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日曜日から、二泊三日という短い間でしたが、所用で横浜の実家に帰っていました。教習所さえなければ、もっとゆっくり滞在して、遊びまくりたいところなのですが…ここはガマンのしどころ。とはいえ、せっかくの機会なので、限られた時間でちょこちょことお出かけも楽しみました。まず、初日の夜。両親と夕食時に話をしていて、ひょんなことから六本木ヒルズのイルミネーションを見に行こう!という話になりました。すでに9時近かったのですが、11時までは点灯しているということで、首都高を飛ばしてけやき坂へ。 イルミネーションのテーマは「SNOW&BLUE」ということで、青い光の粒と、東京タワーのオレンジ色のコントラストが、とってもきれいでした。あと、これでもか!というほど煌々と輝く、ルイ・ヴィトンのショーウィンドーも(笑)周囲からは年齢層がだいぶ浮いていましたが、大喜びの両親と、イデーのカフェでお茶して帰宅しました。翌日は、少し早めに家を出て、学生時代の親友と渋谷で会いました。目的は、彼女がお気に入りという「VIRON」というパン屋さん(ブーランジェリー、と言った方がふさわしいかな?)。フランスの製粉会社と契約して、本場の味が楽しめるというこのお店。1階がパンやお菓子の売り場、2階が飲食スペースになっていて、午前中は朝食のセットがいただけるのです。 籠に盛られたバゲットやクロワッサン、そしてデニッシュ系のパンに、6種類のジャムの瓶とラベイユの蜂蜜、チョコレートクリームがドン!と供されます。これに飲み物がついて、1200円。彼女も私も大のパン好きで、PAULだ、メゾンカイザーだ、ヴィゴの店だと…と、ご贔屓のパン屋さん情報を交換する仲でした。そんな私達にとって、これ以上ないうれしい朝食なのですが、ちょっとボリュームがありすぎて、最後はややもてあまし気味に。幸い、食べきれなかったパンは袋に包んでもらえました。アパレル系の仕事をしていて、お昼から職場に向かう彼女と別れ、地下鉄で銀座エリアへ。物欲が旺盛な私には、ショーウィンドーが並ぶ街は、歩いているだけでも十分楽しい空間です。有楽町から、丸の内まで足を伸ばして、最近オープンしたという「丸の内オアゾ」をぐるっとチェックしてきました。丸善のブックショップの充実ぶりに、思わず時間が経つのを忘れてしまいました。それにしても、引越しをしてから1年で、様々な変貌を遂げている東京に「浦島太郎」気分。このスピード感はすごいなあと思います。プラプラとそぞろ歩きを楽しんでいる私と違い、用事のある人の足取りは皆さんセカセカと速くて、あぁ、街が忙しく動いているなあ…という空気を実感したのでした。
2004.11.30
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夏に実家に帰ったとき、よく行く近所のお蕎麦屋さんで、奥さんが「今、ヨン様にはまってるのよ!」と、うれしそうに話してくれました。私、ちょっと笑い出しそうになってしまった…というのは、二年前のワールドカップの頃、その奥さん「ベッカム様が大好きなの!携帯の待受もベッカム様よ!」と、全く同じ表情でうれしそうに語っていたので…。今週は、「ヨン様来日!」の報道が毎日賑やかですね。「おばさんたちの心の恋人」みたいな取り上げられ方が多いようですが、三十代の私の友人たちも、韓流に夢中な人がたくさんいます。(それは、もう私たちの世代もおばさん、ということ…?)実は、最初に「冬のソナタ」がBSで放送されたとき、ある友人から「うちは夫婦で大好きなのよ!絶対に見て、必ずはまるから」と勧められ、二回ほど見てみました。しかし、ペ・ヨンジュンさんの風貌は、私の好みからは決定的にはずれていたのと、途中から見たのでは設定がチンプンカンプンだったことで、(ぜんぜん面白くない…)と感じてしまったのが運の尽き?一般常識として、韓国の四天王の名前くらいは知っていますが、どうも韓流ブームに乗り切れないまま、今に至っています。でも、「近くて遠い国」と評されることも多かった韓国と日本の距離が、文化の面のアプローチで近くなっていくのは素晴らしいこと。数年前は、岩井俊二監督の映画「ラブレター」が、韓国で大ブームになったそうですし。日本は、マスコミがブームを過熱させるというか、何かが流行りはじめると、メディアが一斉に取り上げて、あっという間に忘れていく風潮がありますね。食いついて、浪費して、飽きたら捨てて…ちょっとハゲタカみたいなところがあると思います。ワイドショーもCMもバラエティも、韓流スター花盛りの昨今。このブームは、果たして一過性のもので終わるのか、どうか。ヨン様の清潔感あふれる笑顔と、それに夢中になっている女性たちを見ていると、叙情的なものやロマンチックなものが、いかに日本から消えてしまっていたか。それを無意識のうちに求めていた人が、どれだけ多かったか…ということを、考えさせられます。今は「オールドボーイ」が話題になっているようですが、韓国映画の勢いも、すごいものがありますね。ドラマは全くピンと来なかった私ですが、韓国の映画は以前から時々目にしていました。「シュリ」がヒットしたあたりから、韓国の映画はなかなかだぞ、という意識が日本に定着したような気がします。私が特に大好きな韓国映画は、下記の二作です。「八月のクリスマス」不治の病を背負った写真館主の恋を、淡々と静かなタッチで描いた作品。「シュリ」で主演したハン・ソッキュの演技が素晴らしかったです。「おばあちゃんの家」去年、公開された当時岩波ホールに観に行って、劇場の看板の「いつだって、山の向こうで待ってるよ」というコピーを見ただけで泣いてしまった。夏休みを、祖父母の住む田舎で過ごした経験を持つ私には、色々な思い出がよみがえってきて、上映中涙が止まらない一本でした。
2004.11.27
