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2024.08.24
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『漢字とアジア』という文庫本を、手にしたのです。
漢字文明圏について触れた本ってか・・・面白そうではないか♪

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石川九楊著、 筑摩書房、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
東アジアにおいて、漢字は単なる記号ではなかった。文明圏をかたちづくる中核として、日本では平仮名を、朝鮮ではハングルを、越南ではチューノムを生み出し、歴史を大きく動かしてきた。渤海の独立、沖縄の結縄、アイヌ社会の形成にも影響をあたえた漢字は、私たちの精神に何をもたらしたのか?鬼才の書家が、漢字文化の研究をもとに、より広い文明的な視野から東アジア2000年の歴史を読み解く。

<読む前の大使寸評>
漢字文明圏について触れた本ってか・・・面白そうではないか♪

rakuten 漢字とアジア



まず「序章 漢字文明圏とは何か」で漢字文明圏の叡智を、見てみましょう。
p17~20
<言語と文字から歴史を読みなおす>
 アメリカ依存の政権ができてからというもの、下火になりましたが、ヨーロッパの「EU」に倣って2000年代初頭には「AU(アジア連合)」という言葉が生まれました。また1990年代以降の急速な中国の経済発展とともに「東アジア」なる言葉もよく耳にし、目につくようになりましたが、それでは、東アジアとは、どのように定義すればよいのでしょか。

 結論的にいえば、日本、中国、韓国・朝鮮、台湾、越南(ベトナム)が含まれる東アジアというのは、単なる地理的な概念ではありません。「漢字文明圏」というかたちで括ることのできる歴史的、地理的、文化的な共通性をもつ地域です。
 たとえば、イスラムは地理的にいえば西アジアということになりますが、それでは東アジアと西アジアと合わせてアジアという定義づけが可能かというと、私にはそうは思えません。
 東アジアというのは地理的な概念ではなく、「漢字文明圏」つまり「有文字・無宗教の歴史的、地理的、文化的地帯である」とわたしは定義したいと思います。とりあえず、「漢字文明圏」と表現しましたが、「一文字が一語である漢語文明圏」と言う方が正確です。
 西欧アルファベット、アラビア系文字、インド系文字とは異なり、漢字は一語が一字、つまり「言葉即文字(漢語=漢字)」という構造をもつ、<音>よりも<義>優先の言葉であり、それゆえ、変化しにくく、水圧も高い言葉です。
 東アジアの各国は、例外なく、この漢語・漢字を共通項としてもつことによって生まれ、括られ、再生産されている地方であり、また、この漢字に対する戦略の違いによって、中国、日本、朝鮮・韓国、越南などの国が生まれています。ちなみに漢語依存率は、中国では九割以上、越南は七割、日本や朝鮮・韓国でも五割以上を占めます。

 アジア的段階の前にアフリカ的段階という概念を持ち込んだのは詩人にして思想家・吉本隆明さんですが、私の解釈ではアフリカ的段階とは無文字段階を意味します。東アジアは文字を持っており、かつ、宗教を持つヨーロッパなどとは違い無宗教です。有文字・無宗教の歴史的、地理的、文化的地帯、また歴史段階を東アジアと規定できると思います。

 ただしこのときに、日本には仏教や神道があるではないか、朝鮮にも儒教やキリスト教、また道教もあるではないか、と考える人も多いと思います。しかしこれらは今私がここで使う宗教という範疇には入りません。それらは無宗教のなかでの政治思想や学問であったり、週刊であったり、世界観であったりというレベルのもので、宗教ではありません。宗教といったところで、いずれも、これらは近代以降、西欧キリスト教をモデルに再構成されたそれにほかなりません。

 2001年の9.11事件を経て、これから世界の人類がどういう方向に向かうのかを考えるときに、吉本さんが規定するようなアフリカ的段階、ヘーゲルやマルクスがいうところのアジア的段階を経て、そのあとつづいて古代、中世、近世、近代、現代と区分される時代があるという西欧型の歴史観は、民主制的近代化を促すという意味で、有効な歴史観として機能したことは事実です。しかし、同時にまたその限界も見えてきたように思われます。

 たとえば、少々強い言い方をすれば、東アジアにおいては、紀元前三世紀、秦の始皇帝時代に、基本的には宗教段階を終えていますから、西欧やイスラムが二次的に衣替えしたとはいえ、いまだ宗教的な観念の宇宙を払拭しきれていないことは、西欧は秦の始皇帝時代以前の歴史段階にとどまっているという言い方さえできないわけではありません。また、中央集権の郡県制と地方分権の封建制のあやとしての政治制度や中華・華夷性の国際外交制度をもつ先進地方でありつづけました。孔子をはじめ諸子百家の脱宗教=政治化んための言説や為政者のための倫理、道徳が、現代日本の経営者にも役立つのはそれゆえです。

 言葉から離れられない人間の歴史を、言葉のスタイル、とりわけ、文(書き言葉)と言(話し言葉)の関係、つまりは言語に対する文字の関係から分類して世界史を考えなおすのが本書の狙いです。

 その新しい歴史観では、言葉即文字の、文(書き言葉)中心の構造をもつ東アジアの漢字文明圏がまずひとつあります。次いで第二に、発音記号のごとき文字しかもたない、言(話し言葉)中心の構造をもつ欧米・西アジア・南アジア・北アフリカの宗教文明圏があります。これは子音と母音をもつアルファベット文明圏と、子音優位のイスラム文明圏と、母音優位のインド文明圏の三つの文明圏に分けられます。さらに、もうひとつ第三のアフリカ的な無文字文化圏を想定し、大きくはこの三極の歴史の総合として考えていくというものです。

 むろん、東アジア漢字文明圏が西欧やイスラムなど他の文明圏と対立するというわけではありません。かつて、「東洋的叡智」という言い方がありましたが、はじめにお話ししたように東アジアは宗教をすでに脱した歴史段階にあり、西欧よりも先の思考をすでに持っています。その東アジア的叡智が生きて活躍できる場もまた21世紀に確実にあると思われます。





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Last updated  2024.08.24 00:02:18
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