まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.11.18
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網棚に置きし卒論冬の朝 網棚に置きし卒論冬の朝 帯留に選ぶ翡翠や返り花 ズレているマークシートや虎落笛 ごみ捨て場両手見つめる冬の朝 裸木や露天にマスクつけ浸かる おでんは玉子逞しき口内炎 雑巾にガラス破片と今朝の冬 初雪やニュースのカフを上げ忘れ

お題は「うっかりミス」。

この兼題は難しい…。

時間経過や因果関係の説明なしに、
ミスをした事実って伝わりにくいから。
季語と取り合わせた客観写生だけでは、
それがミスなのかどうかが分かりにくい。

かといって、
季語をなおざりにして、

たんなる川柳になりかねません…(^^;




清水アナ。
初雪や ニュースのカフを上げ忘れ
初雪のスタジオ 下がったままのカフ
(添削後)

去年の9月以来の「カフ」の句です。

屋内と屋外なので、
季語の「初雪」が遠すぎるかな…。
実景というよりも、
ただのお天気情報に見えてしまう。

かたや先生の添削は、
客観写生のセオリーには則ってるものの、
うっかりミスの場面には見えないのよね。


初雪で番組が中止になって、
放送が出来なくなった場面にも見えます。
停電や交通情報のニュースが入ってしまい、
なかなか番組が始められないのかな? …とか。

やはり、

(説明的になるのは承知の上で)
やはり「忘れ」の一語は省くことができない。

描写に徹すれば、
うっかりミスかどうかが明示できないし、
うっかりミスであることを明示すれば、
どうしても説明的になってしまう。
ややもすれば川柳じみた滑稽句になりかねない。

その意味で、今回のお題は非常に厄介です。





矢柴俊博。
網棚に置きし卒論 冬の朝


これも字面だけでは、
うっかりミスの場面かどうか分からない。

卒論を書き終えて、
それを電車の網棚に置いて、
あとは提出するだけ…
という安堵感を詠んだようにも見える。

まさか、
このあと置き忘れて電車を降りるとは思わない。

あえて忘れたことを明示すれば、
網棚に卒論忘れ冬の雨

のような書き方になるかと思います。



水田信二。
ごみ捨て場 両手見つめる冬の朝
ゴミ袋手になく冬のゴミ置き場
(添削後)

これも、
原句はうっかりミスの場面に見えません。

朝のゴミ出しのときに、
手がかじかんで冬を感じてるとも読めるし、
あかぎれになってるとも想像できます。

あえて忘れたことを明示するなら、
ごみ袋忘れて戻る冬の朝

のような書き方になるかと思います。



大友花恋。
裸木や 露天にマスクつけ浸かる
冬温し マスクのままで露天風呂
(添削後a)
失恋や マスクのままで露天風呂 (添削後b)
年の瀬や マスクのままで露天風呂 (添削後c)

これまた、
原句はうっかりミスには見えません。
それこそ、
「コロナだからマスクをつけてるのかしら?」
…と思ってしまう。

同じく(添削後a)も、
「顔も温まりたくてマスクをつけてるのかしら?」
…と思ってしまうし、
さらに(添削後b)も、
「泣き顔を隠したくてマスクをつけてるのかしら?」
…と思ってしまう。

かろうじて(添削後c)だけが、
「忙しさのあまり取り忘れたのかな?」 と思えます。



IKKO。
帯留に選ぶ翡翠や 返り花


これもうっかりミスの場面には見えません。

返り花が咲くような暖かさだから、
あえて夏らしい帯留を選んだように見えます。

そういう句としてなら成立してますが。



川島如恵留。
ズレているマークシートや 虎落笛 もがりぶえ
マークシートずれてる 虎落笛の窓
(添削後)

原句も、添削句も、
客観的に「ズレている」と描写してるので、
本人のミスというより、印刷のミスに見えてしまう。

さらに、
添削句の動詞の位置は、
終止形か連体形か読み迷います。

上8の字余りですが、
一行違いのマークシートや 虎落笛

とすれば誤読されずに済むと思う。



森口瑤子。
おでんは玉子 逞しき口内炎


1ランク昇格でしたが…
助詞「は」を使った意図が分かりません。
玉子よりも、
口内炎のほうを強調すべき内容ですよね。

助詞「の」を使って、
おでんの玉子 逞しき口内炎

とするほうが、
《玉子を口に入れた瞬間に口内炎の存在を思い出す》

…という感じが強く出ると思います。



フルポン村上。
雑巾にガラス破片と今朝の冬
雑巾にガラスの破片 冬来る
(添削後)

今回、
いちばん出来がいいと思ったのは、
この先生の添削句です。

寒さで手が凍えて、
ガラスの器を落としてしまったのかな?
…と想像できます。

かたや原句のほうは、
助詞「と」で並列にした結果、
先生は季語が弱まると言ってましたが、
むしろ「うっかり感」が弱まるのよね。

並べて「ガラス破片」と「今朝の冬」を描写して、
その両方に情緒を見出してるので、
ガラスの破片の透明な美しさばかりが強調されて、
うっかりミスの要素が感じられないのです。


▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12




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最終更新日  2024.11.18 09:20:09


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