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仮免許を取得して、いよいよ今日は路上教習デビューを果たしました。気分は、井戸から大海に放り出される蛙です。しかも、学科教習をはさんで、今日だけで3時間も技能…また、私の通っている自動車学校では、昼間のコースに通っている人も、1時間は夜間の路上教習をしなければいけません。その予約も今日に入っている(第一段階同様、スケジュールは学校の方で組んでくれた)ため、文字どおり「朝から晩まで」教習所で過ごす一日です。はじめて、教習所のコースをはずれ、車両の出入り口から一般道に出ようとしたら、いきなり横から自転車がピューッ。徐行していたのですぐにブレーキを踏みましたが、所内の練習との違いを思い知る、強烈な洗礼でした。このままバックして帰りたいよ~と思ったほどでしたが、そんな訳にもいかず、泣く泣くスタート。教習所の中では、直線コースで指定速度40キロというのが最高速度でした。それすら怖くて、なかなかアクセルが踏み込めなかったのに、いきなり見通しのいい国道を60キロで走らなければなりません。初めての経験で、安定した速度で走らなきゃ、とメーターを見るのに必死。もっと見なければいけないものは色々あるはずなのに…。でも、夫がアドバイスしてくれたとおり、狭い教習所の中では怖いと思っていた速度が、一般道ではあまり抵抗を感じることなく出せました。田舎のことゆえ、コースの中には、人も車もほとんど居ない一本道が多いのも安心でした(コースが簡単なのは、最初のうちだけらしいですが)。夜間教習の時間帯になると、所内は学校帰りの高校生で大変にぎやかです。当然、路上のコースへも2台、3台と教習車が連なって出て行くことになります。昼間のクリアな景色とは、全然印象の違う夜の道。光だけが目立って、ものの輪郭がわからない…ということが、運転してみると何とも心もとないもの。私の前を走っていた教習車も、不安なのか、指定速度をかなり下回る慎重な運転です。でも、ただでさえ帰宅の車で混雑する時間帯。ある交差点を右折するのに、渋滞のため信号を2回待って、いよいよ…となったのですが、最徐行で曲がるその車について回っているうちに、もう信号が変わりそうになっていました。私達の後ろにいた車の人たち、さぞイライラしたことでしょう・・・。教官も、「あれは遅すぎ。人に迷惑をかけない運転とは何か、それをちゃんと考えないとダメなんだよ」とオカンムリ。私も、恐怖感が先に立ってアクセルを踏むのに躊躇するタイプなので、反面教師とさせていただかなくては…と反省しました。ところで、柳葉&哀川の「一世風靡セピア」コンビが出ている、カロッツェリア「楽ナビ」のCM、最高ですね。♪ソイヤ、ソイヤ!懐かしいなぁ。あんな二人が助手席に乗っていたら絶対イヤだけど…(笑)初めての路上体験で、ドライバーになる自分を今まで以上に実感できた一日でした。
2004.11.26
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やっと、隣の市の小さな映画館で上映が始まったと知り、はるばる出かけて見てきました。カンヌ映画祭で、主演の柳楽優弥くんが史上最年少(そして、日本人初)の最優秀主演男優賞を受賞したことで、話題になった映画です。この映画の題材になっている、「西巣鴨子供4人置き去り事件」がニュースになった時のことを、覚えています。たしか、TVでもこの事件をモチーフにした二時間ドラマが放映されていました。母親を大竹しのぶさんが演じていたように記憶しています。出生届も出されておらず、学校に行ったこともない4人の子ども達が、突然姿を消して「好きな人」のところへ行ってしまった母親に取り残され、2DKのアパートで、彼らだけの力で生きていく…その日々を描いた、小さな物語。最初のシーンの、柳楽くんの姿を一目見た瞬間、胸をギュッとつかまれたような衝撃が走りました。この少年に、一体どんなドラマがあったのだろう?と、ストーリーの予備知識がなかったとしても、観る側の目を惹きつけずにはいられない、ものすごい存在感に圧倒されました。ファーストシーンの彼の行為が、いったい何を意味するものだったか。終盤にそれが明かされる頃には、すっかり映画の世界に取り込まれてしまいました。出てくる5人の子役たち、どの子も本当に素晴らしかった。母親に捨てられて、最低限の生活を迫られながらも、ラーメンのカップの植木鉢で、雑草の種を大きくしようとする子ども達。大人の世界からは締め出されてしまった彼らが、それでも自分より小さな、弱い命を慈しむ姿が、見終わった後も忘れられない。でも、もし、自分のそばにああいう子ども達が生きていたとして、その時私はどんな風に彼らに手を伸ばせるだろう?と、考えてしまいました。こういう繊細なタッチの作品は、暗闇の中のスクリーンで見たほうが全然いいですね。今日は一人で観てしまったけれど、夫を誘って二人で見終わった後に色々話したかったな…と後悔しました。ちなみにこの映画、パンフレットも充実していて、冒頭の谷川俊太郎さんの「『誰も知らない』によせて」という詩がすばらしい。スチール写真もいい感じだなーと思ったら、ベストセラー「世界の中心で、愛を叫ぶ」のカバー写真を撮った川内倫子さんでした。とにかく、できるだけ多くの人に観てほしい映画だと思います。【今日観た映画】「誰も知らない」公式サイト是枝裕和監督 公式サイトゴンチチのサウンドトラックは秀逸。柳楽くんをフィーチャーしたメイキングのDVDが発売される模様。
2004.11.25
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今日からいよいよ、教程も第二段階に入りました。しかし、緊張の路上教習デビューは、次回に持ち越し。今日は、5時限すべてが学科教習ということで、ちょっと気楽な気持ちで出かけました。運転しないなら、スカートにブーツでもいいかな?と思ったのですが、悩んだ末にいつものジーンズとスニーカーで登校。これが、大当たり!学科と言っても、本日のカリキュラムは午前中が応急救命処置の勉強。午後はタイヤ交換やチェーン装着と、まるっきり実習モードの一日だったのです。スカートなんかはいていたら、大変なことになるところでした。救命処置は、前半は講義、後半は実際に人形を使って、人工呼吸や心臓マッサージのやり方を勉強しました。このお人形さん、機械が内臓されていて、正しく気道が確保されているか、きちんと心臓の位置をマッサージしているか…、すべて、お腹から出ているパネルに表示されるようになっています。私、実は、NHKで放映されているアメリカのドラマ「ER~緊急救命室~」の長年のファン。舞台が病院の救命病棟なので、毎回事故に遭った患者が担ぎこまれ、命を救うために全力で戦う医師の姿が描かれるのですが、今日は人形の胸を押しながら、自分がERのお医者さんになったような気分でした。「酸素飽和度は?バイタルを計って!」なんて、心の中でセリフを真似てみたりして…。しかし、実際にやってみると、正しいとされるリズムでマッサージをするのも、口からの人口呼吸で肺に空気を送り込むのも、なかなか正確に行うのは難しく、かつ体力を使うものです。3時間にわたる講習が終わったときにはグッタリでしたが、教官が「自分が起こした事故じゃなくても、助けを求められたら、どうぞ逃げずに行ってあげてください。命はなくしたら取り返しのつかないものですから」…と最後に言われたのは、胸に残りました。ちなみに、午後のタイヤ交換の部では、ジャッキで車を持ち上げるのに人の3倍時間がかかってしまい(一生懸命がんばったつもりだったんですが…)、結局、細かい作業はペアを組んだ男の子がすべてササッと片付けてくれました。…一人のときは、パンクは絶対させないように気をつけよう、と心に誓いました。路上に出て、自主経路を設定するための地図も配られ、さすがに実地に即した訓練が増えてきました。さて、これからどうなることやら?【私のお気に入り海外ドラマ】ジョージ・クルーニー演ずる「小児科のロス先生」が一番好きなキャラクターだったのだけれど、第五シーズンで降板。その後も主要なキャストが続々交代して、寂しい限り…見続けていると、無駄に医学用語に詳しくなるという半端な副作用があります(笑)海外ドラマといえば、もう一つのお気に入り「Sex and the City」の最終シーズンがDVD化されました。主演のサラ・J・パーカーがプロモーションで来日しましたね。今朝、「とくダネ!」でデイブ・スペクターがインタビューしていましたが、ドラマで演じた役以上に、とてもチャーミングな感じの人でうれしかったです。こちらは、公式ガイドブック「Kiss and tell」。
