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さて今日は株式投資本オールタイムベスト128位 バリュー投資 達人への道(ゴータム・ベイド著、パンローリング、2021年) の最終回第9弾です。 今日は、第27章 新しい証拠に基づいて考えを更新する から。 勝ち負けは、生活の質で測るほうがよい。ストレスが命を縮みかねないことは十分に証明されている。投資家は、リスク調整済みリターンについては語っても、ストレス調整済みリターンについて語ることはめったにない。しかし、私は後者のほうが重要だと思っている。 安眠するほうが、体に良い物を食べるよりも重要だと思う。だから、空売りはしない。個人的に借金をして株を買うこともしない。胃が痛くなるようなことをする経営陣と長期のパートナーシップを組むこともしない。 くーっ、これは痺れる文章でした。602ページに及ぶ本書中で個人的にはここがベストと感じました。 投資と言うのは「命の次に大切なお金」を賭けた極限の勝負であり、やってみれば誰でも分かりますが、精神的に非常に消耗するゲームです。 勝てば銀河系の彼方まで飛び立つようなぶっ飛びの精神的高揚感が得られる一方で、負ければ細いおうどん1本ですら喉を通らないほどの極度のお通夜状態に追い込まれます。 そういう「世界最高峰の過酷なグレートゲーム」の勝敗を、「生活の質」で測りながら戦うというのは利に適っているし、非常に実践的な考え方であると感心しました。 さてこれでこの本の紹介は終わりです。2021年ナンバーワンの投資本と思いますし、知的興奮に溢れた最高の1冊であることを保証します。未読の方は是非。(終わり)
Apr 23, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト128位 バリュー投資 達人への道(ゴータム・ベイド著、パンローリング、2021年) のクライマックス第8弾です。 今日は、第23章 市場はほとんどは効率的だが、いつもではない から。 強気相場が終わるべき理由を説明する知的な議論は数多くあるが、それはこれまでも、これからも関係ない。複雑な適応システムである株式市場は、常にまったく予想がつかないものなのである。 これはその通りです。たまに「物理学や行動心理学の法則を応用して私は相場の未来を完全に予測することができる。」と言うような事を言う投資家の方がいますが、そういうのは詐欺師かもしくは誇大妄想狂と考えたおいた方が安全であると個人的には認識しています。 市場のサイクルを正確に予想することは不可能だ。 私たちには市場の方向や市場がもたらすリターンをコントロールすることはできないが、投資の過程の重要な部分をコントロールすることはできるのである。(図23.1) 図23.1 投資家が自分でコントロールできること いやあ、これはいい図表です。我々投資家はどうしても結果としてのリターンに目が行きがちですが、実はそれは自分ではどうにもできない部分が沢山ある訳です。投資結果は「市場環境」と「運」に大きく左右されるからです。 その一方で、どの銘柄にどこまで踏み込むかと言うリスク、どの程度頻繁に売買するかと言うコスト、どのくらいの期間を見て戦うかと言う時間、具体的にどういう手法を使うかと言う行動は、自分自身で100%コントロールできます。私たち投資家は、そういう「自分で何とか出来ること」だけにフォーカスして戦うことが必要なんですね。(続く)
Apr 19, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト128位 バリュー投資 達人への道(ゴータム・ベイド著、パンローリング、2021年) の第7弾です。 今日は、第22章 長期的なバリュー投資の聖杯 から。 M&Aの単純な経験則として、取引規模が大きくなるほど、買い手と対象企業の類似点が減り、価値を破壊する確率が高くなるということが言える。 高額なM&Aは成功率が低い一方で、小規模の既存事業を強化したり、拡大したりするための買収は成功確率が高い。 これは言われてみると実に納得できます。例えば6178日本郵政は2015年にオーストラリアの物流会社のトール・ホールディングスを鳴り物入りで華々しく6200億円で買収しました。ただその後、結局トータルで6000億円以上の減損損失を迫られるなど一度も業績が浮上することはなく、一部事業を売却すると言う悲惨過ぎる末路を迎えることになりました。 その一方で、例えば地方スーパーの 9948アークス や 7520エコス、ホームセンター大手の 3050DCMホールディングス、おもちゃ卸大手の 7520ハピネット なんかは、同業他社を妥当な価格で次々に買収しながら、着実な成長を続けています。こういうのは「良いM&A」と言ってよいと思います。 つまり、日本郵政の様な「経営者の功名心が発露した大型の、地に足がついていないM&Aは非常に危険」という事ですね。(続く)
Apr 18, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト128位 バリュー投資 達人への道(ゴータム・ベイド著、パンローリング、2021年) の第6弾です。何度も推敲して書き書きしている内に、大作になってしまいました。。。(追記:5月15日に更に気合を入れて加筆し、第2版として再アップしました。) 突然ですが、今日は前回の 第5弾 投資業界にとって不都合な真実 から派生したスピンアウト企画をお送りします。尚、未読の方は、必ず上記の第5弾から先にご覧下さい。 さて、「インデックス投資VSアクティブ投資ではどちらが優れているのか?」という古くから良くある議論があります。 この中で、「長期成績でアクティブファンドがインデックスファンドにボロ負け」していることを示すデータを持ってきて、「びっくり!、アクティブ投資のパフォーマンスはなんとこんなに悪いんだよ。必死に探したけどアクティブ投資の方が良いというデータを見つけることがどうしても出来ませんでした。だからインデックス投資の方が正しいし、実はこれが最強のやり方なんだよ。」と声高に語るインデックス投資家の方々が散見されます。 もちろんそれは「アクティブファンドVSインデックスファンド」という視点からは下記の表11.1を見れば分かるように「明白に正解」なのですが、様々な学術的な研究からも「アクティブファンドは、トータルではインデックスファンドに勝てない。」ことは既に明らかであり、そういう自明なことを嬉々として何度もドヤ顔で語られることには、アクティブ投資家としては「ちょっとつらい」部分が正直に言ってあります。表11.1 2018年にベンチマークを下回ったアメリカの株式ファンドの割合(%) 「全体で見た時にアクティブファンドがインデックスファンドに勝てないことは過去データからも、また理論上も明らかだし、”市場で永遠にダーツを投げ続けている猿”と揶揄されているワイらもちゃんとわかってるよ。でも、 アクティブファンドへの投資とアクティブ投資は決して同じものではないし、そこを意図的に混同して同列で語って欲しくない な。」と思っているのです。 そして私は以前からですが、「低コストのインデックス投資と競い合えるのは、信託報酬0.0%(ただし個人的な労力投入は無限大∞)で戦える”アクティブ個人運用”しかない。」と主張しています。 アクティブ個人運用であれば、様々な不都合な鎖につながれたアクティブファンドとは正反対の、「プレッシャーのないリラックスした環境下での長期的思考・迅速で誰にもしがらみのない自由な意思決定・やり方によっては極めて低いコスト」で戦えるので、インデックス投資に打ち勝つチャンスはたんまりとあります。 実際、「脇の甘いへっぽこB級投資家」を自任している自分も、これまでの投資家人生の21年をトータルで見ればベンチマークとなるTOPIXには勝っています。 また「インデックス投資に打ち勝つためのアイデア」はたくさんありますが、全部言うと凄いボリュームになってしまうので、今回は1つだけ具体的に言います。ちなみに、現在目標としている資産額を達成した暁には、「インデックスに必ず勝てる、秘密のアクティブ投資法(仮)」というタイトルの本を出す予定です。(笑) すいません、悪い癖が出て脱線しました。本文に戻ります。 インデックスファンドと言うのは基本的に「時価総額加重型」なのですが、その欠点を突く方法が一番有力です。S&P500が典型例ですが、この「時価総額加重型」には1つ大きな弱点があります。 それは、構成銘柄上位に超大型株が多くなり、更に同時にPBRやPERなどの指標面で見た時に割高なグロース株が多くなるという事です。つまり、 巨大なインデックスファンドは必然的に「超大型グロース株ファンド」になってしまう のです。 「ほんとかよ。お前はアクティブ投資家だから適当なこと言ってるだけだろう。」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、下記の2022年3月時点でのS&P500構成上位10銘柄を見て頂ければご納得いただけるものと思います。(上記データはエイチ・エス証券ホームページより引用) いずれも知名度抜群の超大型株揃いですね。それでは組み入れ上位銘柄のファンダメンタルズを早速見てみましょう。1位 アップル PBR38.2×PER26.2=1000.82位 マイクロソフト PBR13.8×PER32.4=447.13位 アマゾン PBR8.32×PER34.9=290.44位 テスラ PBR26.4×PER157.0=4144.85位 アルファベットC PBR6.12×PER20.8=127.3 組み入れ上位5銘柄の グレアムのミックス係数 はいずれも3桁を超えており、1位のアップルと4位のテスラに至っては驚異の4桁越え!です。ちなみにバリュー投資手法の「始祖の巨人」であり、現代最高峰の投資家である ウォーレン・バフェット の師匠の一人でもある彼は、 経験則から、株価収益率(PER)に株価純資産倍率(PBR)を掛け合わせたものが22.5以上であってはいけない。 という有名な言葉を残しており、それが上記の「グレアムのミックス係数」として知られているものになります。 つまり、S&P500構成上位銘柄はいずれも指標的には極めて高く評価されているグロース株揃いであることが見て取れます。そして同時に5位までで組み入れ比率が20%を超えており、S&P500は実は500社を平均して保有してないだけでなく、その割合が驚くほど大きく超大型株に偏っていることも分かります。 そしてここに我々個人投資家がつけ込む隙があります。何故かというと、時価総額に縛られない「ファンダメンタルズ加重型」や、その資金量の少なさを逆に生かした「小型株加重型」などの、自分の性格や能力に合った自由闊達なポートフォリオを作り上げて、思う存分に「資金力が大き過ぎて機関投資家が入って来れない、市場の片隅の秘密の花園」で暴れまわることが出来るからです。 以上をまとめると、 「インデックス投資VSアクティブ投資」と言う議論においては、是非、「インデックス投資VSアクティブ個人運用」という、「コスト的に平等な」別の選択肢も与えて欲しい と、アクティブ投資家として強く願っています。。。。。(終わり) P.S.1 インデックス投資手法と言うボーグルの発明は画期的なものでしたし、大多数の投資家にとってそれが正解且つ最適解なのは事実です。 ただ、市場と言う海は広くて深く、我々夢見がちな「アルファボーイズ」にも探せばチャンスがあるということが言いたいだけです。 P.S.2 またこういう記事を書くと、「いや、アクティブ個人運用だと膨大な時間・人的コストがかかるので、結局手間のかからないインデックス投資の圧勝。はい、論破。」等とよく反論されるのですが、マニアックなインデックス投資家の方は0.01%単位の信託報酬の違いの分析に我々アクティブ投資家と同じくらいの「コストに見合わない」異常な労力・情熱をかけているわけで、そこは「どっちもどっち」な面があるのではないかと感じています。(これで本当に終わり)
