婚約
新田は土曜日の昼前にやってきた。きちんとスーツを着ていたし、挨拶もしっかりしていた。まともな奴だとすぐに分かった。
「初めまして新田詩音と申します。」とあいさつしたのでにらんでやった。「何が初めましてだ。以前、突然訳の分からんことで呼び出したじゃないか。」と思った。しかし、そのおかげで僕たち夫婦は娘たちの婿探しを始めた。梨央はその縁談で結婚していた。
内心、この男は我が家にいい風を送ってくるのかもしれないと感じた。新田は自分の家族の状況も収入の話も、離婚歴も話した。そして、健康の問題も話した。これは頭になかったので驚いてしまった。絵梨も驚いていた。
この時絵梨が口を開いた。「正直におっしゃっていただいてありがとう。こういうこと親の前でいうの、勇気が要ったでしょう?実はね、私は流産の経験があるんです。夫と結婚する前に一度離婚しているんです。貴方と同じバツイチなんです。そのとき、両親や今の夫の協力を得て立ち直ることができました。その最初の結婚で流産したんです。」絵梨は少し涙ぐんでいた。梨沙は驚いて言葉が出ないようだった。離婚歴は知っていたが流産のことは知らなかったのだ。
「夫がプロポーズしてくれたときには、流産がどんな影響が出るかわからなかったんです。ひょっとしたら、もう授かれないかもしれないって思ってました。でも夫はそんなこと問題にもしてなかったんです。わかってるって言ってくれました。子供がいるってとっても幸せなことよ。でもいないから幸せになれないなんてことないのよ。二人が仲良しだったららそれがいいわ。」と僕に言葉を挟ませなかった。
絵梨はこの事情を事前に聞いていたのかもしれない。としたら梨沙の作戦は見事に成功した。そうだったあの時、絵梨が流産したとき、僕は絵梨の老後を引き受ける気持ちになっていた。子供ができるかどうかは問題じゃなかった。
子供ができるかできないかなんて実際わからない。それでも事前にできませんといわれるのは面白くなかった。自分が孫がほしいから面白くないのではない。
梨沙が寂しくないのか?それだけが気になっていた。それでも、絵梨に悲しい思い出をしゃべらせた後で反対することはできなかった。自分がこんなに煮え切らない男だとは思わなかった。
続く
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2019年08月18日
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