2004.11.24
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今日わが家は、二人で小さなお祝いパーティをいたしました。祝い事は、もちろん私の仮免合格なのですが、なぜパーティになったか?と言えば、美味しい食材が手に入ったからです。近くに住む夫の同僚の方から、思わぬお土産をいただきました。三重県の、「伊賀の里 手づくりモクモクファーム」というところで売られている、出来たての「生ウィンナー」!生の、つまり腸詰にされたばかりのウィンナーに触るのは、初めてです。これがもう、何と言ったらいいか…食べるよりつまんでいたい、と一瞬思ってしまったくらい、気持ちのいい「ぷにぃ」とした触感。 しかし、食べ物をおもちゃにしてはいけません。早速、表示通りに調理してみました。お鍋にたっぷりとお湯を沸かして茹でるのですが、このお湯は75℃程度で沸騰させてはいけないとのこと。温度計がないので、目で見極めて…弱火で15分ボイルして、出来上がりです。出来たての温かいところを、マスタードをたっぷり添えていただきました。皮がパリっとした歯ごたえで、中から美味しい肉汁があふれてきます。既製のウィンナーよりやわらかくて、大変おいしいお味でした。くるみパンとチーズ、そしてスーパーで買ってきたボジョレー・ヌーボーを開けて、祝杯をあげたというわけです。調べてみると、モクモクファームのハムやソーセージは、国際食肉見本市で16もの金メダルを取っているのだとか。園内で、ハムやソーセージの手づくり体験も出来るらしく、「次は自分たちで行ってみよう!!」と燃えてしまった私たちでした。【手づくりのスローフードが自慢】伊賀の里 手づくりモクモクファーム 楽天市場「モクモクファーム 地ビール・手づくりハム・ソーセージ」
2004.11.23
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今日は、第一段階修了検定の日でした。技能検定、適性試験、仮免許学科試験の3つをクリアすれば、仮免許の交付が受けられます。風邪で教習のペースがだいぶ間延びしたので、とにかく技能検定が一番不安でした。いつもの教習時間より1時間早く、9時に説明が行われる教室に集合。胃のあたりがすくむような感覚で、おそるおそるドアを開けた瞬間、ビックリして足が止まりました。なんと、教室の中にいるのは、全員が制服姿の高校生!でも、今日は月曜日で学校のある日でしょう?まだ期末テストには早いはず…もしかして場所を間違えた?などなど、いろいろな考えが頭の中をグルグル。しかし、間違いでも何でもなく、タイムスリップしたかのように高校生たちと席を並べて座りました。時間になったら、私の他に数名、私服の人が来てちょっと安心したのですが…。なお、休み時間にちょっと聞いてみたら、修了検定は平日しか行われないので、学校が特別に休みを許可してくれるのだそうです。驚きましたが、免許がないと就職も難しい土地柄なので、ここでは当然の感覚なのかもしれません。そんな訳で、技能検定は後部座席にミニの制服を来たお嬢さんを載せてのドライブとなりました。道は間違えないか、S字やクランクで路肩へ落っこちないか、左右確認はちゃんとできるか…不安で頭を一杯にしていたら、また性懲りもなくやってしまった…サイドブレーキ入れたまま、発進しようとして焦る私。もう、自分で自分が情けないやらおかしいやら?逆にふっきれたのか、何とか大きなミスをしないで合格することが出来ました。「もうちょっと、安定した運転をしてくださいね」という厳しいコメントつきではありましたが、これからも上達を目指すのでご勘弁を!というところです。まずは一安心!視力検査等の適性試験を終え、お昼休みにコンピューターの自主学習で学科のおさらいをし、午後はマークシートで試験です。30分で50問の学科問題に回答。答案用紙が回収された後、「10分休憩します。その後、この場で合格発表です」とのこと。休憩って言われても、気持ちの休まりようが…。周囲の高校生が、「○○は△△でいいよね?」「俺、××だと思ってたけど違った?」などなど、声高に会話するのを聞きながら、教本をめくって速攻答え合わせ。手ごたえありかな?と思ったとおり、無事に合格することが出来ました!1ケ月前に自動車学校へ入校してから、何とかたどり着いた最初の節目です。励ましのコメントをいただいた多くの方に、本当に勇気づけられました。これからいよいよ路上デビュー。「走る凶器にならないようにね」などと、ありがたい忠告をくれた友人もいますが、ちゃんと一人前の運転が出来るようになるまで、またコツコツがんばろうと思います。いくつになっても「合格」って言葉を聞くのは、うれしいものですね。
2004.11.22
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いつか、さりげなく着物でお出かけが出来るようになりたい…と思うようになって、もう何年たったことやら。忙しさにかまけて、着付けの勉強すら始められないままなのだけれど、憧れは消えません。群ようこさんのこの本も、ずっと読みたいと思っていて、図書館で見つけてすぐに借りてきました。ところが、最初の方で、筆者と小唄のお稽古仲間であるエッセイストの青木奈緒さんとの「今ね、三十代の若い女の人がブランドに飽きちゃって、『ちょっときものでも着ようかしら』っていう風潮になっているでしょう。あれってちょっとねえ」「そうよね!あんたたちは繰りまわしとか、染め替えとか、知っているのかっていいたいわよね。きものというものは本来、そういうものですもんね!」という鼻息の荒い会話が出て来て、「申し訳ありませーん!」と私はぺしゃんこになってしまいました。しかし、(言い訳がましいけど)私の場合は、着物に興味を持ち始めたきっかけは「おしゃれがしたい」というのとはちょっと違うのです。数年前、実家が建て直しをすることになり、祖父母の遺品の大々的な整理が行われたのですが、その際、桐の箪笥の中から、祖母が若いころに着ていたと思われる古い着物と帯が数枚出てきました。