Apr 16, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト128位 バリュー投資 達人への道(ゴータム・ベイド著、パンローリング、2021年) の第5弾です。 今日も、第11章 人生で成功する秘訣は満足の先送り から。 顧客の忍耐力が足りない考え方と、それがファンドマネジャーに与えるプレッシャー(すべての四半期でベンチマークを超えなければならない)は、ポートフォリオ内の過剰な回転売買と摩擦コストにつながる。このことと高い経費率によって、ほとんどのアクティブファンドマネジャーはベンチマークを超えることができない。 「アクティブ投資対パッシブ投資論争における事実上の記録係」になっているS&P500ダウ・ジョーンズ・インデックスのSPIVA・US2018スコアカード(表11.1)が、この事実をよく表している。 表11.1を見ると、15年間でベンチマークの指標を上回ったのは大型株ファンドの12社に1社、中型株の14社に1社、小型株の31社に1社しかなかったことが分かる。 最高の頭脳と才能を擁する会社がこのような平凡なパフォーマンスしか上げられないのは、強迫的と言えるほどボラティリティを避けようとするからである。 表11.1 2018年にベンチマークを下回ったアメリカの株式ファンドの割合(%) いやあ改めてこれを見ると、アクティブファンドの長期成績は実に悪いですね。15年の単位でみると全体では90%以上がベンチマークに負けています。「最悪」としか言いようのない地獄のような結果ですし、インデックス投資が世界的に全盛時代を迎えている理由が実に良く分かります。 毎年多額の信託報酬を差っ引かれて、我慢した挙句の果てに長期でパッシブにボロ負けと言うのでは、何のためにアクティブファンドを買うのか全く意味が分からないですからね。 ま、アクティブファンドがインデックスファンドに勝てないというのは、今に始まったことではなく、ジョン・C・ボーグル、チャールズ・エリス、バートン・マルキールらの賢人がもうずっと昔から口を酸っぱくして語り続けてくれている「投資業界にとって不都合な真実」ではあるのですが、「それにしても酷いな。」とは思いました。(笑) またもう1つ、アクティブファンドの主だった特徴である、「インデックスに負けられないという強烈なプレッシャーに伴う短期的思考・集団的意思決定・継続的な高いコスト」が積み重なると、こんなに見事なくらいにレ・ミゼラブルな結果が待っているんだなあ、としみじみと痛感しました。自分だったら、制約だらけのアクティブファンドのマネジャーなんか絶対にやってられないですね。(続く)
Apr 13, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト128位 バリュー投資 達人への道(ゴータム・ベイド著、パンローリング、2021年) の第4弾です。 今日は、第11章 人生で成功する秘訣は満足の先送り から。 その場で満足を求める安直な考えの道は混み合っており、良くて平凡な結果に終わる。満足を先送りするにはより深い思考が必要で、この道のほうが混んでいないし、良い結果につながる可能性が高い。ーシェーン・バリッッシュ 投資家の最大のエッジ 長期的に取り組むことができる能力は、これまで以上に大きな強みになっている。50年前は、NYSE(ニューヨーク証券取引所)の上場株の平均保有期間は7年だった。しかし今日ではそれがせいぜい4か月になっている。 短期的な考え方が市場に蔓延していることで、会社の長期的な価値ではなく、株価の短期的な方向性によって非合理的な買いや売りが行われているのだ。 金融業界の関心は、これまで以上に次の四半期決算に集中し、長期的な姿勢は投資家にとって構造的な競争力になっているし、革新的なテクノロジーやソーシャルメディアによる過剰な情報やデータやノイズによって、今後はそれがさらに強まると思う。 ウォール街の優秀な人材が、次の2~3四半期という短期市場での競争に集中しているということは、3~5年先を見越して静かに大局的に考えることができる人には大きなチャンスにつながる。 これは本当にその通りなのですが、現在の市場参加者の目線は更にドンドンと短期的になってきていると思います。株式投資は「次の四半期決算」がどうなるかを推測する、「当て物競技」に成り果てています。 実際、ツイッターランドの株クラの方々を見ていても、目の前のすぐに手に届くところにある利益をガツガツ取りに行く方がほとんどで、例えば1年先を見ている投資家などほとんどいません。 でも、だからこそ、長期的な視点で株式投資に取り組むことが大きなエッジに繋がるというベイドの指摘は大切ですね。(続く)
Apr 12, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト128位 バリュー投資 達人への道(ゴータム・ベイド著、パンローリング、2021年) の第3弾です。 今日は、第9章 経済的に自立する から。ここは、個人的にちょっと痛い所を突かれたので、書評で出すかをかなり迷ったのですが、非常に大切なことと考えたので頑張って自戒を込めて書きます。 経済的な自立を達成すると、すべてが変わる。現実を、偏見なく見られるようになるからだ。できるだけ早く経済的に独立できることを目指してほしい。そのとき初めて世界の本当の姿が見えるようになるからだ。また、経済的に独立していないと、長期的な視野で考えたり行動したりするのも難しい。経済的自立とは、働かないということではなく、働く必要がないということである。 最近では、いわゆるFIRE(「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を略したもので、「経済的自立と早期退職」を意味する。 経済的に自立することで早期退職の実現を目指し、退職後は資産運用などで生計を立てていくライフプランのこと)を目指している投資家の方が非常に多いですが、個人的な経験からはFIRE状態になることの最大の効能は、「それまでとは世界が違って見えてくる。」事だと思います。 「自らの心に強い麻酔をかけ続けて、金を稼ぐために嫌々クソッタレの仕事をする。」のは実に疲弊します。ただその状態から抜け出すと、「本当に自分がやりたかったことは何だったのか?」という次の新たな超難問にぶつかることになる訳ですが、それはある意味で「ぜいたくな悩み」であり、素晴らしいことです。(笑) ヘドニックトレッドミルに乗ってはならない 莫大な富が、その持ち主に呪いをかけることはよくある。それが「ヘドニックトレッドミル」(快楽のラニングマシン)である。ヘドニックトレッドミルは、金銭的なゴールを動かし続けて、せっかく大金を手にしても、思い描いていた喜びを完全に消し去ってしまう。ヘドニックトレッドミルに乗っていると、お金が増えれば期待や欲求も上がっていき、幸福度が増えていかないのだ。 追加的な収入があっても、それが幸福に結びつかないのは、富はいつも私たちにとって相対的なものであり、絶対的なものではないからなのである。 うーん、この指摘は痛かったです。と言うのは、残念ながら自分は投資家になって21年間、ずっとこの「ヘドニックトレッドミル(人間の幸福感にすぐに慣れてしまう性質から、どれだけ走っても求める幸福にいつまで経ってもたどり着けない現象のこと)」に乗り続けているという明白な自覚が元々あったからです。 例えば、もうはるか昔のことですが、初めて純金融資産1億円を突破した日には飛び上がるような喜びを感じました。「心が解放された」のを実感しました。今でもその高揚感を思い出します。 でもその次の日にはもう「いや、上には上がいる。こんなところで喜んでいられないし、立ち止まる訳にはいかない。」とすぐに思い直しました。 その後も区切りとなる資産額を更新するイベントが何度もあったのですが、次第に達成の喜びは指数関数的に減っていき、しまいにはあまり嬉しさを感じなくなってしまいました。 そのため、「待てよ、ちょっとマズくないか。これってもしかして終わりのないゲームなんじゃないのか? 俺はどこまで行けば、どれだけ資産を増やせば、満足して精神的涅槃にたどり着けるのだろう?」という「心の葛藤」に密かに苦しみ続けてきました。なので、今回のベイドの指摘は非常に痛かったです。そこには触れられたくなかったからです。 ただ、自分の観察だと、「歴戦の株クラの猛者たち」の多くがこのヘドニックトレッドミルに喜んで、何だったら自ら率先して乗っているように思います。そして、「乗り続けているからこそ、薄ぼんやりと見えてくる地獄の螺旋階段」もあるのだ、ということを一言申し添えておきます。 ちなみに、今の自分の考え方ですが、「ヘドニックトレッドミルに乗っていて、足に超強力磁石が付いているので、どうしても、何があっても自力では降りられない。」のはもう仕方がないことと受け入れています。そしてその上で、この「修羅の道」を行けるところまで、自らの「投資家としての寿命」が尽きるところまで、ただひたすらに全力集中で歩み続けていきたい、それが自分の人生である、と覚悟しています。 自分の人生を財産の多寡で測ってはならない。人生は、心を打ったことや、届けることができた笑顔、分かち合った愛などで測るものだ。 、、、ベイド先生、次回作では「ヘドニックトレッドミルに乗ったまま極楽浄土に行く方法」を執筆して下さい。よろしくお願い致します。(玉汗)
