まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2022.07.24
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第15週は「ウークイの夜」。

はじめて食べもの以外のサブタイトルがついて、
さまざまな謎がいっきに解き明かされる内容でした。



今回の朝ドラは、
《本土からやってきた運命の人と結ばれる》という、
20年前の「ちゅらさん」の物語を反復してもいるけど、
その半面で「ちゅらさん」の反復を拒んでいる面もある。

それは、主人公の恋愛が、

沖縄の歴史の物語に運命づけられている…ということ。

そのことが第15週であきらかになりました。

こうした要素は「ちゅらさん」には欠けていました。



同時に、今回の「ちむどんどん」は、
「ちゅらさん」みたいな《美しい恋愛》にはこだわっておらず、
むしろ露悪的に《みっともない恋愛》を描いているように見えます。

登場する若者たちは、
かなり《みっともないキャラ》として設定されています。

とくに先週の相撲大会のエピソードなどは、
そんな若者らしい《みっともなさ》が全開していて、
欲望やら、嫉妬やら、裏切りやら、横取りやら、

かなり滑稽なタッチで描かれていました。

まあ、
「若者の恋愛なんてそんなもんだよねw」とも思うし、
「一昔前の若者のドラマってこんな感じだったよねw」とも思うけど、
あえて《美しさ》に反するようなキャラ設定をしたうえで、

(そのことがSNSでははげしい不興も買っていますが)



最近のドラマでは、
《美しい男女》の《美しい恋愛》を描くことが当たり前になって、
こういう若気の至り的な《みっともなさ》を受け入れる土壌は、
すっかり無くなってしまっているかもしれません。

共感しやすいキャラでなければ、ただちにバッシングを受けてしまう。

かりに三枚目の役者が演じるのなら、
視聴者もまあ笑って見過ごせるのだろうけど、
なまじっか美形の俳優たちが演じてるものだから、
この《みっともなさ》をどんな気持ちで受け止めればいいのか、
ちょっと戸惑ってしまうってのもある。

しかし、
現実の世の中で結ばれる男女は、
皆が皆《美しい男女》ではないし、
皆が皆《美しい恋愛》をしているわけでもないし、
むしろ《醜くてみっともない恋愛》で結ばれる人々のほうが多いかもしれません。

美しい男女が、
美しい恋愛で結ばれることしか許されないのなら、
世の中の恋愛はとても窮屈になってしまうし、
現実の恋愛なんて、ほとんど不可能になってしまう。

その点、今回の「ちむどんどん」の場合は、
民族の記憶を繋ぎ、命を繋ぎ、血を繋いでいく、
…という物語なので、
人間性の善し悪しは二の次になっているのかもしれません。



個々のキャラで見ると、

たとえば、
良子の結婚相手としては、
博夫より金吾のほうが魅力的だったともいえるし、

和彦の結婚相手としては、
暢子よりも愛のほうが魅力的で感情移入しやすかったし、

暢子の結婚相手としても、
和彦より智のほうがひたむきだったと言えるかもしれない。

しかし、このドラマのなかでは、
そういう個々の人間性が恋愛の可否を左右するのではありません。

とくに暢子と和彦の場合は、
視聴者の共感を得られにくいキャラではあるものの、
そんなキャラの魅力とは無関係な運命で惹かれ合っていて、

愛も、そのことを察知してみずから去ってしまいました。



暢子と和彦の運命は、
「ちゅらさん」のように個人的なものではなく、
歴史的な悲劇を共有した者どうしの運命でしたし、
それは本人ですら自覚していなかった歴史でした。




愛は、
たしかに個人としては魅力的で罪のないキャラクターだったけれど、
沖縄の民族的な歴史に立ち入れる立場にはなかったし、
智も、
沖縄の人間ではあるものの、そうした悲劇の歴史は共有していない。

あくまでも、このドラマは、
悲劇的な民族の歴史を受け継いだ男女が、
運命的に命を繋いでいくストーリーになってるので、
一般的な恋愛ドラマの法則からすると、とても不可解に見えます。



今回の朝ドラは、
とりたてて傑作とも言えませんが、
世間でいわれているほど失敗しているわけでもないと感じます。

みっともない若者のみっともない恋愛を描いた朝ドラとして、
ある意味では新境地といえなくもないし、
実際、個々の人間性の是非より大事なものがあるかもしれない。

こんなふうに、
通常の恋愛とはちがう論理で作られるドラマがあってもいいし、
視聴者からの賛否があるのは当然としても、
こういう恋愛ドラマの作り方があってもいいのかなと思う。





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最終更新日  2022.11.08 12:59:52


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