まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2020.03.29
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カテゴリ: スカーレット!
「スカーレット」終了。


最終回、すごかったです。
ちょっとした衝撃です。

「ナレ死」は予想してましたが、
あわせて骨髄バンクの設立のことが語られて、
おだやかに幕を下ろすのだろうと思ってました。

だって、
ちや子は政治家なのだし、
大崎や圭介は医者なのだし、

白血病患者の会もあったのだし、
役人の信作もいるし、
実業家の照子の夫もいるし、
国際事情に通じている草間もいるし、
芸能人の信楽太郎もいるし、
影響力の大きいジョージ富士川もいるのだから、

骨髄バンク設立運動の下地はじゅうぶん整っていたわけです。

しかし、
何もないのですね…。
徹底して、何もない最終回なのでした。
何もない、ってところがスゴイ。

よくあるテレビドラマの大団円らしきものはない。

ただ、ひたすら、
ひとりの女性のむき出しの人生があっただけ…。
そういうド直球をぶつけてきた最終回でした。
これは 「純情きらり」の最終話

冬野ユミの音楽だけが静かに心に残りました。



考えてみれば、
骨髄バンクの設立にいたるまでの物語だって、
そう簡単に語りつくせるような話ではないのだろうし、

それ以前に、
このドラマは「史実に沿う」とは一言も予告してないのだから、
不倫を描く義務もないし、骨髄バンクを描く義務もない。
それは、史実を知ってる視聴者が勝手に期待した話にすぎません。

そうした史実よりも、
このドラマにとっては、他に描くべきテーマがあったわけですね。



モデルとされる神山清子さんは、
たしかに陶芸家として成功し、骨髄バンク設立を実現させた人です。
しかし、このドラマは、
主人公の人生を、分かりやすい「成功譚」にはしませんでした。

あくまでも、
ひとりの女性が、さまざまな困難を強いられながら、
ひたすら信楽で土をこねて焼きつづけた、という話なのですね。
そこには、ハッピーエンドもないし、バッドエンドもない。
それは成功の物語でもないし、失敗の物語でもないのです…。

まるで、
むき出しのリアルな人生のなかに放り投げられるような、
そんな制作者の意思を感じさせる最終回でした。







ドラマが終わったタイミングで、
水橋文美江のインタビューが文春オンラインに掲載されました。
これも非常に興味深かったです。
ドラマには反映しきれなかった脚本家の真意が見えてきます。

たとえば、
三津のキャラクターは、
現代的で小悪魔的な女性のようにも見えたけど、
脚本家が実際に意図していたのは、
ごく真面目で純粋な気持ちをもつ若い女性だったようです。

それから、
八郎のキャラクターは、
現代的な寛容さをもった優男のように見えたけど、
脚本家自身が意図していたのは、
妻に妬みも抱くような、やや男権主義的な人だったらしい。

離婚後の夫婦の再会は、
わだかまりのある、ぎこちないものに見えたけど、
脚本家自身が意図していたのは、
もっとあっさりしたドライな再会だったらしい。



テレビドラマというのは、
さまざまな妥協の産物でもあるし、
演出家や俳優の解釈によって方向性も変わったりするし、
かならずしも「脚本家の作家性」に還元できない面はある。

それはそれとして仕方ないことですが、

このインタビューを読むと、
この作品の本来の意図が、より鮮明に見えてくる気がします。






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最終更新日  2020.09.26 21:56:39


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