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歩世亜さんComments
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【苦節十年記/旅籠の思い出】
つげ義春著、筑摩書房、
2009
年刊
<「
BOOK
」データベース>より
つげ義春が、エッセイとイラストで描く、もう一つの世界。旅籠、街道、湯治場の風景や旅先で出会った人。貧乏旅行の顛末を綴った文章、自らの少年時代などを記した自伝的エッセイなどをセレクトした。つげ的世界の極致ともいうべき「夢日記」は、絵と文章のコラボレーション。さらにカラーイラストも付いた、ファン必携の
1
冊。
<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、旅籠の写真やら、各地の鄙びた温泉のイラストやら、苦労ばなしのエッセイやら・・・サービス満点のつくりになっています。
amazon
苦節十年記/旅籠の思い出
「夢日記」の一部を、見てみましょう。
p343
~
345
<夢日記>
昭和
50
年
4
月
28
日
毎日遊びに来ている近所の猫の手足が
4
本千切れている。何かに圧しつぶされたようで、水かきのように平べったくなっている。しばらく姿をみせなかったので、死んだものと思っていたがひょっこり現れた。餌を持つのに不自由そうで、抱きこむようにしている。
(これは夢にちがいないとうつつに思い、あとでメモをするために)忘れない呪文を唱える。マゲモノマゲモノ(チョンマゲのことか?)とくり返しつぶやく。
■
昭和
50
年
5
月
7
日
工場の仕事をさぼってアルバイトに出かける。兄(ともう二人誰か)を案内(どこへ?)する。
土手の道を行くと、土手下に広がる砂漠に市場がある。(どんな理由か)自分は兄たちと意見が合わなくなり、そこで別れ、土手の急斜面を蟻地獄に落ちこむように下りて市場にいく。
市場は終戦後の闇市のようにごった返し、そこここで乞食のように貧しい人々が物を食べている。自分も空腹を覚える。
市場を通りぬけたところの角の和菓子屋を覗きメニューをながめる。和菓子屋なのに定食屋のようなメニューなので、あさり汁の定食を注文すると、砂ぬきするのに
6
日かかると云われる。別の料理のしかたならすぐ出来るらしいが、それは好みでないので店を出る。
工場へ戻る途次、紙問屋の前で(ふところに札束を持っているので)紙の買占めを考える。いつかのような紙不足時代がまた予想されるので、ひと儲けをたくらむ。
工場に戻ると、さぼっている
4
、
5
人の仲間が手を振って迎えてくれる。首尾はどうだったと聞かれる。(が、何のことか?)。先ほど別れた兄たちと何か計画があったのか?自分は意見が合わず別れたことも忘れかけている。
皆と芝生に車座になっていると、土の中から鼠ほどの小さな狸が現れて、穴からチョロチョロ顔を出し、うるさく気が散るので手を振って追いはらう。狸はアルマジロに化け、玉虫のように丸くなり、土中の穴をころげて逃げる。
ウーム アートというか、ヘタウマなショートショートというか・・・
とにかく、苦節十年だったようですね。
この本も
つげ義春ワールド
R7
に収めておきます。
『苦節十年記/旅籠の思い出』
3
:手塚治虫氏宅訪問など
『苦節十年記/旅籠の思い出』
2
:東北の温泉めぐり
『苦節十年記/旅籠の思い出』
1
:白土三平や長井社長、水木しげるたちとの交流
■ 2018.08.23
『溶ける街透ける路』(復刻2) 2026.05.02
『つげ義春女性を語る』(復刻) 2026.04.27
『「香辛料貿易」をめぐる戦い』(復刻2) 2026.04.06