偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2020.10.11
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カテゴリ: 銀輪万葉
​​ (​ 承前 ​)
​​​  唐崎神社を出て隣の緑地公園、唐崎苑に入る。
 此処には人麻呂の歌碑があった筈。

(湖岸緑地・唐崎苑)

(柿本人麻呂万葉歌碑)
 この歌碑である。
 前回訪れた時、と言っても9年も前のことになるが、この歌碑の写真をブログにアップしている。
<参考>​ 京都から唐崎へ(その5) ​ 2011.9.13.
ささなみの 志賀の 辛崎 からさき さき くあれど  大宮人の 船待ちかねつ
                     (柿本人麻呂 万葉集巻1-30)
​​ (ささなみの志賀の唐崎は無事で変わらないが、昔の大宮人の船をひたすら待ちかねている。)
 前頁記事で紹介した人麻呂の「近江荒都歌」の反歌の1首である。「昔の人にまたも逢はめやも」で、空しく待ち続けているだけで、寄せ来るものは白波と湖面を渡る風のみ。
 その時のブログ記事を見ると、この歌碑だけをブログに掲載しているが、現地にはもう2基、万葉歌碑があった。
 この2基については、前回は気づかなかったのか、それともその当時は存在しなかったのか、ヤカモチの記憶にはなく、今回が初対面のような気がする。

​(舎人吉年万葉歌碑)

​​​ やすみしし わご ​大王​ ( おほきみ ) の  ​大御船​ ( おほみふね ) ​​  待ちか恋ふらむ しがの唐崎
                      (
​舎人吉年​ ( とねりのよしとし )
 万葉集巻 2-152 ​​
​​

​​ ​​​(<やすみしし>我が大王の御船を、待ち焦がれていることであろうか、志賀の唐崎は。)
​​  この歌は、天智天皇の「大殯 (おほあらき) 」の時の歌2首のうちの1首である。
 「殯」 (「もがり」または「あらき」) とは、本葬の前に、仮に遺体を安置することである。 ​​
 他の1首は額田王の次の歌である。

​​​ かからむと かねて知りせば 大御船  ​泊​ ( ) てし ​泊​ ( とま ) りに  ​標​ ( しめ ) ​結​ ( ) はましを
                          (額田王 万葉集巻 2-151
​​

​​ (こんなことになると、あらかじめ知っていたなら、大君の御船が泊った湊にしめ縄を張って置きたかったのに。)
 舎人吉年も額田王も宮廷に仕える女官である。


(但馬皇女万葉歌碑)

​後​ ( おく ) ​居​ ( ) ​​ て 恋ひつつあらずは 追ひ ​及​ ( ) かむ 道の ​隈廻​ ( くまみ ) に  ​標​ ( しめ ) ​結​ ( ) ​吾背​ ( あがせ )
                         (但馬皇女 万葉集巻 2-115

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ (後にのこって恋しく思っているくらいなら、追いかけて行って追いつきたい。道の曲がり目ごとに、しるしを付けて置いて下さいな、あなた。)
 穂積皇子が志賀の山寺 (崇福寺) に遣わされた時に、彼を慕う但馬皇女が詠んだ歌であるが、二人の恋物語については、下記<参考>の記事をご参照下さい。
<参考>​ ふる雪はあはにな降りそ ​ 2011.12.25.
(注・余談)
 この参考記事についても、掲載写真13枚中、6枚が横倒しになって、歪んでしまっていることが発見されました。
 追って修正しますが、
何故、こういうことが頻発するのでしょう。楽天スタッフさんに照会して、この不具合を楽天側で修正できるものかどうか尋ねてみましょうかね。仏のヤカモチも少しばかり立腹して居ります(笑)。
 余談はここまで。
 本題に戻ります。

 唐崎苑を出て、北国海道 (西近江路) を北上。
 やがて路は分岐する。
 北国海道とお別れし、分岐右手の湖岸側の道を進む。
 家並が途切れた処では琵琶湖の景観が広がる。
 これを右手に眺めながら軽快にペダルを漕ぐ。
 風が心地よい。
われ~は う~みの~子 さす~ら~いの~♪ という気分(笑)。


(琵琶湖)
 山王鳥居と七本柳が見えて来た。
 坂本城址公園のようだ。

(山王鳥居、七本柳と三上山)
 山王鳥居の中央に三上山 (近江富士) がすっぽりとおさまっている。

(坂本城址公園入口)
 はい、坂本城址公園の入り口に到着です。
 入り口の「坂本城址」という石碑の前に、男性が次々と袋詰めしたゴミを運び込んで居られる。公園で出たゴミでもあるか。
 写真的には頂けない眺めであるが致し方なきこと。ゴミ袋の山が入らぬように石碑をアップで撮る。


