型機から小さなデスクトップ機へと変貌を遂げたように、宇宙飛行もやがては個人向けになるというメッセージがそこには込められていた。

 そのような夢のような目標のほかに、差し迫った現実的な問題もあった。スペースシップワンの息詰まるスリリングなフライトは世界の注目を集めただけではなく、議会と連邦航空局の関心を引いた。その結果、やはり業界の一部の人間が心配したとおり、連邦政府はこの新しい産業に課すべき規制について、検討を始めていた。
(中略)

 ゲドマークのメモは次のように警告もした。「過度の負担を強いる規制が敷かれる危険は、引き続き重大なリスクとなるだろう。不透明で混乱した、場当たり的な規制が敷かれる危険にも、同様に注意が必要である。先行きの不確かさや混乱の気配が業界に漂えば、必要な財源がたちまち枯渇しかねない」
 さらに市場に改革を起こすことが容易ではないことを認め、「固定化した航空宇宙産業は寡占化が進んでいるだけではなく、国から莫大な補助金を受け取っている」と指摘した。
 また「インフォームドコンセント」の基準を設けるという計画についても記した。これはバンジージャンプやスカイダイビングなどのエクストリームスポーツと同じように、あらかじめ危険があるものとして個人向けの宇宙飛行を受け入れてもらうためだ。
 飛行機から飛び降りたいと思うような命知らずのかたのご参加をお待ちしている。ただし、死ぬ可能性が皆無ではないことは了承してもらいたい。どうかパラシュートのひもを引くことをお忘れなく、という具合にだ。

 最後に、業界は最悪のケースにも備えるべきだと、ゲドマークは注意を促した。
「残念ながら、個人向けの宇宙飛行産業は、死亡事故の発生を想定しておかなければならない」

 死亡事故は「万一」というより「いつ」の問題だった。それは不可避の現実であり、正面から向き合って、対策を講じておかなくてはならなかった。しかしだからといって、死の危険にひるんだり、防げられたりしてはいけない。リスクを冒さなければ前に進めない。そのことは大西洋横断から極点制服や西部開拓まで、あらゆる冒険同様、宇宙飛行にも当てはまった。
(中略)
 冒険に死の危険はつきものだと開き直るのは、あまりぞっとしない態度にも思えるかもしれない。しかしそれによって自由になれることも確かだ。ある種の楽観が得られ、ひいては死の向こうにある地平・犠牲に意味を与えてくれる地平が見えてくる。

 未知の世界に踏み入ろうとするときには、入念な準備と盲目的な希望の両方が必要だ。例えば、マゼランが南米大陸の南端の海峡を通って、初めて太平洋に出たときがそうだった。マゼランは目の前に広がる海がどこまで続いているのか、いつ陸にたどり着けるかを知らずに太平洋への航海に乗り出した。

 マイク・メルヴィルはスペースシップワンのフライトで二度、死にかけた。一度はナビゲーションシイステムが壊れた状態で飛び、一度は猛烈なスピンに見舞われた。しかし二度とも踏ん張って、やり抜き、栄光を獲得した。まさにシャクルトンが1世紀前に約束した「名誉と賞賛」を手に入れたのだ。


『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』2 :第2章「ギャンブル」
『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』1 :序章「着陸」





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Last updated  2022.11.30 00:17:51
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