Apr 7, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト128位 バリュー投資 達人への道(ゴータム・ベイド著、パンローリング、2021年) の第2弾です。 今日は、第6章 知恵を得るには謙虚さから を見ていきましょう。 どの分野でも、人は深く知れば知るほど謙虚になる(これはダニング・クルーガー効果としても知られている。) これは間違いなく真実です。ちなみに私は現在「投資家21年生」ですが、過去の自分と較べて今が精神的に一番謙虚です。その理由は、学べば学ぶほどに「この人はワイよりも力量が上だな。」と感じる投資家の方の数がどんどん増えてきており、それで強制的により謙虚にならざるを得なかったからです。(滝汗) 自分の知識を常に疑い、すべての出来事や事象はおそらく今認識しているよりも複雑だということを覚えておくべきだ。 自己認識を保つ単純だが効果的な方法としては、断定的な言葉に「のように見える」「私の知っている限りでは」といったフレーズを加えるとよい。もうわかったと思うが、百パーセント確実なことなどないのである。 ツイッターランドの株クラを見ると、「断定的な物言い」をする投資家の方々が人気を集め、インフルエンサーとなる傾向が強くあります。「日本株投資をしている奴なんて情弱でアホの極み。S&P500が無敵で最強。」みたいな物言いですね。 ただ、投資の世界は「平均回帰の原則」が強く働くところであり、ある期間最高の投資法であったものが、その後の数年で最悪のパフォーマンスに繋がってしまう、ということが実によくあります。なので、私は「断定的な言葉遣いをしない。」ことを以前から徹底しています。そしてそれは「確実なものなど何一つない」マーケットの世界で長生きするためのコツでもあります。 金持ちになることと金持ちで居続けること 成功する人はたくさんいるが、それを生涯続ける(もしくはそこからさらに積み上げていく)ためには、謙虚さと感謝と学び続ける心が必要になる。 ハウゼルは次のように言っている。 自分を変えようとしなくなればなるほど、常に変化している世界ではつまづきやすくなる。 金持ちになる方法はいくらでもある。しかし、金持ちで居続ける方法は1つしかない。いつも偏執的なほど謙虚でいることだ。ただ皮肉なことに、謙虚さを失わせるいくつかのことの筆頭は金持ちになることなのである。 ダウ平均の構成銘柄が時とともにかなり変わっていくのも、フォーブス誌の長者番付が10年間で60%入れ替わるのもそのためだ。 これは実体験としても良く分かります。例えば、数年前のマネー雑誌で「成功した個人投資家」として取り上げられていた方のその後がどうなったかを分析してみると、かなりの確率で資産を失っていつの間にか消えてしまっています。 金持ちで居続けるのは、金持ちになるよりもはるかに難しい という事ですね。(続く)
Apr 6, 2022
さて今日は、久しぶりに株式投資本オールタイムベストシリーズです。 第128位は、バリュー投資 達人への道(ゴータム・ベイド著、パンローリング、2021年) です。 さて昨年2021年には相変わらず素晴らしい投資本が多く発売されました。例えば「全世界待望」だったジャック・D・シュワッガーによる「マーケットの魔術師」シリーズの最新作となる第5弾の日本語版も出ました。 ただそんな中、個人的に2021年度投資本ナンバーワンだったのが、ベイドによる本書でした。著者の投資に関する知識・見識の「広さと深さ」が尋常ではなく、読んでいて、「あぁ、この人には自分の数十年先の世界が見えているな。」という羨望と尊敬と畏敬の念を覚えました。 全602ページでほとんど捨てページの無い濃密すぎる内容で、「どうまとめていいか分からない。」部分があるのですが、それでは書評にならないので、今回は「とりあえず、ここだけは異次元に素晴らしすぎる。」ところだけを抽出して紹介することにします。 それでは次回からは、「濃厚過ぎるベイドワールド」の極上のエッセンスを一緒に堪能して参りましょう。「全9部作」でお届けします。是非、お楽しみ下さい。(続く)
Apr 5, 2022
いやあ桜舞い散る素敵な季節、4月になりましたね。 さてマーケットでは昔から 4月は平均して1年で最高の月だが、問題の兆しがないか用心する必要がある。過去63年の統計によると、4月に利食いをして守りの体勢に移ることが賢明だったと分かる。(出典 アノマリー投資、ジェフリー・A・ハーシュ著、パンローリング、2013年 P181) とされています。「利食いの季節」でもあるということですね。 それでは皆様、今月もよろしくお願い致します。
Apr 1, 2022
いやあなんだかあっという間に3月も終わりましたね。 さて今月の成績ですが、対2021年末比で-2.2%となりました。先月の-5.1%からはやや回復しましたが、依然として年初来プラス圏に届かない、物寂しい状況が続いています。 今年は年初からパフォーマンスがずっとイマイチなのですが、実は昨年末にポートフォリオ上位に急騰した銘柄がいくつかあり、それで2021年の成績が数パーセント嵩上げされていて、その反動で数字が悪いという面が少しあります。 ただ「主力株の入れ替えを含めたメインテナンスがそろそろ必要かもな。」という感覚もしばらく前から持っており、どうするか、慎重に色々と考えています。 エグイ円安の進行、未だ終息の見えないロシアーウクライナ戦争とマーケットには混沌が渦巻いていますが、来月もとにかく丁寧に戦っていきます。それでは皆様、来月もよろしくお願い致します。
Mar 31, 2022
さて今日は、2021~22主力株概況シリーズで紹介してきたポートフォリオTOP60銘柄をまとめておきます。 1~10位 11~20位 21~30位 31~40位 41~50位51位 8877 エスリード ここは指標的に極めて割安で、まずまずの総合利回りも出ており、また業績不安定なところが多いマンションディベロッパーとしては特異的に財務状態が良くて業績推移も安定している、という素晴らしいクオリティ銘柄です。本当に抜群に良い銘柄ですね。 52位 8043 スターゼン スターゼンは指標的にも割安ですし、中長期でみるとマイルドながら成長力もありますし、優待MAXの2000株をホールドしていくのには「優待族的には全く問題はない」実に良い銘柄であると考えています。 53位 5217 テクノクオーツ テクノクオーツはモロにシクリカル(景気循環により利益水準が大幅に変動する)な銘柄ですが、現時点では連続最高益更新中で業績爆裂絶好調ですし、少なくとも今しばらくは「さくらんぼの旅」を続ける予定です。 54位 7327 第四北越フィナンシャル・グループ 第四北越FGは指標的に割安ですし、総合利回りも出ていますし、地銀上位で相対的な安心感も強いですし、新潟県を完全に制圧&県内天下統一している企業ですし、極めて魅力的な優待バリュー株ですね。 55位 2221 岩塚製菓 「岩塚製菓は利益は全然出ていないけど、おせんべい作りに真摯で妥協が全くなく、尊敬できる会社だな。」とずっと思っています。 56位 8334 群馬銀行 群馬銀行には指標的な割高感も全くありませんし、「地銀界では相対的に強い銘柄」なのもいいですね。 57位 7963 興研 ここは戦争・自然災害・大きな伝染病等の想定外の出来事が起こった時に、全体株価が暴落しても逆に興研の株価は急騰するという VIX指数(恐怖指数) 的な値動きをする銘柄です。ナシーム・ニコラス・タレブの言う、「反脆さ(はんもろさ)」を持っているのが大きな魅力ですね。 58位 3954 昭和パックス 昭和パックスは指標的にも安いですし、過去25年間一度も赤字がないですし、着実に利益率が高まってきていますし、財務状態がどんどん良くなってきていますし、優待内容も超クールですし、実にいい銘柄と思います。 59位 4901 富士フイルムホールディングス ここは祖業である写真フイルム事業からの脱却に完全に成功しています。チャールズ・ダーウィンの、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びる のでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」という格言を文字通りに実践できています。素晴らしい企業ですね。 60位 8418 山口フィナンシャルグループ 山口フィナンシャル・グループは、私の 「優待地銀株バルクプロジェクト」 で十分に重鎮を務めることが出来るいぶし銀の実力派銘柄であると評価しています。 以上、2021~22ポートフォリオTOP60銘柄のまとめ でした。2021~22主力株概況シリーズ 免責事項2021~22主力株概況シリーズ は私が主力で勝負している銘柄について、本当にその価値はあるのか、私を投資家としての次のステージに連れていけるだけの力があるのか、「リスク・リワード比」が優れた最強で最上の頑健な銘柄なのか、何か見逃している弱点はないか、戦い続けるのに絶対に必要な「銘柄としての鮮度」が落ちていないか、などを多角的に検討する目的で書くものです。記事内容は一般的に入手可能な公開情報(ただしIRへの蛇の様にしつこい独自の取材内容を含む)に基づいて作成していますが、同時に諸々のバイアスのかかったあくまでも個人的な見解であり、特定銘柄の売買の推奨を目的としたものでは全くありません。また市場と個別銘柄の未来がどうなるかは誰にも分からないため記事内容の正確性は保証しません。そのため当シリーズに基づいて投資を行い損失が発生した場合にも当方は一切の責任を負いません。投資はくれぐれも100.0%御自身の判断と責任の元で行って頂きますよう、伏してお願い申しげます。
Mar 27, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト127位 ビッグミステイク (マイケル・バトニック著、日経BP、2019年) の最終回第3弾です。 今日はエピローグ マイケル・バトニック から。 「マーケットをねじ伏せようとしても無駄」という考え方に、次第に惹かれるようになっていた。もしツイッターがなければ、こんなに早くそれに気づけなかったかもしれない。 私はトレーディングのコミュニティーに深く入り込んで、関係者のツイートを読み、市場が自分の目論見と反対方向に行った場合と、読み通りに動いた場合の彼らの発言を観察した。 そのうちに、こうした人たちの99.9パーセントは「ハッタリ屋」であることがわかってきた。情けない、悲しい現実だった。自分はそういった人種になりたくなかった。毎日をインターネットに費やして、自分たちが市場を見事に泳いでいるふりをしながら、実はまったくうまくいっていないことが私のような素人にも明らかだった。そんな連中の一員にはなりたくない。 、、、私は投資家として、負けた場合にさもしい言い訳をしないこと、自分を大きく見せようとしないこと、常に極限までの努力を続けることを大切にしています。 マーケットという巨大な存在の前では自分は全く無力であり、「くらげ」 の様に柔軟に、そしてどこまでも謙虚に戦い続けなくてはならないと肝に銘じています。 さて、これでこの本の紹介はおしまいです。得るところの多い名著と思いますので、未読の方は是非。(終わり)
