以下に本議事録公表時の過去傾向に基づくポイントを整理しておきます。
- 利下げが示唆されることも利上げが示唆されることもなく、現状維持を続けるという趣旨の議事録になる、と思われます。米新政権との軋轢を避けるため、収容国では中銀が動ける状況とは思えません。
- 直後1分足の反応方向を見極めてからポジションを取得したとしても、直後1分足と直後11分足の方向一致率が40%しかありません。基本的には追いかけてポジションを持つべきではありません。
- 公表される議事録の元となった金利発表当日の直後1分足と、その議事録公表時の直後1分足の方向一致率は29%(不一致率71%)です。今回の場合、直後1分足は陽線側に反応する公算が高い、ということになります。
上記結論に至る詳細は、続けて以下に示します。事前に「?T.調査」「?U.分析」を投稿し、「?V.結果」「?W.検証」は事後投稿しています。事後投稿の日時は「?V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がご参考となれば幸いです。
?T.調査
RBA議事録の要点は「政策金利決定理由(方針)」「インフレ動向」「経済見通し」です。
がしかし、最も関心が高い政策金利決定方針については、しばしば市場予想を裏切ってサプライズを起こしています。つまり、結果から言えば(サプライズが生じる以上)最も関心がある「政策金利」が読み取れていない、ということになります。
それにも関わらず、公表された議事録から次回の理事会決定を予測せざるを得ないため、内容によってはAUDが大きく反応します。疑心暗鬼もあって、どの文言によって議事録公表時の反応方向が決まるのかはわからない、というのが本音です。
むしろ個人的には、すぐに役立つ情報だと言えないものの、公的機関によるインフレ動向や経済見通しを直近の経済指標の解釈を見直すことに使う方が役立つ、と考えています。そもそも豪州経済に関して入手できる情報は、米欧中に比べて少ないのですから。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。ここでの調査分析範囲は、2014年12月分以降前回までの23回分のデータに基づきます。
(2-1. 過去情報)
本議事録の元となる金融政策理事会決定(政策金利)を下図に示します。
23回のうち、金利改定は4回行われています。4回のうち半分の2回は市場予想が外れています。これだから・・・。
ともあれ、前回2月7日の理事会では「政策金利は現状維持」という結論でした。同時発表された声明では、
- 政策スタンスを変更しないことが、経済の持続可能な成長とインフレ目標達成に一致すると判断、
- CPIの長期的な目標達成には政策金利据え置きが合致、
- 人件費の控えめな伸びが続くことがインフレ予想を低水準に留めると予想、
- 住宅市場の状況は地方によって大きく異なるが、賃料の伸びは数十年で最も鈍い、
- 豪ドル高が経済的な調整を複雑化、
というRBA見解が記されていました。
このとき反応は、直後1分足で陽線側へのヒゲが長い陰線(値幅5pips)となり、直後11分足は陽線側に伸びました(値幅27pips)。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
?U. 分析
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
最近は反応が小さくなっていることが読み取れます。特に前回はほとんど反応しなかったようです。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は45%と、半分に達していません。がしかし、方向一致時には直後11分足終値が直後1分足終値よりも伸びた事例が70%となっています。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
過去に公表された議事録の内容がどうあれ、反応方向に特別な偏りは見出せません。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
但し、議事録公表では数値指標を前回・今回で見比べようがありません。そこで、ここでは本議事録の元となる政策金利発表時の直後1分足・直後11分足の反応方向を指標代わりに用いることにしました。例えば、政策金利発表時に陽線で反応し、その後の議事録公表時にも陽線で反応したなら、指標一致と見なします。
前回の金利発表時と議事録公表時の直後1分足の方向一致率が29%(不一致率が71%)となっています。これは、直近の金利発表時の直後1分足は陰線でしたから、今回は陽線で反応する公算が高い、ということです。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
シナリオ2は、実行にあたってご注意ください。
シナリオ2で期待的中率が高いのは、直後1分足と直後11分足の方向が一致したときですが、その方向一致率は50%未満です。少し危ないポジションを持つことになるので、最近の反応の大きさを踏まえて10pipsも負けが先行したら損切したい、と思います。
リスクを冒す理由は、以前は本公表時の反応が大きくなるときもあったため、です。
?V. 結果
2017.2/21.09:30発表
2017年2月21日17:10追記
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【8. 調査分析検証】
事前分析では、利下げが示唆されることも利上げが示唆されることもなく、現状維持を続けるという趣旨の議事録になる、と考えていました。
結果は、どちらかと言えば豪州経済を楽観する内容であり、近々の利下げは否定的な内容、と捉えることができます。
事前には、直後1分足の反応方向を見極めてからポジションを取得したとしても、直後1分足と直後11分足の方向一致率が40%しかないため、基本的に追いかけてポジションを持つべきではない、と考えていました。
結果は、発表直後こそ陽線側に反応しましたが、本ブログの分析対象外となる時間経過後は陰線側に戻しました。分析通りでしたが、こうした動きが当たることは単なる偶然に過ぎません。この記事のような分析手法では、発表前後10分以内のことしかわかりません。
事前には、公表される議事録の元となった金利発表当日の直後1分足と、その議事録公表時の直後1分足の方向一致率は29%(不一致率71%)、でした。今回の場合、直後1分足は陽線側に反応する公算が高い、ということでした。
結果は分析通りです。
【9. シナリオ検証】
問題ありません。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。 ーーー以下は広告ですーーー
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
【このカテゴリーの最新記事】
- no image