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「そう、タカシには未だ話してなかったわね。私達のマザーシップは今、日本海溝の海底に待機させているのよ」「日本海溝の海底!?あそこは一番深いところだと、たしか・・8,000m位あるんじゃないか?」「そのとおり、良く知ってるわね、タカシ」「そのとおりって・・・日本には、世界一深く潜れる深海潜水艇があるけれど、それでも、6,500メ-トルが限界だったはずだよ・・・」タカシは組んでいた腕を解き、腰に当てると、軽く首をふりながら何度目だか忘れてしまった溜息をついた。「そんなに溜息をつかないでタカシ、スタートが違っただけのことだわ」「スタートが違う?」「そうよ、私達の銀河には地球の核物質に似た鉱物が豊富にあったのね、そして好運なことに、優れた科学者たちに恵まれたの。アキュハ博士は、その核物質に似た鉱物を最大限に効率良く、しかも安全に使用する方法を発見し、ホブリ-教授は強度と耐熱性に優れた合金を発明し、シュルグ博士は、画期的な宇宙航法を考案したわ」「・・・・・・・・・・・・」 「それは今から4,000年前のことよ・・・いい、タカシ、科学技術の優劣なんて環境や資源、歴史の違いを考えれば・・・ね、ここまで言えばあなたならもう解るはずよ。だから、もう溜息なんてつかないで」タカシは、まいったな、そう言いながら顔を上げて、「OK!それで、行動開始は何時だい?」
2009.05.31
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タカシは、乗り出していた上半身を元に戻して、「その、メシアさんっていう言い方は止めにしてくれないか・・・俺は真面目な仏教徒なんだから」さすがにアンも、調子に乗り過ぎたと気付き、首をすくめて見せた。「ごめんなさい!・・・どうやって弥勒菩薩像を動かすかってことよね・・・」タカシは腕を組み、何も言わず頷いた。「こういうのはどう?ほら、SF映画で見たことあると思うけど、立体映像・・・ホログラフィって言ったかしら?・・・あんな感じで菩薩像を空間に映し出して、その中に、というより・・・タカシがその映像を身に付けて動く・・・それで良ければ可能なんだけど・・・」「本当にそんなことが出来るのかい?」「大丈夫、問題ないわ・・・映画で見るものよりはるかに鮮明な画像を写し出せる。それだけじゃなく、あなたの動きにぴったり合わせて動かすことだって出来るから、本物の菩薩像が動いているように見えるはずよ」「ふぅ!」・・・あの夜、アンが突然タカシのもとへやって来てから、もう何度ため息をついたことだろう・・・「まったく、君らのハイテクときたら・・・敵対する存在じゃなくて良かったよ・・・・・待てよ!?ぼくが菩薩さまの代行をしている間、本物はどうするんだ?2体あっちゃまずいんじゃ・・・」「それも大丈夫。タカシが菩薩さまの代わりを務めている間、本体はマザーシップに保管しておけばいいんじゃない?」「え!マザーシップ!?」
2009.05.23
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10年ぶりだ、見覚えの無い建物が多かったが、道はほとんど変わっていない。目印として憶えていた郵便ポストのある十字路を右に曲がって、すぐに左へ・・・あった!・・・2日前に連絡していたから、ジャズハウス「チャーリー」の店内はオーナーと昔の仲間たちの、タカシとそのファミリーを歓迎する声で沸き立った。 積もる昔ばなしに花を咲かせ、楽しい時間は無慈悲なほど早く過ぎていった。 その夜は随分遅くホテルへ戻り、翌日の昼過ぎに羽田を発った。「チャーリー」のオーナーである伊藤さんと、元走り屋の銀ちゃん、スタジオミュージシャンとして成功した水谷の3人が見送りに来てくれた。九州に帰ってから2日後、アンから連絡があった。彼女は早々と、タカシのこれからの行動の隠れ蓑となる仕事を決めてきたと言う。 