Mar 20, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト127位 ビッグミステイク (マイケル・バトニック著、日経BP、2019年) の第2弾です。 今日は、本書中で最高の出来である、第9章 ビル・アックマン 自説を引っ込めろ から。 投資家はたいてい、それまでの信念を捨てることが大嫌いだ。市場リターンに追いつけない投資家が多いのは、自分の価値観に反する情報をうまく咀嚼できないからだ。 このバトニックの言葉は、「投資の真実」をぐさっと突き刺しています。非常に良い表現ですね。 2012年12月20日、アックマンのプレゼンテーション「大金持ちになりたいのは誰か」を聞くために500名の聴衆が集まった。アックマンは、ハーバライフがピラミッド・スキーム【マルチ商法】のビジネスだと批判し、この空売りから得た利益を「血の金」と呼び、慈善事業に寄付すると言った。 アックマンはハーバライフでこの後「歴史的な大敗」を喫することになるわけですが、私たち投資家が学ぶべき大切な教訓が1つあります。それは、「誰かを罰しようと思って投資をしてはいけない。」ということです。 正義感を持つことは大切なことではありますが、投資家としてはそれはあくまで「自らの胸の内ポッケ」にひっそりと静かに持っておくべきものです。投資家は「神」ではありません。全知全能のマーケットの前では、途轍もなくちっぽけで、無力な存在なのです。 マルチ商法ビジネスは確かに倫理的な問題があるやり方かもしれませんが、だからといって自らの正義感から義憤に駆られて空売りをするというのは、自らの「感情」に「理性」が負けてしまっている危険な状態だと思います。そしてアックマンは自ら犯した「大罪」の報いを、この後たっぷりと受けることになったわけです。 長時間にわたったプレゼンテーションの翌日から3日間で、株価は35%下がった。この急落を見て、最も強力なライバルの一人が参戦した。 2013年1月9日、ヘッジファンド、サード・ポイントの創業者ダニエル・ローブは、ハーバライフの株式890万株、発行済み株式の8.24%を取得してSECに届け出て、同社第2位の株主になったと発表した。 ローブの届け出から5日間で、ハーバライフの株価は20パーセント上がった。1週間後、億万長者のアクティビスト投資家、カール・アイカーンがハーバライフの株を取得したとウォール・ストリート・ジャーナルが報じ、その1か月後の開示資料で、アイカーンが同社株の12.98パーセントを保有していることが明らかになった。 カール・アイカーンとダン・ローブ対ビル・アックマンの直接対決は、アックマンが自説を堂々と主張したことに端を発したものだ。 問題は、ビル・アックマンが「自分はこれでとことんやる」と公言したため、巨大かつ格好の標的になってしまったことだった。アックマンを苦しめるには、株価を上げればよかった。誰かが株を借りて空売りをしている時に、株価が劇的に上がってしまい、売り手が買い戻しを余儀なくされることを「ショート・スクイーズ」と言う。これは株の空売りに伴う非常に危険な側面の一つだ。理論的には、株価はいくらでも上昇する可能性があるからだ。 自分の投資スタンスをあからさまに公言してしまうと、運用資金がヘッジファンドにあるのか、証券会社の口座にあるのかにかかわらず、成功は極めて困難になる。自分の感情の制御すら難しいのに、他人の感情と圧力にうまく対処できるわけがない。 いやあ、ここでのバトニックの文章の切れ味は尋常ではないですね。自らがありとあらゆる失敗を繰り返してきたことの「報酬の果実」でしょうか。(笑) またこのアックマンの失敗からはほかにも多くの教訓が得られます。それは1つには「買いは家まで、売りは命まで。」とも言われる「損失が無限大に膨らむ恐れがある、空売りの怖さ」であり、もう1つは「自らの投資ポジションを公言することの危険性」です。 この「投資ポジションを公言することの危険性」は、何よりも「自分が自分自身の発言に縛られてしまう。」ことです。そうしないと自己矛盾に陥ってしまうからです。 ガイ・スピア はこれを、 現在の投資について語らない方が良い という印象的な警句で表現しました。ちなみに私もこの危険性を数年前に強く認識し、それからはブログでも「現在のリアルタイムの売買内容」については基本的に書かないように方針を変更しました。そのことによって投資判断の自由度が明らかに増しましたし、また以前よりも精神的に楽に気軽にブログを更新できるようにもなりました。 変幻自在に揺れ動くマーケットでは時が流れれば状況が全く変わることなど日常茶飯事です。なので、「投資の世界では、前言を翻すのは当たり前」です。 私たちは、そういう過酷な、「世間一般の常識とは165度くらい違う世界」で戦っているんですね。 2019年6月、アックマンはついにハーバライフから撤退したと報じられた。 いやあ、このアックマンの章は本当に勉強になりました。読んでいて背筋が凍るくらいでしたね。(続く)
Mar 17, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベストシリーズです。第127位は、 ビッグミステイク (マイケル・バトニック著、日経BP、2019年) です。 偉大な投資家も必ずしくじる、彼らが犯した数々の大失敗から学ぼう、という実に良い着想のベリーナイスな1冊ですね。 今日は、著者による はじめに から。 投資がいかに難しいかを学ぶ最もよい方法は、実地の体験だ。次によい方法は、世界で最も成功した投資家たちの犯した最大の過ちから学ぶことであり、それがまさに本書の狙いだ。 ジェシー・リバモアからウォーレン・バフェット、ジャック・ボーグルまで、成功した投資家は誰もが、成功と同じくらいの数々の失敗を経験している。 バフェットとマンガーはウォルマートを買い損ない、スタンレー・ドラッケンミラーは、2000年初め、株価が頂点に達しようとしているタイミングでハイテク銘柄に手を出した。本書は、読者に伝説の投資家たちの大失敗を紹介することで、挫折を経験しない人などいない、という事実を知ってもらうことを目指している。 どんな投資家も、生まれつき自分に備わった感情からは逃れられない。人はリスクを避けたがり、買った値段に縛られ、「後知恵バイアス」に操られる。そして、投資での失敗はたいてい自業自得で、客観的な事実を受け入れてそれに対処するのは、非常に気の重い作業だ。確かに難しいことだが、私たちは過去の失敗を基に、将来の判断がゆがまない方法を見極めなければならない。 いやあ、この「はじめに」を少し読んだだけで、「あっ、これはいい本だな。」というのが直感的に伝わってきます。著者のマイケル・バトニックは自身が「ありとあらゆる失敗と回り道」を繰り返してきた経歴の持ち主であり、だからこそこういうユニークな視点の本が書けたのだろうと思います。 投資は身をもって経験しないと何も学べない。心臓外科手術についていくら文献を読んだところで、冠動脈バイパス手術はできない。投資も同じだ。何度も何度も繰り返し実践するのみだ。 本書はハウツー本ではない。もし一つ覚えておく点があるとすれば、投資は非常に難しいということだ。誰でも必ず間違いを犯す。しかもそれを何度も繰り返す。そして新しい間違いを発見する。「投資とは何かを会得した」と思った瞬間に、市場から鼻をへし折られる。 しかし、重要なのは、失敗を冷静に受け止め、あまり深刻に考えないことだ。私たちの頭はいったんネガティブ思考に陥ると、そこから抜け出すのが非常に難しいからだ。 成功した投資家に共通する最も重要な要素は、自分がコントロールできることだけを心配する、という点だ。 バトニックが言う通りで、投資では最終的には自分で経験しないと何も学べません。ただ、失敗にはパターンがあるのは事実で、前もって「間違いのバリエーション」をたくさん知っておくのはとても有意義なことです。その意味で、この本は「全投資家必読」の魅力的な1冊と思います。 それでは次回からは、この本のベストオブベストのところだけをコンパクトに見ていくことといたしましょう。(続く)
Mar 14, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト126位 グレアム・バフェット流投資のスクリーニングモデル (ルーク・L・ワイリー著、パンローリング、2015年) の最終回第5弾です。 今日は、第12章 -25%の直近12か月のリターンを受け入れることの重要性 から。 2012年に私がスクリーンで見たものを見てみよう(図12.1)。自信を高めてくれるようなものではないことは明らかだ。経済学を学ぶ中学1年生でも、これを見せられて、投資したほうがよいかどうか聞かれれば、目を白黒させて歩き去ってしまうような代物だ。まったく醜いとしか言いようがない。あなたがこの会社のリストを見れば、きっと無視するはずだ。それは理解できる。これが人間の本質と言うものだ。 うん、これは酷い。ちょっと常人には耐えられないですね。続きを見ていきましょう。 直近12か月のリターンは審査過程の最終フィルターを示している。私にとって、これは素晴らしい機会を示していた。図12.2は、翌年の4月に戦略を見直しているときのパフォーマンスを示したものだ。 リターンが負の会社を戦略に組み込んだあとに起こった驚くべき反転劇を詳しく見てみよう(表12.1)。 これらの会社を戦略に組み込んだとき、一般大衆の関心は低かった。これは納得がいく。しかし、その後の6か月にわたって(25銘柄の)ポートフォリオの価値は19.11%上昇し、S&Pのリターン12.48%を7%上回った。 これをみると「52週安値戦略」と言うのは、精神的には非常に負荷の大きい投資法であるという事が改めて良く分かります。ほとんどの投資家にとっては実際に実行するのは至難の業だと思いますし、だからこそ有効なやり方であるとも言えるでしょうね。 さてこれでこの本の紹介は終わりです。最初にも言ったように自分はこの本を読む以前からシンプルな「52週安値戦略」を愛用していたこともあり、自らの投資法の理論的な補強となる非常に有益な1冊と感じました。未読の方は是非。(終わり)
Mar 12, 2022
いやあ、「2022ウクライナーロシア戦争」の戦況の混迷化・核施設攻撃や原油や小麦などの先物価格の高騰を受けて、株式市場にパニックが広がっています。 これは日本が待ち望んでいたインフレがついに来そうです。期待したような形ではないですし、スタグフレーションになりそうな気もしますが。。。(上記データは世界の株価より引用) 日本市場も凄まじい状況となっています。(上記データは世界の株価より引用) さて市場では年に数回は必ずこういった暴落局面がある訳ですが、私はいつも以下のことを強く心掛けています。それは、 1. パニック売りをしない。 2. 絶対にナンピン買いをしない。 3. とにかく感情的な取引をしない。 の 「暴落時の3原則」 です。 これは過去の自分の苦い経験から、この3つをしなければパフォーマンスを大きく落とすことはないということが分かっているからです。逆に言うと、精神的に動揺してしまってこの3つを守れないと、年間成績に甚大なダメージを与えることもあります。 とてもシンプルな原則ですので、是非皆様も頭の片隅に留めて置いて頂けたらなあ、と思います。。。 それにしても、私はもう株式市場に20年以上もいるのですが、こう言った時には毎回精神状態が揺さぶられますし、持ち株が暴落しているのを見れば大脳皮質が反応して原始的な生存本能が「危ないぞ、今すぐにすべてを放り投げて逃げ出せ!」と絶え間なくシグナルを送ってきます。 投資家と言うのは、そういう自らの心の中の状態を良く分かったうえで、「幽体離脱したもう1人の自分」に、迫りくる恐怖に耐えながらクールで理知的な判断をさせなくてはなりません。 岸田総理は「投資家連中は働かずに楽に金儲けしていて実にけしからん。厳しく懲らしめてやろう。」と思っていそうですが、実際のところは投資家稼業というのは「肉体的には楽でも、精神的には途轍もない重労働」なのです。本当に過酷なビジネスなんですね。