祖母は、生きていれば今年89歳。当然、着物はすべて昭和初期のものと思われましたが、その大胆なデザインに、私も母もカルチャーショックを受けました。例えば、白地の袋帯に、鮮やかなエンゼルフィッシュの刺繍がでかでかとしてあったり、色合いの微妙に異なる矢羽が組み合わされていたり…昔の人のファッション感覚って、こんなに斬新だったのか!と、目からウロコが落ちる思いでした。明らかに、私が「着物の装い」とイメージしていた、大人しいものとは違っていたのです。祖母も、戦中を生き抜いた多くの女性同様に、大切な着物をお米や野菜に代えて子どもを育てた人でした。その苦労話をよく聞かされていただけに、どうしても手放したくなかった大事なものばかりがここに残されていたんだろう…と、涙が出ました。でも、残念ながら、祖母の着物を残された私たちは、箪笥の中にしまっておくしか出来なかったのです。家族の中では誰も、自分一人で着付けられる者はいないので…自分の国の、世界に誇るべき民族衣装なのに、なんと嘆かわしいことよ。と、わが身を恥じたのが「いつかは着物…」と思うようになったきっかけでした。しかし、十代の頃から着物を着慣れているはずの群ようこさんですら、「1年365日きもので過ごす」という試みは大変な苦労を伴うものだったということがよくわかりました。日常着に着物を取り入れている方の日記を、楽天広場でもよくチェックしますが、皆さんすごいんだなぁ…と、今はまだまだ感嘆するばかりです。でも、自分の中に流れているはずの「日本の女のDNA」を信じて、いつの日か、未だ埋もれたままの祖母の着物で街に出ていきたいなあと思っています。そうそう、夫は周囲から「歌舞伎系の顔」とよく言われていて(面長でツリ目なので、写楽の絵みたいなのです)、夏に浴衣を着るとなかなか似合うのです。いかり肩で、浴衣姿も今ひとつ女らしくなれない私よりよほど(笑)いつかは夫婦で、着物デートなんていうのも素敵かなぁ。【今日読んだ本】群ようこ きもの365日
2004.11.21
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「この映画、プロモーションのやり方間違ってるよねー?」…映画館を後にして、私と夫が異口同音に語った最初の感想が、これ。上映終了も間近と知って、シネコンのレイトショーに足を運んできました。ウォン・カーウァイ監督の前作「花様年華」は、フリーページでも紹介していますが、何度見ても飽きないお気に入りの一本です。「2046」は、その「花様年華」の後日談という設定なのですが、「キムタクがカンヌに行った、あのSF映画!!」という勘違いをした人も多かったのでは?そして、その勘違いのまま映画館に足を運んだら、まず裏切られた思いがするに違いない…というのが、冒頭に書いた私たちの、大変おせっかいな感想でした。60年代の香港を舞台に、偶然のいたずらで出会い、想いが芽生え、ふくらみ、しかし実らず散っていく恋の顛末を、限られた空間の中で描く。そのスタイルは前作からも引き継がれていて、さらに重層的に、濃密に、トニー・レオン演ずる主人公と女たち(コン・リー、チャン・ツィイー、フェイ・ウォンといった豪華絢爛な女優の競演!)の物語が紡がれていきます。映画の中では脇役の一人に過ぎない木村拓哉さん。「月9」的演技が鼻につく!という人もいるかもしれませんが、叶えられなかった恋に傷ついた主人公の、心の痛みを象徴するような役割を、体ごとぶつかって表現したという印象です。それより何より、口元にヒゲをたくわえ「アジアのクラーク・ゲーブル」とでも言いたくなるような、トニー・レオンがやっぱり素敵!女にはひたすら優しくて、でもその優しさが女心をいつしか傷つけていく…そんな、正統派の色男を、見事に演じきっていました。ウォン・カーウァイの映画を見ていると、人間や物の「質感」が手に取るように伝わってきます。ビーズやスパンコールで飾られたチャイナドレス、アンティークのジュエリー、10cmはあるピンヒールのパンプス、真っ赤な口紅とマニキュア、刺繍のマクラカバー、細身の背広、万年筆など…人間と同じくらい、「モノ」が強い印象を残すのは、この監督ちょっとフェチ系の人なのかしら?なんて思いました。前作で主演のマギー・チャン(今回も特別出演!)の、60年代スタイルがあまりに良かったので、色々な女優さんにその装いをさせてみたくなった、なんてことはないでしょうが…。【真似してみたい、“2046”的ファッションアイテム】*チャイナドレスには、イヤリングやブローチがよく似合っていた。指輪は手袋の上からつける。*足を捻挫しそうなヒールは、大人の女の証拠…?寒い日は毛皮のショールをはおる。真っ赤なネイルはお約束!夫は「この人の映画って、いつも“ちょっと余計に長い”と思っちゃうんだよね」と言いながらも、面白かったようです。誰かに恋をするとき、人は自分の心の奥をイヤでも覗き込むことになる。その甘美な痛みを、独特の映像世界で見事に表現した作品だと思います。大好きな一本になりそうです。
2004.11.20
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以前の会社の同僚からメールが来て、今日は会社が終わったあと、アフター6パスポートでディズニーシーへ行って来る…と、楽しそうな報告が書いてありました。11月の夜の舞浜は、もう相当寒いだろうなと思うけれど、そういえばクリスマスイベントがもう始まっている季節なのですね。東京で新婚生活を始めた時、私達夫婦は、湾岸の埋立てエリアのマンションで暮らしていました。23区内とはいえ、千葉県はすぐそこ、といったロケーション。贅沢なことに、東京ディズニーリゾートも車で30分かからないところに位置していました。…と言っても、子どものいないふたり暮しでは、ディズニーランドにはそんなに興味がなかったのです。ところが、舞浜の駅に近いところに「イクスピアリ」という商業エリアが出来てから、需要がグンと増えました。ショッピングや有名なレストランも魅力的でしたが、何より「AMCイクスピアリ」というシネコンが入っていたのが、主な理由です。夜、車をアンバサダーホテルの側の駐車場に停めて、「モンスーンカフェ」のアジアンフードか、「KUA AINA」のアボカドがたっぷり入ったハンバーガーで腹ごしらえをし、デザートにジェラートを食べて、レイトショーで映画を見て帰る…というお出かけのパターンが、月に1度はあったでしょうか。(映画を見ると、駐車券が3時間分サービスされるので、このコースがちょうどおさまりがよかったのです・笑)何がいいって、とにかくそのシネコンはいつも空いていた!そりゃ、ディズニーリゾートに来て映画を見て帰る人は圧倒的な少数派かもしれませんが…。ポップコーンを食べる音が少々うるさく響いても気にならない、人気の映画も必ず座れる、穴場的な存在でした。