ハネムーン6日目
最後の日の朝、洗面所でひげを剃りながら考えた。特典狙いで事故物件と結婚する覚悟だったから単身赴任を決め込んでいた。実家で嫁姑問題が起きようと知ったこっちゃないと思っていた。自分たちの都合で進めた結婚なんだから自分たちで解決すればいいと思っていた。
まさかその妻に自分が夢中になるとは思っていなかった。梨央をあの身勝手で派手好きな母親のそばに置くわけにはいかなかった。きっと梨央の心が壊れてしまうと思った。それに、このまま別れるのがつらかった。
とにかく一旦は俺の実家に入らないとしょうがない。梨央の嫁入り道具はすべて実家に入っていた。家具類はもう配置していた。2階全部を夫婦で使うようにリフォームしていた。3カ月ぐらいは梨央はそこに住んでその間に新たに部屋を借りるかマンションを買うかしよう。と考えをまとめていた。
すると、いつの間にか洗面所に入っ来ていた梨央が俺の背中にもたれかかってきた。背中に顔をうずめたまま、「ねえ、私、なんだか恋をしてしまったようなの。ねえ、このままずっとこうしていたいの。離れたら死んでしまうかもしれない。」といった。心なしか背中が湿ったような気がした。
俺はあまり物事に迷わない。それなのにこの一撃で今までの考えが大きくぐらついた。3ヵ月も放っておけるか?毎週帰るにしても梨央の心が持ちこたえるか?
梨央は急に口数が少なくなった。飛行機の中で「梨央、君このまま3カ月ぐらい別れて暮らせるか?」と聞くと「いや。」と即答だった。
あれやこれやと色々考えた末に「成田に着いたらすぐ君のご実家にいこう。君、実家へ帰れ。」というと梨央は呆気にとられた顔をした。
「神戸のマンションを片付けたら迎えに行く。次の土曜日には行ける。君それまで実家で待っていてくれないか?」というと「直ぐ連れて帰ってくれないの?」といった。「明日出勤だ。あの散らかった部屋に君一人置いていけないじゃないか。」と答えた。
本当は女の気配を消さなければならなかったのだ。何とルーズな話だろう。新婚の妻を来させない前提で部屋は全く片付けていない。加奈が何度か来ている。何があるかわからなかった。梨央は「絶対次の土曜日には迎えに来てね。ううん、いい、私が行く。なんて言う駅で降りるの?」とメモを取ろうとした。
「JRの御影っていうところ。駅から10分だ。全然知らないところなんだから、迎えに行くまで待ってて。心配ないよ。土曜日には絶対行く。」というと「うん。」といって手を強く握った。不安感が伝わってきた。
続く
【POLA】インナーリフティア コラーゲン&プラセンタ
【POLA】女性に嬉しい美容成分がこれ1つで。インナーリフティア コラーゲン&プラセンタ
コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。
広告
posted by fanblog
2019年08月26日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9117108
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック