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2016年04月03日

フリーで働く! と決めたら読む本 (日経ビジネス人文庫)  中山 マコト


ブロガーとしての自分を想像した時に考えた3つのこと 「今の仕事を離れて、ブロガーとして独立したらどんなになるだろう」 という夢想について記事を書きました。

その心理の中には「ブロガーとして独立してフリーになった方が楽なんじゃないか・・・」という気持ちが少なからずあったはずです。
そんな甘い甘い夢想を抱く自分に対し、強く警鐘を鳴らしたのがこの本です。

どんな本だった?


サラリーマンから独立してフリーランスに転身した筆者が、自分の経験を元にして「フリーランスとして生きていくための基本となる考え方・戦略・戦術」をまとめた本です。

味付けのベースとしては、

フリーランスはそんな甘いもんじゃないよ。

という思想がふんだんに投入されています。
それを端的に表している箇所があります。

あなたに代わる存在がいない状態。
スペシャリストとはつまり、会社の中でも「余人をもって代えがたき存在」であるということなのです。あなたがそうなっていれば、
「辞めたくても、会社が止めさせてくれない!」
という状況になるのです。

(36P)

今の会社・組織内でこれくらいの存在にならなければ、独立してフリーランスなんてやっていけないよ!という大変厳しい言葉です。
ここを読んだ時に、正直なところ、私は 軽く絶句しました

何となく 「会社を辞めよう」 とか 「転職しよう」 、更に飛躍して 「フリーでやっていこう」 とか夢想する時に自分の胸の内にあったのは、

「今の仕事が本当にやりたい事じゃない」
「自分の能力が活かされていない」
「本当はもっと違う事が自分には出来るんじゃないか」


という感情だったのかもしれません。
この本を読むことで、私の「フリーになってみるのも面白そうだ」という感情は 「現状の不満に対するただの逃避」でしかなかったということを痛感させられました。

そんな感情は、独立しようという行為の原動力としては全くふさわしいものではないのだ!


ガツンと目を覚まされた、そんな感じです。

読むことで得られるもの


私はこの本から次のようなメッセージを受け取りました。

・フリーで働くというのは決して組織からの逃避であってはならず、あくまで「自分の価値を最大限に発揮するための手段」でなければならない。
・仮に会社組織に属しているのなら、まずはその中で自分の価値を最大限に高めてから。
・実際にフリーとして生きて行くうえでは、こういう戦術があるよ。それで自分(著者)はやってきた。

自分自身を顧みれば、この1点目・2点目を今は全然達成できていません。
フリーを夢想する時間があったら、まずはここを達成することに全力を注ぐべきではないかという考えを、この本を読むことで得られました。

筆者の中山マコトさん、私の目を覚まさせてくれてありがとうございました!

本のタイトルは「フリーで働く!」なのですが、自分がこういう考えに至ったことを考えると、逆説敵に「会社組織で働くこと」を考える良いきっかけになる本なのかもしれません。

どんな人にオススメできる?


・会社や組織に属していて、何となく今の仕事や生き方に漠然とした不安・不満を感じている人。
・本気で会社を辞めてフリーでやっていこうと考えている人。
・これから社会に出て行こうとしている学生さん。
・将来の夢が「ユーチューバー」「ブロガー」とちょっとでも考えてみることがある学生さん。

800円+税の価値は十二分にあります。

2016年02月21日

バカでも資産1億円:「儲け」をつかむ技術 杉村 太蔵


今ではすっかり「タイゾー」としてお茶の間に定着した感があります、 元衆議院議員の杉村太蔵さん
現在はタレントとして活動する傍ら、株式投資や、会社を立ち上げて事業を行ったりと、マルチな活躍を見せています。


小泉元首相が演出した「郵政選挙」で比例区当選することで一気に注目を浴びることになった杉村さんは、その後 「料亭に行きたい」「BMWに乗りたい」 など軽はずみな発言をした国会議員として名前を売りましたが、そのイメージがどうしても強く、「運良く国会議員になっただけのバカな若者」という目で見られることになりました。
(少なくとも私はそう思っていました・・・。すみません)


でも一方で、
・本当にただのバカな人が国会議員になれる(自民党の候補者として選定される)のか?
・テレビで活躍できる人になれるのか?
という疑問もありました。
一体どんな人間なんだろう?
ということで、「杉村太蔵」の人物そのものに興味があり、読んでみました。


どんな本だった?

タイトルは「バカでも資産1億円」、サブタイトルは「「儲け」をつかむ技術」とありますが、中身は資産運用についての本ではありません。
株式投資にも若干触れられてはいますが、それに関しての特別なノウハウは何も書かれていません。「私はこうやって株式投資で利益を出しました」程度の内容です。


メインは、杉村さんのこれまでの人生を振り返ったエッセイです。
杉村さんのテニスで国体優勝(少年男子)を果たした高校時代から始まり、大学中退、フリーター、外資系証券会社の契約社員、国会議員、そしてタレントに至るまでの色々なエピソードが書かれています。
杉村さんの変化に富んだ面白い人生を追体験するような感覚で読むことができる、面白い本です。


その中でも「凄い!」と思ったのは、自民党の立党50年記念党大会で立党宣言を任された時のエピソード。
当時の小泉首相が手直しした原稿を、自民党の党大会(それも立党50年記念!!)で読み上げるという想像を絶する大役を任されたそうです。
全国の党員、国会議員、現役首相や歴代総理など錚々たるメンバーが揃った数はなんと3,000人ほどだそうです。この前で原稿を読み上げる、想像しただけで大変なプレッシャーがかかる大仕事です。 これを暗記して、原稿を見ずに読み上げた。それを「よし、みんなを見返してやろう!」「台本を超えよう。期待されたこと以上のことをしてやろう!」という気持ちで実行したというのです。
想像しただけでもすごいプレッシャーです。
原稿を読むだけでもトチってしまいそうなもの。それを暗唱してやってしまうのですから。
やはり只者ではないなあ、としみじみ思いました。


読むことで得られるもの

タイトルは「バカでも・・・」とありますが、杉村さんは「ただのバカ」では無いことが分かりました。


というのも、この本から伝わってくるのは、 ”その場その場、与えられたことに真摯に全力で取り組む”という一所懸命な姿勢 なんですよね。
決して「料亭に行きたい」と浮ついたことしか考えていないような、テレビで見えているような人物像ではありません。
フリーターの清掃時代、証券会社時代、国会議員時代、周囲の人の言うことに耳を傾けながら、自分なりの成長戦術を持って一途に頑張る。そんな杉村さんの姿勢が浮かんできます。


そして印象的だったのは 「実行力」 です。


チャンスだ!と思ったことには、とにかく飛び込んで見る姿勢。例えば、
・清掃の仕事を紹介されたら、喜んで引き受ける。
・証券会社の入社試験を受けなさいと提案されて受ける。
・自民党の候補者公募のホームページを見たら、締切日当日だったが即日論文を書いて応募する。
・自民党本部から「今から来られますか?」と電話がかかってきたら、「5分で行きます!」と返す。
これはなかなか出来ないことだと思います。
杉村さんはこの本の中で国会議員時代の発言「『棚からぼたもち』はぼくのためにあるような言葉」を引用し、次に 「ぼたもちが落ちてきたとき、ぼくは棚の下にいた、ということです」と書いています。
とにかくチャンレンジしてみようという気持ちで実行してきたことが、今の杉村さんを形づくったということが、とても印象に残りました。


どんな人にオススメできる?



杉村太蔵さんに興味がある人。
または、杉村太蔵さんを「国会議員にたまたまなれて、今はたまたまテレビで仕事している運の良いだけの人間」と思っている人。
新鮮な驚きがきっと得られます。


一所懸命に努力する。
何でも軽い気持ちで取り組んでみる。


この2つの言われてみれば当たり前の言葉を、ちょっと変化球の味付けで楽しめるこの本は、おすすめです。

2016年01月26日

リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ 高野 登


リッツ・カールトンでホテルマンとして働いていた筆者が、「おもてなし」「ホスピタリティ」をキーワードに、ビジネスマンとしての生き方・心の持ち方を提案している本です。

「あのジェット機欲しいんだけど」という帯 が付けられていて、 「世の中にはなんて無茶なことを言うお客さんがいるものだ。そんな時に自分だったらどう対応するだろう?」と興味を惹かれて買ってしまいました。 その時のリッツ・カールトンのホテルマンの対応は本書中に書かれています。本当にあった事例とのことでちょっとビビリます。