早速その日のうちにアンと会う・・・「そうか、第二次大戦後駐留していたアメリカの軍人たちが日本の古美術品を本国に持ち帰っていたという話は聞いていたが、それほど大量だったとはな・・・」「そうなの、私も驚いたわ。でもね、それが私達にとって都合の良いビジネスになったんだから、感謝!よね」「たしかにそうだな・・・古美術品を日本に持ち帰って修復し、ちゃんとした鑑定書を付けてやれば喜ばれるに決まってる。いいところに目を付けたね、アン」「でしょ、これで本格的に行動を起こせるわよね」「そう、メシア役の偶像をどうやって動かすかだ。それも、だれが見ても本物としか見えないようにね・・・」アンの目が輝いた。わたしに任せておいて、そう言いたそうな顔だ。「私に任せておいて・・・と言っても、トムがシップを上手く操ってくれてはじめて実現可能となるんだけどね」「ほう・・・いったいどうやって操るつもりなんだ?聞かせてよ」タカシは、アンの方へ身を乗り出した。「OK! メシアさん」
2009.05.20
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< 2ケ月後 > それから2ヵ月後、タカシは務めていた警備会社を円満退職したが、まだ次の仕事は決まっていない。世紀の大事業を実現させるには、時間を束縛されていては思うように動けない。マークがタカシのために用意してくれた資産があれば暮らしには困らないのだが・・・それを家族に告げるということは、好意的な異星人たちの存在をも知られる事になる。 アンの父親のマークが、実はアメリカの資産家などという嘘はタカシにはつけないし、いずれは本当のことを知られてしまう。最悪の場合、どこかの腹黒い連中に知られては彼の家族に危険が迫ることもないとは言えない。幸いなことに、アンには心当たりがあった。タカシが自由に動けて、彼の家族に心配をかけることのない仕事を決めるため、彼女は今、生まれ故郷である懐かしいアメリカへ帰り、父親マークの古い友人の住む町を訪れている。そんなアンには申し訳ないことだが、タカシは夏休み中の子供達と妻、明子を連れて東京へやってきた。 世紀の大事業が始まれば、しばらく家を留守にしがちになる。その前に家族を東京に連れて来たかったのだ。タカシがその青春を謳歌した東京を見せたかった。そして彼の大切な友人たちにも会わせたかったのだ。 「ここが、お父さんの青春の舞台だ!そしてこの人たちが、お父さんに素晴らしい時を過ごさせてくれた大事な友達だよ!」 子供達、特に息子には、人と人の出会いの素晴らしさを肌で感じて欲しい。常々、そう思っていたのである。 昼間は、若い頃頻繁に通い、給料前には「ツケ」で食べさせてもくれた大衆食堂に家族全員で行き、嬉しいことにまだ現役でいた食堂のご主人(当時はおやじさんと呼んでいた)夫妻が、「いらっしゃい!・・・?おや!?ひょっとしてお客さん・・・」「はい、秋山です。お久しぶりです、その節は大変お世話になって・・・」「やっぱり!秋山ちゃんだね、久しぶりなんてもんじゃないだろー!オリンピック何回分だよ~(久しぶりだー!このせりふ、ここのおやじさんの癖で、久しぶりにやってきた昔馴染みの客はいつもこの台詞を聞かされていた) まあ、いいや!良く来たねェ・・・おい、かあちゃん!あの秋山ちゃんだよ!・・・あれ?奥さんかい?そうかい子供さんもいっしょかい?いやいや、驚くやら、嬉しいやら!ま、とにかく早くすわりなよ。いやいや、驚いたねェ・・あの秋山ちゃんが、いいおじさんになって・・・おまけにこんな美人の嫁さんもらって、可愛いこどもまで・・・」と、興奮を隠し切れない態で大歓迎してくれた。タカシは懐かしい関東の味付けを堪能したあと、一旦ホテルにもどり、夕方、京王線に乗り、笹塚駅南口で降りた。そこから徒歩で・・・そうでなければ街並みが変わり過ぎていて、(ショッピングモールは昔と同じ場所に在ったが)目的の場所へたどり着けそうになかったのだ。
2009.05.19
