気になるのは、米国で2017年8月に成立した対ロ制裁強化法です。同法は、露国からの資源パイプライン計画への投資企業が米国の制裁対象になり得ます。一方、露国から東欧諸国に天然ガスを供給するパイプラインが経由するウクライナにとっては、独国経由で新たに欧州向けパイプラインが増設されることが財政基盤上のリスクに繋がります。親米反露のウクライナの歳入危機は、結局、米国の負担増に繋がります。
そんな状況下で、です。2018年8月19日、独首相と露首相は露国から独国への天然ガスパイプライン建設推進で合意しました。独国が露国にエネルギー供給を頼ることは、NATOの弱体化に繋がる懸念だけでなく、米国の対ウクライナ負担増にも繋がる訳です。露国のINF全廃条約違反(米国側主張)を口実に米露対立が強まれば、独国は安全保障上の観点から米国側に立たざるを得ません。
このややこしい話は、さっきゴルゴ13から聞きました。彼は以前「あれ(ゴルゴ13)はワシだ」と酔って明かしてくれたのです。
彼のことも彼から聞いた話も、私はありのまま記しているだけです。決して、今週も経済指標発表前後の反応がかなり限られそうだからではありません。
10月22日(月)
注目指標はありません。
前週のEU首脳会議で11月臨時EU首脳会議が中止になりました。同会議はもともとブリグジット交渉合意のためにぎりぎりの期限で予定されていたものです。つまり、もう早期妥結はない、という状況でした。ところが、20日未明(19日NY取引時間)、英首相は、アイルランド国境問題で妥協の用意があることをEUに伝えたそうです。
この件とゴルゴ13の話がEURに与える影響は、週明けEUR売となって、木曜のECB金融政策発表前にEURが持ち直すという展開です。
10月23日(火)
- 24:20 BOE総裁発言
10月24日(水)
- 16:30 10月集計分 独国PMI速報値
本指標では、製造業PMIとサービス業PMIとが同時発表されます。それら指標推移を見る限り、製造業の景気がサービス業の景気を先行示唆している事実は見受けられません。それでも、指標発表直後の反応方向への影響力は、製造業PMI>サービス業PMIとなっています。 - 17:00 10月集計分欧州PMI速報値
- 23:00 9月集計分米国新築住宅販売件数
当月は、同時発表される加中銀が利上げ予想となっています。最近不振の米住宅指標も気になりますが、加中銀の政策金利変更の影響力が強すぎます。過去分析は適用できないし、取引も中止です。
10月25日(木)
- 17:00 10月集計分 独国Ifo業況指数
本指標は、2018年4月集計分から新しい集計方式が採用されたため、指標推移が読み取り難くなってしましました。典型的な市場予想後追い型だったので、発表結果の推移が上昇基調/下降基調という見切りが大切です。 - 20:30 ECB金融政策
予定通り資産購入が12月終了だとしても、伊国財政規律の問題とブリグジット交渉の早期合意が絶望視されている問題があります。正常化(金利適正化とECB資産規模縮小)が既定通り行われるか懸念されるものの、 - 21:30 ECB総裁会見・9月集計分米国耐久財受注
米国耐久財受注への反応はしないか極めて短時間と予想されます。ECB総裁会見中はEURUSDの上下動が大きくなり、且つ、会見内容翻訳を読んでからすぐに追撃しても、短時間での高値/安値掴みの恐れがあります。ECB総裁会見が始まってから暫く様子を見てから追撃した方が良さそうです。
10月26日(金)
- 08:30 10月集計分日本東京都区部CPI
- 21:30 7-9月期 米国四半期GDP速報値
過去の傾向では、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が高いものの、今回は事前差異がマイナスでも反応方向が過去の傾向通りになるかどうかわかりません。何しろ、市場予想が前回結果より悪化と言っても前期比+3.3%です。
以上