まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.05.01
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カテゴリ: 東宝シンデレラ
英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)の舞台版「となりのトトロ/My Neighbour Totoro」が、WhatsOnStage Awardsにて5冠、ローレンス・オリビエ賞にて6冠を獲得しました。



この舞台の発案者は、エグゼクティブ・プロデューサーの久石譲とも言われていますし、はたまた劇作家のトム・モートン・スミスとも言われていますが、詳細はよく分かりません。

作曲家の久石譲が舞台化を提案し、宮﨑駿監督がこれを快諾したことで始まったプロジェクト。舞台は、以前から「となりのトトロ」の舞台化を熱望していたRSCが制作。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000096921.html
将来のプロジェクトについて話している中で、RSCがモートン=スミスに何か別の、今度は家族向けの舞台のアイデアはないかと尋ねたところ、彼は「となりのトトロ」をやりたいと即答したという。映画作品の舞台化に慎重だったジブリとの調整は難しいという懸念もあったようだが、やがてRSCは、長年ジブリ作品の作曲を手がける久石譲と連絡を取り合うことになる。久石は、RSCで上演されたロアルド・ダール原作の「マチルダは小さな大天才」の舞台版を気に入っており、「となりのトトロ」の舞台版を作ってもらえないか、と考えていたという。
https://www.timeout.jp/tokyo/ja/news/tom-morton-smith-talks-about-my-neighbour-totoro-010623

久石譲は、コンサートホールの芸術監督の経験はあるものの、演劇作品のプロデュースの経験はないし、そもそも演劇人ではありませんよね。そんな久石が、英国で演劇(オペラでもミュージカルでもないストレートプレイ)の企画を発案し、なおかつ製作総指揮まで行なうというのは不思議です。


むしろ、 この企画を考えたのはジョン・ケアードと今井麻緒子 ではないでしょうか。

周知のとおり、日本版の舞台「千と千尋の神隠し」を企画したのは、この夫婦です。けっしてジブリの鈴木敏夫や宮崎駿の発案ではありませんし、もちろん久石譲の発案でもありません。
舞台「千と千尋」の制作発表のときに、今井麻緒子とジョン・ケアードは次のように話しています。

今井麻緒子:


ジョン・ケアード:
初めて観た時から、舞台的な、演劇的な作品だと思っていました。これは絶対に舞台になると。鈴木さんと宮﨑さんにお会いした時、絶対に(舞台化を)いいとは言ってくれないだろうなと思っていましたが、何分かお話したら、宮﨑さんが「いいよ」と。上演の許可をいただいて感謝しております。準備のために宮﨑さんの作品を全部観ました。『となりのトトロ』も『風の谷のナウシカ』も観ました。
もうひとつ大事なのは、久石譲さん。彼も快く音楽を使っていいとおっしゃってくださいました。
https://ticket-cd.jp/interview/spirited_away/

ジョン・ケアード自身が英国版「トトロ」を作ることもできたはずですが、彼の古巣であるRSC(ケアードは現在も名誉アソシエート・ディレクターに就いている)にも、若くて優秀な劇作家トム・モートン・スミスがいます。ジョンと今井は、彼に舞台化を託して、あとは日本側とのコーディネートをすればよかったのだと思う。

久石譲をエグゼクティブ・プロデューサーに立てたのは、彼の海外での知名度に期待してのことではないでしょうか。宮崎駿は演劇に関心が薄いし、鈴木敏夫は海外で知名度が高いわけではありません。しかし、久石譲なら、ジブリや北野武の映画のほとんどで音楽を担当していて、海外での知名度が非常に高い。コンサートも欧米の各都市でおこなっています。

(出身はカナダ) の演出家であるジョン・ケアードが「千と千尋」を作り、英国では日本人の音楽監督である久石譲が「トトロ」を作った。2つのプロジェクトが無関係であるとは思えません。このような交差的な企画が同時期におこなわれたのは、おそらく国際的な相乗効果を狙ってのことでしょう。
日本で「千尋」を見た観客は、英国版の「トトロ」が見たくなるだろうし、英国で「トトロ」を見た観客は、日本版の「千尋」が見たくなるはずです。すなわち、日本版の「千尋」が英国版「トトロ」の世界進出の足掛かりになり、英国版の「トトロ」が日本版「千尋」の世界進出の足掛かりになる、ということ。

問題は、日本語と英語の「言語の壁」をどう乗り越えるかです。




おそらく、先にアメリカに上陸するのは、日本版の「千尋」ではなく、英国版の「トトロ」になるはずです。英国版「トトロ」が主要な賞を総ナメにしたニュースは、すでに米国側にも伝わってるでしょうし、そもそも英国の作品が米国に進出するのは珍しいことではありません。それに対して、日本語のような非英語圏の作品が米国で受け入れられるのは難しい。

とはいえ、米国でも、英国版の「トトロ」を見た観客は、やはり日本版の「千尋」が見たくなるはずです。その際に、言語の壁をどう乗り越えるのか。
さまざまな可能性が考えられます。すでに米国の映画館では、日本版の「千と千尋」のライブ映像が字幕付きで上映されました。映像はもちろん、舞台字幕での上演もけっして不可能なことではありません。かりに日本語での上演が困難ならば、現地キャストで英語などの台本に作り替えることになるでしょう。

おそらく、すでに何らかの構想やプランがあるのだろうと思います。


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最終更新日  2024.06.18 11:39:05


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