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2021年05月22日

追悼 三浦建太郎氏

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三浦建太郎
1966年〜2021年5月6日(54歳没)
代表作『ベルセルク』『ギガントマキア』


「ベルセルク」連載中の「ヤングアニマル」誌の発行元である白泉社が5月20日に明らかにしています。
54歳という若さでした。

代表作である「ベルセルク」は、中世欧州を思わせる世界を舞台に、巨大な剣を携えた剣士ガッツの復讐(ふくしゅう)の旅を細密な作画で描いた物語です。世界中の多くの漫画家やゲームクリエーターに影響を与えた作品で、最新40巻まで発刊されており、未完となってしまいました。
三浦氏逝去の報はネットなどで世界中に広まり、ツイッターなどのSNSには日本はもとより世界中から哀悼の言葉が寄せられています。

・・・といったことまでは既にご存知の方も多いかと思います。
管理人は「ベルセルク」の熱心な愛読者です。「ヤングアニマル」の最新号は常にチェックする程度には。
三浦建太郎先生は、唯一無二の才能の方であり、誰か別の人が「ベルセルク」の続きを描けるとはまったく思えません。そのイメージと画力は別格であり、誰もそれを補うことはできません。
そして未だに先生の死を受け入れておりません。SNSなどでは多くの方々が先生のご冥福をお祈りしたり、お疲れさまでしたと呟いたりしているのですが、とてもそんな言葉は湧いてきません。

ツイッターで三浦先生の訃報に関する書き込みを見ていたときに、三浦先生と同じく「ヤングアニマル」誌で「3月のライオン」を連載している羽海野チカ先生のツイートを読みました。

この2週間ずっと現実感が無く
ずっと机に向かっていたのですが
色んな時間が
次々に思い出され
ずっとお絵描きしながら
一緒におしゃべりをしていたような気持ちです

5月20日付の書き込みでした。おそらく三浦先生と親交が深く、同じ雑誌で連載を持っていた羽海野先生は、我々より早く訃報を耳にされていたのだと思います。
テンプレート的な弔意文ではなく、本当にそのときの気持ちを精いっぱい記してくれていることが分かって、胸がいっぱいになりました。あまりにも大きなものを喪うと、人は悲しみに浸るよりも、その大きな空白をしばらくは実感できないのだと思います。
自分自身の現在の気持ちが、そんな感じです。

とりとめもないことを書きますが、SNSの中で、「自分が好きなシーン」のひとつに、このシーンを挙げている人がいました。
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ガッツの台詞には、作者のマンガや作品作りに対する思いが込められている気がして、管理人も好きなシーンです。
自分自身の力量が未熟であるにしても、持てる技量をすべて使って、とにかくいま戦えと。
人生は、ただ生きるには長すぎるけれど、なにかを成そうとするとあまりにも短いことを、先生はよくご存じだったのだなと思いました。

かけがえのないものを喪って、そのあまりの大きさにしばらく佇み、やがて深い悲しみがやってくる。
私たちはこの苦しみを何度も繰り返す。
慣れることはないけれど、乗り越えて征こうと思う。

2021年05月07日

あつもりくんのお嫁さん(←未定)(byタアモ)

2021年のGWも終わってしまいましたが、皆さん連休を満喫されましたか?
管理人は、GW期間中は隔日ぐらいの勢いで仕事が入っていたので、全く休んだ気がしません。
コロナの影響もあって、どのみち外出もままならないと思っていたので、大量にマンガを借りてずっと読んでいました。とくに休日に宿直が当たると、全く外出できないので読書がはかどります。
ということで、連休中に読んでいたのは以下のとおり。
「進撃の巨人」10〜20巻
「あつもりくんのお嫁さん(←予定)」(全6巻)
「クズとケモ耳」1〜6巻
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「進撃の巨人」をがんばって読み進めています。アニメは1期しか見ていません。先に原作を制覇したい。

