本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 指標発表結果には関係なく、反応はそこそこ大きいと考えています。
今回の市場予想は前回結果よりも赤字拡大となっています。がしかし、本指標について、直近3回の(発表結果ー市場予想)は△6億ドル・+3億ドル・+7億ドル、でした。この差異は、赤字額全体に対し極めて小さいと言えます。にも関わらず、直近3回の直後1分足跳幅は20pips(ISMの反応平均よりも大きい)にも達しています。
過去の傾向から言えば、本指標は発表結果がどうあれ、なぜか反応が大きくなる傾向があります。市場予想よりも発表結果が大きい小さいは、反応方向との相関が小さいようです。よって、指標そのものの大小を分析しても意味がありません。 - シナリオは次の通りです。
反応性分析による過去の傾向から言えば、直後1分足と直後11分足の方向一致率が78%と高く、方向一致時に反応が伸びたことも65%となっています。この数字なら、初期反応を確認してから追いかけてポジションを持っても良さそうです。 - 直後1分足は、直前1分足との方向一致率が27%(不一致率73%)となっています。そして、陽線率が78%です。
もし直前1分足が陰線で終わりそうなら、指標発表直前に買ポジションを取り、直後1分足跳幅を狙っても良さそうです。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「?T.調査」「?U.分析」を事前投稿し、「?V.結果」「?W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「?V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
?T.調査
【1. 指標概要】
貿易収支は、商務省が毎月10日前後の22:30(夏時間21:30)に発表しています。
貿易収支は経常収支の一部で、経常収支には貿易収支の他にサービス収支・所得収支・経常移転収支があります。一般に他の項目と比べて貿易収支が大きいため、経常収支の中で貿易収支が注目されます。
本指標は不思議なことに、米国貿易赤字が恒常化して数字もほぼ一定な上に、米国景気が貿易収支には関係ないように見受けられるのに、発表前後に比較的大きな反応があります。
米貿易収支の増減は、消費財赤字とエネルギー輸入赤字とが、それぞれどう増減するかです。消費財輸入は景気次第、エネルギー輸入は原油価格次第、です。前者が割と単純に増減するのに比べ、後者は少し複雑です。
貿易赤字の3割弱を占める原油輸入は、シェール革命によって一時期減少に向かい、いずれ黒字化とさえ言われていました。ところが、世界的な原油価格低迷により、シェール油井は採算割れして採掘中止に追い込まれています。直近の原油価格は50ドルまで戻しましたが、70ドル付近まで戻せばシェール油井操業が復活すると言われています。
現在の米国景気が好調で消費財輸入が増える以上、貿易収支改善には原油価格上昇が必要と考えられます。
つまり、貿易赤字縮小は難しそうですね。
それにしても、もともと万年貿易赤字と言っても良い米国で、直近2年はISMより本指標発表前後の反応が大きくなってしまうのか、その理由が全くわかりません。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの24回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
全般的な傾向は万年赤字と言っても良い状況です。毎月の赤字の大きさには驚きますが、毎月の増減は大したことありません。ずーと400億ドル付近の赤字が続いています。
さて今回は、市場予想が前回結果よりも赤字拡大となっています。
がしかし、本指標については指標そのものの分析よりも先にやるべきことがあります。そもそも指標の発表結果とその反応とに関係があるのか、を考える方が先です。
直近3回の(発表結果ー市場予想)は、△6億ドル・+3億ドル・+7億ドル、となっています。この数字は、例えば日本の貿易収支における上記差異に比べて、極めて小さい差異と言えます(日本の貿易収支では、発表結果と市場予想とが倍・半分すれることも多い)。つまり、本指標発表結果がどうあれ、本指標発表直後の反応は指標発表数値と無関係である可能性が高い、と言えるでしょう。
つまり、指標結果がどうなるかなんて分析しても意味がない、というのが結論です。
但し、同じ「わからない」でも1点だけ不安要素があります。貿易収支の結果を受けて、トランプ大統領が何をツイートするかがわからない、という点です。まぁ、それは翌日以降のことでしょうけど。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
パッと見での始値基準ローソク足の特徴が見出せてもあまり意味がありません。何しろ、指標数値とその反応との相関性が疑わしいのですから。
?U. 分析
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
過去の傾向から言えば、直後1分足と直後11分足の方向一致率が78%と高く、方向一致時に反応が伸びたことも65%となっています。この数字なら、初期反応を確認してから追いかけてポジションを持っても良さそうです。
なお、一方向に反応が進みやすいということは、もし間違った方向にポジションを取った場合、過去の反応平均値よりも含損が小さいうちに損切した方が良いでしょう。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直後1分足は、直前1分足との方向一致率が27%(不一致率73%)となっています。そして、陽線率が78%です。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
どう解釈すべきか迷いますが、期待的中率が70%以上か30%以下にはなっていないので、シナリオには関係ありません。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
2017年3月7日22:30発表
以下は2017年3月8日23:17頃に追記しています。
?V. 結果
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
今回は取引できませんでした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
まず、指標に関しては次のように捉えていました。
- 指標発表結果には関係なく、反応はそこそこ大きいと考えています。
今回の市場予想は前回結果よりも赤字拡大となっています。がしかし、本指標について、直近3回の(発表結果ー市場予想)は△6億ドル・+3億ドル・+7億ドル、でした。この差異は、赤字額全体に対し極めて小さいと言えます。にも関わらず、直近3回の直後1分足跳幅は20pips(ISMの反応平均よりも大きい)にも達しています。
過去の傾向から言えば、本指標は発表結果がどうあれ、なぜか反応が大きくなる傾向があります。市場予想よりも発表結果が大きい小さいは、反応方向との相関が小さいようです。よって、指標そのものの大小を分析しても意味がありません。
発表結果は市場予想通りで前回結果より悪化しました。そして反応は、直後1分足でほとんど反応せず、直後11分足は陽線となりました。
やはり、指標結果と反応との関係が説明できません。
次にシナリオについて検証します。
- シナリオは次の通りです。
反応性分析による過去の傾向から言えば、直後1分足と直後11分足の方向一致率が78%と高く、方向一致時に反応が伸びたことも65%となっています。この数字なら、初期反応を確認してから追いかけてポジションを持っても良さそうです。 - 直後1分足は、直前1分足との方向一致率が27%(不一致率73%)となっています。そして、陽線率が78%です。
もし直前1分足が陰線で終わりそうなら、指標発表直前に買ポジションを取り、直後1分足跳幅を狙っても良さそうです。
直後1分足は陰線となり、もしシナリオ通りにポジションを持っていたら1pipsの損切となっていました。
直後11分足は陽線となり、もし直後1分足の反応方向に追いかけていたら損切となっていました。がしかし、シナリオ通りに買ポジションを持っていたら利確できていたようです。
以上
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ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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