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何秒かの沈黙の時が流れたあと、タカシは顔を上げて・・・「先触れをやれば良いのか、それとも、中継ぎを務めるのか・・・どっちにしても途轍もない大役には違いないが・・・」「それは、きっとあの方が決めて下さるんじゃないかしら?だってこんな大仕事だもの、私達だけじゃ決断できない場面にだって遭遇することになると思わない?」でしょ、とアンが言い、タカシは頷くことで彼女の見解に同意した。「大丈夫、プランはもう大体出来上がっているし、あとはあなたが実行に移してくれれば・・・私も協力するし」「そうは言っても、やはり俺には荷が重過ぎると思うけど・・・」「タカシ、まだそんな事を言ってるの!?あなたは地球が、今よりもっとメチャクチャになってゆくのをそうやってただ黙って見てるつもりなの!」「そうじゃないよ!ただ、俺には家族がいる。大いなる正義は目立つ。それでも貫こうとすれば、必ず悪党どもの魔の手が俺の家族に伸びてくる。君らには分からないだろうが、地球には、現実にそういう人間がいるんだよ!」「知ってるわよ、私だってそれくらい!・・・」そうは言ったものの、アンはタカシの家族の身の安全を守るプランを、この時点ではまだ考えついてはいなかった。 二人の間に沈黙の時が訪れた。事がことだけに、迂闊なことは言えない。当然だろう。 意外にも、先に沈黙を破ったのはタカシの方だった。タカシは、彼の家族を守るプランを思いついたのだ。「こんなのはどうだろう?・・・俺達は表に顔を出さない。その代わりに何か、その国を象徴するような偶像を動かすってのは?例えば・・・日本なら『仏像』、アメリカなら『自由の女神』という具合にさ・・・だめかな?」アンは、大きく目を見開いてタカシを凝視した。そしてその直後、彼女は満面に笑みを浮かべながら言った。「それ!それ良いと思う!絶対よ!・・・すごいよタカシ!」タカシは、アンの熱い視線を受けながら天井を見上げ、拳を強く握りしめて、「よーし!そうと決まれば、最低限、戦争のない、緑豊かな地球本来の姿に少しでも近づけてやるか・・・」
2009.05.16
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今日、伝言板ではありますが、tacさん(市川拓司さん)から嬉しいアドバイスをいただきました。そのままは書けないけど、(市川拓司さんの言葉をそのまま使うわけにはいきませんから)これから小説を書いてゆくのにとても参考、というより、大事な指針となるアドバイスでした。躍り上がるほど嬉しい! この小説に弥勒菩薩がその実態を現すシーンはありませんが、アンの例のシップに格納してある超ハイテクアイテムを駆使し、タカシが弥勒菩薩の3D映像を身に着けて活躍します。 あくまで小説ですので、?な部分は大目に見てやってください^^
2009.05.13
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「どうしたのタカシ?急に改まっちゃって・・・」アンは我慢できず、笑ってしまった。タカシがその口調だけでなく、姿勢まで正して「ヒント」をたずねたからである。だが、先祖代々熱心な仏教徒の家に生まれ育ったタカシにとって、さきほどのアンの口から出た言葉は、衿を正さずにはいられない、重大な言葉であった。アンはタカシの純粋な信仰の姿勢に感嘆した。そして彼女もまた真摯な姿勢になってタカシの問いに答えた。「そのヒントは、あなたも多分知ってると思うけど、あの有名な『四門出遊』だったの。城壁の四つの門であの方が目にした『生まれたばかりの赤ん坊』も、『老人』も、『病んで苦しむ人』も、『死者を弔う葬列』と、近親者に担がれて進む死者のすぐ後ろを歩く『出家者』も、すべて私達の先輩派遣員が、わざとあの方の目に止まるように演出したのね・・・タカシ、聞いてるの?」アンは、タカシの目がどこか遠くを見ているようなのを咎めるように言った。「え!