楽天市場を利用するようになって、まだ日の浅い私ですが、その「イクスピアリ」が楽天に出店しているのを発見した時にはビックリしました。イクスピアリ オンラインショップ西日本に移り住んで、もうディズニーリゾートとは当分お別れ?と思っていたのに、あの思い出のジェラートを自宅で味わえる手段があるとは。本当に便利な世の中になったものだわ、と、すっかり年老いた気分で思うのであります。ちなみに、この「フォルッティ・ジェレッタ」では、私は紅茶、夫はバナナのフレーバーがお気に入りでした。焼菓子が美味しいピエール・エルメや、チョコアイスもおいてあるゴディバなど、スイーツ系が充実していたり、ティファニーやスタージュエリーの大きなショップがあったりと、イクスピアリは今思えばなかなか楽しい空間でした。帰りがけに、地下の成城石井で食材を買って帰ることも出来ましたし。ランド&シーとはまた違う、欲しがり屋さんにとっての「夢の王国」と言えるかもしれません。それにしても、夜のパレード見物で風邪をひいていないかな?同僚たちがうらやましいながらも、少し心配です。イクスピアリ公式HP
2004.11.19
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雨が降る肌寒い昼下がり、予定もないけど家事に励む気もおきない…そんな時に、マグカップにたっぷりココアを作って読むのにちょうどいい。大橋歩さんの本は、私にとってそういう存在です。画文エッセイというのか、イラストと文字が離れがたく調和している文章といえば、今は太田垣晴子さんがその代表ですね。大橋歩さんのエッセイ本は、そのパターンの元祖といえばいいでしょうか。4ページほどの短いエッセイと、添えられたカラフルな水彩のイラストのバランスが心地よくて、何度読んでも飽きません。時折出てくるご主人の描写も、仲睦まじい感じが伝わってきて、わたし達夫婦もこんな風に年を重ねられたら…と憧れたり。イラストレーターの草分け的存在として、数十年にわたってトップランナーの位置に居続け、一方で妻・母の役割も勤めてきた人だから、その言葉にはハッとさせられる重みもあって、背筋がピンとなることもあります。「日本の子どもはおしゃれをさせると子供の顔が見えなくなる。かわいいとか美しいとかの見せ方、日本はまだ分かってないと思うこと多し」「おしゃれ上手は仕事上手よ。おしゃれしてるけど仕事が駄目な人は、本当はセンスが悪くておしゃれ下手なのだと私は思う。」…などなど。90年代の終りに幻冬舎から発行された「わたしの季節」は、衣食住についてのエッセイが中心。後年の「今日のわたし」では、六十代になって、すでに若い人と肩を並べては働けなくなっている自分、それでも老いと向き合いながらがんばっている自分を見つめたエッセイが多い。ちなみに、「今日のわたし」を、還暦を迎えた母にプレゼントしてみたら「この人、何だか自分のこと年寄り扱いしすぎてな~い?」と、ちょっとお気に召さなかった様子。でも、その後、大橋さんは企画・取材・編集をすべて自分でこなして「アルネ」という素敵な雑誌を刊行されました。「Ku:nel」「リンカラン」など、その後のライフスタイルに注目する雑誌の先駆けとも言っていいこの雑誌は、着実にファンを増やして大成功を収めています。自分の「美意識」を磨く努力を続けてきた人には、年齢なんて関係なく、いつでもホームランを打てる力がつくんだなぁ…と思います。【今日読んだ本】【楽天ブックス】今日のわたし
2004.11.18
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気管支炎の名残で、まだ咳が出る中、マスクをして久々の教習所へ行って来ました。体調を崩して思いもよらぬブランクが出来てしまい、ただでさえ車に乗るときは緊張するのに、今日はいつも以上に体がガチガチ!技能でつまづいて延長教習に入ってしまったものの、なんとか今日で、第一段階の課題をクリア。仮免取得の修了試験を受ける一歩手前の、みきわめまで来ました。ここで、教官のOKをもらえれば、第一段階のゴールももうすぐ…と思うと、ついつい力も入るというもの。それで、私、やらかしてしまいました。「準備が出来たら、発進してください」と言われ、慎重にブレーキから足を離してハンドルをきると…あれれ?動かない???焦る私に、教官が一言「レバーがPのままですよ。」ああ!シフトレバーを「D」に入れるのを忘れてた…!スタートで大失敗をしてしまい、頭にカッカと血が上っていく音が聞こえるようでした。その後も、「ちょっと左寄りすぎですよ」「ハンドル、力入り過ぎ!」などと次々に細かい指摘をされて、もう早く車を降りたい一心。はじめの意気込みなど吹っ飛んでしまいました。当然、その時間ではみきわめOKとはならず。1時間の休憩をはさんで再チャレンジしたら、直前の試練が実ったか?反省点を何とかカバー出来て、「修了検定がんばってね」のお言葉をいただくことができました。しかし、こんな状態で検定当日は何をしでかすことやら。極度の緊張状態で、最高のパフォーマンスを示すスポーツ選手のメンタリティを、心から尊敬してしまいます。
2004.11.16
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今朝のニュースで、紀宮さまのご婚約を知り、同学年の者として感慨深いものがありました。同い年の「サーヤ」だってまだ独身だもんね~焦らないわ、と常日頃言いながら、シングル生活を謳歌している女友達の顔が浮かんで、果たしてこのニュースは日本の非婚率を下げるだろうか?と思ったり。というのは今日の本題ではなく、NHKの大河ドラマ「新選組!」のお話です。いかにも三谷幸喜というテイストで、爽快な青春群像として描かれてきた彼らの物語も、史実の通り、最近は時代の潮流に逆行するような形で、一人、またひとりと仲間が命を落としています。今回は、多摩の小さな道場主だった頃から、近藤勇の側に仕えた井上源三郎が、鳥羽伏見の戦いで命を落とす物語。CGまで使った演出には、ちょっとやり過ぎ?の感想もありますが、小林隆さんの持ち味が、思いがけずドラマチックな人生を送る自分に、我ながら驚いている…そんな「源さん」を、見事に作り上げていたと思います。官軍の銃に刀で立ち向かって、あえなく死んでいく源さん。前回は、近藤局長も狙撃によって傷を負い、医者に「この傷が治る頃には、剣の時代は終わっているかもしれない」と言われています。先日見た映画「隠し剣 鬼の爪」でも、刀を精神的支柱として生きてきた侍が、鉄砲の時代にどう生きるか?という描写があったので、う~ん、ここでもそういう葛藤があったのか…と。もう、何度か再放送されているNHKスペシャル「映像の世紀」シリーズ。DVDも発売されているので、ご存知の方も多いと思います。20世紀の100年間を、残された貴重な映像記録を元にふりかえるこの番組。