Mar 7, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト126位 グレアム・バフェット流投資のスクリーニングモデル (ルーク・L・ワイリー著、パンローリング、2015年) の第4弾です。 今日も、第11章 フィルター5 ー 52週安値の公式とそれを反証する私の旅 から。 私は52週安値の公式を反証、あるいはさらに確信するために、モーニングスターに独立したバックテストを依頼した。 52週安値戦略の独立したバックテスト(モーニングスターが2014年1月14日に行ったCPMSバックテスト)を行ったケーススタディでは、2004年4月に100万ドルを52週高値近くにある25社と52週安値近くにある25社に投資したらどうなるかを調べた。ほかの4つのフィルターは適用していない。調べたのは価格のインパクトだ。 図11.2 52週高値戦略対52週安値戦略(フィルターなし) 図11.2を見ると分かるように、52週の高値で買った会社は最初は52週の安値で買った会社をアウトパフォームしているが、2008年の市場の大暴落のとき、52週高値のポートフォリオの価値は急激に下がり、回復するまでにかなりの時間がかかっている。長い目で見ると、52週の安値で買った会社のほうが、大暴落からの回復期間が短いため、優れた価値を示し、利益も大きい。注目すべきことは、50銘柄(高値で買った25銘柄と安値で買った25銘柄)のいずれも最初の4つのフィルターをパスしていないことである。 私が本書中で最も衝撃を受けたのは、この図11.2でした。それは「52週安値」というたった1つの極めて単純なフィルターを通した戦略が、10年間と言う長い期間で見ると通用するという事を示唆しているからです。 ただ最初の4年間は、ローモメンタム戦略の成績はよくあるハイモメンタム戦略の成績を完全にアンダーパフォームしています。投資の世界で4年間も悪い成績に耐え続けることが出来る投資家はまずいません。精神的・経済的なダメージがあまりにも大きすぎるからです。 マーケットでは「時の流れ方」が普通の時空とは全く異なります。1年間インデックスに対して負ければ「3年分くらいの苦痛」を感じます。2年間連続でインデックスに負ければ「10年くらいの地獄」を感じます。そして3年間連続でインデックスに負ければそれはもう「30年くらいの煉獄」です。仮に4年間連続でインデックスに負ければ「精神的な寿命越え」となります。既に生き残っている投資家はほとんどいないでしょう。 でもだからこそ、ローメンタム戦略は超長期的には有効になるんだろうと思いました。実質的にはほぼ採用できない投資手法だから、誰もが避けて通るやり方だから、マジ基地の完全な少数派になれるから、力を発揮するという事です。本当に印象的なデータでしたね。 図11.3 52週高値戦略対52週安値戦略(フィルターあり) フィルターありの方では、52週安値戦略の優位性は明らかです。ま、ワイリーの5つのフィルターは非常に条件が厳しいので、これは当然のことですね。(続く)
Mar 5, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト126位 グレアム・バフェット流投資のスクリーニングモデル (ルーク・L・ワイリー著、パンローリング、2015年) の第3弾です。 今日は、第11章 フィルター5 ー 52週安値の公式とそれを反証する私の旅 を中心として。 それではワイリーの「52週安値戦略の5つのフィルター」の実際をコンパクトに見ておきましょう。 フィルター1ー長続きする競争優位性 ●その会社は強い経済状態を持つ業界に属しているか。顧客やベンダーが望むような収益を出しているか。 ●その会社には競争を生き抜くのに必要な経済的な堀はあるか。 フィルター2ーフリーキャッシュフロー利回り ●その会社は市場での競争力を維持しながら、配当支払いや再投資を賄えるような十分なフリーキャッシュフロー(FCF)を生み出しているか。 フィルター3ーROIC(投下資本利益率) ●その会社は現在の環境で、COC(資本コスト)を上回るROCを上げられるような形で投資しているか。 フィルター4ー長期負債対フリーキャッシュフロー比率 ●その会社は長期負債をフリーキャッシュフローで3年以内に返済することができるか。 フィルター5ー52週の安値 これが52週安値戦略の最後のフィルターであるのには理由がある。NYSEの2800以上に上る上場会社のうち、おそらく95%は最初の4つのフィルターで振るい落とされる。残った会社は、良い状態にあり、最悪の時期に備えてうまく経営され、お金を賢く投資し、永続する価値を投資家に提供することができるような構造の会社だ。 うーん、そりゃこの5つのフィルターを全部クリアするような会社なら勝てるに決まってるよな、ちょっと条件が厳しすぎるな、というのが私の率直な感想です。 なので、自分のこの戦略の実際の使い方としては、最初にまずフィルター5の52週の安値をクリアしているかを見て、その後にフィルターの1~4を加点法で採点して、ある程度満たしていれば合格と言うような柔軟性を持たせた使い方をしています。(続く)
Mar 3, 2022
いやあ、何だかあっという間に2022年も3月に突入しましたね。 さて今月のプロフィール画像は、カーレースの世界最高峰、F1(フォーミュラワン)の2022シーズンがもうすぐ開幕することを祝してのものです。日本のエース、スクーデリア アルファタウリの角田選手の2年目の活躍に期待しています。 さてマーケットでは昔から 嵐の3月相場に入ると、株価は月初めに押し上げられて、月末に打ちのめされる傾向がある。ローマ神話の軍神マルスにちなんで名づけられた3月は、しばしば強気と弱気が闘う場となる。(出典 アノマリー投資、ジェフリー・A・ハーシュ著、パンローリング、2013年 P176) とされています。「油断大敵の一か月」ということですね。 ま、いずれにせよ、引き続き丁寧に集中して戦って行きます。それでは皆様、今月もよろしくお願い致します。
Mar 1, 2022
いやあロシアによるウクライナへの全面侵攻の衝撃に揺れた2022年2月もようやく終わりましたね。 次に今月の成績ですが、対2021年末比で-5.1%となりました。ポートフォリオ上位に株価推移が軟調だった小型の優待バリュー株が多く、1月に続いて泥沼から浮上できない残念な1か月となりました。 ウクライナ情勢も全く予断を許しませんし、3月も激動の相場展開を予想しています。それでは皆様、来月もよろしくお願い申し上げます。
Feb 28, 2022
ロシアによるウクライナへの本格的な軍事侵攻が始まりました。この記事を書いている2022年2月25日現在、ロシア軍はウクライナの首都キエフに既に到達しているという情報もあり、今後どうなっていくのか全く分からない状況です。 ただ1つ言えることは、今回のロシアの「軍事的な冒険」への国際社会からの制裁がもしも軽い物であれば、「パンドラの箱」が開いて世界のパワーバランスは大きく変化することになるだろうと思います。 そして、「なんだ、このくらいで済むのか、じゃあ、ウチらも遠慮なく台湾と日本をやっちゃおう。核を持ってないからちょろいし。」と中国は間違いなく思うでしょうし、我々日本人にとっても全く他人事では無いと思います。そのため個人的には今回のロシアの行動は「第3次世界大戦」の引き金になる可能性もあるのではないか?とも感じています。 さて、投資家としては「大きな戦争が起こると株式市場にどういう影響があるのか?」について、ここで改めて学びなおす必要があると考えています。。。。 、、、ということで、今日は株式投資本オールタイムベスト116位 アノマリー投資(ジェフリー・A・ハーシュ著、パンローリング 2013年) のまさかの第9弾です。 今日は、素晴らしい出来である 第2章 戦争と平和 から。 株式市場で唯一、最も永続的な影響を及ぼすものは、間違いなく戦争である。 戦争と平和やインフレの影響は、過去2世紀の間、活況と低迷の循環を生み出す原動力だった。戦時にはレンジ相場を生み、平時には相場を上げる要素は何だろうか? 答えは、インフレだ。政府は戦争中に国庫を空にする。また、国内の心配事や経済よりも、外国や戦争にかかわる問題に焦点を合わせる。結果として物価の持続的上昇、すなわちインフレが起きる。 経済が落ち着きを取り戻して、政府が国内問題に再び焦点を合わせたときに、初めて株式市場は新高値まで急上昇するのだ。 確かに今のロシアの指導者であるプーチン大統領が国内経済に焦点を当てているとはとても思えません。経済合理性からすれば、致命的な経済制裁を受けることになるウクライナへの全面侵攻に利があるとはとても考えられないですからね。 戦争ーそれは何の役に立つのか? アメリカが戦争にかかわっているときに、ダウ平均が高値を維持したことは1回もなかった。相場が大きく上放れしないのは、投資家の熱意が高まらないせいだと考えられる。 相場は良いニュースが続けば上昇するし、悪いニュースが続けば下落する。また、戦争初期のほうが反応しやすい。長い戦闘が終わるころには、投資家はニュースに反応しなくなるようになる。また、相場は戦争の終わりを予測して、高値を付ける。 うーん、ロシアが世界平和を大きく揺るがしている今、本当に勉強になる言葉がならんでいますね。続きを見ていきましょう。 図2.1は大局を示している。このグラフはダウ平均とCPI(消費者物価指数)を示したもので、第1次世界大戦、第2次世界大戦、ベトナム戦争を含み長期のレンジ相場の時期にはアミを掛けている。長期の素晴らしい好況と強気相場はカッコでくくり、ダウ平均のパフォーマンスを表示している。 戦争とインフレとその後の相場の追い上げには無視できない相関関係がある。戦時を含むボックス圏はどれも、おおよそ同じ比率のレンジ幅である。これらは500%の上昇への発射台に見える。インフレと相場の追い上げには明らかに相関関係がある。 第1次世界大戦時のインフレ(110%の上昇)に続く1920年代には、株価が504%上昇した。第2次世界大戦時のインフレ(74%の上昇)は、その後のダウ平均の523%の上昇に先行していた。最後に、ベトナム戦争と、石油禁輸と1970年代の悪名高いスタグフレーションによる200%以上のインフレとそれ以降の超大型の強気相場は、すべての投資家への警告であると同時に、希望を思い起こさせる。 図2.1 インフレ後に続く500%以上の上昇 うぉお、この図は滅茶苦茶勉強になります。しっかりと目に焼き付けたいですね。 まとめ 戦争が続く間、相場は一定レンジにとらえられて、新高値も維持できない。戦争が終わってインフレが安定するとき、平和と技術革新をきっかけに景気が上向く。相場はインフレを追いかけて、500%以上も急上昇することがよくある。 つまり、大きな戦争はインフレを引き起こし、「インフレに追随する」特質を持っている株式市場は自動追尾して同じく上昇するということですね。 今回のロシアによるウクライナ侵攻でも早速、原油や小麦などの商品価格が急騰しています。これらは間違いなくインフレに直結するでしょう。果たして世界はまたもや「ハーシュの予言」通りに動くことになるのでしょうか?