さて、この本の中では、

自分のものさしを捨てる。
一番大事なことを、一番大事にする。


何となく当たり前のように認識しているこれらの言葉・概念などについて、その具体例として筆者が経験したホテルでのエピソードを擬似体験することができます。
改めて考えることができる良い機会になったなあ、というのが読後の感想でした。

また、書かれていることは筆者がホテルマンとして経験したことがベースになってはいますが、その本質が「人のためになることをする」「相手の立場になって考える」だとすれば、 実は接客業以外の全てのビジネスに共通している事なのかもしれない と思いました。
仕事は結局のところ人に喜ばれることで初めて仕事として成立する訳ですから、 仕事を届ける先である「相手」「人」との関わり方を考えていくことは、ビジネスの本質を考えること の一つの形のような気がしたのです。

というわけで読んでみて損はない本だと思います。
単純な読み物としても面白かったです。

ところで書中に
「時々私は、師と仰ぐ方、メンターに会いに出かけます。」(P134)
ということが何気なく書かれていました。
私の最近の感覚として、「尊敬する箇所を持つ人に会うことで、そのエッセンスの影響を自分が受けることができるような気がする」「この部分の影響を受けたいから、あの人に会いに行きたい」と思うことがあったもので、はっとさせられました。
自分だけの感覚だけではなかったんだと。
良い影響を受けることができる、尊敬する人に定期的に会いに行くことが大事なんだなと思いもかけず気付くことができ、この言葉への出会いも面白いなあと思いました。

2016年01月11日

棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか 棚橋弘至(文庫版)


面白く読めるとともに、なるほどと唸るところも多い良書です。
スポーツ本というよりも、プロレスエッセンスのあるビジネス書と言えるのではないでしょうか。

では簡単に紹介します。

この本は「新日本プロレス」に関する物語ですが、私はプロレスのことはほとんど知りません。
前知識としては、「かつてアントニオ猪木やジャイアント馬場が現役のときは物凄く人気があったが、K-1や総合格闘技がブームになるなか次第に人気が低迷し、その後どうなったかは全然知らない」といったレベルです。顔を知っているレスラーといえば、時々テレビのバラエティ番組に出てくる高田(出てこいやーのモノマネをケンコバがしているのは間接的にたくさん見ていました)や蝶野くらい。
著者の棚橋さんは、失礼ながら「1回見たことがあったかなあ?」というくらいでした。

そんな私がこの本を手に撮ったのは、 「なぜ新日本プロレスを変えることができたのか」というタイトル と、 プロレスラーらしからぬスーツでビシっと決めたビジネススタイルの棚橋さんの写真にグッと興味を惹かれたから です。
「プロレス?・・・そういえば低迷してたんだよなあ。それが変わった?人気を取り戻したのか?これはちょっと面白いかもしれないなあ」
といったところでしょうか。

書中では、プロレスの世界に強い憧れを持って飛び込んだ筆者が、新日本プロレスの低迷と正面から向きあい、悩みながら道を切り開いてきた過程が書かれています。
決してプロレスラーとしての才能に恵まれていた訳ではないと考えた著者が、何よりも努力、そして知恵と工夫を、信念を貫きながらプロレスと真正面から向き合っていく姿はシンプルに格好良いです。
その姿がありありと描かれていて、 気が付くと、すっかり著者に感情移入して「棚橋=オレ」的な状態で読んでいました。
最後までページを捲る手が止まりませんでした。
”プロレスラー棚橋”の物語としてだけでも単純に面白い本です。

また、棚橋は一貫して 「プロレス=興行=ビジネス」 と捉え、それをどう盛り上げていくかという視点を持っていました。
低迷していく新日本プロレスをどう盛り上げるか? 会社の中の人間を一社員の立場からどう変えていき(これが一番むずかしいことですよね・・・)、どう観客を惹きつけていくか? これらの課題に真正面から取り組んできたエピソードが書中で語られます。
ここにビジネス書としてのエッセンスが濃く現れています。

