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γγγγ イザミ・地球に行く(25)γγγγ トマソン大統領は、ゆっくりと一同の顔を見回しました。「遅れて申し訳ない、昨夜、アラスカのロケット生産工場で小さな火災がありボントスの部下、ワイヤレントは事故がサボタージュならば、大きな罰を与えると言ってきました。スタッフと事故の原因とこれからの予防策を話し合い、海底人側に返事をしたところです。今回は大ごとにならないで済んだが抜本的な解決策を考えないと、いつなんどき奴らに攻撃されるかもしれない。その打ち合わせで遅くなった、すまない。クリサーラの隣にいる長身の少年がオリバーだね、もっと近くに来てくれないか、他の諸君は床に横になってくつろいでほしい」 クリサーラとオリバーが大統領のそばに移動します。「詳しいことは、昨夜、クリサーラから聴いた。君が異星人でその姿も本来のものから人間に変えたのもね。この地球が君たちライヤ人の住むのに適している星かどうかを調べに来たが、君は上層部の許可を取らず勝手に来たから、これから多くの問題が持ち上がるだろうとの話も聞いた。まず、地球の大気がライヤ人に適しているならば君は、急いで母星のアルタレス星に帰らなければならない。それとアルタレス星を離れている間に、君の仲間が他の天体に視察団を送り、ひょっとしたらここよりも最適な星を見つけたかもしれないよ。どちらにしてもオリバーは早急に帰還する準備をして出発しなければならない。我々も全力で手伝う。その理由はまだ未知数だが、海底人ボントスは人類を対等の生き物として共存共栄を考えていないということだ。それはもし、この星に移住することを決めた場合のライヤ人にも当てはまる。我々、人類を奴隷として扱うならばそれなりの抵抗をする。ただしクリサーラから聞いた話では、オリバー自身は、すでに仲間として付き合っているので、彼は信用して良いと言われた。私は彼女に友人として絶対の信頼を置いているから、それを信じる。ここまでは、いいかなオリバー」 端正な顔の白人男性になっているオリバーは、大統領へ慈愛の表情を浮かべました。「やはり人類にもあなたのような聡明な方はいたのですね。母星にいたときに学んだ地球人は、思慮が浅く粗野で知能が遅れた生き物でした。トマソン大統領、僕はライヤ人を代表していないから、ここで約束はできませんが、人類と共存していくのは可能だと思います」「人間はしょっちゅう無益な戦争をして多くの人々を殺して来た。わずか数年前までロシアという軍事大国が小国を襲い、理不尽な要求を突き付けたのだ。ロシアは原油ガスなどを大量に産出し、それをバッグに近隣諸国だけでなく輸出する国までもコントロールしようとした。力のある国が小国をじゅうりんし思いのままに扱う。人類が粗野で知能が遅れていると、異星人に思われても・・その通りだと思う。だがロシアの件はその時の大統領が突然、病死したので軍隊を引き揚げ以前のような、平和を取り戻した。それもいつまで続くのかと心配していた矢先に今度は、地底人や海底人が地表に進出、人間同士の闘いを中断して一致団結、敵と闘い現在に至っている。そんなとき、異星人のオリバーが現れて、まだ未定だが地球への移住を考えているという。オリバー、私の意見はただ一つだけです。それは人類を奴隷のように扱い自分たち種族だけの繁栄を目的とするならば断固として反対する。しかし私たちと交流を深め、お互いの平和と繁栄を目的とするなら、私は賛成し出来るだけの便宜を与えるだろう。それにこの星、地球を汚し続けたことを人類は恥じている。海底人に脅かされたのをきっかけに海の汚染防止と浄化活動を行っているが、それが手遅れだかどうかは解らない。だが、新しく来る生命体にも環境汚染には十分に配慮してもらう・・・・」 つづく
2022/07/31
