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<タカシのプラン>「だろうな・・ぼくには想像することしかできないけど、タカシの表情から、大変だということだけは感じ取れるよ」マークはタカシの肩に手を置いて、労うようにそう言いながら隣りに腰を下ろした。マークの前にあるテーブルに(ちなみに、これは自在に床に出し入れ出来る) コーヒーカップが一つ置かれた。 もう一つのコーヒーカップを片手に持ったまま父親の肩に手を置き、寄り添って立つアン。マークは、嬉しそうに娘を見上げて言う。「ありがとう、アン」微笑ましい父娘の姿を羨ましそうに見つめながら、タカシが言う。 「うちの娘も、そうやってコーヒー淹れてくれるようになるかなぁ・・・」「淹れてくれるに決まっているさ・・・ところで、救世主代理にひとつ質問があるんですが・・・」マークは、わざと茶化すように言った。このところ、タカシは緊張の連続だ、少しはリラックスしてもらわないと、そのうちプツンと音を立てて緊張の糸が切れてしまう。「ありがとう、マーク。でも、ぼくは大丈夫だよ・・・君の聞きたいことって、ぼくがどうやって地球人類の戦意を失わせるかってことだろ?」マークの思いは伝わっていたし、タカシの構想も纏まっているらしい。「二人とも知っているようにぼくは平和主義者だ」「知っているとも・・・」マークはテーブルの上を指先で2度ほど軽く叩いた。その先が知りたいんだよっ・・・てことだ。「だから、ぼくは一切の武器を使わず地球人類に戦争を放棄させる。そのために宇宙の隅々から 《スター・ライフ》を呼び集める」「スター・ライフ!!」アンとマークは同時に、まるで叫ぶようにそう言った。
2009.09.29
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<衝撃なる出会い、直前> 「前田総理をお連れした。心配ないから、君らの持ち場へ戻りなさい」山本のいつも通りの落ち着いた声と穏やかな顔に接して、安心した僧たちは、一礼してから山門へ戻って行った。山本は、若い僧たちの後姿を見送りながら携帯電話を手に取り、操作し始めた。電話をかけようとしている相手は、彼の師である、唯伝寺最高指導者、相川管長である。「・・・はい、前田総理をお連れしております・・・はい、ではそのように・・・さようでしたか、弥勒様は一旦「救世堂」にお戻りになっておいでなのですか・・・前田総理が到着されてから、再び足をお運びいただくと・・・わかりました、客殿の前でまたご一報いたします・・・はい、では後ほど・・・失礼致します」山本は、携帯をしまいながら振り向く。そこには、つい先ほどまでとは違って随分顔色の良くなった前田総理が立っていた。「少しは眠れたようだね」「ああ、お陰で久しぶりに悪夢に邪魔されずに眠れたよ。有難う・・着いたようだな・・・行こうか・・・」そう言うと前田はすぐに歩き始めた。山本は、前田の後ろ半歩のところを歩きだし、少々改まった口調で言った。「前田総理、唯伝寺へようこそ。ここからは、私が案内しましょう」前田総理も、厳粛な空気を感じ取った様に言う。「む、頼みます・・・」 その頃、マザーシップの中では、タカシがアンの淹れてくれたコーヒー(ハワイ・コナ)を美味そうに飲んでいた。丁度その時、タカシたちの居住区(リビング・ブロック)へ近づいてくる足音が・・・(おっと、これはまだ読者諸氏にはお報せしてなかったんだね・・・実は、足音の主はアンの父親であり、タカシの親友マーク・ハリスン氏でした。娘のことが心配で、追いかけて地球に舞い戻り、タカシが下から戻って来たとき感激の再会を果たしたばかり。そういったわけです)「やあ、タカシお疲れ様、とても立派だったよ!」タカシは、マークを見上げながら(彼は190センチの長身なんだ)嬉しそうである。「ありがとう、でも、救世主って・・・代理だけど、本当に骨の折れる役目だよ・・・」
2009.09.25