特に印象に残っているのが、第一次世界大戦を描いた第二集です。それまで、中世の騎士のように、甲冑をつけ馬にまたがって戦うことが「戦争」だったのに、兵器の技術革新によって、兵士の命の重みがどんどん軽くなっていく。その過程が、幕末に「侍」として生きたいと願いながらも、変わりゆく時代に翻弄されていく武士たちの姿に重なるのでした。この番組の最後は、この大戦について述べられた、ウィンストン・チャーチルの回顧録の一節で締めくくられています。~~~戦争から、きらめきと魔術的な美がついに奪い盗られてしまった。アレクサンダーやシーザーやナポレオンが、兵士たちと危険を分かち合いながら、馬で戦場を駆け巡り、帝国の運命を決する。そんなことはもうなくなった。これからの英雄は、安全で静かで、物憂い事務室にいて書記官たちに囲まれて座る。一方、何千という兵士たちが、電話一本で機械の力によって殺され息の根を止められる。これから先に起こる戦争は、女性や子供や一般市民全体を殺す事になるだろう。やがて、それぞれの国々は大規模で、限界のない、一度発動されたら制御不能となるような破壊の為のシステムを産み出すことになる。人類は、初めて自分たちを絶滅させることが出来る道具を手に入れた。これこそが、人類の栄光と苦労の全てが最後に到達した運命である。~~~ドラマが終わって、ニュース番組を見れば、今週激しい戦闘が繰り広げられたイラクの映像。2004年、人間は果たしてあの頃から進化を遂げたと言えるのでしょうか。
2004.11.14
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何度読んでも、その度に声をあげて泣いてしまう本があります。…と言っても、最近話題の「いま、会いにゆきます」や、ずいぶん前に話題の「世界の中心で、愛を叫ぶ」とは、ちょっと…いや、だいぶ趣きの違う本。だってこれ、4コマのギャグ漫画なのです。NHK「BSマンガ夜話」で、並み居る評論家や作家の方々が「とにかく泣ける!」と絶賛した翌日、Amazonの文庫売上第一位になったという、曰くつきの作品でもあります。私は、呉智英さんが何かの雑誌の書評欄で、これまた熱狂的な賞賛のコメントを書き連ねられているのを読んでから気になっておりました。手に入れた時、最後の10ページはティッシュの山を築きながら、ほんとうに嗚咽しながら読了しました。ただ、何がそんなに心をゆさぶるのかを、言葉で表現するのはとても難しくて、友達にもなかなか薦められずにいます。主人公は、定食屋で働くユキエと、その同居人で元ヤクザ、今はユキエの「ヒモ」…のイサオ。4コマ漫画のオチの大部分が、イサオの「ちゃぶ台がえし」で終わるパターン。本当に貧乏で、情けない二人の生活を中心に物語が進んでいき、後半、ユキエがこれまで歩んできた人生の物語が明かされていくところから、すごいドラマが展開されて行きます。まさか、この絵柄で、しかも4コマ漫画で、最後の1ページの最後の台詞が、あんな言葉で終わるなんて。読んだことのない人には、何がなにやら?な文章になってしまいましたが、読後は毎回、涙をぬぐいながらも、お腹の芯にどっしりとエネルギーが湧いてくるような作品です。何となく、毎日をただ生きるだけでも精一杯になってしまうような、心に余裕のない時に、手を伸ばしたくなる本なのでした。
2004.11.12
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この本、最近私の知人の間で、すさまじい勢いで読みつがれ、絶賛の嵐を浴びているのです。著者は、「空中ブランコ」で直木賞を受賞した記憶も新しい、奥田英朗さん。タイトル通り、高校卒業を機に名古屋から上京した主人公の男の子が、東京で過ごす日常を数年間にわたって断片的に描写した、短編の連作集です。「1980/12/9」「1978/4/4」「1989/11/10」この日付を見ただけでは、何のことだか?という印象ですが、それぞれ「ジョン・レノンが暗殺された日」「キャンディーズの解散コンサートがあった日」「ベルリンの壁が崩壊した日」と言われれば、ああそうか…と記憶が鮮やかによみがえる方も、多いと思います。そして、その時自分がどんな風に過ごしていたか、ということも。そんな風に、時代の中の大きなイベントを横目に見ながら、主人公の久雄が、ある時は予備校入学を前に上京したばかりだったり、ある時は大学の演劇部で青春を謳歌していたり、そして物語の終盤では、すでに崩壊の予兆を孕んだバブル景気の真っ只中で、広告業界に身を置きながら拝金主義の荒波にもまれていく姿が、そろぞれ味わいぶかい「ある日」の物語として、描き出されていきます。よく考えてみたら、メールで「俺も読んだ」「私も読んだ」「あれ、いいよね~!読んでないならおすすめ!」と興奮気味に語っているのは、主人公(昭和34年生まれの設定)とほぼ同年代の、会社の先輩たちでした。彼らよりほぼ十歳若い私にも、「聖子ちゃんの“青い珊瑚礁”」「深川通り魔殺人事件」「アルマーニのダブルのスーツを着た男たち」「松田優作の死」…などなど、わかりやすく時代の空気を思い出させてくれる記号によって、「あの頃」の気分を感じとることが出来、とても面白かった。でも、同時代に、いちばん感受性の豊かで、いちばん悩みも多くて、わけのわからない十代から二十代の人生を生きた人には、一味違う感慨を呼び起こす小説なのだと思います。ちなみに、著者の奥田氏は、今年で45歳だそうです。「東京物語」 奥田英朗著 集英社文庫実は、そのうち治るとタカをくくっていた風邪が、悪化して気管支炎にまでこじれてしまいました。通っている教習所では、あと一歩で第一段階終了というのに、お医者様から外出を控えるように言われ…幸か不幸か?自宅で「読書の秋」を楽しんでいます。でも、運転教本もちゃんと読まないと、せっかく覚えたことを忘れてしまいそうです…風邪気味のときは、早めにしっかり治さないといけませんね。
2004.11.11