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ИИИ イザミ・地球に行く(24)ИИИ 9分20秒後にハンバーグや色鮮やかな中華のケータリングがドサッと配達されると、動物たちは歓声を上げて食べ物に食らいつきます。クリサーラとオリバーはその様子を見て笑顔になります。オリバーが尋ねました。「地球の生き物って、食べ物に愛着心を持っていますね。こんなに幸せそうに食べるなんて、観ているだけでも楽しいですよ」「ライヤ人はあまり食事に興味がないのですか」「一日一食、高蛋白質の食事をゼリー状にして食べるだけです。決まった食事時間はないが、起きて3時間以内に済ませるから、大勢で一緒に食事をする習慣はないのです。だからあんなに和気あいあいと食べているのを観るのは、初めてですよ」「生物は食欲、生殖、睡眠が本能として遺伝子に組み込まれていますが、ライヤ人はその中の2つは重要視していないようですね。残る睡眠はいかがですか」「脳を使う頻度によって睡眠時間は変化するようです。僕も1日、3時間から5時間は寝ています」 クリサーラとオリバーが小さい声で話しこんでいる最中、居間で食事をしていた動物たち、腹が一杯になり笑顔で雑談をしていますが、リスのドールちゃんなどは、こっくりと居眠りタイムに入っています。それを見つめていたクリサーラがほほえみを浮かべました。「オリバー、この連中はここを気に入ったようですよ。このまま泊まるようになったら困るでしょう」「いいえ、僕はいっこうに構いません。どうせ明日、ホワイトハウスへ行くのならみんな一緒に行けばいいでしょう」「あなたがおあいそではなく、本音で言っているのが解ります」 クリサーラはカメぱっぱに状況を伝え、このままここに居座る動物と引き上げる動物に分けさせました。それの途中で少しだけオリバーの脳を覗いて見ると、珍しく笑い声を上げます。それは、居座るのが小動物だけならば良いのですが、4mもの赤膚族ザビエスなんかが残ったら嫌だなと思っていたのです。オリバーの気持ちが通じたのか、ザビエスは自分のねぐらに帰ると言い出すと、ほっとしてソファに座った様子を見て笑ったのです。 次の日、昼過ぎにホワイトハウス大会議室に集まった面々は、まずデルフミュームとザビエスの赤膚族2人、生田緑地の動物たち、澤登夫婦に桐山清十郎、クリサーラとオリバーは中央の椅子に座っていました。午前中にきゅうきょ開いた安全保障会議が延びた分、やや遅れて入室する49代大統領ジェームス・トマソンはゆっくりと、一同の顔を見回しました。 つづく
2022/07/27
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ζζζζζ イザミ・地球に行く(23)ζζζζζ「クリサーラさん、僕も同意見です。しかしそれがまだ、知的生命体の大部分に浸透していないのも事実です。力で相手を威嚇し組み伏せる、地球人に限らず他の天体にいる異星人も争いごとは起こっています。それも小競り合いだけでなく星間同士の戦争へとエスカレートする場合もあるのです。僕が知っている事実でも3つの大きな闘いがありました」「その結果はどうなりましたか?」「3つの惑星のうち2つは双方とも消滅しました。残りの1つも途中で闘いを止めましたが、国中の建物やドームは崩壊し修復が不可能な状態で大きな傷跡を残したのです」「闘いが起これば、両方に勝者はいない上、土壌は荒らされ多くの動植物が影響を受けます。あなた方ライヤ人の歴史をたどれば、そのような無益な闘いがあって大気を汚して、住むのが適さない星にしたかもしれませんね。イザミ、そろそろ本題に入りましょうか。まず、この地球がライヤ人に住むのか適する星かどうかは、2日あれば答えはでます。その後、人間たちのスタッフに会ってあなたを母星に帰す方法を考えます。海底人が設計した宇宙船は、アラスカという場所で大量生産しています。その船を一艘盗んで、あなたが改造すればそれほど時間をかけないで完成するでしょう」「僕が要求する素材や部品を揃えてくれれば、約2ヶ月で船は作れます」「空気成分の他に食料事情を調べなくて平気ですか」「ライヤ人は高蛋白質の食べ物を自給自足し、他は食べないのでこの星から食材の調達はしません。水はどの星に行っても飲めるよう、強力な濾過装置と微量のミネラルや必須アミノ酸を混入するものを持っています」「飲料水と食べ物は問題がなさそうなので、安心しました。