『福島の歴史物語」

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2012.04.01
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カテゴリ: 街 こおりやま

 古代、蝦夷(えみし)は蝦夷地(北海道)から出雲(島根県)にかけての広い範囲で生活していたそうです。それが大和に追われて北上して行ったと考えられていますから、東北地方においての蝦夷と大和の境界は、東西に連なる線が南から北へと平均的に押し上げられて行ったと想像してもよいと思います。ところが阿武隈川の隈の字に境の意味があることから、川の西は大和、東は蝦夷との境界であったという話があるのです。とは言え阿武隈川は南から北へ流れることでその流域を東西に分けているのですから、蝦夷と大和は阿武隈川を挟んで東西に存在したという不思議な話になってしまいます。

 日本書紀に『まつろわぬ鬼神』という表現があります。鬼は天皇に仇をなす辺境の蛮族だというのです。すると鬼は蝦夷を表現していたと想像してもよいと思われます。また鬼の他にも、日和田町の蛇骨地蔵伝説などに出てくる大蛇なども蝦夷を表現していたと考えてもいいのかも知れません。そこで私は鬼という単語に着目してみました。するとこの阿武隈川境界の話を補足するかのように、郡山周辺には鬼や蝦夷の付く地名や遺跡そして大蛇伝説などが多いのです。ここから想像できることは、阿武隈川周辺は蝦夷(鬼)の棲んでいた所であったのではないかということです。その一端を書き出して見ます。

  阿武隈川東部 (武の国?)

田村市大越町『鬼穴』『鬼五郎』
 〃 滝根町『蛇内』
 〃 船引町『鬼久保』『蛇石』
田村郡小野町『鬼石』』
 〃 三春町『蛇石』
郡山市田村町 『大蛇神社』『鬼越』
 〃 西田町 『鬼生田』『鬼久保』
二本松市   『安達ヶ原の鬼婆』
いわき市川前町『鬼の城山』

  阿武隈川西部 (阿の国?)

郡山市安積町  『蛇石』『蛇食』
 〃 熱海町  『鬼池』
 〃 逢瀬町河内『鬼株』
 〃 逢瀬町多田野『鬼兜』『鬼ヶ城』『西鬼ヶ城』『東鬼ヶ城』
       『鬼ヶ坂』『蛇沢』『浄土松の大蛇伝説』
 〃 逢瀬町夏出『鬼ヶ平』
 〃 大槻町 『蝦夷坦』
 〃 片平町 『鬼渡神社』『鬼池』『蛇光』『北蛇光』『西蛇光』
       『上蛇間々』『下蛇間々』
 〃 湖南町 『鬼渡神社』『鬼渡館』『鬼の洞窟』『鬼沼』
       『鬼沼山』
 〃 日和田町『蛇ヶ森』『蝦夷穴横穴古墳群』
       『蛇骨地蔵の大蛇伝説』
 〃 富久山町『蛇石』『蛇池』『蛇石山』
須賀川市   『蝦夷穴』『鬼久保』『蝦夷穴古墳』
二本松市   『鬼神坂』『鬼瓦』『蛇石』『蛇石山』『蛇塚』
       『蛇淵』『蛇ヶ淵』『蛇淵』『蛇砥石』
       『安達ヶ原鬼婆伝説』   

 これを調べていて、阿武隈川の西にも結構鬼の付く地名が多いことに気がつき疑問に思いましたが、阿武隈川の東は大和が蝦夷を討った跡、西は蝦夷が帰順した跡と考えたらどうかと考えました。それはともかくとして、鬼が住んでいたので鬼穴(達谷窟・たっこくのいわや・とも)と呼ばれる滝根町の洞窟や大滝根山でさえ『あぶくま鍾乳洞』などの開発で観光地化してしまい、現在はその片鱗さえも消されてしまいました。




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最終更新日  2012.04.01 10:10:13
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