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2010年11月14日

ネアンデルタール人はヨーロッパ人と混血したのか

テーマ： ☆　ひ・と・り・言　☆　(14632)

カテゴリ：生活、家族、仕事

ネアンデルタール人の正体

　ホモ・サピエンスと異なる系統であり混血は不可能とされていた、ネアンデルタール人。

　2010年5月7日の『サイエンス』にマックス・プランク研究所などによる、アフリカを出たホモ・サピエンスが10万～5万年前の間に中東でネアンデルタール人と混血していたという論文が掲載された。

　1991年イタリアとオーストラリアの国境に近いアルプス山中で発見された5千年前、新石器時代の男、「アイスマン」。

　ミトコンドリアDNA解析を行ったところ、現代ヨーロッパ人と同じK1グループに属するものではあったが、K1グループの中の3種の遺伝系統のどれとも共通ではなかった。

　研究チームのマーティン・リチャーズ英リーズ大学教授は、「アイスマン」は現代ヨーロッパ人にはない未発見のK1系統樹に属する人種である可能性が高いと分析した。

　ネアンデルタール人と関係あったりするのだろうか？　

　昔々教わった知識では、ネアンデルタール人は旧人とされ、途切れた種。

　縄文時代が狩猟採集生活の小集団から、稲作も行って、大規模集落をなしていたことが遺跡から判明したように、考古学からくる歴史像は更新される。

　ネアンデルタール人がどこに行ってしまったのか、知ってどうなることでもないが、人類の祖先に関する興味は尽きない。

☆1908年南フランスで発見！☆ネアンデルタール人の頭蓋骨模型

生まれたばかりの赤ちゃんの脳はネアンデルタール人とほぼ一緒

　人類はいかにして人類になったのか？
　人類（学名：ホモ・サピエンス・サピエンス）進化については諸説あり、人類学と考古学の間では意見が対立しているという。
　とくにネアンデルタール人の研究においては、議論の的になっているようだ。

　最新の研究で、ネアンデルタール人と人類の間に、決定的な違いがあることが明らかになった。
　それによると、両者の新生児の脳には、ほとんど違いが見られないという。
　その後の成長過程で、脳の発育に大きな違いが現れるようである。

　かつて、「ネアンデルタール人は人類の祖先」という説が存在していた。
　だがDNAの解析結果で、両者の遺伝子に大きな違いが発見され、それ以来別種であるという認識が通説となっていたのである。
　ところが今年5月、アメリカ科学技術振興協会の発行する科学誌「サイエンス」に、現生の人類には「ネアンデルタール人のものと見られる遺伝子が混入している可能性がある」との論文が掲載され、科学者らは再び困惑する羽目になったのだ。
　1度は決着を見た人類とネアンデルタール人の関係は、再度ふりだしに戻ったのである。

　ドイツの進化人類学者のマックス・プランク博士は、最近の研究で、その謎に新たな光を投じている。
　博士は両者の脳を比較し、成長の過程で大きな違いが生まれることを発見した。

　実は脳の容量は、人類よりもネアンデルタール人の方が大きい。
　しかしながらその形状は異なり、丸い頭をした人類と比べ、ネアンデルタール人は後頭部が長く出っ張っている。
　この頭の形状の違いに着目した博士は、ネアンデルタール人の新生児の頭蓋骨を詳しく調べ、成長のどの段階で人類との差異が見られるのか調査したのだ。

　その結果、生まれてすぐの両者の新生児にはほとんど違いがないことがわかった。
　しかし1歳になるまでの間に、人類の赤ちゃんは丸い頭に変化していくことを突き止めた。
　このことから、それぞれの種の間には出生後にもっともも大きな違いが現れ、成長するに従って、脳は全く違う機能を備えていくことが明らかとなったのである。

　この事実だけでは、直接人類の祖先解明には結びつかないのだが、今後の研究の手掛かりになるに違いない。
　研究結果についてマックス博士は、「今回の研究で2つの大きな成果を得た。1つは、人類とネアンデルタール人の脳の発達パターンの違いについて発見できた。そしてもう1つは、人類にネアンデルタール人の遺伝子が含まれていることについて、ヒントを与えるはずである」と、語っている。
　さらに研究が進み、人類の歴史が真に解明されることを願おう。