Feb 25, 2022
ロシアによるウクライナへの全面攻撃が始まりました。私は国際情勢や政治には全く詳しくないので今後どういう展開になるのか、プーチンさんがどこをゴールとしているのかは全く分かりませんが、世界そして日本の株式市場にも大きな影響があるだろうと思います。 今日はこれからポートフォリオ上位銘柄の緊急点検をします。 それでは皆様、また明日。
Feb 24, 2022
さて今日は、2021~22主力株概況シリーズで紹介してきたポートフォリオTOP50銘柄をまとめておきます。 1~10位 11~20位 21~30位 31~40位 41位 8218 コメリ それにしてもホームセンター業界には魅力的な水準の優待バリュー株が多いですね。 42位 4365 松本油脂製薬 「優待株いけす」を抜け出し、今回初めてのポートフォリオ上位進出を果たしてきました。 43位 9384 内外トランスライン 久しぶりに主力株概況シリーズに再登場してきました。 44位 3001 片倉工業 今期の渋すぎる業績予想数字を見ると、MBO再チャレンジをしてくる気がしています。 45位 3097 物語コーポレーション 外食業界で最強クラスの総合戦闘力を持つ、「リアルガチで強い銘柄」ですね。 46位 3405 クラレ アメリカの子会社で発生した火災事故の訴訟などで大きな特別損失を計上 しこの数年は極端な低利益に喘いでいましたが、今期はようやく完全復活しそうで、「入るタイミングとして面白い」と考えてちょっと多めに買いました。 47位 7264 ムロコーポレーション 自動車部品関連の銘柄はコロナ禍でボロボロの業績に落ち込むところが続出しましたが、ここムロコーポはダメージ極小で切り抜けました。ピンチの時ほど企業の実力が鮮明に表れます。ここは「本当に強い」銘柄であると考えています。 48位 8527 愛知銀行 日本ナンバーワンの製造業、7203トヨタ自動車の地元である愛知県を根城としており、もともと資金需要が旺盛で良好な地盤を持っている「相対的に強い」地銀なのがいいですね。 49位 4754 トスネット トスネットはコロナ渦で苦しい業績が続いていますが、とても良く頑張っていると思います。 50位 7551 ウェッズ 「午後の紅茶」的な銘柄ですね。 以上、2021~22ポートフォリオTOP50銘柄のまとめ でした。2021~22主力株概況シリーズ 免責事項2021~22主力株概況シリーズ は私が主力で勝負している銘柄について、本当にその価値はあるのか、私を投資家としての次のステージに連れていけるだけの力があるのか、「リスク・リワード比」が優れた最強で最上の頑健な銘柄なのか、何か見逃している弱点はないか、戦い続けるのに絶対に必要な「銘柄としての鮮度」が落ちていないか、などを多角的に検討する目的で書くものです。記事内容は一般的に入手可能な公開情報(ただしIRへの蛇の様にしつこい独自の取材内容を含む)に基づいて作成していますが、同時に諸々のバイアスのかかったあくまでも個人的な見解であり、特定銘柄の売買の推奨を目的としたものでは全くありません。また市場と個別銘柄の未来がどうなるかは誰にも分からないため記事内容の正確性は保証しません。そのため当シリーズに基づいて投資を行い損失が発生した場合にも当方は一切の責任を負いません。投資はくれぐれも100.0%御自身の判断と責任の元で行って頂きますよう、伏してお願い申しげます。
Feb 22, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト126位 グレアム・バフェット流投資のスクリーニングモデル (ルーク・L・ワイリー著、パンローリング、2015年) の第2弾です。 今日はまずは、「52週安値戦略の5つのフィルターの公式」を見ておきましょう。ワイリーが本書で主張している内容は極めてシンプルであり、まとめるとこれだけです。 「この5つのフィルターを満たす25銘柄を抽出して戦えばベンチマークのS&P500に勝てる」ということなんですね。 それではワイリーの他の主張もコンパクトに見ていきましょう。 ●投資をうまくやる「秘訣」などない。。。唯一適用できるルールは、「安く買って、高く売る」ことである。これほどシンプルなものはない。 ●私たちは投資を複雑化しすぎる。。。投資は、チューイングガムを噛むほど簡単ではないが、複雑にする必要もない。 ●魔法の杖などない。 ●完璧な銘柄などない。 ●この戦略は一貫して市場をアウトパフォームするが、いつもアウトパフォームするわけではない。 ●52週安値戦略は方程式から感情をできるだけ排除するように設計されている。感情が入れば、機会とリスクを見誤ることになる。この戦略がうまくいくのは、意思決定をするときに思考プロセスから感情を排除するからだ。 いやあ、いいですね。「究極の複雑系」と言われる株式市場では、単純にシンプルに戦う事は実際には想像を絶するほどに難しいことなわけですが、ワイリーのこの本はその大きなヒントを与えてくれます。 意思決定疲れは投資において間違った選択を促す大きな要因だ。 52週安値戦略はノイズを取り除き、バリューに重点を置いて考えるように促してくれるものだ。つまり、意思決定疲れに陥らないように設計されているのである。 ワイリーのこの指摘は重要と思います。「複雑すぎる投資戦略はうまくいかない。」と言うのはよく言われることですし、実体験からもその通りと思うのですが、その理由の1つに私たち投資家の貴重で希少な資源である「脳の認知能力」を過剰に消費し過ぎてしまうことがあると思います。その点、ワイリーの52週安値戦略は、「異常なほどにシンプル」なので大安心ですね。(笑) バリュー投資とは、過小評価され、人が見向きもしないような会社を見つけ、期限を決めてそれに投資し、期限が来たら売り、このプロセスを繰り返すことを意味する。一夜にして億万長者になることはないかもしれないが、損をすることもない。 このワイリーの言葉には、バリュー投資家的な発想とバリュー投資手法の魅力が凝縮されています。でもなんだろう、この心が安らいで懐かしい感じ。この数年極端な低パフォーマンスが続き「バリュー投資冬の時代」になってしまったせいで、バリュー投資手法の魅力を発信する文章を見ることが極端に減ってしまっているからかもしれないですね。(汗) (続く)
Feb 19, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベストです。第126位は、 グレアム・バフェット流投資のスクリーニングモデル (ルーク・L・ワイリー著、パンローリング、2015年) です。 原題の「The 52-Week Low Formula」が内容を端的に示しており、非常にシンプルな内容の1冊です。 ところで私はもうずっと昔からですが、ヤフーファイナンスの「年初来安値更新銘柄ランキング」を見て投資先を探すと言うやり方を愛用しています。投資家に見放され、馬鹿にされ、嘲笑されている銘柄のオンパレードですが、「逆張り気質の強いシケモク系バリュー投資家」である私にはとても魅力的で見るのが心地良いランキングであり、実際にここから多くの主力株を発掘してきました。 もちろん、「買った後もそのまま急落が続き、落ちるナイフで掌の動脈が切れて大出血」で許容できるリスクの限界を超えてあえなく損切り撤退ということも良くあるのですが、トータルではこのやり方はプラスになっています。 そして今回の本は、52週安値=過去1年間の安値更新銘柄への投資の有効性を検証した1冊なので、これはつまり、私が以前から愛用してきた戦法の効力を実証してくれている有難い本ということになるわけです。 「52週安値」は「ローモメンタム」の象徴であり、現在全盛のモメンタム投資手法と真っ向から対立するやり方になるわけですが、本書を読めば分かる通り、このやり方はマーケットで通用します。 つまり、本書は我々逆張り志向の強いバリュー系投資家にとって、その「理論的根拠」の1つとなる力強くて頼もしい、貴重な1冊ということです。投資は放っておくと「○○○○なんちゃら理論」みたいにどんどんと「複雑怪奇なお化け屋敷」に成りがちなので、極限までシンプル(単純)&ロバスト(堅牢)な彼のやり方には凄く魅力がありますね。 それでは次回からは本文に分け入って参りましょう。(続く)
Feb 17, 2022