「あつもりくんのお嫁さん」は、タアモさんの最新作です。
 1巻の紹介文はこんな感じ。
「田舎で暮らす中学生の錦は、勉強が大好き。でもじつは、親が決めた許婚がいて地元での生活にちょっと息苦しさを感じている。そんなある日、東京からやってきた高校生の敦盛と出会う。独特の価値観を持つ敦盛は、地元から逃げ出す方法としてまさかの結婚を提案! 敦盛に強く惹かれていく錦は、猛勉強の末、彼を追いかけて東京の高校に進学するけど…!?」
 敦盛(あつもり)君のお嫁さんになりたい!という女の子が、めっちゃがんばってあつもりくんのお嫁さんになるお話です(ネタバレ)。いや、タイトルそのままじゃん。
 タアモさんの描くヒロインは、健気でちょっと変で可愛い。嫁にしたい。
 この作品のヒロインは三島由紀夫も驚くぐらいの行動力がある子で、1巻から最終巻まで全力疾走していきます。とてつもなく前向きなので、人生に迷ったときは、これを読むと良いです。最終巻は、油断していると泣きそうになります。いや、泣きました。なんでだろう。がんばった人が幸せになるのは嬉しいからかな。
 ということで、幸せのおすそわけをしてくれるので、幸せになりたい人は読んでみてください。

「クズとケモ耳」は、杉しっぽ先生の問題作。
 倫理的にも生物学的にもいろいろ問題が多い作品。
 1巻の紹介文はこんな感じ。
「——通称”ミミ付き”。原因不明で動物の耳をもって生まれてくる。それ以外は普通の人間と変わりないが、彼らに人権はない。貴族の九晟(くじょう)は、あるとき目に止まった”ミミ付き”・メルをメイドとして飼うことに決めたが、日に日に心が惹かれていって…。社会最底辺の存在であるメルを踏みにじりながら、それでも気持ちがざわつく九晟。究極の身分格差ラブ、二人の行方は…!?」
 最初に言っておきますが、「異世界」のお話です。「ミミ付き」という謎の生物?がいる世界です。
 ミミ付きは頭頂部付近に「獣の耳」が付いていますが、人間の耳の位置にも「耳」があるか否かは不明。
 そうです、「どんぎつね」さんがいっぱいいる世界なのです。吉岡里帆ファンは全員集合!
 その「どんぎつね」さんに、あんなことやそんなことをする不埒なマンガです。じつに良いですね。
 ちなみに登場人物は全員20歳未満です。
 全員あとで職員室まで来るように。

 ということで、わりと楽しいGWでした。

2021年04月29日

地球のおわりは恋のはじまり(byタアモ)

管理人のゆうすけです。
マンガを読むのが好きなのですが、わりと守備範囲は狭い方だと自覚しています。
基本的にメジャーな少年誌や青年誌に連載されているものがメインですし、そういったマンガ雑誌も無数にあるのですべて網羅できるわけもない。最近はネット配信というか電子連載形態のマンガも増えているので、それらをすべておっかけていたら寝る暇もない。
あとはコミックレンタルをしているGEOやツタヤとか、ネットカフェでたまたま目についたタイトルを読むぐらいです。マンガを含めた書籍の売り上げは落ちているようですが、タイトル数は増えているんじゃないかな。
ということで、今回は管理人の守備範囲外の「少女漫画」のご紹介ですよ。

タアモさんの作品でいちばん有名なのは、講談社漫画賞をとった「たいようのいえ」でしょうか。
管理人も大好きな作品ですが、全13巻なので、タアモさん入門用としては後に残しておきたい。
いちばんの推しは、言うまでもなく「アシさん」ですが、ちょっと普通の人にはハードルが高い。
アシスタントをやっているヒロインが、ヘルプ先のBLマンガ家さんに、いきなりちん〇んのモザイクトーン処理とか、「汁」描きをやらされたりするステキな作品です。でも「月刊フラワーズ」連載ですよ。スゴいですね。
そんなわけで、最近読み直した「地球のおわりは恋のはじまり」(全5巻)ぐらいが一番よろしいかと。
紹介文は、こんな感じです。
「かわいい双子の妹と比較され「じゃない方」扱いを受けてきた柳瀬真昼。だから「いいことがあっても悪いことが起こる」と人生に期待せずに生きてきた。でも高校入学早々、謎のイケメン里見蒼が急接近! しかも告白!? 「だめだ、こんないいことばかりじゃ地球が滅ぶ」——累計170万部以上の『たいようのいえ』タアモ最新作は王道初恋ストーリー! 恋に踏み出せないネガ少女と×押せ押せイケメンの追いつ追われつラブ開幕です!」
・・・如何でしょうか。「王道初恋ストーリー!」ですよ、奥さん。
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ヒロインの柳瀬真昼さん。
ネガティブ思考で常にお守りを大量に携帯してます。
イケメンとパン屋デート?しているシーンです。