(坂本城址の碑)
 公園に入って行くと、明智光秀の像などがあった。
 真新しいものである。
 何やらとってつけたような感じで、いささか白けた気分になるが、ブログ的にはこんなのもあった方がいいのかも・・とカメラを向ける。


(坂本城址公園の明智光秀像)

(同上・明智光秀歌碑)
​​  明智光秀が唐崎の松を詠んだという歌の碑もありました。
 その隣には、歌謡曲の歌碑も。
 大和の山の辺の道でも、水森ナントかいう女性歌手 (度忘れして名前が出てこない) のご当地ソング (曲名も思い出せない<笑>) の立派な歌碑を目にしましたが、最近は、この種の歌碑も多くなっているようです。 ​​


(鳥羽一郎の歌謡曲「光秀の意地」の歌碑)
 まあ、万葉集巻頭の「 籠もよ み籠持ち ふくしもよ みぶくし持ち この岡に 菜摘ます児・・ 」だって民謡みたいなものだし、この手の歌は万葉集にも色々とありますから、蓼食う虫ではないけれど、そこはそれ「好き好き」ということでいいのでしょう。

(坂本城址公園)

(坂本城跡・案内看板)
 上の案内看板を見ると、公園となっている部分は、坂本城の域内からは外れているようである。

(本丸は、この林の向こう側のよう。)
 光秀像の裏側に立って、本丸方向を眺めるが林があるだけ。
 小径のようなものが、林の向こう側に続いているようなので、何かあるかと行ってみると・・。


(林の向こうにあったのは、ボートの格納庫のような建物)
 何もなし。いや、ボートの格納庫らしき建物がありましたから、ここは私有地にてみだりに踏み込んではいけないのかも、と思い引き返すことに。

(ここから、ボートを漕ぎ出すのでもあるか。)
 どうやら、ここもまだ本丸の域内ではないようだ。
 この区域の更に北側が本丸跡になるようだが、先へは進めない。撤退するしかないのである。
 公園入口の道路向かいに遊歩道がある。
 この道をたどると、北国海道沿いに、もう一つの坂本城址碑があるようだから、行ってみる。


(東南寺川沿いの遊歩道を坂本城址碑へと行く)
 東南寺を経て、北国海道(西近江路)へと至る。
 北国海道から来た道を振り返って撮った写真が下掲写真です。

(坂本城址碑と東南寺)
 奥に見えているのが東南寺。

(坂本城址碑の副碑)
 東南寺まで戻り、そこで左折して湖岸側の道路に出たところにあった店で昼食とする。
 昼食を済ませてから、明智塚に向かう。

(明智塚)
 明智塚は民家の庭先という感じで、ひっそり、こじんまりとある。
 塚の右隣に写っているお屋敷には、村田という表札。

 塚の前に立てられている「高札」には「地主 村田」と書かれているから、この塚のある土地は、この村田さんの所有のようだ。
 この塚そのものも、この村田さんが私費で整備された、ということなんだろうか。


(同上)

(同上・説明碑)
​ 明智塚から南に少し戻った道路脇に「坂本城址  湖中に残る石垣見学ルート 」と書かれた木札が立っていた。​

(坂本城址・湖中に残る石垣見学ルートの標識)
 どうやら、この辺りが本丸跡のようだ。
 上の写真に写っている建物、この日は閉じられていて如何なる性格の建物であるかは不明であったが、その前庭の入り口には「坂本城本丸跡」と刻まれた石碑があった(下掲)。
 さて、この木札の示すところに従い、畑中の小径を湖岸方向へと辿る。


(行き止まりです。)
 はい、行き止まり。こんな景色でした。
 写真の左側では、お見苦しいところをお見せしますが、わが相棒のトレンクル君が、だらしない格好でひっくり返っていますな(笑)。
 湖中の石垣なるものは、この行き止まりの奥の湖中にあるようです。
 渇水期になって、水位が下がると石垣が姿を現すのでしょうが、何も見えない。がっかりした人への申し訳か、せめてもの何とやらで、このような懇切な説明板が設置されている。


(湖中の石垣・説明碑)
 わずかに水面から顔をのぞかせている石が見えるから、これがその石垣の一部なのかもしれない。

(湖中の石垣の一部がこれか)
 上述の建物前庭入り口にあった坂本城本丸跡の石碑は、これです。

(坂本城本丸跡碑)
 この後、湖岸沿いに走り、旧比叡の辻から、明智光秀一族の菩提寺である西教寺へと向かいますが、今日はここまでとします。(​ つづく ​) ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​





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最終更新日  2020.10.17 21:00:54
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