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アルファポリス「恋愛小説大賞」にエントリーしてます。 此処からどうぞ 「映画のようなラブストーリー」 結局、作治さんの本音は、きくさんに届けられることはなかった。作治さんは、きくさんのことが、好きで、好きで・・・言い表せないほど大好きだった・・・なのにいや、だからこそ心優しい作治さんは、もしも きくさんが自分のお嫁さんになってくれた場合を想像して・・・夏は日に焼け、土埃に顔や手足を汚し・・・冬は冷たい風や水仕事のせいで、赤く霜焼けした手指に息をはきかけて温め、夜は慣れない薄いせんべい布団の中で身体を丸めて耐える。・・・そんなきくさんの姿が目に浮かぶ・・・それは作治さんには耐えられないことだった。 その日の作治さんの日記には、彼の偽らざる心情が書き込まれているが、その内のいくつかの文字は、水滴のような痕跡があり、滲んでいて読みづらかった。 P.S : 思い出すと、切なくて・・・でも、忘れることなんて出来ない・・・その想いが「言の葉の森の番人」たちの心に届き、彼らをして木々を揺らさしめ、言の葉は枝を離れ、ぼくの元へ届く・・・ぼくの小説はそうして綴られているのだと思う。
2009.02.25
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「大 変 更」 <スーパーカプセル> タカシはその先を口にすることができなくなった。アンは、10年前までのタカシの東京での自由気ままな暮らしぶりを知っている。若き日の活き活きとした自分を知っている女性、それも単なる友達ではなく、大人の男と女として深い関係を結んだ女性に、年を重ね外見も暮らしぶりも随分と地味になってしまった。そんな今の自分を見られてしまった。それは辛いことである。そんなタカシの心情を見抜けないアンではなかった。「あれから、いろいろあったのね・タカシ。久しぶりに会ったとき、ちょっぴり老けたなって・・・正直言ってそう感じたわ」「もう若くはないよ・・・」 視線をアンの顔から足元に落として、つぶやくようにタカシはそう言った。「時々、このカプセルベッドで休めばいいわ」アンは、さきほど二人だけの世界を支えてくれた舞台を指差しながらそう言った。何のことだか分からないといった表情のタカシにアンが説明を加えた。「どう?私を見て・・・10年前と比べて・・・もちろん、身長とかは変化しているけど、肌を見てみて・・・あ!さっき見られていたんだった・・・」アンはその白い肌を赤く染めて俯いた。「ああ、本当に綺麗だったよ・・・」「ありがとう・・・でも、この話をはじめたのは私のことを自慢したかったからじゃなくて、このカプセルベッドで休むとね、身体中の細胞が活性化されてね、お化粧しなくてもとても若々しくいられるのよ。タカシも1日に1時間でもいいからここで休むようにすれば、また昔のような体形を取り戻せるわよ」「そいつはいいね!」タカシは目を輝かせてそう言った。
2009.02.20
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アルファポリス「恋愛小説大賞」にエントリーしてます。 此処からどうぞ 「映画のようなラブストーリー」 みなさん、突然ですがごく一部のS・F好きなお友達からの要請で、今日からアルファポリスのS・F部門に連載中で休載していた、「大 変 更」 の更新を再開します。「映画のようなラブストーリー」も平行して連載してゆきますので、よろしくお願いします。 「映画のようなラブストーリー」 < 告げられぬ想い > 作治さんからきくさんに送られた返事の手紙、それは何度も書いては丸めて捨てられ、悩み抜いた末に書かれたものだった。 作治さんの家の土間に転がっていて、その後屑籠に捨てられていた小さく丸められていた紙を広げてみたとしたら、そこには彼の本音の一部が書かれているのが解る。 「きくさん、いっそ二人して東京へ行かねえか・・・。あそこは人が一杯暮している大きな街だ。俺は『木を隠すなら、森に隠せ』 という言葉を聞いたことがある。 ならば、『人を隠すなら都に隠せ』そう言えるのではねえか?きくちゃん、どう思う? 」
2009.02.18