他に要求するものがあれば教えてください」「もし上層部の判断で地球への移住が決まれば、地球人の指導者と話し合いをするでしょうが、詳しいことは僕には解りません」 ザビエスがクリサーラに頭を下げます。「クリサーラさま、オリバーのような異星人が現れると、海底人のボントスはどのような反応をするとお考えですか」「彼にすれば太陽系宇宙以外から来た異星人の知能や知識、科学が人類よりもはるか上で、自分たち海底人たちも及ばないとなると、ライヤ人を取り込み利用しようとするでしょうね。火星での基地建設の協力依頼をして、あわよくば異星人の先端技術も教えてもらう作戦を立てるかもしれません。オリバー、明日の昼頃に大統領と会う約束を取りますから、それまでに人間たちへ要求する物を整理してください」 軽くうなずいたオリバー、自分の左手首に向かって話し始めました。 つづく
2022/07/22
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жжжж イザミ・地球に行く(22)жжжж オリバー(イザミ)は自分の親友を相手にゆずる気持ちになり、笑顔を浮かべ左手首のチーフを外します。それをクリサーラへ差し出しました。「どうぞ、マジカとお話下さい。あなたなら言葉にしなくても通じるでしょうから」 それを受け取ったクリサーラは自分の細い首筋に巻き付けます。クリサーラがマジカと話すスピードは、ここにいる動物たちの会話の20倍で進みました。その間、他の動物はてんでばらばらに近くのものと、雑談しています。それではクリサーラとマジカの会話内容を要約しましょう。 まずアルタレス星の大気状況とライヤ人が安定して生活できる空気成分を訊き出し、地球の大気が適するのか相談します。次に海底人ボントスの地表における動静と、ニューヨークやワシントンDCでの動きを簡潔に説明しました。ボントス自身はほとんど海底王国にいて、地上には彼の忠実な部下2人が指揮をするのが、当たり前になっているのも追加します。 先ほどザビエスもいったように、海底人が新しい惑星を探査するための目的は、より良い大気成分を持つか、湿度の高い星を見つけ移住するための第一歩だという、クリサーラの意見にAIのマジカも納得し賛同しました。 話の後半になるとマジカもクリサーラのキャラに魅了され、体育系の後輩が憧れの先輩に接するような口調になります。そんなマジカへクリサーラは、軽い冗談を言います。「マジカのように賢いAIならば、イザミから離れてもどこでも引っ張りだこで喜ばれるから、このまま地球に落ち着くのも悪くないでしょうね」「クリサーラさん、地球人の言葉で恩義とか仁義がありますよね。私は自分で移動出来ない分、私を相棒のように扱うイザミを見捨てません。彼はややおっちょこちょいで独断専行の面はあるけど、私にとってただ一人の友達兼、兄弟なのです。例えイザミがライヤ人の上層部と衝突して干されても私は彼に就きますよ。その結果、私自身がAIとしての寿命を失ってもね・・・なんかクリサーラさんと話していると、本音で話せるから楽しいな」「あら、あなたの親友イザミがこっちを睨んでいますよ。彼の悪口を話していると早やとちりしているのかも。そろそろ声を出して会話しましょうか」 マジカとの会話が周囲にいる動物たちにも聴こえるよう、クリサーラは声を張り上げました。「それではボントスが人類を大勢動員して、火星へ基地を作り、自分を中心に限られた海底人だけで新天地を求め、そこへコロニーを作るのが目的でしょう。希望する星がこの太陽系宇宙にないのも知っているので、火星から打ち上げる探査ロケットで調査するのです。その結果、理想の星が見つかれば、それほど地球に未練はないでしょうから、第二の別荘地程度で利用するかも知れません」 イザミがゆっくりとクリサーラに近づくと首筋に巻いたチーフを外します。「マジカはやはり僕以外の人には、似合いませんね」 笑顔になったイザミは自分の左手首にチーフを撒きました。「あとでクリサーラさんとの会話を教えてね、ところで海底人のボントスが地球を見捨てるときが来れば、海中を含む環境汚染をそのままにして、人類へ嫌がらせをしませんか。これまでの人間が地球を汚し放題にした罰として」 クリサーラはイザミを見つめます。「その可能性はありますね。