タアモさんの作品に出てくる子は、どの子も皆、なんか応援したくなる子が多いです。
ハリウッドの脚本術のように、物語のはじまりと終わりでは主人公に確実に変化が生じていて、それがタアモさんの作品では基本的に「成長」となっています。
最初は自分に自信がない子が、いろいろな人と触れ合うなかで成長を遂げていくという、基本的かつ王道のストーリーを紡いでいます。
読後感が良いのは、あまりに胸糞悪い展開や根源的に悪いやつが出てこないからでしょうか。
登場人物たちは、それぞれにトラウマや葛藤を抱えつつ、青春の蹉跌を乗り越えてゆきます。
ときどき入るギャグも冴えています。
日頃あまり少女マンガを読まない方にも、比較的安心してお勧めできる作家さんがタアモさんです。
昔の短編集も面白いので、見かけたら手に取ってみてください。


2021年04月08日

脱出航路(byジャック・ヒギンズ)

人生には課題図書というものが存在します。
「読書感想文」を書かされる訳ではないのですが、人が生きていくうえで、最低でもこれぐらいは読んでおかないと恥をかくよ、という本です。映画や音楽や絵画にも同様の作品が存在しますが、管理人はこれらの課題をサボってきたので恥の多い人生を歩んでまいりました。
ということで、人生の課題図書のひとつ、「脱出航路」をようやく読了しました。
ジャック・ヒギンズ(「鷲は舞い降りた」で有名な英国作家です)の書いた冒険小説の中でも屈指の作で、海洋冒険小説のオールタイムベスト10に必ず入る名作です。
あらすじはこんな感じ。
「第二次大戦末期、豪雨をついて一隻の老朽帆船がブラジルのベレンを出港した。搭乗者は、ベルガー船長以下29名のドイツ人男女。その目的は、なんとしても祖国に帰り着くことにあった。だが、連合軍の制圧下に置かれた嵐の大西洋は、越えるべくもない鉄壁に等しい。敵艦に砲撃される危険の中、荒波に抗して進む彼らは果たして祖国の土を踏めるのか? 男の熱い心意気を、雄渾の筆で見事に描き上げた海洋冒険小説の最高峰!」
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「脱出航路」ハヤカワ文庫
ジャック・ヒギンズ/佐和誠 訳
1982年発行
表紙は我らの生頼範義画伯だ!

この作品の原題は「STORM WARNING」(暴風警報)です。
「脱出航路」のほうが100万倍カッコいいのですが、内容を正確に表しているのは原題の方です。
あらすじにも書かれていますが、ブラジルから北大西洋を越えてドイツへ向かうお話です。しかもボロボロの「帆船」で。19世紀ではなく、1944年(第二次世界大戦終戦間近)のお話です、念のため。
その老朽帆船「ドイッチェラント号」の予定航路はざっくりと下図のとおり。
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ブラジルのベレンから大西洋を横断してドイツへ向かいます。
1944年8月26日に出発し、約1か月の航海の物語です。
原題が「暴風警報」である通り、ものすごい嵐に翻弄されます。

この小説、主人公がいるようでいない、群像劇です。強いて言えば、主役はドイッチェラント号。3本マストの漢の船。型は古いが時化には強い。オレとお前のよォ、夢のゆりかごYO。
などと書いていますが、ボロい船が延々と航海するだけの話かと思わせて、実はそうではないのです。
序盤から中盤にかけては、いくつかのストーリーがバラバラに始まり、読書や映画鑑賞に慣れた人でないと誰がどこで何をしているのか分からなくなります。
いろいろとツッコミどころのあるエピソードが続き、その間に船は北大西洋を進みます。
物語の終盤に向けて、各地の登場人物たちが、運命に導かれるように、とある島に集結します。
そしてやってくる超ド級の嵐。ドイッチェラント号は果たしてドイツへ辿り着くことができるのか?
という感じで、最後は盛大なスペクタクルシーンの連続です。大自然と戦う人間賛歌の物語でもあります。