さて大変なご好評を戴いている 「株式投資本オールタイムベストシリーズ」 ですが、今日はその ベスト120 をまとめておきます。 また当シリーズからのスピンアウト企画で、パンローリング社の書籍の扱いがある全国の大きな本屋さんで発売中&好評に付き重版出来(じゅうばんしゅったい)となっている みきまるの「書籍版」株式投資本オールタイムベスト 及び、その続編で同じく好評を頂いている みきまるの続「書籍版」株式投資本オールタイムベスト 更に最新刊となるシリーズ第3弾 みきまるの「名著」に学ぶ株式投資 も改めてよろしくお願い申し上げます。 シリーズ三作、そろい踏み。 さて私が投資家としての生を受けて20年以上が経ちました。今日紹介するのは、今までに数千時間以上をかけて読み倒してきた数百冊の投資本の中のまさに至高の「ベスト・オブ・ベスト」です。 今この日記を書いている机から12秒以内に手が届くところに全てがある、投資家として「全幅の信頼を寄せている」本たちです。私は資産を失っても、家を失っても、投資家として何度でもやり直せるという絶対の自信があります。でもその時にもしも、この子達が自らの傍にいなかったらそれはもう全然ダメです。つまり この記事は、私の投資家としての頭の中の全て ものの見方・考え方の全て ということです。 そして同時にこの記事は、私の投資家としての 「ある意味での集大成」 とも言える内容でもあります。このベスト120には私がどのような投資家であり、何を大切にしているのか、そしてどういうことを考えて毎日を戦っているのか、の全てが表出していると思っています。 全部読めば実力UP間違いなし、まさに「永久保存版」 絶対の自信を持って皆様に贈る渾身の日記となります。 前置きが長くなりました。 それでは早速始めましょう。 1~100位 101~105位 105~110位 111~115位 なお未読の方は「持てる筆力の全てを尽くした」完全燃焼の上記のベスト115を先に御覧下さい。。。116位 アノマリー投資(ジェフリー・A・ハーシュ著、パンローリング 2013年) この本が凄いのは以下の2点です。1. 似た本がほとんど存在しない。オリジナリティが半端ない。2. 小学生でも読めるくらいに内容が分かりやすくて簡単なのに、同時に非常に実践的で明日からの投資に直接ダイレクトに役に立つ。 率直に言って、この本を読んでいるかいないかで、長い目で見ると投資成績には有意な差が付くだろうと思います。そのくらい凄い本ですね。1.総論2. 株式市場に現れるサイクルは厳密なものではなく、科学であると同時に芸術でもある3. 株式投資ではバリュエーションとサイクルを意識することが大切4. 大統領選挙の周期が相場に与える影響5. 最高の6か月でのトレード戦略6. 8、9、10月に株を買え7. 11、12、1月は最も良い3か月8. 1月バロメーター9. 大きな戦争が起こると、株式市場はどうなるのか?117位 ヘッジファンドのアクティブ投資戦略(ラッセ・ヘジェ・ペデルセン著、金融財政事情研究会、2019年)「現時点で武器になる、間違いなく有効な投資戦略の全てを、極めて高い視点から俯瞰して紹介してくれている」新世代の名著ですね。1. 総論2. 究極の複雑系である株式投資の世界には「聖杯」は存在しない3. 効率的に非効率な市場4. 投資のスタイルとリターンの源泉のまとめ5. ヘッジファンドのポートフォリオ構築の5原則6. バリューの罠7. 最強戦略の1つ、QARP投資8. なぜバフェットは傑出した投資家になれたのか?9. 空売りには重要な恩恵がある10. 個人投資家の武器11. トレンドフォロー手法は最強の投資戦略の1つ12. トレンドのライフサイクル118位 貯金40万円が株式投資で4億円 (かぶ1000著、ダイヤモンド社、2021年) 「かぶ1000節」全開でフレンドリーでとても読みやすく、投資初心者の方にも分かりやすいのが大きな魅力と思います。そして同時に、創始者である ベンジャミン・グレアム が1934年に名著 「証券分析」 で体系化した バリュー投資手法 が持つ「堅牢さ」が紙面からしっかりと伝わってくる良書でもありますね。1. 総論2. 奇跡のネットネット株パラダイス、日本3. 優待ネットネット株、岩塚製菓4. グレアム指数が5.0未満が割安5. ポートフォリオの戦闘力を保ち続けることが大切6. 株式投資には夢がある7. かぶ1000さんの長期成績は驚異的119位 高勝率システムの考え方と作り方と検証(ローレンス・A・コナーズ+シーザー・アルバレス+マット・ラドケ著、パンローリング、2014年) 天才コナーズが発見した、「本当に使える7つの有力なトレード手法」がコンパクトにまとめられた1冊です。こんなに具体的かつ有益な方法を本という「後に残る形」で出版して本当に良いのか?と心配になるくらいですね。1. 総論2. ギャップとは何か?3. ギャップを利用した高勝率の株式トレード法4. RSIという指標の説明120位 アルファフォーミュラ (クリス・ケイン+ローレンス・A・コナーズ著、パンローリング、2020年) このアルファフォーミュラは、ある意味で「コナーズのこれまでの研究の集大成」とも言えるような内容となっています。もちろんそのクオリティは折り紙付きですね。1. 総論2. トレンドフォローには、明らかなスーパーパワーがある3. 200日移動平均線の上で買った方が、パフォーマンスが良い上に値動きもマイルド4. どうして株はトレンドを形成するのか?5. 行動バイアスの要点6. 株式市場は短期的には平均回帰する傾向がある7. 平均回帰トレードは感情的に難しい 以上、みきまるの優待バリュー株日誌特別編、株式投資本オールタイムベスト120のまとめでした。
Feb 13, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト125位 決算書「3分速読」からの10倍株の探し方(はっしゃん著、KADOKAWA、2021年) の最終回第3弾です。 今日は、第4章 入門書には載っていない「PERとROEの”深い”分析法」から。 PERの基本的な考え方 PERだけで考えると、ソニーは割安でキーエンスは割高だから、ソニーのほうがお買い得と考えがちです。しかし、株価が割高なのは、逆に言うと、投資家の人気や信頼の裏返しでもあります。 実際の株式市場では、PERで見ると割高な株がさらに買われ、割安な株は割安のまま放置されることが多いものです。 PERが意味すること PERの高い株には、「この企業には成長力があってEPSが増えるので、PERが高くなっても買いたい」という期待感があります。 その期待を表しているのがPERという指標ですから、「PERが低いほど割安でお買い得」という固定観念ではなく、「PERはEPSの成長期待を示したもの」と考えることが大切です。 はっしゃんさんのこのPERという指標に対する考え方も非常に勉強になりました。自分は今や絶滅危惧種の1つでもあるバリュー投資家なので今まで彼の様なモノの見方をしたことがなかったのですが、確かに一理ある考え方と思いました。 また、成長株投資家の方々が一定の理論的根拠をもって高PERを受容しているという事が分かり、とても印象的でしたし心に残りました。ずっと覚えておきます。 さてこれでこの本の紹介は終わりです。ベストセラーになるのも納得の、理論的で切れ味抜群の1冊です。グロース投資家の方はもちろん私の様なバリュー投資家にとっても得るところの多い良書です。未読の方は是非。(終わり)
Feb 10, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト125位 決算書「3分速読」からの10倍株の探し方(はっしゃん著、KADOKAWA、2021年) の第2弾です。 今日は、第1章 10倍株の候補を「3分間でチェックする方法」から。 スター成長株には「大化け」したかのように成長ステージが変わって、株価の伸びが業績を上回って加速する瞬間があります。 成功例を知らないと、そのプロセスを想像できませんから、実際にチャンスに遭遇していても気づかなかったということになります。 レーザーテックの場合、業績の伸び率に比べて株価はさらに10倍近く上昇しましたが、このことから最低でも次のことは言えるでしょう。すなわち、 「売上が2倍になれば利益は2倍になり株価も2倍になる」 これは、成長株投資の基本となる考え方で、本書でも繰り返し登場しますので覚えておいてください。 この「売上が2倍になれば利益は2倍になり株価も2倍になる」と言うはっしゃんさんの考え方は非常に勉強になりました。 そして、「なるほど、自分はシケモク系のバリュー株投資家でキラキラグロース株は指標的に高くてとても買えないけど、でも自分が買えるレベルの投資候補の中から、少しでも売上が伸び続けている銘柄を極力選ぶようにしよう。その方が時の運が味方して売上の伸びが加速したら、成長株投資家が買いに来てくれる可能性が高まるしな。」と思いを新たにしました。(続く)
Feb 4, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベストです。第125位は、 決算書「3分速読」からの10倍株の探し方(はっしゃん著、KADOKAWA、2021年) です。 著者のはっしゃんさんは、成長株投資家としてとても有名な方ですね。 ところで私ははっしゃんさんとはちょうど対極に位置するコテコテの筋金入りのバリュー投資家であり、投資哲学は彼とはそうですね、175度くらいは全く異なります。そんな私がこの本を読んだ感想を一言でいうと、「とても勉強になった。素晴らしい本だった。」というものです。 その最大の理由は、「どうして成長株投資家の方々は、PBRやPERなどの指標面からみて目の玉が飛び出るほどにクソ割高な株を、目をキラキラ輝かせて嬉々として自信満々に買えるのか? 一体その頭の中はどうなっているのか?」という以前から感じてきた疑問に対する「答え」が沢山散りばめられていたからです。 そして同時に、自分が保有しているバリュー株に脚光が当たって株価が上昇したときに、「どういう状況だったら成長株投資家が買いに来てくれるのか?」のヒントが沢山得られたからです。「持ち株をどこまで引っ張れるか?」の逆説的な教えに満ちている本なんですね。 それでは次回からは、この本の大トロの所をコンパクトに一緒に見ていきましょう。(続く)
Feb 3, 2022