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土曜日から日曜日にかけて、NHKが24時間の特別番組で、天災の被害に遭われた方々への支援企画を放送していました。冒頭、今年の相次ぐ自然災害をふり返る意味で、ニュース映像のVTRが放映されました。集中豪雨、猛暑、火山の噴火、台風、そして地震。人間の域をはるかに超えた、何かとてつもなく大きな力の「怒り」を感じざるを得ないような、今年の相次ぐ自然災害。「○○年ここに住んでいるけど、こんなことは初めてだ」…こんなインタビューを、TVで何度聞いたでしょうか。ニュース番組は、決定的な瞬間の映像を繰り返し使って流すものですが、NHKの取材班が撮った中で、私には忘れられない映像がありました。全村避難となった、山古志村の村民がヘリで一時帰村した折、あるおばあさんが、めちゃめちゃになった家の片付けに入る様子をカメラが追っていたのです。そのおばあさんにインタビューをした時なのでしょうか、おばあさんは周囲を見回し「三十数年、ありがとう」とつぶやいた後、顔を覆って、お腹の底から搾り出すような声で、ワーッと泣き出してしまったのでした。以前の日記にも書いたのですが、被災者の方々は、洪水の土地でも地震の新潟でも、静かな微笑を口元にたたえながら、おだやかに苦しみを口にされる方が多いので、心底打ちひしがれた様子のおばあさんが、戸口にもたれながらオイオイ泣いている姿に、胸をギュッと掴まれたような気がしました。おばあさんは、家の柱を撫でながら「さようなら」とつぶやいていました。NHKの番組では、地震の前の山古志村の様子も紹介されていましたが、棚田の広がる中を牛を曳いて歩く人々が行きかい、養殖のニシキゴイが宝石のように泳いでいて…こんな、こんな美しい村だったのか、と思うと、涙が出ました。あのおばあさんをはじめ、住んでいた方たちがどんな気持ちで避難のヘリに乗ったか、そして今、どんな気持ちで天然ダムの様子をニュースで見ているか。想像することしか出来ない立場ではありますが、せめて、その心の中を自分の痛みとして感じて、出来ることを形にして応援していかなければいけないと思います。【楽天ショップの支援企画も、色々あるようです】これ以外にもチャリティオークションの企画などがたくさんありました。義援金は、郵便局にいけば各窓口の振込先の一覧が掲示されているようです。
2004.11.09
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夫の会社は、月曜日がノー残業デーということになっています(一応ね)。終業時刻に会社を出てくれば、7時前には帰宅が可能とあって、時々夕食をすませた後、レイトショーの映画を見に行くことがあります。車で30分ほどのところに、大きなショッピングセンターがあって、その中にシネコンがあるのです。私、このシネコンというのが日本に登場し出した頃は、どうも遊園地のアトラクションの中で映画を見ているようで雰囲気が好きじゃなかった…。でも、平日の夜でも、買い物のついででも、思い立ったら映画を見に行ける、というのは本当にありがたいこと。今では度々、その恩恵に浴しています。今日の映画は、山田洋次監督・永瀬正敏主演の「隠し剣 鬼の爪」にしました。アカデミー賞の外国語映画部門にノミネートされた前作「たそがれ清兵衛」は、私も夫も大変感動した作品で、あのクオリティの映画を今回も見せてくれるだろうか?と期待大。見終わっての感想ですが、夫も私も、五つ星でいうなら「☆☆☆」というところでしょうか。藤沢周平作品の映画化で、庄内の下級藩士が主人公、そしてクライマックスは、その彼が心ならずも藩命を受けて赴く果し合い…と、「たそがれ清兵衛」に共通する点が多いので、どうしても前作と比べて見てしまい、採点が辛くなったかも?前作では、さすがにアクション俳優出身!と唸った、真田広之さんの武芸の迫力(とくに、果し合いに備えて素振りで鍛えるシーンはすごかった)に唸り、刀を手入れする際に、目釘を水で湿らせる、といった細かいディテールの描写に感心したのですが、永瀬クンの場合は、立居振舞いに「侍に見えるよう一生懸命練習しました」というのが透けてみえてしまうように思えました。下働きの女中として主人公に仕え、やがて彼の思慕の対象となる女性を演じる松たか子さんも、働き者の女中さんなのにごぼうのささがきをする手がどうもおぼつかなくて、気になりました。ただ、この映画のタイトルである「隠し剣 鬼の爪」が何であるか、それが物語の中でどのように登場していくのか、これについてはとっても面白かった!予備知識をほとんど持たずに見たので、後半の息詰まる展開には本当にひきこまれました。私は原作を読んでいないので、どのような脚色がされているのかわからないのですが、主人公の恋にまつわる描写は省いて、こちらのストーリーを主軸に描いてもよかったのでは?と思ったくらいです。幕末の、世の中が大きな変化を迎えようとしている中で、江戸から遠く離れたお城の侍たちが、彼らなりに新しい時代を受け入れようと奮闘する姿を、愛情を込めて描いている点は、前作同様すばらしいと感じました。見終わった後は、なんだかんだと言いながらも、清清しい物語に心が温かくなっているのを感じました。袴をはいて、腰に手をあてすり足で歩く・走るのが当たり前だったあの頃の侍には、手と足を交互に出して行進する、ということがとっても難しかったんだ!なんていうことも知ることが出来て、勉強になりました。藤沢作品の愛読者には、この映画はどんな評価を受けるのか?聞いてみたい気もします。今度、原作を読んでみたいと思っています。
2004.11.08
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風邪気味で体調を崩してしまい、教習所のペースを少しゆっくりとすることにしました。第一段階のみきわめももうすぐ、ということで、今は「ただ乗って車を動かせばいい」という段階から、運転のルールに則って「左右確認、コースは原則として左端走行、左折の時には巻き込み確認…」といった、細かい「お作法」が加わってきております。「ルームミラー確認、方向指示器オン、ドアミラー確認、目視して曲がる」という順番が、右or左折確認の正しいやり方、ということなのですが、ちゃんとハンドルを切るのさえ必死なのに、これだけのことをこなすのはなかなか労力のいることです。しかも、どう考えても、夫や私の友人たちは、運転中にそんなに忙しく作業しているとは思えない…と、ある時指導員の方に打ち明けてみたら「はい、僕も実際に運転するときはここまできちんとやりません。あくまでも教習所を卒業するためのルールと割り切ってください」と言われてしまいました。そんなわけで、所内の交差点を曲がる度に「ミラー、指示器、ドアミラー、目視」とつぶやきながら…その上、左右確認をする時は、隣の指導員にわかるように首をしっかり動かしなさい、と言われたので、もう髪をふり乱しながらブンブン頭を振り回しています。歌舞伎に、獅子の長い尾に見立てた鬘をぐるぐると振り回す、「鏡獅子」という舞踊がありますが、最近は左右確認する度に、そんな気分にとらわれます。考えてみれば、型を大切に、約束事どおりに…という「教習所スタイル」の運転って、なんだか踊りのお稽古に通じるようなものがあるみたいです。
2004.11.06