読後に思ったことをちょっとだけメモしておこう。
1 本編が始まる前に、合衆国海軍少将の日記抜粋とドイッチェラント号の航路図が載っているんだけど、いきなりネタバレしているのがスゴイ。ジャック・ヒギンズの大胆さに度肝を抜かれる。
2 翻訳が古い。佐和誠氏には悪いが、新訳で出し直すべき傑作なので、早川書房さんヨロシク。
3 映画化されていると思ったらされていませんでした。今ならチャンス。じつはアニメで12話完結にしてもOK。制作は「ヴィンランド・サガ」のWIT STUDIOにお願い。

2021年02月10日

潮が舞い子が舞い 第5巻(by阿部共実)

「闇の中から 蛇(じゃ)のように 地を這い 林をかき分け 夜の山を下りてくる」
「乙女の恋心ぉおおおおお」

全国1000万(推定)「潮舞い」ファンの皆様、お待たせしました。待望の第5巻が発売です。

冒頭のセリフは、今回の敢闘賞を獲得した氷室静子さんの心の叫びです。熱演ですね。
乙女の恋心がホラー映画のモンスター主観映像みたいにローアングルでぐいぐい迫ってくる感じがよく出ています。
ちなみにこのエピソードでは、氷室さんは延々とモノローグで絶叫しまくったあげく、実際に発声したのは3コマだけです。それも「先輩 私 わてほんまによーいわんわーん」という残念賞でした。

巻を重ねてキャラクター達が自在に絡む姿がとても楽しいです。しかもまだまだ1学期です。
ただ残念なことに、2年4組の生徒が36人もいるので、出番が回ってこない人もいます。
5巻でいうと、大中小組とか東アジア女子会機構とか。管理人はわりと地味系な女子グループが好きなので、彼女たちのエピソードをもう少し収録していただければと思いました。
とくに作者ブログの方で公開されている「魔王になりたい」エピソードは屈指の作なので、今回のおまけに入れて欲しかったなあとつぶやいてみたりして。
このエピソードを読んで、以前自分で書いた「小笠原がいちばん偉いな」という知見が大きな誤りであることがわかりました。
2年4組でいちばん大きな闇を抱えているのは小笠原です。もしもこのクラスでデスゲームが始まったら、首謀者は間違いなく此奴です。常に視線が彼岸を見ている小笠原が犯人です。

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5巻の第55話で、犀賀ちゃんのちょっと意外な一面が分かるのですが、じつは1巻の第7話で、これについて右佐がずばり指摘しています。

「犀賀はいつも笑顔で気さくだけど、実は、人見知りな所があって、辛いことがあっても人に言えない、嫌な話し相手にも愛想をふるまってしまい不快感示せないタイプ・・・」
前島君はバーナム効果だと思っていたようですが、犀賀にはすっごい刺さったようです。
右佐君、フラグ立てすぎです。
右佐ママも再度登場し、美人で気さくでおっぱいが大きいところを遺憾なく発揮され、あらためて右佐君がもっと辱めに遭うようにと願わずにはいられません。

阿部先生におかれましては、今後もますますのご活躍を祈念し、お祝いの言葉にかえさせていただきます。

2021年02月09日

僕の心のヤバイやつ 4巻(by桜井のりお)

「僕の心のヤバイやつ」第4巻が2021年2月8日に発売となりました。
SNSなどを中心に、相当な人気を博していますので、あまりくどい説明は必要ないかなって思ったりして。

4巻の販促用リード文はこんな感じです。
「学園カースト頂点の美少女・山田杏奈と、重度の中二病の陰キャ・市川京太郎。連絡先も交換した2人に訪れる冬休み。ついに舞台は学校の外へ……。小さなスマホが繋ぐ、近いようで遠い、遠いようで近い、2人の距離。ゆっくりと、静かに、強く鳴る鼓動、そして……除夜の鐘。」