地底人のブッチャ―同様、ボントスも人間が繰り返し行った戦争で他の動植物を絶滅に追い込んだ責任などを傍観していました。しかしいつかはそれに気づいて地球規模で汚染を取り除くと信じていたのです。それが21世紀にもなって、ようやく重い腰を上げる様子に今までの怒りが爆発したのでしょう。その気持ちは、少しは理解します。その怒りが力で人類を抑えつけ、意のままにしようとしたのです。それは結局、自分たちが軽蔑し下に見ていた人類と同じ行動をとりました。極限の知的生命体は、暴力で相手を打ちのめすのではなく、論理的思考で双方が納得することです。オリバーは、この考えに賛同しますか」 ワシントンDCの郊外にあるオリバーの邸宅に集まった動物たち、寝そべっているもの、雑談をしているものがそろそろ腹を空かしてきて、キッチンの方を眺めています。 つづく
2022/07/17
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ΞΞΞΞ イザミ・地球に行く(21)ΞΞΞΞ ガマのビッグはカメぱっぱのお皿を座布団代わりにして、座っています。「オリバー、イザミよりも言いやすいからワシはオリバーにするゲロゲロ。海底人といっても一枚岩ではなくてな、現在、ボントスという王様が実権を握り、人類に様々な命令を発しているが、彼のやり方に反対する皇女、エリーゼと海底王国のインフラを管理、運営しているAIの『マザー』が人間側の味方になっているのじゃグッアグッア。オリバーは地球へ来る前に学習したから知っているだろうが、海底人の前に地底人、赤膚族のメルトン・ブッチャーが主な国とその都市を占領したのだゲーロゲーロ。それをブッチャーの兄貴、デルフミュームさんと、ここにいる白肌族女王、クリサーラさんの活躍で、ブッチャーを第三地下層にある岩牢に押しこめた。だがそれをボントスがすぐに解放してしまった。フゥーゲロゲロゲロ、ここまでは、いいかなオリバー」「はい、ここ数年間、地球がどうなったのか、おおよその流れは理解しているので・・逆に、僕の方から質問していいですか」「オリバー、ここにこれだけの動物がいるのじゃ、難しいのは別としてなんでも答えられるぞゲーロゲーロ」「まずブッチャーが地上侵略した目的は、自分たち種族の人口が減るのを防ぎ、人類をモルモットにして出生率を上げるためでしたが、海底人、ボントスの目的がなんであるのか解りますか。月面と火星に基地を作り太陽系以外に進出するのはなぜか?」 それまでオリバーの顔を見つめていた多くの動物たち、ふと一斉にあらぬ方向へ顔を向けます。ビッグが指摘した難しい質問が最初からきたので、オリバーの視線から身を隠しました。それまで大きな体を縮ませて床に横になっていたザビエスがオリバーの方に首を上げます「海底人にとって地表の環境は、それほど適していないのかもな。彼らはまず空気が乾燥するのを嫌う。ホワイトハウスの会談にわざわざ海底から強力な加湿器を運んだくらいだ。ところでアンタも今は人間の形をしているが、もとの姿がどんなものか教えてくれないかな」 オリバーは、ぶっきらぼうに話す地底人になぜか親近感を覚えます。「本当のことを言うと、みんな、ひっくり返るよ」「俺もご覧の通り、皮膚が岩石で身長も4m近くある。地球人の尺度では決してハンサムとは言えないがね」「ハンサムの定義はよく知らないが、僕の顔はのっぺら坊で目は線で描いたように細いし、鼻筋もほとんど隆起していないよ。身長は約2m、ひょろっとした細長い身体でね、地球へ来る前に顔と体は大幅に代えたからね」「手術は細胞をいじくるレベルだから、メスを入れた訳ではないよな」「全身がすっぽりと入るカプセルの中で、約20種類の波長が違う光線レーザーを使い、細胞そのものを変化させる手術だからメスは使わない。地球人の顔、姿の設計図を入力してあるから、30分くらいで終わったよ」「地底人や海底人の科学よりもかなり進んでいるな。オリバーのさっきの質問だが、ボントスは海底人に適した星を見つけるのが最大目標だと思う。