・・ああ、聞いてる、聞いているよ・・・」タカシは、夢からさめたように大きく瞬きをしながらそう言い、そしてこう付け加えた。「君らは・・・我々仏教徒の大恩人なんだなぁ・・・」タカシのその言葉には、驚きと共に深い感謝の想いが込められていた。アンは少し照れて言った。「そんな、大恩人だなんて、私はまだ何もしてないし・・・地球の未来だって、安心してはいられないわ」「そりゃそのとおりだと思うよ・・・まさか!俺に次のメシアをやれと云うんじゃないだろうね!」「安心して、あなたはたしかに立派な人だけど、メシアにはちょっとね・・・次のメシアは、もうすでに決まっているでしょ?」「弥勒菩薩!」「そう、釈尊が次ぎの仏陀と宣言された、あの方よ」「でも、あの方の出現はまだずっと先のはずじゃなかったっけ?」「そのとおり。本当はもっとずっと先に予定してあったわ。けど、人類の地球を破壊するスピードが予想よりはるかに早くなっている・・・だから、あなたにはあの方が出現される、その下準備をしてもらいたいのよ」
2009.05.11
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< メシア 1 > 「タカシは仏教に詳しいから、知ってるでしょう・・・釈尊のこと」「いきなり、釈尊かい・・・まさかアンの口から、その名前を聞くとは思ってもいなかったよ・・・まてよ、そう言えば」マークとアン親子と、横浜の伊藤氏のホームパーティで二度目に会った日、アンの父、マークとドイツから来ていた(名前はおぼえていない)理屈っぽい、20代と思われる男、それにスウェーデンから来ていた綺麗な女性のドクター・・・時に伊藤氏も思うところを述べていたが・・・とにかく、その夜彼らは宗教について意見を交わしていたのだが、彼自身はクリスチャンだと言っていたように記憶しているが、タカシがもう一つ憶えていることがある。 それは、マークもそうであったが、日本の文化に関心を持っている海外の人たちの中には、仏教に関心を持つ人が多く、その割合は意外なほど多かった。中でも、マークの仏教に関する知識は驚くほど豊富であったことをタカシは思い出した。「あ!そういえばマークは仏教のこと、かなり詳しかったね」そういうタカシも仏教についてはかなり詳しい。あれはタカシが10歳の頃、友人たちと遊んでいた海岸で・・・偶然、流れ着いていた遺体を目撃したのがきっかけとなった。見た目は人であるのに、動かない、話さない、(これが死ということか?このおじさんの心は今どうなっているんだろう?)タカシはそんな疑問に囚われて立ちつくしていたが、すぐに駆けつけて来た警察官によって遠ざけられた・・・あの時の記憶は大人になった今でも鮮明に憶えている。それ以来、タカシは「死とは?」その意味するところ、特に「死」の後について深く考えるようになった。図書館で宗教書を読んだり、家では父親に尋ねたり・・・「先祖がえりかな、タカシは?」父はそう言って、笑った。何となく父が嬉しそうだったことを憶えている。父の話によると、タカシの一族は戦前まで大地主であって、その祖先は京都で、ある宗派の総本山において僧籍を持ち、年老いて九州に帰るまでその宗派の座主(門跡とも、宗主とも云う)の側に仕えていたという。「そうね、父は仏教だけでなく、宗教全般について私よりはるかに詳しいわ・・・ それはともかく、あの方が第1号なのよ、と言っても養成したわけではないの。 もともとあの方は並外れて聡明な方だったようね。そこで、私達の大先輩にあたる、当時の養成員は、あるヒントを釈尊の目につくように演出してみせたらしいの、そしたらあの方はたちまち宇宙の真理に気づかれた。当時の報告に、そう書かれてあったのよ。やはり、偉大よね」タカシは絶句した。(なんてこった!)しかし、彼は気を取り直して、おそるおそる訊ねてみた。「そのヒントって、いったい何だったんでしょうか(大体、想像はつくけれど・・・)?」
2009.05.06