ということで、二人の距離が物理的にも精神的にも近づいてゆく4巻です。
渋谷でのクリスマスデート編を完全収録しています。衝撃に備えてください。
ちなみに2021年2月14日までの期間限定で、この作品を配信しているマンガクロスでは4巻の続きから最新話までを無料公開しています。
そこでは4巻までの内容をさらに超えた巨大な衝撃があなたを襲います。いやマジで。死ぬかもYO。
ちょっとだけネタバレをしておくと、市川君はフルチンで山田のジャージを着用します。
ものすごい上級プレイですね。4巻から一気にそんな展開になるのでしょうか? 
真偽のほどは、ご自分でお確かめください。

以前にも書きましたが、このマンガは主人公の市川京太郎の視点で描かれているので、一人称ハードボイルドミステリィのような体裁をとっています。
市川は卑しき街を征く孤高の騎士なのでしょう。山田はもちろんファム・ファタル(運命の女)です。
ルール的には「主人公が見聞きしたり語った情報以外は読者に開示されない」ということになっています。
そのため、ヒロイン(山田)の心理は明示されないので、彼女の心の裡は台詞や行動、表情などから読み解くしかありません。いや、すごく分かりやすいんですけど。
読者にはそうしたものを読み解いてゆく楽しみがある作品です。いろいろと仕掛けがある作品なので、できれば何回か読み返してみると良いかと思います。マンガを読むリテラシーを試される作品であるとも言えます。

レビューなどには「極甘」などの評が多く書かれていますが、じつは甘みを強く感じるように仕組まれています。
4巻のカルテ52で、「僕らは少し似ている」ことに気付く市川ですが、それは逆に、二人の関係が容易には縮まらないことを意味しています。
二人はどちらも、本当に好きになった相手には「好かれたい」よりも「嫌われたくない」気持ちの方が強く出てしまう、少し臆病なタイプの人なのです。
そういう辛さが全体をふんわりと覆っているので、随所に見せる「甘い」シーンが「極甘」に感じられるのでしょう。はい、スイカにお塩を振りかける理論ですね。

最新話ではついに山田パパも姿を現した「僕ヤバ」。当分目が離せないYO。


2021年02月06日

蔵六の奇病(by日野日出志)

管理人のゆうすけです。
先週、今週と、土日が普通にお休みです。素晴らしい。ものすごく週末がゆったりしている。
世間の皆さんは、こんなにも休日を謳歌しているのかと思うと羨ましい限りです。
ちなみに来週以降はずっと土曜も仕事で、2月の後半は2回連続で土曜勤務プラス宿直です。
日曜の朝に帰ってきますが、翌日は月曜なので、ほとんど休んだ気がしない。

ということで、土曜の午後は室内で自転車のローラー台を30分ほど漕いだ後、ゆったり昼寝です。
ただ寝ているのも芸が無いので、タブレットでアマゾンプライムビデオをぼんやり見ていました。
特に見たいものもなかったのですが、なぜか「ホラーマンガ劇場 第1幕 日野日出志編」をチョイス。
この番組は有料チャンネルなのですが、お試しで第1回だけタダで視聴できるのでご鑑賞させていただきました。
タレント兼マンガ家である山咲トオルがホスト役になって、酒場のセットで「ホラーマンガ家」から自分の作品にまつわるお話を聞くという番組です。第1回は、大御所である日野日出志先生のご登場。

日野日出志先生は1946年満州生まれのマンガ家です。
ホラーマンガ家にカテゴライズされていますが、デビューからホラーを描いていたわけではなく、いろいろ紆余曲折があって、ホラー道に進んだ方です。現在もご健勝で、70歳を軽く超えていますがツイッターもやっているそうです。
その転機となった傑作がこの「蔵六の奇病」です。23歳の時の作品だそうです。
日野日出志先生の独特な絵柄も、この作品から固まっていきます。
30頁ぐらいの短編ですが、書き直しを繰り返して1年ほどかけて完成したそうです。
「怪奇と抒情」を描く作家、日野日出志が誕生した記念碑的作品です。
管理人は、この作品を過去数回読んでいますが、読む年代によって感想が異なります。
初めて読んだのは小学生の頃でしょうか。かなりトラウマになりました。主人公の蔵六が謎の病気で体が膿み崩れていく様が生理的に受け入れられなくて、死にそうになりました。
その後、大学生の頃にも読んでいます。その頃は「日野日出志」というマンガ家はひとつのブランドとなっていたので、「教養」としてあらためて読み返していました。
ということで、今回、久しぶりにスライド形式で再再読する機会があったのですが、あらためて見ると、すっごい傑作です。単純に「ホラー」という括りでは収まらない、深い哀しみと美学があります。
日野日出志先生の作品は、あまり書店やマンガ喫茶には置いていないのですが、もし読む機会があれば、ぜひ手に取っていただきたいと思います。
いきなり大好きになることは絶対無いと言い切れますが、再読してみるとその良さに気付きます。
「怪奇と抒情」は大人の味なんです。

