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2019年09月18日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <28 怖い夢>
怖い夢
梨沙ちゃんの結婚式から10日ぐらい経つと梨央が夜うなされるようになった。夜中に突然、うう〜んとうなされたかと思うと抱き着いてきた日もある。時々は夜、目覚めてトイレに立つこともあった。怖い夢を見るらしい。俺は戦慄した。梨央には母のことは言っていない。口に出すものではないと思っていた。
そのうちに日中でも何かといえばソファやベッドで横になる日も出てきた。大丈夫かと声をかけると、大丈夫と答える。内心「大丈夫じゃないだろう」と思った。梨央の顔色が悪い日は心が曇った。
それでも家では極力明るく過ごした。「無理すんなよ。掃除なんてしなくても死にゃしないんだから。洗濯辛かったらパンツ買ってきてやるから。」とできるだけ明るく気を使った。
梨央も明るく「ばかねえ。洗濯は洗濯機が勝手にやってくれるわよ。お掃除はたまにさぼるかな?ちょっと我慢してよね。」と言って、実際掃除は少し手抜きの時もあった。梨央は家事好きだ。基本は手を抜かない。手を抜く日はよほど体が辛いのだ。
梨央は体調が悪くても夕食は準備してくれた。しかし、この2,3日自分が食べない日が続いた。たまりかねて、「いい加減医者に行かなきゃ。悪い病気だったらどうすんだよ!」と少しきつく言った。もし、悪い病気だったとしても今は医学も発展してるし、何よりも早期発見した方が治りやすい。そう自分を励ました。
ところが梨央はぐずぐずしてなかなか医者に行こうとしなかった。「人間なんだから調子が悪い時もあるわよ。自分の体は自分が一番よくわかってるのよ。しばらくしたらよくなるわ。」と言って、家から出る日が減っていった。母も周囲から医者に行けといわれているのに、大丈夫、大丈夫と言ってかたくなに医者に行かなかった。
俺は梨央を怒ることはまずない。梨央にきつい言葉を言えなくなっていた。たまに喧嘩になっても、梨央が俺の背中に顔をくっつけたまま「怒ってる?」と聞けば思い切りあっさり「怒ってない」とデレンとなった。いつの間にかデレデレの亭主になっていた。
しかし、その日の俺はイラ立ちが高じて「明日病院へ行け!送ってやるから。」ときつく怒ってしまった。梨央は少しむくれて「しょうがないわね。じゃ、マードレ病院までお願いね。近いし評判もいいから。」といわれてポカンとなった。
マードレ病院は会社へ行くときに通りかかる産科の専門病院だった。「サプライズ報告しようと思ったけどパパはあわてんぼだからしょうがないわね。」といった。パパと呼ばれて泣きそうになった。
「何で言ってくれなかったんだよ。言ってくれよ。本気で心配するじゃないか。」と残念なことに半べそをかいてしまった。梨央は大笑いで「あなた泣き顔すごく可愛い。」といった。
俺は迂闊だ。新婚の妻が体調が悪いと言ったら、一番先に思い付くのはこれじゃないか。病院の診断結果は妊娠3カ月だった。俺はアホだった。自分の悲しい思い出に気を取られて、ごく普通のことに気が付かなかった。うれしかった。
その夜、梨央が「多分あの夜、できたんだと思うの。あの夜、本当に感動したの。」といった。その夜がどの夜かはっきりわかった。
今後は梨央に無理をさせてはいけない。情熱的な夜はお預けだと思うと少しさびしかった。それでも新しい家族が増えるのだから「夜の元気は仕事に回さなきゃな。」と殊勝な気持ちになった。
続く
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コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。
梨沙ちゃんの結婚式から10日ぐらい経つと梨央が夜うなされるようになった。夜中に突然、うう〜んとうなされたかと思うと抱き着いてきた日もある。時々は夜、目覚めてトイレに立つこともあった。怖い夢を見るらしい。俺は戦慄した。梨央には母のことは言っていない。口に出すものではないと思っていた。
そのうちに日中でも何かといえばソファやベッドで横になる日も出てきた。大丈夫かと声をかけると、大丈夫と答える。内心「大丈夫じゃないだろう」と思った。梨央の顔色が悪い日は心が曇った。
それでも家では極力明るく過ごした。「無理すんなよ。掃除なんてしなくても死にゃしないんだから。洗濯辛かったらパンツ買ってきてやるから。」とできるだけ明るく気を使った。
梨央も明るく「ばかねえ。洗濯は洗濯機が勝手にやってくれるわよ。お掃除はたまにさぼるかな?ちょっと我慢してよね。」と言って、実際掃除は少し手抜きの時もあった。梨央は家事好きだ。基本は手を抜かない。手を抜く日はよほど体が辛いのだ。
梨央は体調が悪くても夕食は準備してくれた。しかし、この2,3日自分が食べない日が続いた。たまりかねて、「いい加減医者に行かなきゃ。悪い病気だったらどうすんだよ!」と少しきつく言った。もし、悪い病気だったとしても今は医学も発展してるし、何よりも早期発見した方が治りやすい。そう自分を励ました。
ところが梨央はぐずぐずしてなかなか医者に行こうとしなかった。「人間なんだから調子が悪い時もあるわよ。自分の体は自分が一番よくわかってるのよ。しばらくしたらよくなるわ。」と言って、家から出る日が減っていった。母も周囲から医者に行けといわれているのに、大丈夫、大丈夫と言ってかたくなに医者に行かなかった。
俺は梨央を怒ることはまずない。梨央にきつい言葉を言えなくなっていた。たまに喧嘩になっても、梨央が俺の背中に顔をくっつけたまま「怒ってる?」と聞けば思い切りあっさり「怒ってない」とデレンとなった。いつの間にかデレデレの亭主になっていた。
しかし、その日の俺はイラ立ちが高じて「明日病院へ行け!送ってやるから。」ときつく怒ってしまった。梨央は少しむくれて「しょうがないわね。じゃ、マードレ病院までお願いね。近いし評判もいいから。」といわれてポカンとなった。
マードレ病院は会社へ行くときに通りかかる産科の専門病院だった。「サプライズ報告しようと思ったけどパパはあわてんぼだからしょうがないわね。」といった。パパと呼ばれて泣きそうになった。
「何で言ってくれなかったんだよ。言ってくれよ。本気で心配するじゃないか。」と残念なことに半べそをかいてしまった。梨央は大笑いで「あなた泣き顔すごく可愛い。」といった。
俺は迂闊だ。新婚の妻が体調が悪いと言ったら、一番先に思い付くのはこれじゃないか。病院の診断結果は妊娠3カ月だった。俺はアホだった。自分の悲しい思い出に気を取られて、ごく普通のことに気が付かなかった。うれしかった。
その夜、梨央が「多分あの夜、できたんだと思うの。あの夜、本当に感動したの。」といった。その夜がどの夜かはっきりわかった。
今後は梨央に無理をさせてはいけない。情熱的な夜はお預けだと思うと少しさびしかった。それでも新しい家族が増えるのだから「夜の元気は仕事に回さなきゃな。」と殊勝な気持ちになった。
続く
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