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< 銀河間会議機構 > 「ところでタカシ、お金一度にあんなにたくさん引き出してどうするの?私に毛皮のコートでも買ってくれるってこと?」「あ、いや、あのね・・・中途半端な額だと仕事やめるなんて言えないよね、うちのかみさんに・・・まだちゃんとした説明は聞いてないけど・・・今の仕事してたんじゃ出来ないんだろ、君の言う、メシアがどうのこうのって仕事は?」「そうね、今夜にでも詳しく説明させてもらうけど・・・今のお仕事を続けていたんじゃ自由に動けないから・・・」「やはりね・・・あの一億円は宝くじが当たったということにしよう。それだけあれば仕事を変えると言っても反対はされないだろう・・・」タカシは、まだ「仕事」の内容を聞かされていない。それなのに、もうすでに「仕事」への心の準備を始めている。(わたしの話を疑ってはいない・・・)アンは嬉しそうに頷いた。「あとは、何か仕事を・・・自由に動けて、しかも我々の大仕事?の隠れ蓑になるような仕事を見つけなければね」「そのことなら大丈夫よ、心配しないで、私に考えがあるから・・・」タカシは、「なるほど」という代わりに3回ほど頷いてみせた・・・けれど、彼の心の中には、どうしても消化できないものがあって、それが喉と心の間を行ったり来たりしていた・・・「・・・やっぱりだめだ・・・」「え!何?何がだめなの?」「いくら大金を手にしたからって、何も知らないまま妻や子供達に胸はって、仕事を変わるなんて嘘はつけないよ・・・これは俺の性分だ、どうしようもない・・・少しでもいいから今この場で説明してくれないか」「・・・それを聞いて安心したわ」タカシはアンが不服そうな顔をする、そう思っていたのだが・・・反対だった。アンは嬉しそうに微笑んでいる。「なにも知らないまま、次の仕事も決まってないのに家族に堂々と『仕事を変える』なんて、そんなこと言える・・・もしもタカシがそんな人だったら、わたしの中に不安な気持ちが生まれていたでしょうね・・・でも違った!やっぱりタカシは父が認めた人だった。だから安心した。話すわ今ここで!」(心の準備はできている。さあ、話してくれ!)タカシは、運転席側のドアに背中をくっつけるようにしてアンに相対した。全ての神経が彼女の次の言葉に向けられているということの表れであろう。 「まず、私達の任務を説明するわね。そうすればあなたの役目も理解し易いと思うから」「わかった、どうぞ。君のシップを見たんだ、もう何を聞いても驚かないよ」「そうお願いするわ・・・実は、わたしたちの任務は、この惑星で救世主を養成することなの」アンは、ここでわざと間をおいた。彼女の告白したことは、尋常ではない。タカシが受けた衝撃を少しでも和らげようというアンの配慮だった・・・「もう少し、続けてもいいよ」(普通の人なら、ここで私の頭を疑うはず・・・やはり、父の判断は正しかった!)「私達の『銀河間会議機構』では、もう何十年も前から地球の将来を危ぶむ声が上がっていたのね。そこで、ついに私の父が本格的に地球の現状を再調査して報告するために、世界中を廻ることになって、私も同行したんだけど・・・」「ちょっと待てよ。パスポートは?アメリカ国籍は?どうやって手に入れたんだい?」「『銀河間会議機構』のスタッフが初めて地球にやって来たのは、3000年も前のことなの。やがて定住するようになって、今では地球中の主要都市で暮しているわ。父も私もこの地球で生まれたのよ」「じゃあ、その人たちは皆それぞれの国の国籍を持ってるってこと?」「そうよ、我が家の先祖はイギリスに定住してたんだけど、何と、あの『メイフラワー号』に乗ってアメリカに渡ったのよ!」「すごい!そりゃあ文句なしにアメリカンだよ!」「でしょ、だからパスポートも本物よ」「それにしてもすごい!あのメイフラワー号とはね・・・」「そのくらいで驚かれてちゃ困るわ、まだまだ先があるのよ、タカシ」タカシはため息まじりに言った。「やれやれ・・・」
2009.05.01
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