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皆さんお元気してますか?このブログのトップページ自由欄にホームページに置いてある、小説2編と散文詩をリンクさせました。これからは探すお手間をかけなくて直ぐに読んでもらえるので、更なる応援よろしくお願いします。もう1つ大事なことはインフルエンザに気をつけて下さい。特に子供さん気をつけてあげてね。
2009.09.25
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<首相一行、到着> 国道とは言え、都会の明かりが見え隠れする郊外の夜道は暗い。そんな中を警察車両に先導された黒塗りの車列は、時折行き交う対向車からは、異様なものに見えているだろう。その車列の真ん中を走るVIP専用車。この車は窓ガラスもボディも防弾仕様となっていて、通常の拳銃から発射された通常弾では、たとえ至近距離からでも貫通させることは不可能である。VIP専用車の中、前田総理は4日ぶりに夢を見ることもなく、大きめな寝息を立てて眠っている。山本は、親友の寝息を我が事のように感じているらしく、前田の寝顔を見守っている・・・ふと何かを思い出したように顔を上げて車窓の外に目を移す山本。夜景ではあるけれどそこはやはり見慣れた地形である。見慣れた山が見えてきた。(唯伝寺は近い)その確信と共に、一つの不安が脳裏に浮かぶ。山本は、助手席に座っているS・Pに頼みごとを言う。「すみませんが、パトライトを消していただけませんか。こんな夜中に近隣の人たちを驚かせることになってしまっては申し訳ないですから」S・Pは山本を振り返って頷くと、前後の車両に無線でパトライトを消すように指示した。 やがて、首相一行の車列は唯伝寺の山門前に到着した。 通常ならば、この山門前を守るのは2名の警番僧が立っているのだが、今夜はその倍の4名の屈強な警番僧であった。その内の2名の警番僧が、車列へ歩み寄って来る。するとただちに、S・Pが反応した。車を降りようとドアを開けたのだ。これに気付いた山本は、大急ぎで窓ガラスを開け、大声で言った。「待ちなさい!二人ともそこで止まりなさい!」二人の警番僧は、声のした方を見る、(警番僧)「大老僧さまだ!」山本の大声と強い口調を耳にして、安心しながらも、彼らは直立姿勢を取った。前田は、目覚めてはいたがまだ車の中にいる。・・・彼はこの後、驚天動地なる対面を果たすことになる、だが・・・今はまだ夢想だにできずにいる。
2009.09.21
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<首相一行、2>「いやいや、その直感というやつは中々捨て難い。時には手間を掛けて調べ上げたレポートが、陽の目を見る事無く、ファイルの隅に仕舞われることもある」前田は、車の天井部に目をやり、遠くを見る目をして「そうだったなあ・・・俺らが集めたデータを前にして、熱く議論を交わしていると、お前がポツンとひとこと言う・・・結局それが正解だったと皆が認めてしまい、黙ってしまうことが何度もあった・・・釈然としない俺らを尻目にお前はいつもこう言った。 『直感だよ、直感』ってな」前田の回顧談を聴いていて、山本も大学時代に帰ったような思いがした。「そんな事もあったな・・・」「あったさ、忘れやしないよ・・・なあ、山本」「ん?」「楽しかったな、あの頃・・・」「ああ、楽しかった・・・今考えてみると、何の苦労も無かった様に思えるよ・・・」「確かに・・たしかにそのとおりだ。他人の腹の内を探ることも知らなかった」そう話す前田の目に、光るものを見つけた山本は「大変な仕事のようだな総理って仕事は・・・前田、一眠りしないか?到着まであと20分はある。今のお前にはどんなに僅かな時間でも、仮眠が一番の薬になるはずだ」「・・・そうしたいところだが・・・目を閉じるとまた・・・」夢を見ると言いかけてやめた。すかさず山本が「大丈夫、もう夢は見ないさ!」「ん、どうしてそう言えるんだ?・・・まさか」「そう、直感だよ、直感!」前田は、とうとう熱いものを抑えきれず、ハンカチを使った。「疑わないよ・・・お前の直感は良く当たるからなぁ・・・じゃあ頼んだぞ山本」「まかせろ!俺が絶対お前の眠りの邪魔はさせないから」山本の力強い言葉に、前田は返事もしないまま、微笑みながら眠りに落ちた。