この本は「新日本プロレス」が題材でしたが、 そこで起きた物語は実は他の分野でも多くのことにあてはまるんじゃないかと感じました。
「一番良かった時代」を思い、今は時代がなあ・・・と考えている分野・人たちは多くあるように考えます。
右肩上がりの成長は望めず、人口が減少する中でパイはどんどん減少し、娯楽は多様化して完全な買い手市場と化している。
その中でどうやったら自分のビジネスを広げていけるか?
それを棚橋さんはプロレスの中で実現したということであり、そしてまた、同じように自分たちも実現できるということなのかもしれません。

だとすると、 棚橋さんの本書で語られる「新日本プロレス」そして「棚橋弘至」物語は、同じように自分自身の周りでも、ステージを変えていつでも表れる可能性があるっていうことです
もし、今の自分の立ち位置に棚橋がいたらどのように立ち向かうだろう?
よし・・・いっちょやってやるか!的な勇気を貰えたように思います。
どんな事でも考え方一つ、行動次第で変えることができるんだよ、俺はこうしてきたんだよという素敵な物語でした。

また、棚橋さんの人間性も好きになりました。
書中で書かれていた「同棲している彼女がいながら、別の交際していた女性に背中を刺される事件」には???でしたが、まあ、若さゆえの過ちなんですかね(汗)。

須藤元気さんもそうだったように感じましたが、格闘家と呼ばれる人たちは、自分の精神・肉体ととことん向き合っていく職業だからでしょうか?野性的といったイメージよりも遥かに理知的で、物事をよく見て考えているなあと感じました。
(勿論人によるところも大きいとは思いますが)

印象に残ったフレーズを最後にいくつか引用したいと思います。

”リング上でマイクを手にしてしゃべる時、僕は必ず「エネルギーのある言葉」を選んで使う。
「ありがとう」なら「感謝してます!」と言い換える。”(237P)

”情報は一度告知したくらいでは伝わらない”(141P)

”すかさず僕は猪木さんに言った。「僕が新しいパイを持ってきます!」”(197P)
タグ: 棚橋弘至

2016年01月03日

やりたい事をすべてやる方法 須藤元気


元格闘家で、ダンスパフォーマンスユニット「WORLD ORDER」を立ち上げるなど多方面で活躍されている須藤元気さんの本です。

これまで何冊か須藤さんの書いたエッセイを読みましたが、スピリチュアルな中に少しオタクの香りが漂うユーモアが散りばめられていて、とても面白く読むことができ、何か人柄が表れている文章だなと好感を持っていました。

さて、この「やりたい事をすべてやる方法」です。

どちらかというと、いわゆるビジネス書的な風合いが強い内容になっています。
進もうとする分野の分析を冷静に行い、戦略・戦術を持って取り組んでいくということを須藤さんのエピソードを交えながら具体的に紹介しています。

読みやすい文体の中に、様々な経営者が書いてきたエッセンスに近いものが多々込められており、驚きです。
例えば「インターネットが世界を変えた」というのは堀江さんの本の中で何度も触れられていたことですが、須藤さんも同じことをこの本の中で書いていて、また実際に「WORLD ORDER」の戦略の中でインターネットを最大限に使ったことが挙げられています。
分かりやすい実例のエピソードを交えながらの説明はとても分かりやすく、イメージが湧いてくるような気がしました。

須藤さんの視点や言葉による、ちょっと違った切り口でビジネス書を楽しむことができる、なかなか良い本だと思います。
なにより安い!
500円+税の価値は十二分にあります!

2015年11月01日

あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか———論理思考のシンプルな本質 津田 久資

「これは論理思考を紹介した本です」というと世の中には同じような本がたくさんあり、この本もその中に埋もれてしまいそうですがー

そういう本も割と読んできたつもりです。
ですが、この本に書かれている内容は 実践的で、しかも分かりやすく、読者に鋭く切り込んでくる内容 です。

副題の「 論理思考のシンプルな本質 」がそれを集約して表現しています。

以下は私が読んで受け取った解釈ですが(といってもまだ一度しか読んでいないので、正確に把握できていないかもしれません)、

本質とは何か?→それは「考えること」
では考えることとは何か?→思考を広げ、発想を広げること。そのためには具体的に「書くこと」
その目的は何か?→「しまった」を防ぎ、勝負に勝つこと。