2021年01月24日

となりの信國さんは俺のことが好きな気がする(by安田剛助)

「となりの信國さんは俺のことが好きな気がする」はヤングアニマルで連載中のラブコメマンガです。
作者は安田剛助さん。少し前まで同じくアニマル誌で「じけんじゃけん!」を連載していました。
百合な美少女を描くのが好きなようですが、一番の強みはネイティブな「広島弁」だと思う。
「じけんじゃけん!」も「信國さん」もそうですが、登場人物が広島弁でがっつり会話します。
管理人は「方言女子」に弱いので、広島弁とか博多弁が出てくるとコロリとやられます。
一方で、地元(東海地方)の方言には耐性が強いので、「八十亀ちゃん」などにはピクリともしません。
「となりの信國さん・・・」は、広島のとある片田舎で、箱入り娘が恋に目覚めるお話です。ヒロインの信國さんは、となりの席の佐々木君(最近広島に引っ越してきた)のことが好き。覚えたばかりのモテテクで、佐々木君を振り向かせようと一生懸命頑張りますが、そのアプローチはちょっと残念で・・・という、すれ違いラブコメ。
まだコミックスは出ていませんが、管理人がかなり気に入っているマンガのひとつ。
安田先生は可愛い子を描くのが上手いのですが、そこにプラスして、「可愛い子が妙な具合になっている」のが衝撃的に上手です。
具体的にはこんなかんじ。
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このシーンは、信國さんが「ハムハムポーズ」をキメているところです。
ちなみに「ハムハムポーズ」とは、「男子受けバツグン」で、「下唇を前歯でハムっと噛むだけ」「それだけで少しセクシーで守ってあげたくなるような切ない表情を演出できる」ポーズだそうです。
如何でしょうか。
少しセクシーで守ってあげたくなりましたか?
念のためにもう一度。
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このエピソード内で、同じ表情を2回ぶっこんくるあたり、安田先生の自信のほどがうかがえます。

ちなみに信國さんは、ふだんはおとなしい感じの柔らか美少女で、全体的にグラマラスです。
佐々木君のことがかなり好きらしいので、ティーンズ誌に載っている「メエ子」先生のモテテクを必死で研究しているご様子です。
普通にしていれば絶対上手くいくだろう!と思った貴方は、まだ恋のイロハが分からない初心者です。
「信國さん」を読んで、モテテクを磨いてください。

2021年01月09日

チェンソーマン(by藤本タツキ)

管理人のゆうすけです。
ときどきメジャーなマンガのレビュウなども書いてみます。
先般書いた「鬼滅の刃」の同期というか、同じ週刊少年ジャンプ連載組の「チェンソーマン」です。
第1巻の宣伝コピーはこんな感じです。
「悪魔のポチタと共にデビルハンターとして借金取りにこき使われる超貧乏な少年・デンジ。ド底辺の日々は、残忍な裏切りで一変する!! 悪魔をその身に宿し、悪魔を狩る、新時代ダークヒーローアクション、開幕!」