2009.09.14
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<首相一行>同じ頃、前田首相と山本大老僧一行を乗せた首相専用車は、前後をS・Pたちの車に守られ、白バイとパトカーに先導されて「唯伝寺」へ急行していた。車内では、大学卒業以来の邂逅を喜ぶのも束の間、前田総理の質問に山本老僧が答えるというかたちでのやり取りが続いていた。「それでは、俺が3日3晩見続けたあの夢は、やはりただの夢では無かったわけか・・・」「そうなんだ、私は管長に総理にご足労願うように指示を受けて、取る物も取りあえず大急ぎでとんで来たから、その夢の内容は今、君から聞いて初めて知ったわけなんだよ」「そうか・・・とにかく、眠りに落ちたその度に、あの悪夢のような映像が目の前に現れるのだよ。それも、きっちり同じシーンからだ・・・とても眠れたものじゃなかった」山本は、頷きながら同情した口調で「そりゃあ、誰でも嫌になるね・・・」前田総理は、苦笑いしたあと話しを続けた。「そこでだ、夜分ではあったが警備の者に言って公安8課に来てもらった。通信機器のプロ達だ。私の寝室を徹底的に調べてもらった。盗聴器だとかの類が、こっそりと仕込まれているんじゃないか、と思ってね」「しかし、何にも見つからなかった」山本が前田の話の先を読んで横取りする。前田は、またもや苦笑いを浮かべて「その通り。8課の連中に労いの言葉をかけた。彼らが『交代で見張りを立て、通信等の傍受も怠らないようにしておきますのでご安心を』と言い残し、部屋を出て行ったあと、すぐに横になった・・・」「でも、また夢を・・・」「そうだ、すぐに眠りに落ちたのだが、そのとたんにまた始まった!・・・実に忌々しい・・・」「たまらないな・・・」「ああ、たまらんよ!おかげで昨夜は殆んど眠れなかった・・・」そう言った前田の顔には、疲れが色濃く浮かんでいた。山本は、労わりを込めて言った。「今夜から、きっと熟睡できるさ」「俺も、さっきお前の顔を見て、何となくそう思った・・・ただの直感だがな・・・」座席を少し倒し、足を伸ばしながら前田は安堵の笑みを山本に向けた。
2009.09.11
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<惑星の終焉>「どうした?カショウ。泣いているのか? 君ともあろう者が・・・また「生まれ行く国」で会えるじゃないか」「見ていた存在」、名前はカショウというらしい。そのカショウがダイバへ何か言おうとしたとたん、画面の一番奥にいた大統領がスイッチを押すのが見えた。「行け!逃げるんだカショウ、頼む!」画面を見ると、この宇宙船が急上昇を始めたのがわかる。大域圏を抜けたころ、イロラム国から発射された核ミサイルが海を越えた大陸に着弾した。むろん、対立している大陸からも迎撃ミサイルや報復のための大陸間弾道ミサイルが発射されたあとだった。この2つの国の応酬を皮切りに、他の核保有国から発射された数え切れないほどの大陸間弾道ミサイルが、惑星の空を飛び交い始めた。そのあとの光景はまさに背筋が凍るような有様だった。惑星上のあちこちで幾十、いや、おそらく三桁に達するであろう、巨大で不気味なキノコ雲が立ち上る。それは、まさしくこの惑星の終焉を告げている。生き残れる生命があるだろうか?「見ていた存在」・カショウのみならず、タカシの送る映像を見ていた者たちの誰一人として、あの惑星に生き残れる生命がある事を願わない者はいなかった。そして、最後まで核攻撃の中止を訴え続け、ついには惑星を脱出する機会を逃し、自らも異郷の惑星と命運を共にした、責任感の塊のような「ダイバ」を心から讃え、彼の再誕を願った。ここで、タカシの映像は終わる。