では筆者が言う「しまった」とは?
それは本を買って自分で確かめてください(笑)。

論理思考を紹介している本らしく、段を踏んで説明が進むためとても分かりやすい。
そして前提、目的、手段がはっきり示されていて具体的。
例えは古いですが、目から鱗が落ちた感じでした。
そっか、思考法はその目的のためにあるんだーーー。

経験に裏打ちされたシンプルな 良書 だと思います。
「東大卒」に勝てるとかどうかは全然関係ないですけどね。
(ちなみに筆者自身が東大卒とのことでした)

この知恵が税抜き1,400円なんて安いですよ!
タグ: 論理思考

2015年08月12日

論理思考力をきたえる「読む技術」 (日経ビジネス人文庫)  出口 汪

東進衛星予備校講師といえば 「今でしょ!!」 で一世を風靡した林先生が有名ですが、筆者の出口さんも同じく東進衛星予備校講師です。

メディアへの露出度は林さんがずば抜けていますが、 現代文の解説書籍に関しては出口さんの内容がずば抜けています。
と個人的には思っています。

現代文って、昔から嫌いだったんです。
本は子供の頃からたくさん読んでいました。漢字の読み書きもどちらかというと出来る方でした。なのに現代文の問題になると、なぜその解答になるのか全く理解できませんでした。
「それは、問題作った奴が勝手にそう思っているだけだろ!」
「文章なんて読み方で内容が変わるあいまいなもんじゃないか」
「自分は読むとこうなるんだ。こんな理屈に合わない感覚の教科なんて馬鹿らしい」
と問題側にケチをつけていました。

当時は本当にそう思っていたんですよ。
でも出口さんの本を読んだとき、それは自分が「現代文の読み方を知らなかったんだ」と理解し、脳天に稲妻が落ちたような衝撃を受けました。
現代文って感覚じゃなく論理の問題だったんだ・・・ という静かな衝撃です。
いやいや、本当に。
高校生の時に出口さんの解説本を見ていたら、現代文でもきっと高得点が取れたに違いない・・・と猛烈に後悔してしまったほどです。

さてこの本は、読書を通して「論理的思考力」を鍛えましょうと提案している本です。
この本では、出口さんの現代文講座をちょっと見方を変えて、論理的思考力と読書という切り口から紹介しています。
書かれている要素は現代文講義とほぼ同じなので、あわせて読むと効果が高いと思います。
本書では追加要素として、ノートの取り方や記憶のしかた、読書のコツなどいくつかの手法が紹介されています。

問題集と違って読み進めやすいので、2時間もあれば読めると思います。
書かれていることは割とあっさりしたことなのですが、よく読み込んでいくと、その凄さが分かると思います。文章の読み方、書き方に対する考え方が一気にリライトされてしまうかもしれません。

現代文を読むのは苦手だ!という方にはぜひ入門編として読んでいただきたいです。
ただし、この本の目的は「論理的な読解法」を身に付けることにありますので、読むだけではなく実際にやってみて初めて意味があります。そのためには、筆者の高校生向け問題集をあわせてやってみると体感することができるので、分かりやすいと思います。

2015年07月27日

エッセンシャル思考〜最小の時間で成果を最大にする〜 グレッグ・マキューン

「ビジネス書大賞2015」 という大層な帯が書店で目立っていました。
それだけでは手に取らなかったと思いますが、帯の”99%の無駄を捨て 1%に集中する方法!”というフレーズが自分センサーに反応して、読んでみることにしました。

うーん。
面白かったですね。
細かい説明は省きますが、” 自分にとって本当に大事なものは何か?ということを考え抜き、行動の中でそれを最優先にして全エネルギーをつぎ込むことを素晴らしいと説いた ”本だと感じました。
※感じましたという言葉がふっと出てきたということは、しっかりと読み込めていない証拠かもしれない!読み込めていれば、”感じた”ではなく”書かれていた”という言葉が浮かぶハズだ!※
一方で不用なものはどんどん切り捨てていく。そうすることで満ち足りた幸福な人生が実現できる…というような内容でした。