大気成分と環境状況が彼らの死活問題とすれば、地球脱出を急いでいる理由にはなるな」「太陽系宇宙の外から来たボクなら、おおよそのデータ、生命体が住むのに適している星がどこにあるのか、教えてあげられるのに」「ライヤ人が生活できる星は、オリバーの近くにはないのか」「みんな一長一短あって、大気成分が良くても温度が摂氏マイナス180℃とかね。それで地球へ来たの」「ボントスに接近し奴らと取引するのもひとつの考えだな。オリバー、海底人と手を組むなよ、そうすると俺たちの敵になるぞ」「ザビエス、それはこれから会う人間界のボス、ここの大統領やクリサーラさん、そしてここにいる皆さんの協力でどうにでもなりますよ」 ザビエスがクリサーラに向かって大きく手を広げました。「クリサーラさま、この異星人は我々を脅迫しています。どうか、頭の中をゴシゴシかきむっしてくれませんか」 笑顔でクリサーラが応えます。「オリバーは海底人の身勝手な要求を十分に知っています。力で相手を抑えつけようとすれば、その反動はその力の数倍になるのです。かといって地球人と無条件で手を組む必要もありません。オリバーの考えはただ一つ。自分の種族が住むのに適した星を見つけ、それを母星に報告すれば今回の目的は達するでしょう。あなたがたライヤ人が理想とする大気成分を教えてくれればすぐに答えはでます。その前にオリバーの手首に巻き付いているマジカに直接話しかけて構いませんか。地球の詳しい空気成分のデータを送付しますから」 一瞬、ちゅうちょしたオリバー、クリサーラが卓越した能力の持ち主であるのを思い出し、味方になれば大きな力になると判断しました。 つづく
2022/07/13
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ΨΨΨΨ イザミ・地球に行く(20)ΨΨΨΨクリサーラとオリバー(イザミ)との会話は続きます。「人口知能と量子コンピュータが一体になり、人間の脳に匹敵する能力があれば、アンドロイドへ移植すると、人間などは凌駕しますね。あなたの星ではライヤ人よりもアンドロイド型ロボットの数が多いでしょう。単純労働だけでなく知的労働のほとんども任せていますね」「クリサーラさん、あなたの考察力は素晴らしい。私たちライヤ人は労働する必要がないので、各自がアートやオリジナリティーを追求し、自分だけのアイデンティティーを確立しようとしています」「ところでオリバーはいくつになりますか」「アルタレス星では14歳ですが、地球人が考える大人の概念は12歳からなので子供ではありませんよ。人間だと多分、30歳位の経験値と思考能力だと思いますが」「ライヤ人の平均寿命っていくつくらいか解りますか」「270歳程度です。約10年くらい前には軽く300歳を超していたが、最近は300歳過ぎの者は少なくなりました。その理由の一つに大気成分が悪化して地球でいう酸素のようなものが、極端に少なくなってきました」「平均寿命が短くなった他の訳とは」「言いずらいのですが・・・総人口の10%以下に値するランクAの支配階級層が、それ以下の人口を制御しようとしているからです。私たちは統計に基づいた出生システムを取り入れ工場生産をしていますが、A級のみを増やせば競争原理が崩れ、必然的に寿命も短命になるのです」「・・・オリバー、いえ、イザミは過去に1回A級への進級テストに落ちて、この地球が新天地に適するとのデータを持って帰れば、高等会議所が無試験で自分を昇級させると判断したのですね」「どうして、そこまで、僕は心の中にバリケードを張って、あなたが脳に入り込まないようにしたのに・・どうして」「まだその程度のバリヤ―では不十分です。イザミ、この地球にライヤ人が移住できる条件は、まず海底人を排除するか、手出しをしないような環境を作らないと困難です。もしあなた方がこの地球に宇宙船で飛来すれば、当然、海底人は撃ち落とすでしょう。それを防御するだけの兵器があれば話は別ですが」「海底人が持つ重力制御装置なら、私たちは恐れません。ライヤ人の最新兵器は7キロ先の目標物を一瞬で消し去る光線集約砲で、彼らのものとは比較になりません」「光は直進し障害物があれば、そこで途切れますが」「私たちの科学は光が物にぶつかっても、それを迂回して真っすぐに進むような装置を開発したのです」「その光線砲はレーザーのようなものですか」「光の筋を束ねて威力を増大させる考えは同じです。しかしそれよりも強力で半導体レーザーを改良しマイクロ波を集約したのです。光は直進するのが当たり前で、物にぶつかれば消滅するのを、マイクロ波に回転を与えることで突き当たっても先に進みます。ただし何回か障害物に当たれば威力が衰えるので効力持続距離は約7キロです・・・」 オリバーがまだ説明を続けようとすると、ガマのビッグが止めました。「兵器の性能をこれ以上訊いても、しょうがないわいゲロゲロゲーロ」 つづく