2009.09.08
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『彼の説明が一段落したのとほとんど同時に、大男の大統領は椅子にどっかと腰をおろした。 ひとしきり喚き散らしたので多少気が済んだのか、ともあれ静寂が訪れた。と思ったのも束の間、今度は大統領のデスクを取り囲むように立ち並んでいて、他の人々とは違う身なりをした男達が一斉に発言し始めた。彼らの発言はいずれも、大統領の決断を促す内容らしい。天井を見上げた「彼」が言った。「彼らはこの国の宗教的指導者の代表だ、5分ほど前、彼らはこの大統領執務室に入って来るとこう言った」『大統領、あなたは偉大なる神の国、このロウナムを悪魔の手先共から守る使命がある。たとえ連合国の反撃を受けてこの国が滅びたとしても、我々は神の国へ召され、あなたは偉大なる神の子として永遠にその名を残し、褒め称えられるに違いない!』「この一言であの大統領は、もう私の言葉に耳を貸さなくなってしまった」天井を見上げた人物は、残念で堪らないという表情でそう言った。すると突然別の声が聞こえた。初めて聞く声だ。その声は明らかに天井を見上げた人物に向けられていた。「ダイバ!君は良くやった。その星は・・・残念だが極めて危険な状態にある。君は直ちに離脱するんだ!」「いや、もう間に合わない・・・君こそ早くこの惑星エリアから離れてくれ。犠牲は少ない方がいい・・・」「ダイバ・・・」 』
2009.09.05
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< 夢の中身、2> 『 急降下している。地表がどんどん近くなり、都市部の上空だとわかる。次の瞬間、信じられない事が起きた。映像が急停止したのだ!当然、この場合の映像は外宇宙よりこの惑星の大気圏内に突入してきた「見ている存在」(無人の場合はコンピュータの類だろう)を乗せた飛行物体なのだが、地球人類の常識を超えたものであることは確かだ。 何しろ、まるで白紙にペンで線を引くように降下し、ペンを持つその手を止めるようにピタリと空中で静止したのだから。だが、さすがに大気の抵抗を100%退けることは無理なようで、微々たる揺れが画面から伝わっている。やがて、この飛行物体内部の映像となる。それはアンたちのマザーシップと酷似している。大きなディスプレイが見える。その画面はすぐに映像のフレーム全体を占めた。地上のある構造物が映し出された。かなり大きな建物のようだ。ズームアップ機能が作動したらしく、人らしき姿が見て取れるほどになる。続いて建物内部の映像が見え始めた。たくさんの人たちが見える。(地球人類とそっくりではあるが・・・この惑星が地球ではないことは、大気圏突入の直後に見た陸地の映像で判明している) 大勢の人々の中で、一人の男がこちらの映像を見上げて頷いた。「見ている存在」があることを知っているということだ。彼が目線を元に戻したその先には、身なりの整った男が大きなデスクの向こうに立っていて一人で喚いている。大柄な身体に相応して大声だが、何と言っているのか?聞いた事もない言語なので内容は理解出来ないが、怒りの極みにあることは見て取れる。「5分も前からあの調子だ、もう私も語り尽くした」再び、こちらを見上げたその人物は、腕を組んだまま続けて言った。「今、喚き散らしているあの男は、この国の大統領だが・・・超大国の威嚇発言を真に受けて、あろうことか核ミサイルの発射ボタンを押そうとした。私が必死になって説得して一旦は落ち着きを取り戻したのだが・・・」 』
2009.09.03
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