今回の発表では次のようにポジションを持つ予定です。根拠を以下に示し、結果は事後に報告します。
【1. 指標概要】
本指数は、(1) 各国のPMI同士を比較しやすいこと、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 製造業景況指数は非製造業のそれより先行性があると考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。これは、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられるため、です。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
英国重要指標全般に言えることですが、他の主要国と比較して反応(値動き)が素直で大きいという特徴があるように思われます。FX会社などの経済指標ランク分では、他国と同程度の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。がしかし、米国指標発表時のUSDJPYの反応と比べると、英国指標発表時のGBPJPYの反応は、1ランク上の大きさになるようです。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。
なお、PMIとはPurchasing Manager's Index(購買担当者景気指数)の省略形です。
Markit社の日本語案内資料によれば、「各国の製造業とサービス業の PMI 調査は、400 を超える企業の上級担当責任者(もしくは同等職)を対象とするアンケート調査への回答に基づいています」。製造業の「アンケートは生産高・新規受注・新規輸出受注・受注残・製品価格・購買価格・サプライヤー納期・完成品在庫・購買数量・購買品在庫・雇用」について行われ、その「集計結果をMarkit社のエコノミストが調査結果についてまとめています」。もし本記述内容に誤りがある場合には、引用者である当会のミスによるもので、Markit社案内資料の問題ではないことを付記しておきます。 出典はこちら になります。
【2. 既出情報】
最初に、本指標の過去及び今回発表情報のうち、既に公開されていることを整理します。以下の調査は2015年1月以降先月発表結果までの23回分のデータに基づき、当会独自に行っています(Markit社とは関係ありません)。
まず、今回発表では前回よりも0.2ポイントの悪化が市場予想されています。本指標の過去の市場予想と発表結果を下図に示します。
図から、最近は2016年7月を底として2回続けて改善後、2回続けて悪化しています。2016年7月の底は、6月のブリグジットショックのためと解釈でき、その後は回復しつつあるという状況でしょうか。
今回は、年明け以降にEUとの離脱交渉が始めることや、英国側の交渉方針に関する報道がはっきりしないこと(交渉前には当然のことです)を踏まえると、製造業購買担当者がPMI調査項目の全てに消極的になることが想像できます。逆に、これから暫くは積極的になる理由は見当たりません。
もともと欧米の景気・雇用指標は、年末の予想が強気になる傾向があります。そのため、今回は市場予想以上の悪化も起こり得るので、予断を許しません。
次に、過去の本指標発表前後ローソク足を一覧整理しておきます。
このブログでは、ローソク足の大きさを比較しやすくするため、同じタイミングを始値とする始値規準ローソク足で表記します。比較は、指標発表の10分前からの9分足(10-1分足と縦軸に表記)・1分前からの1分足・発表直後の1分足・同10分足、の四種類について行います。
縦軸の目盛数値を見ると、指標発表の10分前からの9分足(縦軸には10-1分足と表記)で、10pips以上の跳幅となったことが20回あります。そして、指標発表直前1分足でも、10pips以上の跳幅となったことが9回ありません。また、発表直前10-1分足は陽線が目立ち、発表直前1分足では陰線が目立っています。
指標発表直後の反応は、20pips以上となったことが、1分足で12回、10分足で21回あります。ちなみに、調査対象期間中に最も大きく反応したときは110pipsにも達しています。
以上の既出情報を整理した結果を纏めておきます。
- 本指標の過去反応は、発表前後ともに比較的大きくなることがあるので、ポジションを持つときには注意が必要です。
- 本指標の今回市場予想は、前回よりも0.2ポイント悪化となっています。諸般の状況を踏まえると、今回は市場予想以上に悪化する可能性があるため、重ねて注意を喚起しておきます。
- 指標発表の10分前からの9分足(縦軸には10-1分足と表記)で、10pips以上の跳幅となったことが20回あります。そして、指標発表直後10分足は、20pips以上となったことが21回あります。また、調査対象期間中に最も大きく反応したときは110pipsにも達しています。
既に公開されている既出情報の調査は以上です。
この続きは、(1) 過去の反応の大きさ、(2) 過去のローソク足の向き、(3) 過去の反応(指標値によってどちらに値動きしたか)を分析し、本指標でどのようにポジションを持てば良いかの検討を行っています。 '17.01/03.18:30予定ー英国景気指標「製造業PMI」分析 へどうぞ。
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以上