2022/07/08
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δδδδδ イザミ・地球に行く(19)δδδδδ 4時57分、ワシントンDCにあるオリバー邸の広いリビングには大勢の生き物がくつろいでいる。カメぱっぱとガマのビッグ、タヌキのポンポンチッチ、リスのドールとリンゾウ、リンゾウがドールのそばに行くとドールは、猫のヨシコの背中に逃げ出す。それをにこやかに見ているカッポウギンコ。 ハクビシンの新之助に犬のゴロータ、壁際の調度品を隣の部屋に移動し、広いスペースを確保して床に横になっている赤膚族のザビエス、それに白肌族女王クリサーラはソファー中央に座っていた。今回、二本足(人間)は海底人からの急な要請でその対応に追われ誰も参加していないが、クリサーラが今夜、オリバーとの会談内容をトマソン大統領に伝えることになっている。 異星人のオリバーは初めて生で見る動物たちに興奮したが、口を開くといずれもフレンドリーで気兼ねなく話すので安心した。アルタレス星では経験したことがない友人と素直に喋るという雰囲気を異星で味わっている。雑談がてらの話もそろそろ佳境に入ったところでクリサーラがオリバーへ尋ねた。「オリバー、私は動物の脳に侵入し、その考えを探ることができます。先ほどから話している途中、あなたは頭の中で誰かに質問しているのが4回ほどありました。たしかその相手をマジカと呼んでいますね。ぜひその方を紹介してくれませんか」 オリバーは目の前にいる小柄な女性が人間と違い、計り知れない能力と知能を持っているのに驚いていたが、まさか超能力まであるとは。 自分の考えが読まれてしまうなら、これからは脳にシャッターを降ろしてブロックすることにしよう。知的生命体が進化すると、テレパシーだけでなく相手の脳に入り込み読み取ることが出来る上に、入って来る念波をブロックする術を知っているのだ。赤膚族のメルトン・ブッチャーやデルフミューム、クリサーラなどがそのわざを使えたが、同じ種族でも使えない者の方が圧倒的に多かった。なおライヤ人でも使えるのは全体の約2割であるが、上位のAランクとは限っていない。イザミ(オリバー)がAIのマジカと会話出来るのは、心の中でつぶやけば応えてくれるので重宝している。 クリサーラに嘘は通用しないのを承知したオリバー、顔を向けた。「僕の手首に巻いているチーフの中にAIチップがあります。マジカといって僕の友人です。地球へ乗って来たオンボロ宇宙船はもう役に立たないので海中深く沈めましたが、そのときの船に設置されていたAIです。どういう訳か気が合い、こうやって行動を共にしているのです」「AIと量子コンピュータがドッキングした『マザー』という素晴らしい友を知っていますが、その本体は海底王国の中にあります。それに大きさは巨大なものですが、・・あなたのマジカはそんなに小さくて軽いのですね」「私たちライヤ人も当初は、ホストコンピュータと接続されたAIが主流でしたが改良を重ねチップ化に成功しました。最初はCPU演算能力、1秒間に300万回の浮動小数点演算ができる速度を・・・たしか地球人は3メガフロップスとしているが、その速度を1秒間で約41.5京回(兆の上の京は10の16乗の数値)にするには、たいして時間は掛かりませんでした。現在マジカは京の1000倍以上のスピード、演算能力があります。人の言葉を理解して会話をするには、その程度は必要です。自分で考えるだけでなく感情を表現するにはまだ改善する余地があるのです・・」 つづく
2022/07/04
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