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2023.03.22
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『サイレントアース』という本を、待つこと5ヶ月半ほどでゲットしたのです。
表紙の副題が『昆虫たちの「沈黙の春」』とあるが、何やらえらいことになっているようです。



デイヴ・グールソン著、NHK出版、2022年刊

<「BOOK」データベース>より
レイチェル・カーソンが『沈黙の春』でDDTの危険性を訴えたことにより、その使用が禁止されて半世紀。その間、私たち人間は、より毒性の強い農薬を使用することでさらに地球環境を悪化させてきた。土壌は劣化し、河川は化学物質に汚染されている。その最初の犠牲となるのは小さな無脊椎動物ー昆虫だ。集約農業や森林伐採による生息域の減少や急激な気候変動も加わり、昆虫の存在は危機に瀕している。他の生物の栄養源、作物の受粉、枯葉や死骸・糞の分解、土壌の維持…。あらゆる生命を支えている昆虫がいま、「あなたの助けを必要としている」。昆虫をこよなく愛する著者が、地球の未来を守る具体的な行動指針を示す渾身の一冊!

<読む前の大使寸評>
表紙の副題が『昆虫たちの「沈黙の春」』とあるが、何やらえらいことになっているようです。

<図書館予約:(10/01予約、副本2、予約13)>

rakuten サイレントアース


「第4章」で、野生哺乳類減少の続き(こちらがメインだが)が語られているので、見てみましょう。
p69~72
「4章 データで見る昆虫減少」
 私たちは研究結果を論文にまとめ、最も権威のある学術誌「ネイチャー」と「サイエンス」で発表しようとしたが、両誌は論文を興味深いとは考えなかった。あれこれ議論しているうち、論文は最終的に「プロスワン」という学術誌に掲載された。

 さいわいこの研究は世界中で報道され、それ以来さまざまな議論を呼んできた。データが生物量(重量)だけであり、昆虫の種も数も記録されていないことから、このデータ群では不十分だとの見方もある。簡単に言うと、生物量の減少は数種の重い昆虫だけが減少したことを示している可能性がある、というのが批判派の考えだ。確かに大型の種が小型の種に置き換わったのだとしたら、実際の昆虫の個体数はいまも安定しているのかもしれないし、増えている可能性さえもある。

 また、63ヵ所の採集地のなかには1年しか標本が採集されていない地点もある一方で、調査期間中に複数回採集が行われている地点もある。資金が無尽蔵にあれば、すべての地点で27年間、毎年採集を行って完璧な研究にするだろう。イギリス政府の環境当局である環境・食料・農村地域省(DEFRA)の当時の主任科学者だったイアン・ボイドは、クレーフェルトの研究にいくらか懐疑的で、長期的な個体数データにもバイアスが潜む可能性があると指摘した。
(中略)
 クレーフェルトの研究結果が2017年後半に発表されたあと、ほかの地域でも同様に昆虫の生物量が減少しているのか、それともこれはドイツの自然保護区だけで起きている特異な現象なのかという議論が起きた。答えの一部が出たのは、ほぼ2年後の2019年10月 のことだ。ミュンヘン工科大学のセバスティアン・ザイボルトが率いるドイツの別の研究グループが、2008~2017年の10年間にドイツの森林と草原で昆虫の個体数を精査した研究成果を発表したのだ。

 調査対象は150ヵ所の草原と140ヵ所の森林で、草原は集約的に耕作された牧草地から花々が咲き誇る草地まで、森林は管理された針葉樹の植林地から古い広葉樹の森まで、多様な植生を含んでいる。草原では植生の中の昆虫を捕虫網で採集する方法が、森林では主に飛翔性昆虫を捕まえるアクリル製のトラップが使用された。

 クレーフェルトの研究とは異なり、ザイボルトの研究グループは研究機関を通して同じ地点で系統的にデータを集めているし、調査対象の地点には昆虫が豊富と思われる場所だけでなく、昆虫がほとんどいなさそうな地点も含まれているので、イアン・ボイドが提起した批判にも反論することができる。彼らは豊富な資金や人員を確保し、採集した100万匹を超える節足動物(クモやザトウムシなど昆虫以外も含む)を数え、およそ2700種を同定した。

 研究の結果、年間の減少率はクレーフェルトのデータで示された減少率よりも大きかった。わずか10年という短い調査期間を考えると、この研究結果は深刻だ。草原での減少率が最も大きく、平均で節足動物(昆虫、クモ、ワラジムシなど)の生物量の三分の二、種の数では三分の一、節足動物の全個体数の五分の四が失われた。森林における減少幅は、生物量で40%、種の数で三分の一強、節足動物の全個体数では17%だった。
 草原にいくらか除草剤が散布された例はあるものの、殺虫剤や殺菌剤がまかれた調査地点はなかった。しかし、全体的な減少幅が最も大きい傾向があったのは、周囲にある耕地の割合が相対的に高い地点だった。

 クレーフェルトの研究とザイボルトの研究グループによる新たなデータを合わせると、およそ350地点のデータが得られたことになる。これを考えれば、ドイツで昆虫の個体数が遅くとも1980年代以降に激減しているという解釈に合理的な疑いはないように思える。ザイボルトの論文に付随して掲載された論評で、英国リーズ大学のウィリアム・クーニン教授はこう書いている。「結論ははっきりしている。少なくともドイツでは現実に昆虫が減少している。それまで懸念されてきたとおりに深刻だというしかない」


『サイレントアース』1 :野生哺乳類減少





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Last updated  2023.03.22 00:06:25
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