まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2018.12.17
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獣になれない私たち。

最終回を見たあと、
ずっと気になっていた呉羽のセリフがあります。

私が手術した時、カイジが言ってくれたんだよね

  芋虫がチョウになる時、サナギの中で劇的に変化する
  それは小っちゃな芋虫自身の力で変化しただけ
  くれちんは新しい くれちんになっただけ
それを聞いて、カイジにプロポーズしたの


じつは荘厳な鐘が鳴ったのも、
恋に落ちたときではなく、カイジにこう言われたときでした。

呉羽が子宮を摘出したとき、
橘カイジは「今日から君はあたらしく生まれ変わったんだよ」
といって彼女を迎え入れたのですね。

時系列はよく分からないけれど、

カイジのこの言葉がきっかけだったのかもしれない。

そして、この「メタモルフォーゼ」こそが、
一貫してドラマを通底していたテーマだったといえます。

とくに前半部分で、
晶と恒星は「Metamorphoses」と記された看板をたびたび目にし、
そのなかで無意識の変容を遂げていきました。

晶が、戦闘的なブーツをはいて出社したことが発端です。

その後も、
呉羽が、京谷を寝取ったり、恒星を捨てたり、
橘カイジに引き合わせたりするなかで、
晶と恒星は、


そして、ついには晶も恒星も、
自分自身の力でメタモルフォーゼを遂げるにいたりました。



カイジが呉羽に語ったのは、
喪失や敗北でさえ、新たな扉(new world)を開く潜在力の現れなのだ
ということです。


自身の経験にもとづく人生哲学でもあったのでしょう。

わたしが思うに、
このドラマは「獣になるまで」のドラマではなく、
獣になれない人たちが「どう生きるか」を問うたドラマです。

その答えは、
一見すると喪失や敗北にも見えるような「メタモルフォーゼ」でした。
きっと、そのことを橘カイジが肯定したところから、
ドラマの潜在的な時間が始まっていたのだろうなと思います。

敗北がやむを得ないものだとしても、
その敗北によってこそ自分自身を取り戻すことができる。
その希望をささやかに垣間見せた作品でした。






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最終更新日  2018.12.17 09:20:06


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