過去発表時のポイントは次の通りです。
- BOEは金利改定を頻繁に行わないにも関わらず、本発表前後のGBPは大きく動きがちです。過去のデータを見ると、2016年7月の利下げが行われた回を除き、前回まで過去22回の直後1分足跳幅の平均値は33pipsに達しています。ちなみに、2016年7月の直後1分足跳幅は286pipsにも達していました。
- 前回結果も今回の市場予想も「現状維持」となっています。前回は直後1分足・直後11分足ともに陰線となっていました。
- 過去23回で直前1分足の陰線率は87%、跳幅平均は15pipsもありました。本発表時には直前1分間にそんじょそこらの経済指標発表直後よりも大きく反応します。
- 直前10-1分足と直後1分足の方向一致率が9%となっています(不一致率が91%)。また、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率は70%に達しています。
結果は事後に追記します。そちらもご参照ください。
?T.調査
【1. 指標概要】
英国の政策金利は、英中銀(BOE=the Governor and Company of the Bank of England)の金融政策委員会(MPC=Monetary Policy Committee)に決定権限があります。同委員会は、総裁1人・副総裁2人・行内委員2人・外部委員2人の合計9人で構成されています。
MPCの決定には特徴があります。
まず、9人の意見が強く反映されるため、他の主要国(日米欧)と違って市場予想がアテにならないと言われています。また、直近の金利改定は2016年7月に0.5%から0.25%に下げられました。その前は2009年3月でした。このように、BOEはあまり頻繁に金利改定をしない、というイメージがあります。
がしかし、金利改定が頻繁に実施されないにも関わらず、本発表前後のGBPは大きく反応します。
過去のデータを見ると、利下げが行われた2016年7月を除く前回まで過去22回の直後1分足跳幅の平均値は33pipsにも達しています(2016年7月のデータも含めた平均値は44pips)。
ちなみに、前回利下げが行われた2016年7月の直後1分足跳幅は286pipsにも達していました。
MPCは原則毎月第1水・木曜日の2日間開催され、2日目の正午に政策金利が発表されます。その2週間後に議事録を公表し、2月・5月・8月・11月に四半期インフレ報告書を発表しています。
一般論として政策金利が引き上げられた場合、英国債金利上昇・英国株安・GBP高へと反応します。
【2. 既出情報】
既に公開されている情報を整理します。
指標発表結果に対し最も率直に反応するのは直後1分足跳幅です。
前回発表時は、前々回結果・市場予想ともに今回と同様に「現状維持」でした。そして、直後1分足・直後11分足ともに陰線で反応しました。
過去23回の直後1分足跳幅の平均値は44pipsでした。利下げが行われた2016年7月を除く前回まで過去22回の直後1分足跳幅の平均値でも33pipsにも達しています。
かなり大きく反応する指標だと言えます。
(2-1. 過去情報)
本指標の過去の動きを下図に示します。
前回の結果も今回の市場予想も「現状維持」となっています。
先月1/17には、カーニーBOE総裁が「今後数年間の英成長は鈍化する見込み」「個人消費の進展が政策にとっての鍵になる」「BOEは両方向に対応することが可能」「英成長は減速する見込みであって、止まるわけではない」と発言しています。
注視である以上、今回BOEがアクションを起こす可能性は低い、と考えられます。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足を、始値基準で揃えて下図に示します。
直前10-1分足の過去の跳幅平均は15pips、値幅平均は10pipsとなっています。
陽線・陰線への偏りはありません。
後述するように、直前10-1分足の方向は直前1分足と逆方向になりがちです(両者の一致率が僅か9%)。また、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率は70%となっています。
直前1分足の過去の跳幅平均は15pips、値幅平均は12pipsとなっています。
直前1分足の方向は陰線に偏っており、過去23回中20回が陰線(87%)となっています。
過去の直前1分足は極端に陰線に偏っていることもあって、その後の直後1分足・直後11分足の方向を示唆する兆候は見出せません。
直後1分足の過去の跳幅平均は44pips、値幅平均は27pipsとなっています。前回利下げが行われた2016年7月は、跳幅が286pips、値幅が168pipsにも達しています。この回を除いた「現状維持」だった過去22回の平均値は、跳幅が33pips、値幅が21pipsなので、例え「現状維持」でも大きく反応しています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は74%で、直後11分足終値が直後1分足終値を超えて同方向に伸びたことは55%となっています。
直後11分足の過去の跳幅平均は62pips、値幅平均は42pipsとなっています。前回利下げが行われた2016年7月は、跳幅が286pips、値幅が97pipsにも達しています。この回を除いた「現状維持」だった過去22回の平均値でも跳幅が52pips、値幅が39pipsなので、例え「現状維持」でも大きく反応しています。
なお、次回以降のために今回の事前の動きを記録しておきます。
直近の1時間足を見ると、17:00始値は142.93、18:00始値は142.75、19:00始値は142.75で終値は142.00となっています。つまり、英国市場が動き始めるに連れて、急速にGBPJPYが下がっていました。
(2-3. 関連指標)
21:00に本政策金利発表が行われた後、21:30にはBOE総裁の記者会見が予定されています。今回は、ブリグジットに関するBOE対応方針の説明に関心が高まっています。
?U. 分析
解釈・コメントは「?T. 調査」の該当箇所に記載済のため、分析結果のみを示します。
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べます。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析では、事前差異と事後差異の方向に偏りがないかを調べます。
今回は調査期間中における金利改定が1回しか行われていないため、分析に足るデータ数が集まりません。そのため、本分析は割愛します。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
シナリオは4つ用意しましたが、実際に取引するかどうかはわかりません。何しろ大きく反応しがちな指標ですから、ポジションは慎重に持ちたいと思います。
?V. 結果
2017.2/2.21:00発表
以下は2017年2月2日22:22に追記しました
【7. 発表結果】
MPC議事録では
「政策金利は0.25%に据え置き、この決定には委員全員が一致」
「資産買取規模は4350億GBPに据え置き、この決定には委員全員が一致」
「何人かの委員はインフレに懸念を示した」
と公表されました。
同時発表された四半期インフレ報告では
「インフレ見通しが2017年は2.7%、2018年は2.6%」
が示されました。
反応の大きさはさすがGBPです。
21:00からの1時間足は、始値142.36→終値141.34で、現在22:08に141.00も下抜けました。一目均衡表の日足基準線は140.93なので、ここで止まるかどうかですね。
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
?W. 検証
【8. 調査分析検証】
分析が外れて、直前1分足は陽線、直後1分足と直後11分足の方向は逆になりました。
直前10-1分足は陽線で、直後1分足は陰線となりました。こちらは分析通りでした。
【9. シナリオ検証】
シナリオ1は分析が外れたので損切となりました。
シナリオ1が外れた時点でシナリオ2は取引を中止しました。そのまま止めていれば良かったのに、シナリオ3は直後1分足の値幅方向と同じにポジションを取り、これも損切となりました。
あいたたた、というところです。まぁ、こんな日もあります。
以上
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以上