何か分からないうちに色々とやることを引き受けてしまい、優先度も整理できず、振り回され、結局ギリギリにいつも力業で間に合わせてしまう…というのが近頃の自分がよく陥るパターンですが、こういうものは非エッセンシャル思考として駄目な例としてまさにこの本のなかでは挙げられています。

書かれていることはシンプルなものですが、実現することは結構難しいです。言われてみれば「その通りだなあ・・・」と思う内容ばかりですが、こういうことはなかなか自分では見えないわけで、それを気づかせてくれるというのはやはり価値がある本だと言えるでしょう。

断捨離とか、魔法の片付けとかと、考え方は同じものですね。
同じものを感じます。
スマホ、PC、テレビなど油断すると情報やモノにあっというまに飲み込まれてしまう現代にはますます必要とされる考え方だと考えます。
という訳で、一読の価値はあると思います。

ビジネス書大賞は伊達じゃない!!

ところで、この本を読んでいる途中、エッセンシャル思考・・・という言葉に当てはまる人物として思い浮かんだ人がいました。
それは「 赤木しげる 」です。
特に、「天」の最終エピソードで死を迎えようとするアカギと、それを止めようとする原田の会話のシーンが思い浮かびました。

台詞をいくつか抜粋しますと・・・

赤木
「俺は『成功』を少し積んだら すぐ崩すことにしてきた・・・!」
「お前はいいやいいやで 不用心に積み過ぎた・・・!」
「どんなに金や権力を 手に入れたところで・・・ 実は窮々としている・・・!『成功』ってヤツは・・・人を自由にしないんだ・・・」

原田
「締めつけてきやがるっ・・・・・・!俺が築き勝ち取った『成功』が・・・成し遂げた『成功』が・・・どういうわけか俺を殺しに来やがる・・・!」
「狭めてくる俺の生を・・・その枠がもう間近・・・・・・!」
「棺っ・・・!」

また、その前に赤木は、別の人物との会話でこう話しています。

赤木
「そうさ・・・勝負が・・・人生の全て・・・!」
「そんなもの(女や酒、友人・・・家族・・・)は・・・全部休憩だ・・・!」
「あんなものは勝負と勝負の間の息継ぎに過ぎないっ・・・!」

赤木はエッシェンシャル思考そのものの姿です。
対して、ここで原田は非エッシェンシャル思考のように描かれているとも見えます。
原田を囲う成功の棺は、非エッセンシャル思考の例として挙げられている「成功のパラドックス」そのものです。

なるほど、腑に落ちました。
赤木しげるの姿がなぜ強烈に心に残るのか、それは、本書中に紹介される幾つもの成功者たちと同様に、エッセンシャル思考の人だったからなのでしょう。
単に人間離れした勝負能力だけでなく、非エッセンシャルの自分自身と対局にある究極の姿であるから、そこに心惹かれていたんだと思います。

だとしたら、今から「エッセンシャル思考」の人物になれるよう、努力をすればいいということです。

その気付きを与えてくれた、良書だと思います。

でも何だか、エッセンシャル思考のことを書いたのか、「天」そして赤木しげるのことを書いたのか、良く分からない記事になってしまいました・・・。

2015年07月20日

「原因」と「結果」の法則?C

ジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則」』(訳:坂本貢一 サンマーク出版)の続きです。
※久し振りの更新になってしまいました。。。

ボリュームの多かった「思いと環境」の章が終わり、続いて 「思いと健康」の章です。

この章は文章自体は5ページと量があまり多くありません。
内容としてもすっきりしていて、「肉体の健康は心によってもたらされる」という主張が述べられているだけです。

重要な箇所としては、
P45
”病気と健康は、環境同様、心の中でめぐらされる思いの明らかなあらわれです。病的な思いは、それ自身を病的な肉体を通じて表現します。”

のところと、それと

P47
”きれいな思いは、きれいな習慣を創りだします。自分の心を洗わない聖者は、聖者ではありません。自分の心を強化し、浄化した人間は、そのときから、もはや病気とは無縁になります。”

の箇所でしょうか。

論理構成もシンプルであり、「よい心が健康をつくり、恐れや不安などが肉体を蝕む」という内容を幾つかのパターンで紹介するという形で展開されています。
根拠となる統計的なデータが記されているわけではなく、事例の紹介と、「こうだからこうだ」という筆者の思いが書かれているというものなので、あまり強い説得力があるわけではないなと感じました。

