まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.09.25
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秋風の駅や立ち食い鴨南蛮 CMのオファー来老舗の新蕎麦を 望月や蕎麦と肴の箸休め 台本見ながら4人で新蕎麦 七味の蓋差し直し初蕎麦待つ 麦猪口の藍に濃淡水の秋 梁太き山家色濃き走り蕎麦


お題は「お蕎麦屋さん」。

最下位が65点ってことで、
先生の評価はかなり高めでしたが…

わたしの評価は全体的に低めですw




ゆうちゃみ。
秋風の駅や 立ち食い鴨南蛮


これが1位。

句材は平凡ですけどね。


冬の季語「鴨」と重なってますが、
そこは不問にしたようです。

追記:
渡り鳥の季語って難しいのよね。
「鴨」「鴨鍋」が冬の季語。
「引鴨」「残る鴨」が春の季語。
「夏鴨」「鴨の子」が夏の季語。
「初鴨」「鴨渡る」が秋の季語。
去年のNHK俳句では、
「燕」「燕の巣」が春の季語。
「親燕」「燕の子」が夏の季語。
「帰燕」が秋の季語。
…との解説もありました。

https://www.kohaneko.tokyo/2019/10/212.html



フルポン村上。
蕎麦猪口 そばちょこ の藍に濃淡 水の秋


中七の「濃淡」が説明くさいです。

濃い部分と淡い部分を見たあとに、
はじめて「濃淡」と判断できるのだから、
それは描写というよりも、把握された概念だというべき。

むしろ、
濃い部分と淡い部分を見るときの視線の動きを、
そのまま進行形で描写するならば、
蕎麦猪口の藍濃し淡し 水の秋





梅沢富美男。
はり 太き山家 やまが 色濃き走り蕎麦


梅沢には珍しい対句です。

しかし、
「山家の梁が太い」だの、

いたって凡庸な発見というべき。

それでもなお、
あえてその詩情を言いたいのなら、
述語を後ろにもってきて、
山家の梁太し 走り蕎麦黒し

と書くのが妥当でしょうね。

…ただ、この蕎麦の色合いは
田舎蕎麦の「黒さ」ともいえるし、
走り蕎麦の「青さ」ともいえるので、
それを考えると「色濃し」と描写するしかないのかな。



浅野ゆう子。
CMのオファー来 老舗の新蕎麦を
CМのオファー 新蕎麦かぐわしき
(添削後)

前段と後段の取り合わせの是非。
「新・新」の取り合わせなのか。
「新・旧」の対比なのか。
そこがボヤけているので焦点が定まらない。

新しさに別の新しさを取り合わせるなら、
先生の添削のようにすべきだし、

新しさに古さを対比させるなら、
CMのオファー 老舗の秋の蕎麦

のようになるかと思います。

なお、
中八にしてまで「来」を入れる必要はないですね。



酒井美紀。
望月や 蕎麦と肴の箸休め
新蕎麦や 出でくる月が箸休め
(添削後)

原句の前段と後段は、
主語と述語の関係 (=望月が箸休めになる) とも、
目的語と述語の関係 (=望月を箸休めにする) とも、
補語と述語の関係 (=望月に箸を休める) ともいえますが、
いずれにせよ切れを入れず一句一章にまとめるべき。

わたしなら前段を補語にして、
望月に肴と蕎麦の箸をとめ

のようにします。それがいちばん整うと思う。

かりに「肴」を省くなら、
望月の出で蕎麦の箸休めたり

のようにも出来ます。

それはそうと、
添削はあえて「月」と季重なりにしたのかしら?



皆藤愛子。
七味の蓋差し直し初蕎麦待つ
新蕎麦待つ 七味の蓋を差し直し
(添削後)

中七の「蓋を差す」ってのは耳慣れない言い方。

本体より蓋のほうが大きいなら、
「蓋を被せる」「蓋を嵌める」「蓋をする」と言うだろうし、
逆だとしても「蓋を閉める/締める」と言うはずです。

ためしに、
初蕎麦を待つ間 七味の蓋を締む

としてみました。


追記:
考えてみたら七味入れって5種類くらいはあって、大きく「栓」タイプと「蓋」タイプがありますね。問題は、動詞「差す」の是非じゃなくて名詞「蓋」の是非だなと思いました。ネットを見ると、木栓のことを「蓋」と呼ぶ例もなくはないけど、やはり「栓」と呼ぶのが一般的です。


上の瓢箪型と樽型が「栓」のタイプ。



清水アナ(Twitter)。
満月や 蕎麦屋が父の秘密基地


下五の「秘密基地」という比喩の是非。

比喩の使用を認めるとしても、
この比喩が適切なのかどうか疑問。
基本的に「秘密基地」は子供の遊び場の比喩でしょ。
大人の隠れ家に用いるべき比喩ではない。

そもそも比喩を使わずとも、
満月や 父は蕎麦屋に引き籠る

とかでいいのでは?



キスマイ二階堂。
台本見ながら4人で新蕎麦
台本を見つつ四人で食う新蕎麦
(添削後)
台本を置いて四人で食う新蕎麦 (添削後)

なぜ字足らずの破調??
8・9の句またがりは諦めたの?

助詞の「で」を排除して、
台本をめくり新蕎麦喰う四人

と定型にすることも出来るし、

かりに8・9の句またがりなら、
台本四冊 新蕎麦四人前

でもいいわけで。

句材は悪くないけど、65点の評価は高すぎ。





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最終更新日  2023.10.03 23:20:22


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