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2024.01.25
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カテゴリ: 気になる本
図書館で「メルケル 世界一の宰相」という本を手にしたのです。
東独生まれで物理学を学び、35歳で政治家に転身、51歳で初の女性首相へ。ドイツをEU盟主へ導き、トランプ、プーチン、習近平ら独裁者たちとも渡り合った・・・と、表紙の裏に書いてありました。




カティ・マートン著、文藝春秋、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
世界で最も権力を持った女性宰相メルケル。その想いと人生を描き切った決定的評伝。

<読む前の大使寸評>
東独生まれで物理学を学び、35歳で政治家に転身、51歳で初の女性首相へ。ドイツをEU盟主へ導き、トランプ、プーチン、習近平ら独裁者たちとも渡り合った・・・と、表紙の裏に書いてありました。

rakuten メルケル 世界一の宰相


このところ、共和党予備選で圧倒的な支持率をとりつけるトランプであるが・・・
「第15章 トランプ登場」でメルケルのトランプ評価を、見てみましょう。
p319~321
<第15章 トランプ登場>
 トランプは歴史上の独裁者についてあまりよく知らないようだが、ドイツ人は彼らのことをよく知っている。とりわけメルケルと同世代のドイツ人はそうだ。ナポレオン一世やヒトラー、そしてスターリンが、フランスやドイツやソビエトを“偉大な国”にして自らの権威を高めようとした結果、欧州は荒れ果て、墓地は死体であふれた。

 戦争を体験した世代がいなくなったらどうなるのか・・・首相としての最後の数年間、メルケルはこうした懸念をひんぱんに口にするようになる。
「なんらかの優位を取り、そこをしっかり守るのがいい」。トランプの勝利が決まった後で、オバマはメルケルにそう助言した。聞くと行うとではまったく異なる助言であった。

 トランプのような人物を民主主義的な考え方に改宗させることができると思うほど、メルケルは世間知らずではない。だが、自分がそれなりの優位を守っている限り、自らの信じる価値観を人々に訴え、世界が地滑りのように無秩序になっていくのを全力で防ぐことができると思っていた。その時メルケルはまだ知らなかったのだ。
 ただ“守る”だけでも、尋常でない楽観主義とギリシャ神話のシジフォス並みの忍耐力が必要であることを・・・。

 共和党の大統領予備選挙の間、トランプは政敵を一人ずつやり玉に挙げては侮辱し、相手の名誉を傷つけてきた。だが、同盟を結んだ国家の集団をいじめるのは、権力を笠に着て個人攻撃するよりも難しい。西側同盟を一枚岩のままで守ることが、メルケルの最大の目標となった。彼女は世界中の市民に向け、自国中心ではなく世界全体のために行動するよう訴えることになる。

 人々に訴えかけて影響を与えようというのは、メルケルのように言葉の力に懐疑的で、その使い方も上手でない人物が自然にできることではない。だが、民主主義が支援を必要とした時、アンゲラ・メルケルは底力を発揮してそれをやってのけたのである。

<「プレイボーイ」とリアリティ番組で入念な“予習”>
 ドナルド・トランプとの初会議に備えるため、メルケルは1990年の「プレイボーイ」誌のインタビューを読んだ。はるか昔のものなのに、発言内容は今と変わらぬ罵詈雑言と“負け犬”への侮辱、そして自己賛美のオンパレード・・・長い時を経て今や世界中がよく知るようになるトランプそのものだった。

 当然ながら、メルケルの好む謙虚さはどこにも見られない。それでもインタビューは参考になった。彼の社会ダーウィニズム(適者生存)的な価値観の萌芽が読み取られたからだ。「私は他人を信用せず、敵をたたきのめす(ことが好きだ)」とトランプは誇らしげに語っていた。

 また、この古いインタビュー記事から、トランプがドイツに対して奇妙な敵意を抱いていることも読み取れた。当時はまだおふざけだった「
もしトランプ大統領が誕生したら、大統領執務室で最初にすることはなんでしょう?」という質問に答えて「この国になだれ込んでいるメルセデス・ベンツに一台残らず税金をかける」と述べている。
(中略)
 ヒトラーが大集会を活用した事実をよく知るメルケルにとって、最もショッキングだったのは、トランプがアメリカの中西部で行った選挙集会だ。とりわけ衝撃的だったのは、トランプが聴衆の怒りの矛先を民主党大統領候補ヒラリー・クリントンに向けさせ、攻撃的な口調で「彼女を投獄しろ! 彼女を投獄しろ! 」とみなが一斉に叫んだ場面である。

 ホワイトハウス入りすれば彼もかわりますよ・・・メルケルを安心させるため、ホイスゲンが言った。「彼は決して変わらない」とメルケルは答えた。「選挙で彼を選んだ人々のために、公約を実行するでしょう」。

 トランプ時代を生き抜くためには、「謙遜」よりはるかに強烈な資質をいくつも発揮する必要がある・・・メルケルはそのことをわかっていた。まず最初に、最大限の自己抑制を発揮しなければならない。というのも、トランプという人物が世間からの評価を熱烈に欲しがっており、それを得た他人には嫉妬心を燃やすことがわかっていたからだ。





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Last updated  2024.01.25 00:11:01
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