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2025.01.23
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『「中国」という神話』という新書を、手にしたのです。
著者はモンゴル・オルドス高原生まれで、当然として中国人=漢民族嫌いなところが、この本を借りる決め手になった次第です。

著者は静岡大学の教授で、司馬遼太郎賞受賞の著作もあるようで、この本は単なる嫌中本ではないようです。

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【「中国」という神話】

楊海英著、 文藝春秋、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
「中華民族の偉大なる復興」を唱える習近平。しかし、その世界戦略「一帯一路」のターゲット、内陸アジアこそ中国最大のアキレス腱だ。歴史の改変、暴力による弾圧、洗脳教育、結婚外交ー「中国は巨大な一つの国家であり、その支配は正当だ」という神話づくりの数々を鋭く暴く。

<読む前の大使寸評>
著者はモンゴル・オルドス高原生まれで、当然として中国人=漢民族嫌いなところが、この本を借りる決め手になった次第です。

rakuten 「中国」という神話


冒頭の「はじめに」がP3~19と長いのだが、その中で内陸アジアから見た「中国」を見てみましょう。
<2 本書の視点:内陸アジアから見た「中国」という神話> P8~12

 このように内陸アジアから中国を眺めると、中国人自身が信じこんでいる中華世界と内陸アジアの東部をまとめた、巨大にして、豊かな「強国」としての中国が、実体としては存在しなかったことが見えてくる。端的にいえば、最大の版図を誇った元はモンゴル帝国の一部であり、チベット、ウイグルなどを包摂した清は満州人の帝国だった。
 では、この「『中国』という神話」がいかにして作り上げられてきたか。

■第一の手法「結婚」による民族戦略
 第一章は中国の「結婚」戦略に着目する。
 ユーラシアの遊牧民たちは名誉を何よりも重んじる。その名誉は財産よりも、世界中に大勢の友人がいることと、駿馬に跨ることと、女性にもてることで成り立つ。「世界中の友人」には、中華からの女性も含まれる。
 中国の諸王朝は、遊牧民たちに軍事的に圧倒されるとしばしば、女性を妻として「献上」した。一夫多妻制を取る遊牧民の指導者は、中華の女性を一人、天幕式の宮殿に迎い入れることには抵抗はなかった。

 しかし、中国側にとっては、女性によって平和を買うことは、屈服であり、屈辱だった。そして、それを転倒した論理で自己正当化をはかったばかりか、逆に、遊牧民に対する優越を主張する論理としたのである。

 それは「中華の女性を妻とした以上は、うちの婿だ。うちの婿だということは、その政権も中華の地方政権だ。地方政権下の領土も当然、我が国の固有の領土にして、核心的な利益だ」という中国独自の「家族原理」である。古くは紀元前の匈奴の建国の英雄、冒頓単于(在位前209~前174年)から始まり、吐蕃のソンツェンガンプ王(在位593~650年)、唐代のウイグルのハーンたちに至るまで、すべては「中華の婿殿」とされる。

 実はこの「家族原理」は、現在の中国の「民族政策」でも活用されている。今でも中国は、少数民族を「家族」だとするが、そこで注意しなければならないのは、つねに「兄貴分」は中国人=漢民族であり、少数民族は「弟」や「婿」の地位に置かれることだ。中国は五六の民族からなる「五六の兄弟」だとするが、そこには歴然とした序列がある。
 共産党大会や各種の政治的な行事においては、「チベット→モンゴル→ウイグル→回族→チワン族・・・」という風に、序列が決められている。

 この「兄弟」と「婿」として結ばれた疑似「家族原理」が、中国の現代の民族政策の屋台骨を成している。第一章においては、中華の女性が内陸アジアの遊牧民に嫁いだ話を、現代の共産党政府がどのように政治利用しているかについて詳しく論じる。

■第二の手法 絵本による洗脳
 つづく第二章は、教育による神話づくりを取り上げたい。具体的にはB級ビジュアル・アートである「小児書」(連環画)という一種の絵本である。これはイラストと短い本文で構成されていて、中国の歴史などを題材にしているが、そこにはさまざまな操作が加えられている「政治的メディア」でもある。
 つまり、「小児書」によって、子供たちの歴史観を砲口づけるという一種の洗脳装置なのだ。ここで取り上げる新疆ウイグルを扱った歴史シリーズは全60巻に及び、かなりマニアックなエピソードも描かれているし、内容的には非常に高度なものも含まれている。もちろん、そのエピソードの選択には政治的な目的があり、そこから中国の内陸アジア観がうかがえるのである。

 不思議なことに、中華は古代から現代に至るまで西と東に対してだけ固有名詞ではなく、「西域」や「東北」といった方位名詞で呼称しつづけてきた。それは、当該地域が決して中華の固有の領土ではない事実を物語っている。

 農耕民の中国人が獲得できなかった西域を占領したのは、遊牧・狩猟民の満州人の清朝であった。満州人は中国人と異なり、文化的にも経済的にもユーラシアの一員だったから、西域のオアシスと草原に進出できた。その満州人も謙虚に、西域を「新しい疆域」と認識していたことから、「新疆」が誕生した。19世紀末の話である。

 しかし、現代中国は満州人の功績を奪うだけでは満足せず、さらに遡って、神話時代の「西王母の時代から我が国の領土だった」と主張している。そして「愛国主義教育」の一環として、「偉大な先人たちによって開拓された西域が古くから中華の一部だった」といったストーリーを、絵本にして、子どもたちに与え続けているのである。





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Last updated  2025.01.23 15:52:20
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