全2件 (2件中 1-2件目)
1

ある夏の日に Hope-3俺は、一体何時まで待たされる・・・いいよヨーコ、待つからお前の気が済むまで、心の中でそうつぶやいてイスを引き腰を下ろした。カウンターに一番近いテーブルでイスに腰をかけたまま、膝にヨーコの頭を乗せた姿勢を崩すことなく、チャーリーは優しさを湛えた眼差しを俺に向けて『そう、このまま、このままでいいさ。何があったのか話す気になれば顔を上げてくれるだろ?』白い歯を見せるだけで、そう伝えてくれる・・・まるでテレパシーみたいだね、チャーリー・・・5分ほど時をさかのぼるとしよう。俺はヨーコを店の手前の路上に待たせたまま、チャーリーの店のドアを開けた。そこには、いつものようにカウンターに一番近い席のイスを店の入口方向、正確に言うと、年代物のスピーカーから届く音が丁度いい具合に聴こえる位置に置いて座り足を組んでいる。そうしておいて、毎日開店前にかけることにしている「SWING TO BOP」に身を任せ、靴の爪先でリズムを刻む、懐かしいチャーリーがいた。「チャーリー・・・」呼びかける声に「邪魔して悪いけど」と想いを込めるのは『親しき中にも礼儀あり』だし、音を愛する者として当たり前のこと。それが伝わらないチャーリーではない。チャーリーの目が開いた。「やあ、勇一・・久しぶりじゃないか」白い歯を見せて手招きをしてくれる(この世界でもチャーリーは変わらず、優しい)何だか胸の奥が熱くなってきた・・・「何をしている?こっちへおいで・・・おや、今日はひとりなのかい?喧嘩でもしたのかな・・・おっと、余計なことを言うのは年のせいだな、悪く思わないでくれ」ますます熱いものがこみ上げてくる。ヨーコならきっと泣いてしまうよチャーリー・・・「ネオンサイン、点けてもいいかいチャーリー」チャーリーは、不思議そうな顔をするとポケットから懐中時計を取り出した。「オープンまで、あと15分あるが・・・訳ありだね、いいよ点けなさい」「すまない、ありがとう」「何を謝る?おかしな子だ・・早くヨーコを呼んであげなさい」すっかりバレている・・・相変わらず隠し事なんて出来ない。勇一は、大げさに肩をすぼめてからカウンターの中に入った。ネオンサインを点けるとき、チャーリーと目が合った。「レコード針を上げておいてくれないか」俺は、しかめっ面してたと思う、チャーリーの意図が読めなかったからだ。「勘だよ・今日は店を開けてる場合じゃない、そんな勘がするんだよ」お手上げだ、俺は両手を腰に当てて顔を横に振った。チャーリーが大きな声を立てて笑い、そこへヨーコが飛び込んできて、そのまま、目の前の光景が続いている。今日は、好きな曲というより心動かされた曲です。ブルーノートたっぷりのクラプトンのナンバーを探していたのですが、この曲に心をつかまれてしまったようです。というのもこの曲はクラプトンが最愛の息子さんを亡くした絶望の淵から脱して歌い上げている曲なのです。実は私の従弟が今年の春に急逝し、その時の叔父夫婦の嘆き様とクラプトンの歌う姿が、人もケースも全く別の世界のできごとではありますが、僕の中でダブり、今日、掲載しています。決してただ暗い、嘆いてばかりではない曲です。MrMoonligttさん、Upして頂き、有難うございました。いつも応援ポチを有難うございます。今日もよろしくお願いします♪
2016.08.23
コメント(0)

ある夏の日に Hope-2久しぶりに声を弾ませている、勇一とヨーコ♪せーの!「CHARLIE! チャーリー!」あまりの嬉しさに2人は声を合わせて叫んでいた!そして同時に走り出した!懐かしいジャズハウス「CHARLIE」に向かって!だが!・・・? そう、勇一とヨーコの毎日には、それも一日に一度や二度では済まないほどの頻度で、「だが」と「?」が付きまとう。まず、ヨーコの足が止まった。気づいた勇一の足も止まる。 「どうした?」振り向いた勇一は、怪訝な顔でヨーコの顔をのぞいた。「中身も本物かなぁ?」「中身って?」「お店の見た目は本物・・・少なくてもこの世界ではね・・・」「それって、まさか・・・」勇一は、さっと「CHARLIE」を振り返ると、ヨーコに視線を戻した。「あの中に、チャーリーは居るの?そして、元気なの?」何をバカな事を、行ってみりゃわかるだろ!とは言えなかった。(ヨーコは今、親父さんのことを思い出してるんだよな・・・もし、あの店に、チャーリーが居なかったら。と言うより、万が一最悪の事態が起きていたら・・・耐えられないだろう、今のヨーコには)勇一は、ヨーコの肩に出来る限りの優しさを込めて、手を置いて言った。「俺が先に見てくる・・・ほら、俺は男だからよ、大丈夫だから・・お前の心配は外れてるさ、きっと。・・・!ネオンサインが合図だ!」「なに?ネオンサインが合図って?」「鈍いなぁ、だからチャーリーがモノホンでピンピンしてたら、合図にCHARLIEのネオンサインを点灯するって・・・」「フン!分かったから行って!」(いいぞ、その調子だ。そんだけ強がり言えりゃあ大丈夫だ)勇一は、精いっぱいの笑顔を作って言った。「そこにいろよ、ヨーコ」ヨーコは何も言わず、大きく頷いた。今日の好きな曲は、SWING TO BOP (1941) by「 Charlie Christian 」です。ここにUpするのは二度目ですが、何度聴いても素晴らしい!75年も昔にこんなすごいギタリストがいたなんて、ビックリです! wilson mcphert,thanks for up!いつも応援ポチを有難うございます。今日もよろしくお願いしますね♪
2016.08.07
コメント(2)
全2件 (2件中 1-2件目)
1