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夫は、HONDAの古いバイク(400cc)を、大切に大切に乗っています。天気のいい休みの日、(今日はどこかへお出かけしたら気持ちよさそう…)などと思いながら、朝ごはんの後片付けをしている時に「ちょっとバイク磨いてくる」と言われてしまったら最後。もう、お昼もそっちのけで3時間、4時間、駐車場に居座って動かない。当然、お出かけなど論外で、私は黙々と読書か、DVD鑑賞で一日過ごすことになるわけ。調子が悪くなったら、ネットにかじりついて日本中の部品屋さんを探さなければいけないほど、生産終了してから時間が経っているらしいこのバイク。そんなに手間がかかるなら、買い換えたらいいのに…というより、ほとんど乗る時間がないんだから手放してしまえばいいのに、というのが私の本音なのですが、そこはあえて口に出さないのが、円満のコツであります(笑)今日は珍しく、「バイクでどっか行こうか」という話になりました。とてもいいお天気で、でもこれ以上空気が冷たくなったら、タンデム(二人乗り)で走るのはしんどい。私にとっては、今年の乗り納めかな、という感じです。…といっても、今年数えて2~3回しか後ろに乗せてもらってないけど。大統領選のニュースを一通りチェックしてから、片道30分のツーリングで、お気に入りの一軒家のカフェに行きました。 このカフェ、お店の中はアンティークの家具でとても居心地よくしつらえてあって、紅茶も、飾り気のないケーキも美味しい。「Ku:nel」や「Arne」といった雑誌のバックナンバーがそろっていて、好きなだけ読んでのんびり出来るのも気に入っています。お隣のテーブルに、ラブラドール犬を連れたお客さんが来ました。人なつっこいワンちゃんで、夫の膝元に遊びに来て離れませんでした。学生時代、趣味や好みの問題ではなく、経済的な理由から、夫は中古の、今のものよりさらに年代物のバイクに乗っていました。時々、二人乗りで授業をサボって(!)、出かけたのも懐かしい思い出。バイクで風を体に受けていると、いつでもあの頃の気分に戻れるから不思議です。日暮れ前に家に帰ってきたら、まだ大統領選の結果は出ていない様子。ブッシュ優勢、の報に、ちょっと気分が暗くなる…9.11以降、アフガン空爆からイラク戦争に至るまで、私には、どうしてこの人そんなにまでして戦争がしたいんだろう?という風にしか見えなかったから。原理主義ってやっぱり恐ろしい、というより気持ちワルイ。それがイスラム教であろうとキリスト教であろうと変わりない。「自分とは異なる他者」を尊重できない人間には、どこか寒気のようなものを覚えてしまうのです。
2004.11.03
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教習車のハンドルを握っているとき、時々タイトルの言葉を思い出す。昔、美輪明宏さんのリサイタルに行ったときに聞いた言葉です。上手に生きる極意として、感情に揺さぶられすぎてはいけない。どんなに強い思いをもって事に当たるときでも、理性を失ってしまったら何もならない。「頭は熱く、心は冷たく」だったら犯罪者になってしまうし、頭も心も両方熱いか、冷たいかだったらこれも周囲にとっては迷惑この上ない…当時は仕事をしていたので、職場でトラブルに直面したり、困難な職務をクリアしなければいけない時など、よくこの言葉をおまじないのように唱えました。一見、「なんで私がこんな目に」と思うようなことでも、冷静に現状分析すれば必ず理由があり、100%ではなくても解決の糸口が見つかる、ということを教えてくれた言葉でした。これって、運転中の心得としても十分通用する言葉だと思うのですが、今の私にとってはなかなか実現が難しい…のも事実。実際に体を動かすことだけに、仕事の問題を解決するのと訳が違う。早く上達したいと心は熱くなるのですけど、頭の方にも血がのぼってしまい、前回は出来たことが出来なくなった…なんてこともしばしば。コツをつかむことが大切なのはわかっているのですが、焦るとやっぱりダメです。同じ時期に学科の教習を受けていた人が、仮免許をとって颯爽と路上研修に出ていくのを見送りながら、マイペースで、頭は冷たく…と自分に言い聞かせている私です。
2004.11.02
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WOWOWで、アメリカのドラマ「SEX AND THE CITY」(以下SATC)の再放送が始まった。毎日お昼の12時から、という放映時間は、タイトル通りの過激なシーン満載の内容だけに「いいのだろうか?」と思ってしまいますが…子どもは学校に行っている時間だから、いいのだろうか。サッカー好きな夫が、EURO2004(欧州選手権)を見たい!というので、今年の6月からWOWOWに加入しました。サッカーは1ケ月で閉幕しましたが、その頃、最終シーズンを迎えて全6シーズンを一挙放映していたSATCに、最初にハマったのが私。深夜の放映だったにも関らず、途中から夫と二人で、ゲラゲラ笑いながら見ていました。最初は、セックスや恋愛にまつわる女性の本音をテーマに、主人公と3人の女友達が繰り広げる、おしゃれでおバカなコメディだったのが、回を追うごとに恋愛大河ドラマとなっていき…。登場人物が、仕事や家族や、色々な人生の困難に向き合って乗り越えていく姿には、時に大泣きしてしまうこともありました。本国ではエミー賞を受賞しているのも納得です。仕事を持ち三十代でシングル、という4人の主要キャラクターの描き分けがとっても上手。そして、彼女達のライフスタイルやファッションも、見ていて本当に楽しいドラマでした。ちなみに私は、弁護士のミランダのファンです。タイトルの「THE CITY」とはもちろんニューヨークのことを指すのですが、事あるごとに「やっぱりこの街が好き、この街じゃなきゃ」と繰り返す主人公達が、東京の仕事をやめて夫の転勤先に来るまでの私の姿とだぶりました。新しく出来たお店があるとすぐに出かけて、何かにつけて女友達で集まってカフェでおしゃべり…ちょっと前までは、私にもあったそういうライフスタイル(だいぶスケールは違うけど)。気のおけない女友達と、とめどなくおしゃべりする機会は、今の私の日常にはありません。SATCは、そんな私に女友達と過ごす時間を疑似体験させてくれるドラマなのかも。何よりも郷愁を誘うのは、通りからタクシーをつかまえて移動する場面です(主人公達は誰も車を運転しない)。今、私が住んでいる土地は、ほとんどの大人は自分の車で移動するので、空車のタクシーを見かけることなんて、駅前のタクシー乗り場以外ではほとんどないのです。そういう事情もあって、今教習所でがんばっているわけですが…。そうそう、教習所といえば、学科教習では講義を聞いた後、おさらいでビデオ教材を見るのですが、そのビデオに東京都内がよく出てくるのです。「これは赤坂のあたりだ」「これは早稲田の路面電車だ」などなど、発見するたびに、その土地の美味しいお店などを思い出したりして。教習所で郷愁、なんて下手なシャレですし、何より授業中に集中力を乱してはいけませんね。
2004.11.01
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