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アルファポリス「恋愛小説大賞」にエントリーしてます。 此処からどうぞ 「映画のようなラブストーリー」 みなさん、突然ですがごく一部のS・F好きなお友達からの要請で、今日からアルファポリスのS・F部門に連載中で休載していた、「大 変 更」 の更新を再開します。「映画のようなラブストーリー」も平行して連載してゆきますので、よろしくお願いします。P・S 母は元気です(^-^) 「大 変 更」 <スーパーカプセル> カプセルの中に、白い霧のようなものが現れ急激に増えてゆき、アンの裸身も次第に見えなくなってきた。それから数秒が経過し、白い霧が床下の方へ排出されてカプセルの内部が透明さを取り戻した時、アンの身体は白くて薄い例のスーツに包まれていた。アンは慣れた手付きでカプセル前部を開けて出てきた。タカシは、ため息をついてから言った。「素晴らしいね、まるで魔法みたいだ・・・でもそのままじゃ街を歩けないだろう。いや、歩いて欲しくないな」黒いスーツの時は、それ程でもなかったが、白いスーツだと胸の可愛らしい突起やお臍のくぼみまではっきりと、その形状を見て取れる。「そうね、私もタカシ以外の男性にこの格好を見られたくない。明日にでも Tシャツとかジーンズとかを買い揃えたいわ」 「よし、じゃあ次は『食』の番だ。どうやって食べてくの?」「タカシに食べさせてもらうわ、あと身のまわりの物もお願いね」「ちょっと待った!・・・悪いけど、今の俺にはそんな余裕は無い・・・東京からUターンして故郷に帰って来て就職口を探したけれど、こっちは驚くほど職種が少ない。東京でやってたライブやスタジオのスタッフで食ってゆけるような環境は無かったんだ」
2009.02.15
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アルファポリス「恋愛小説大賞」にエントリーしてます。 此処からどうぞ 「映画のようなラブストーリー」 きくさんにとって、作治さんからの返事は物足りないものだった。誠意を感じることはできたが、力強さに欠けていた。例えば・・・ 「きくちゃん、心配するなよ。俺がなんとか御両親を説得してみせるから、もう少し待っていてくれ」もっと大胆な手段を選ぶとしたなら・・・「きくちゃん、こうなったら二人で駆け落ちしよう。そして誰も二人のことを知ってる人の居ない土地で暮すんだ」 古の恋愛小説ならば、必ず出てくるようなありふれた台詞ではあるけれど、今のきくさんにとって愛しい男性に一番言って欲しい言葉ではないだろうか・・・
2009.02.12
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アルファポリス「恋愛小説大賞」にエントリーしてます。 此処からどうぞ 「映画のようなラブストーリー」 「きくちゃん、手紙読みました。俺はきくちゃんが他の誰かの嫁さんになるなど、考えたくもねえ・・・俺はきくちゃんの笑った顔、大好きだ・・・俺のなまえを呼ぶその声も大好きだ・・・きくちゃんは俺の一番の宝物だ。だども、俺は きくちゃんに綺麗な着物を買ってやることはできねえ、大きな部屋に寝かせてやることも・・・美味しいご馳走を食べさせてやることもできねえ・・・そんな暮らしがずっと続くだよ・・・きくちゃんは貧乏を知らねえ・・・そんな俺との暮らし、もしも地主さんが許して下さっても、我慢できるかなあ・・・ きくちゃん 作 治 」
2009.02.09
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アルファポリス「恋愛小説大賞」にエントリーしてます。 此処からどうぞ 「映画のようなラブストーリー」 < 眠れない夜に > 「どうしよう・・・作ちゃん、私はどうしたら良いの・・・」きくさんの手紙の最後の一行は、作治さんの脳裏に焼き付いただけでなく、それは きくさんのあの声で聞こえてくるようだった。今にも泣き出しそうな彼女の顔さえ目前に迫るように浮かんできた。農作業で身体は疲れていても、今夜の作治さんはなかなか寝付くことができないでいる。(俺だって・・・どうしたら良いのか、わからねえ・・・)いくら考えてみても名案はうかんでこないまま、時はすぎてゆく・・・長い思案の後、作治さんの口が開いた。「 きくちゃん・・・」作治さんは未明の暗がりの中、布団を抜け出し、音を立てないように小机の作治さん専用の引き出しの中から紙と鉛筆を取り出した。これらは、 きくさんが作治さんのために用意してくれたものだ。作治さんは足音を忍ばせて土間に下り立つと、窓からの月明かりの中で手紙を書き始めた。
2009.02.05
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