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2023.06.27
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カテゴリ: 歴史
図書館で『室町は今日もハードボイルド』という本を、手にしたのです。
この本の副題が「日本中世のアナーキーな世界」となっているが・・・・面白そうなのでチョイスしたのです。




清水克行著、新潮社、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
僧侶は武士を呪い殺し、農民は合戦を繰り広げ、浮気された妻は相手の女を襲撃するー。あなたたち、本当にご先祖様ですか?数々の仰天エピソードから浮かび上がる中世の日本人像は実は凶暴でアナーキーだった!想像の斜め上を行く驚愕の日本史エッセイ。

<読む前の大使寸評>
この本の副題が「日本中世のアナーキーな世界」となっているが・・・・面白そうなのでチョイスしたのです。

rakuten 室町は今日もハードボイルド


「第1部 僧侶も農民も! 荒ぶる中世人」で中世人の実態が語られているので、見てみましょう。
p13~17
<第1話 悪口のはなし>
■戦国なぞなぞ
 のっけから、楽しい「なぞなぞ」を一つ。
 母は二度会うけど、父とは一度も会わないもの、な~んだ?
 これは戦国時代に書かれた『後奈良院院御撰何曾』という、なぞなぞ本に書かれている問題である。原文は「母には二たびあひたれども、父には一度もあはず」である。わかるかな?

 正解は、「くちびる」。なぜなら、「母」と発声するときは唇は二度触れ合うけど、「父」と発声するときは唇は一度も触れ合わせることがないから。どうです?

 ・・・え? 腑に落ちない? そう。自分で発声してみるとわかるが、残念ながら「ハハ」も「チチ」も、どちらも発声する際に唇は一度も触れ合わないのである。これでは、まったく「なぞなぞ」にならない。いったいどういうことなのだろうか。

 では、本当の答え合わせをしよう。じつは、戦国時代以前と以後では、「はは」という言葉の発声の仕方は異なっていたのである。現代では「はひふへほ」はそのまま「ハ(ha)・ヒ(hi)・フ(hu)・へ(he)・ホ(ho)」と読むが、戦国時代以前の日本語では「ファ(fa)・フィ(fi)・フ(fu)・フェ(fe)・フォ(fo)」と読んでいたらしいのである。だから、「母」は「はは」ではなく、当時は「ファファ」。そう読めば、「母」と発声しようとすれば、いやでも唇が二回触れ合うことになる。
 信じられない人は、あたりに他人がいないことを確認したうえで、自分で声を出してみてください。ね? ちゃんと口が閉じるでしょ?

 ちなみに、江戸後期の国学者、本居内遠(本居宣長家の三代目)も、このなぞなぞの意味がわからなかった。苦心して、母は「歯々」、父は「乳」の意で、「くちびるで自分の歯に上唇・下唇で合計二回触れることはできるけど、自分で自分の乳首を一回も吸うことはできないから」という、トンチンカンな解答を書き残している(「後奈良院院御撰何曾」)。残念!本居先生、ちょっと考えすぎ!

 ここからもわかるように、江戸後期になると、「はひふへほ」は現代と同じ「ハヒフヘホ」と発音するようになってしまっていたため、かの本居家の家督を継ぐ大国学者でも、このなぞなぞの意味が理解できなくなってしまっていたのである。
 以前、歴史ドラマの時代考証の仕事をやったとき、徹底的に史実に忠実なドラマを、という制作側の要望に応えて、この「ファ・フィ・フ・フェ・フォ」の発音の完全再現を真面目に提案したことがあるが、さすがにイヤな顔をされた。「本能寺(ふぉんのうじ)に火(ふぃ)の手が!」「なに、謀(ふぁか)られたか!」では、やはり緊迫感がなさ過ぎるか・・・。

 ドラマや映画などでは現代人の俳優がもっともらしく義経や信長を演じていて、鎌倉~戦国時代は、私たちにも身近に感じる時代である。しかし、言葉や発音の麺だけをとっても、江戸時代以降の日本人と、その前の日本人では、だいぶ異なっていた。
 現実に私たちが戦国時代の人々と出会ったら、同じ日本人とはいえ、そもそもリスニングにかなりの困難がともなうはずである。今日は、そんな現代とは異質な日本中世の「ことば」の問題、それから「母」をめぐる、ちょっとした謎について考えてみたい。

■謎の悪口「母開」
 少しまえからインターネットやSNS上のヘイト発言や罵詈雑言が目に余るようになった。自分はいったい何様のつもりだ、というような“上から目線”の発言の数々は、正直いって、かなり見苦しい。ただ、そこで展開されている悪態の数々は、冷静になって見てみると、「氏ね」とか「厨房」とか「マジキチ」とか、「左巻き」「ネトウヨ」「マスゴミ」とか・・・。
 どれもこれも、どこからか借りてきたような紋切り型の表現ばかりではないだろうか。いわれた側もさすがに唸ってしまうような絶妙な表現にネット上で出会うことは、ほとんどない。そもそも日本社会はあまり悪口や罵倒語のボキャブラリーが多くないとは、よくいわれるところである。

 1960年代後半に作家の筒井康隆が「悪口雑言罵詈讒謗私論」というエッセイを書いて、日本語の悪口語彙の列挙、分類を試みたことがある(『筒井康隆全集』第9巻所収)。それなどを読むと、さすがは筒井康隆、よくぞこれだけの悪口が思いつくものだ、と感嘆させられる。しかし、こちらもよくよく読み返してみると、半世紀以上前の作品だけあって、いまや死語となってしまったものも多数含まれている。「ラリ公」とか「フラッパー」とか「パン助」とか、現在の若者には、それが悪口であるかどうか識別するのも難しいだろう。

 また、そこにあげられた言葉の大半は動物名(いぬ)や植物名(もやし)など、それ単独で悪口と分類するには躊躇を覚えるものばかりだ。やはり、総じて日本語が少ないというのは、これを見ても当たっている気がする。





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Last updated  2023.06.27 00:27:58
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