まあ、「原因と結果の法則にはこういうオプションも付いてくるんですよ」といったところでしょうか。
本書の中では重要度は薄い箇所かもしれません。


読んでいて思ったのは、中村天風氏の本で読んだことがある考え方と似ているなあ、ということです。中村氏の本には「生命の主人は心であり、積極的な心が何より大事であり、肉体の健康をももたらす」という事が書かれていて、なるほどなあと感じ入った覚えがあるのですが、この事と同じようなことがこの章には書かれています。

ということは、あるいは人類普遍的な考え方としてどの場所にも生まれうる思想なのかもしれません。
(もちろん他に「健康な体や習慣が、健康な心をつくる」あるいは「体と心は一体」といったような思想もあります)

さて次は、「思いと目標の章」です。

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2015年06月22日

「原因」と「結果」の法則について?B

ジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則」』(訳:坂本貢一 サンマーク出版)の続きです。

「思いと環境」の章の続き

P33
”「自分の心と人生内で機能している法則は完璧に公正であり、それが、悪に対して前で報いたり、前に対して悪で報いたりすることは絶対にありえない」ということを知るでしょう。”

の解説の箇所の続きからです。
対比する例としてトウモロコシやイラクサの話に触れ、続けて

P34
”この法則が自然界のなかで機能していることは、誰もが知っています。でも、それが個人の人生のなかでもまったく同じように機能している人は、とても少数です。”

また出てきました。「個人の人生のなかで」という言葉です。
法則は世界の中で成り立っているのではなく、あくまで「個人の人生のなかで」機能しているということを説明しています。
これは一見見落としがちな箇所かもしれませんが、ここをしっかり捉えておかないと「そうは言っても自分が善い行いをしても、不運続きで全然善いことが自分に帰ってこないじゃないか」という誤った認識につながり、「原因と結果の法則」を意味のない理想論として見限ってしまうことになりかねない、重要な箇所だと思いました。

P35
”私たちに苦悩をもたらす環境は、私たち自身の精神的混乱の結果です。私たちに喜びをもたらす環境は、私たち自身の精神的調和の結果です。”

この箇所は、P22の
”人格は環境を通じて、それ自身を表現しています。”
という箇所の言い換えだと考えられます。
ここでようやく、この章の主題の分かりやすい形での提供が行われたと見ていいでしょう。

筆者が真実として紹介した「人間は自分の人格の製作者であり、自分の環境と運命の設計者である」のうち、「人格の製作者」「環境の設計者」の2つの箇所については説明がされました。
なるほど、これが原因と結果の法則ということなのですね。
この真実のうち、残るは「運命の設計者」です。
これはどの箇所で説明されていくのでしょうか、しっかりと読んでいきたいと思います。

P37
”この宇宙を動かしているのは、混乱ではなく秩序です。”
という言葉が唐突に出てきますが、これは筆者の信念だと考えるべきでしょう。なぜならこの内容についてこれまで一切論じられていませんし、引用もありませんし、この章においてはこの点に関する説明はありません。
あるいは宗教的な共通認識として西洋にある考え方なのかもしれません。
ここは、「このような考え方に立つと」というくらいで留めておいたので良いと思います。

・・・そしてここから先は、「思いが環境をつくる」ということの例示が続きます。例を重ねることで、主張をより分かりやすい形で見せようとしている部分でしょう。
という事で、この章「思いと環境」は一旦幕を閉じます。
この章では、「運命の設計」というところまでは論が進まなかったようです。そりゃそうですね。

次の章は「思いと健康」。

さて、次は環境ではなく健康。一体どのような論が展開されるのか、しっかりと読んでいきたいと思います。
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霧島もとみ
他人との距離感をいつも遠く感じながら生きてきました。高校の体育祭のフィナーレでは、肩を抱き合って大はしゃぎする光景に「何でこんなに盛り上がれるんだろう・・・?」と全く共感できませんでした。共感できない自分が理解できず、いつも悩んでいます。そんな私でも面白いと思うことはこの世界に一杯あります。それが私の生きる糧でした。面白いことが増えていけば、よりたくさんの人が楽しく生きられるはず。そんな世界を夢見ています。
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