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2022.12.07
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『スマート老人の逆襲』という本を、手にしたのです。
この本の表紙の副題が「還暦印刷屋の電子書籍&IT奮闘記」とあるが、興味深いのです。




中西秀彦著、印刷学会出版部、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
還暦世代が少年だった頃、パソコンが出現した。当時のパソコン少年たちは、中年を経てパソコン老年となった。活版、電算写植、デジタル印刷を経験した老舗印刷屋の経営者が情報化社会を語る。

<読む前の大使寸評>
この本の表紙の副題が「還暦印刷屋の電子書籍&IT奮闘記」とあるが、興味深いのです。


rakuten スマート老人の逆襲


本やネット情報の内容をコピペすることが語られているので、見てみたのです。
p102~104
<コピペのいたちごっこ>
 2014年の科学界を騒がせたSTAP細胞は幻だったようである。この事件は、色々と考えさせられることがあったわけだが、電子時代ならではの経緯をたどったともいえる。まず論文が電子版で発表され、その後直ちに実験の写真への疑惑などがSNS上で指摘されて、一気に科学界を揺るがす事態となった。

 その経過はとてつもなく速く、以前の紙ベースだったら、雑誌、疑惑の指摘などが、郵送ベースで行われていたはずで、少なくとも何ヶ月かはかかったと思う。電子媒体の普及は、このことだけでも、単に紙の情報を電子ネットワークに移し替えたという以上の変化をあらゆるところにもたらしたことがわかる。

 さらに、この疑惑に触発されるように、著者の博士論文剽窃疑惑もネットを通じて広まっていった。この剽窃の方だが、20ページもの剽窃があったと言われている。では、この剽窃は、はたして一字一字入力されたのだろうか。とてもそうは考えられない。おそらくコピー&ペースト(以下コピペ)が使われたはずだ。

 コピペは、もちろん剽窃に使われるばかりではない。研究者の論文の表面的生産性は、コピペによって画期的に上がった。論文には引用が欠かせない。過去の研究を下敷きにするためには、今までどんな研究がなされて、どのようなことが述べられたかを元の論文や著作から書き写さねばならないからだ。昔は、これを文字通り書き写していたし、ワープロ時代になっても、いちいち打ち込んでいた。当然、引用は引用のルールに従う必要がある。他書からの引用であることが明確にわかるようにし、出所も明らかにしなければならない。引用と断らずにコピペをすれば剽窃である。しかし、そこは紙一重の差しかない。

 コピペは引用の生産性を上げたが、同時に剽窃の生産性をも上げてしまったことになる。しかし、これは論文を審査する方にとってみれば厄介きわまりない。全世界では何十万もの論文雑誌があり、何百万もの論文が発表されている。専門分野は限られるとしても、審査する側も全世界で発表されたすべての論文を詠めるはずもないし、細かいところが変更してあれば、剽窃かどうかなど個人の記憶力だけで見破ることはまず不可能である。もちろん、科学の真実は研究者の良心が頼りなのだが、それだけでは心許ない。

 よくしたもので、何か発展があれば、またその対抗策が考え出されるのは世の常。実際これを聞いたときは感心するより、笑ってしまったのだが、「剽窃検知サイト」があるというのだ。ネットに載った全世界の全論文を検索して、投稿されてきた論文が、どこかの論文に似ているかどうかを評価して、剽窃の疑いがあれば知らせてくれるというサイトなのだ。まだ英文論文の世界に限られているが、こういうサイトが日本でも開設されるのは時間の問題のような気がする。


『スマート老人の逆襲』2 :電子書籍は記憶に残らない
『スマート老人の逆襲』1 :はじめに





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Last updated  2022.12.07 00:04:12
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