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2023.09.23
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『そのうちなんとかなるだろう』という本を、手にしたのです。
神戸にも関係を持った内田先生が、これまでの半生記を語っているので・・・
読むしかないでぇ♪




内田樹著、マガジンハウス、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
やりたいことは諦めない。やりたくないことは我慢しない。たどり着く場所は、結局同じだから。直感に従って生きてきた思想家の悔いなき半生記。

<読む前の大使寸評>
神戸にも関係を持った内田先生が、これまでの半生記を語っているので・・・
読むしかないでぇ♪

rakuten そのうちなんとかなるだろう


翻訳会社でアルバイトする内田先生を、見てみましょう。
p99~103
<翻訳会社アーバン・トランスレーション>
■翻訳会社でアルバイト
 アルバイトは学生時代から実によくやりました。
 大学1年生のときには日本進学教室という小学生相手の中学受験予備校のスタッフに採用されました。
 日本進学教室は当日中学受験の最大手で、児童数3000人、学生スタッフ70人が作問、採点、進路指導などをして働いていました。

 働いている学生の半分くらいは活動家崩れでした。中核派、叛旗派、情況派、ML同盟、革マル派、第四インターと各セクトの諸君がいました。
 最初のうちこそ角突き合わせてつかみ合いの激論ということもありましたが、一緒に仕事をして、マージャンやったり、居酒屋で飲んだりしているうちに、たちまちみんなすっかり仲よくなってしまいました。
 学内ではなんであんなにいがみあっていたんでしょうね。

 大学3年までそこでバイトをして、3年生のときに翻訳会社の翻訳者兼デリバリーボーイというものになりました。
 呼んでくれたのは、パリで一緒だった竹信悦夫くんです。彼がその翻訳会社で働いていたのですが、3年生の秋に「内田、オレはしばらくパレスチナに長いわらじを履くから、オレがやっていた仕事を引き継いでくれよ」と、その穴埋めにお声がけいただき、深い考えもなく引き受けたのです。
 デリバリーボーイというのは、クライアントである勝者やメーカーから出る翻訳原稿を取りに行き、それを訳者のところに届け、それを回収して、タイピストのところに届け、タイプアップしたものをクライアントのところに届けるという仕事です。
 仕事が立て込むときはけっこう移動しますけれど、何もないときは一日何もない。クライアントがかたまっている丸の内や東京駅近くの喫茶店で終日読書して、それでおしまいということもありました。

 翻訳もずいぶんやらせてもらいました。これはちゃんと別料金でバイト代がいただけます。
 学生ですから、あまり難しいものや重要なものは回ってきませんけれど、なにしろ当時は総合商社が音頭取りをして、日本のメーカーがダムやら火力発電所やら鉄道やらをプラント輸出していた時代ですから、関連書類の翻訳が出るときはほとんど「キロ単位」で出ます。

 国際入札の前などは、短期間にダンボール何箱分のドキュメントを翻訳しなければならないというようなことが起きる。そうなるともう「猫の手も借りたい」ということになります。

 ですから、70年代の中ごろから、雨後のタケノコのごとく翻訳会社が生まれ、75年ごろ、東京だけで翻訳会社が600社ありました。
 僕が働いていた翻訳会社も、「これから翻訳の需要が増えるぞ」とビジネスマンから教えられた女性が立ち上げたものです。

 翻訳会社といっても訳者を雇い入れるわけではありません。
 訳者たちは全員がフリーランス。タイピストもフリーランス。翻訳会社といっても、実質は「受注して、ピックアップして、訳者・タイピストに仕事を放り込んで、回収して、納品」というデリバリー業でした。

■無職から二足のわらじ生活へ
 翻訳会社の仕事は大学を卒業してからも、しばらく続けました。
 仕事が増え続ける業界だったので、「猫の手」でいいからと社長に頼まれて、友だちを次々とリクルートして、会社にアルバイト要員として入社させました。 
 その中の一人が小学校時代からの友人の平川克美くんです。
 彼は早稲田大学の理工学部にいたのですが、学生運動の退潮気から大学に寄り付かなくなり、渋谷の「ライオン」に通って、ひがな一日詩集を読むという非生産的な生き方をしていたので、「来ない?」と誘ったら、すぐに来て、働くようになりました。
 僕は3人バイト学生を紹介した後にバイトを辞めましたが、僕が誘い入れた諸君はそのままそこに残り、それぞれ卒業した後には正社員に採用されました。

 僕が辞めて1年ほど経ったころに、その平川くんから声がかかりました。
「あそこを辞めて独立するから、一緒にやんない?」
 僕は院試の受験勉強をしているころで、この次も落ちたらそろそろ身の振り方を考えなければいけないと思っていました。

 でも、僕たちのような特技もないし、新卒でもない、「過激派学生」崩れを採用してくれるまともな会社なんかないだろうから、「自分たちで会社を創立する」というのは、コロンブスの卵的な発想に思えました。
 そこで平川くんと、前の翻訳会社にいた二人と4人で、渋谷の道玄坂に「アーバン・トランスレーション」という会社を立ち上げました。

 会社ができたのは1076年の暮れでした。
 会社を始めてしばらくして都立大の院試に合格したので、4月から会社と大学院の二足のわらじを履くことになりました。
 それまでぼんやり「無職」だったのが、いきなり忙しくなりました。

 村上春樹の『1973年のピンボール』という小説には、大学を出た後、友人と二人で渋谷で翻訳会社を経営することになった若者が出てきます。
 平川君はよく知り合いから、「この小説のモデルは平川さんたちでしょう?」と聞かれたそうです。


『そのうちなんとかなるだろう』2 :大検や大学受験
『そのうちなんとかなるだろう』1 :SFに没入





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Last updated  2023.09.23 00:02:37
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