週刊連載では「第1部・公安編」がすでに終了し、アニメ化決定の話も出ている人気作です。
第2部は「ジャンプ+」で連載開始予定。「学園編」らしいのですが、不安要素が多すぎ。
個人的に思うのは、このマンガが人気を集めるのは如何なものかと。
週刊少年ジャンプはいわゆる「少年誌」ですが、このマンガ、まったく少年を相手にしていません。
場違いにもほどがある。
このマンガが本来掲載されるべき雑誌は、「月刊アフタヌーン」(講談社)です。
あそこならわかる。あそこが本来このマンガの居るべき場所なのです。
それをどこでどう間違えたのか(作者が故意に間違えたに決まっていますが)、よりにもよって「週刊少年ジャンプ」などという陽の当たる大通りをこの作品の発表の場に選ぶとは、いい度胸を通り越して、ど阿呆です。
なんて書いていますが、じつは褒めているのです。それも最大級に。
あの内容、あの画力を持っていれば、「アフタヌーン」でやろうと考えるのが凡人です。
しかし藤本タツキは天才すぎた。というか、ちょっと頭がおかしい。天下の「ジャンプ」で始めやがった。
たしかに「アフタヌーン」だったら「まあまあの話題作」ぐらいで終わっていたと思います。
「ジャンプ」を愛読する読者諸兄に冷水をぶっかけたようなマンガでした。お約束の「解説キャラ」とか「必殺技名絶叫」をあっさり無視するスタイルも貫いているし。こういうのを載せられるのが「ジャンプ」の強みなんだけど、ちょっとお子様には刺激が強すぎる作品でした。
内容の阿鼻叫喚もアレですが、マンガ表現として、映画的なカット割りで時間や空間を自在に切り替えたり、「ものすごく重要なシーン」を平気で省略したりするので、すげえカッコいいんだけど分かりにくい。
コミックスの巻頭にある「前回までのあらすじ」をよく読まないと、前回までの話が理解できない!
じつは今日(2021年1月9日)マンガ喫茶で最新刊の10巻を読んで、いろいろ衝撃を受けてこれを書いているわけなんですけど、内容についてはあまり書かないようにしています。
と言いつつ、10巻における最大の矛盾について理解が至らないので書いてしまいます。
ネタバレなので、ここから先は、未読の人は読んじゃダメ。

マキマさんはなぜ失われた概念・存在について言及できたのだろうか?

2020年11月09日

アクロイド殺し(byアガサ・クリスティ)

ある日豁然として「アクロイド殺し」を読みたくなり、ご近所の図書館で借りて来て、先日の日曜宿直の日にサックリと読みました。
「アクロイド殺し」
以下の文章には何気なくネタバレが仕込んであるので、この小説を未読の方や、ミステリのネタバレを許さない方は、ここでご退場願います。


さてこそ。知っている人は知っているし、知らない人は知らない。あたりまえか。超有名な小説です。
ミステリ界の女王であるアガサ・クリスティの出世作です。名探偵ポワロシリーズの3作目であり、当時のミステリ界を震撼させた作品。現在の文庫本のあらすじ紹介はこんな感じです。
「名士アクロイドが刺殺されているのが発見された。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしたが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せる。」
管理人は、じつはそれほどミステリを読む人ではないのですが、さすがにこの作品ぐらいは知っている。
読んだのは初めてですが、恐ろしいことになぜか犯人を知っていた。
直接誰かから聞いたわけではないのですが、友人知人との雑談や、本や雑誌やネットからの知識で、なぜか読書開始直後には犯人が分かってしまい、かなり焦りました。
しかしそこはそれ、犯人を当てるだけがミステリの楽しみではないので、純粋に「読書」を楽しむスタイルで最後まで読み通しました。
うわ、やっぱりお前かよ。というのが正直な感想ですが、それとは別に、「倒叙ミステリ」を楽しむような、めくるめく読書体験ができたのも事実です。作者の意図しない形で。
あらかじめ犯人が分かった状態で読んでみると、なんか「刑事コロンボ」のノベライズを読んでいるような気がします。コロンボもポワロも相当めんどくさくて嫌な奴なので、ついつい犯人に肩入れしてしまう。
この小説の最後の1行などは、名探偵や名警部に関わりあった犯人が例外なく思うことで、すごく哀愁が溢れていて笑いそうになります。
マーフィーの法則のように「完全犯罪をたくらむと名探偵が出現する」のです。

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プロフィール
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ゆうすけ
銀河大計画別館の管理人。 「銀河大計画」は、1993年から細々とやっている同人誌です。 ゆうすけが書いたネタや没ネタなどを、別館で細々と掲載します。どうぞよろしく。 アイコン卵酒秋刀魚さん。
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