いやあ、早いもので今年も2月に突入しましたね。 さてマーケットでは昔から 短く寒い2月はウォール街では忘れられたも同然で、ほとんど痕跡を残さない。2月は最高の6か月のなかでは弱く、そのときどきのトレンドに従いやすい。(出典 アノマリー投資、ジェフリー・A・ハーシュ著、パンローリング、2013年 P174) とされています。今年2022年は世界的に弱いトレンドが続いていますし、無理は禁物の1か月というところでしょうかね。 ま、いずれにせよ、引き続き丁寧に集中して戦って行きます。それでは皆様、今月もよろしくお願い致します。
Feb 1, 2022
いやあ大荒れのマーケットとなった2022年1月も終わりましたね。 次に今月の成績ですが、対2021年末比で-4.8%となりました。私は毎年「1月だけは絶対に良い成績を上げたい。」と強く思っているのですが、残念ながら実に酷い結果に終わりました。(汗) ちなみに私が「1月だけはどうしても勝ちたい。」理由は、 1月バロメーター があるからです。 これは、投資家であればだれでも「一家に一冊」、富山の置き薬のように必ず常備しておくべき、国宝級の超名著 アノマリー投資(ジェフリー・A・ハーシュ著、パンローリング 2013年) の中で、提唱されている有名な指標です。ちょっと引用してみましょう。 素晴らしい1月バロメーター 1月バロメーターは 1972年にイェール・ハーシュが考案した指標 だ。1950年以降に大きく誤ったのは7回だけで、 精度は88.7% だった。 この指標は、 年間の相場は1月のS&P500の動きに似る という格言に従っている。 1年の動きは1月の動きに似る ー 騰落率順で見たS&P500の1月のパフォーマンス そして、自分の個人的な感覚としても、この 「1月バロメーター」は絶対にある と思っています。そして私はそれを前提とし更に一歩進めて、「1月だけは何があっても絶対に好成績を出したい。」という所まで精神的には既に進化(・・? しているのです。 経験上、1月の成績が良かった年は大体そのまま年間成績がいいし、逆に1月の成績が悪いと年中ひーひー苦しんだ挙句最後も酷い ということが多いからです。(笑) 、、、という事は、今年2022年はとても大切な1月がこのように悲惨な着地だったので、これはタフで壮絶な1年が想定されます。全く先が思いやられますね。やれやれだぜ。😥😥😥 ま、いずれにせよ、今年の相場も始まりました。何があっても生き抜けるように退場しないように頑張ります。それでは皆様、来月もよろしくお願い申し上げます。
Jan 31, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト124位トレーダーのメンタルエッジ(ジェイソン・ウィリアムズ著、パンローリング、2013年) の最終回第5弾です。 尚、今回が最重要回となります。何故なら本章で登場している人物にはトレーダーとしての「性格上の致命的な欠点」があり、それを認識した上で「それでもうまくやるやり方」を見つけているからです。 私はこの章から多くの教訓と学びを得ました。自分にとってはこの27章だけで少なくとも数百万円の価値がありました。それでは始めましょう。 今日は、第27章 性格に関するケーススタディー - ラルフ・ビンス から。 ラルフ・ビンスは過去30年間、機関投資家向けの資産運用会社に勤務し、何百万ドルもの資産を運用し、政府系ファンドや個人トレーダーに助言してきた。彼は、コンピュータープログラマーとしてファンドや大口トレーダーやプロのギャンブラーのために分析プログラムを書いている。また、彼の専門分野であるポートフォリオマネジメントや、ポートフォリオとトレードの最適化に関する5冊の著書もある。 ラルフ・ビンスは私達投資家の世界ではビッグネームですね。そんな彼が「投資家としては最悪の性格」の持ち主であるとは私は全く知りませんでしたし、彼がそれをどう克服して自らの性格を生かしたトレードをしているか、という話は滅茶苦茶勉強になりました。続きを見ていきましょう。 【ビンスのコメント】トレードは私にとって長くて苦しい道のりで、それは私の性格に欠陥があるからだと思う。私は臆病で、軽はずみで、薄っぺらい人間だ。このような性格は、優れたトレーダーになる妨げになることが多い。集中力がある人は、マーケットで明らかに有利だが、私にはそれが備わっていない。 そこで、私は長年かけて自分の性格を考慮した独自のトレードスタイルにたどり着いた。だから長くて苦しい道のりだったのだ。自分に合うスタイルがはっきりしてきたのはほんの3~4年前からで、今ならばその理由がよく分かる。 私は、トレードをできるかぎり退屈なものにしないと利益を上げることができないということを発見した。過去を振り返ると、農夫が自分が植えた野菜が育つのを見守るくらい退屈な時に利益が上がっていたのだ。 私が適切にトレードしているときは、退屈で、満足感などまったく得られない。。。私は作物が育つのを見守る本物の「退屈な農夫」なのだ。 、、、このビンスの告白を読んでいて、私は強い衝撃を受けました。と言うのは、 自分には「軽はずみで夢見がち」という「一生涯ずっとギャンブラー」だった父親からそのままダイレクトに引き継いだ性格上の欠点があり、ビンズと同じように「トレードに刺激とスパイスを求める」傾向が以前からずっとあったからです。 それに気づいたのはかなり昔にWWW9945さんと話していた時で、「みきまるさんのポートフォリオはいつも1位が凄い。ちょっと危なげで考えられないような銘柄を持ってくる。」と言われたことがありました。私はその時はそれを「誉め言葉」として得意げな気持ちで受け取ったのですが、何故かその話をその後何度も何度も思い返すようになりました。 言われて見ると、自分には 6425ユニバーサルエンターテインメント や 7523アールビバン のような、やんちゃでリスキーな銘柄を平気でポートフォリオ1位に据えて戦う傾向がある。これは自分の中のギャンブル欲を満たすための良くない行動ではないのか? 命金を賭けた真剣勝負の場をスリルとサスペンスを楽しむための個人的な「おふざけ娯楽場」にしているんじゃないのか? そうならば、これは長所ではなく逆にまさしく欠点ではないのか? とハタと思い至ったのです。 また改めてここで考えてみると、私が過去に戦ったやんちゃ銘柄の成績はトータルで見るとそれほど大したものではないですし、今後は自分の性格上の欠陥を強く意識して、ビンズの様に極力つまらない「農耕民族的な銘柄」をポートフォリオ最上位に据えて、今まで以上に慎重に丁寧に戦っていこうと決意しました。(滝汗) そしてこの最新の知見は現在の2021~22主力株概況シリーズでの銘柄選定にも反映させています。つまり、最新シーズンでは、以前よりも「ギャンブル性を抑えた、地に足の着いた銘柄選定」を優先しています。 彼(ラルフ・ビンス)は不安(N1)も高く、衝動性(N5)はかなり高かった。私たちが調べた何十人ものトップトレーダーのなかで、不安が高かったのはビンスとダン・ザンガーの2人だけだった。 【ビンスのコメント】 つまり、私に合っているのは、耐えられないくらい退屈なトレードなのだ。。。トレードを野菜が育つのを眺めるくらい退屈にしておけば、私の不安や怒りや衝動は表には出てこない。。。この3~4年、野菜畑の手法を取れ入れてから、実質的な連勝が続いている。 ビンスは長い時間をかけて自分の性格にぴったりと合った投資手法に辿り着き、それで成績が向上したということです。つまり、誰にでも合うような万能のやり方というものはなく、投資家は1人1人がオリジナルな手法を作り上げていかなくてはならない、ということなんですね。 さてこれでこの本の紹介は終わりです。独創的な視点から書かれており、非常に勉強になる鮮烈な1冊でした。未読の方は是非。(終わり)
Jan 29, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト124位トレーダーのメンタルエッジ(ジェイソン・ウィリアムズ著、パンローリング、2013年) の第4弾です。 今日は、第23章 性格に関するケーススタディー - ダン・ザンガー から。 ダン・ザンガーの株式市場における最大の宣伝文句は、2年弱で1万1000ドル弱の資金を1800万ドルに増やしたことである。16万4000%という気が遠くなるような利益を上げたのだ。。。この功績は、12~18か月における個人ポートフォリオの運用利率の世界記録として広く知られている。 トレーダーの世界では、根拠がない派手で大げさな作り話が横行しているが、彼はフォーチュン誌に1999年の納税申告書とトレード記録を掲載することで、この話が本当だったことを証明した。 ダン・ザンガー は、 マーク・ミネルヴィニ の傑作 成長株投資の神 にも登場している凄腕モメンタム投資家です。そんな彼の詳細な性格分析が読めると言うのは凄いことですね。続きを見ていきましょう。 ザンガーのNEO-ACの結果で最も目を引いたのは、不安(N1)のファセットが高いことだった。一流トレーダーはほぼ全員が不安の点数がかなり低く、あとは平均が何人かいただけだった。N1が高かったのは彼とあとひとりだけで、これは注目に値する。彼がこのまれな特性を持っていても成功できるならば、彼と同じように不安の点数が高い人でも成功できるかも知れないからだ。。。彼は次のように語っていた。 【ザンガーのコメント】私は心配性だ。それは間違いない。昔からそうだった。。。ただ、資金を失うかもしれないという不安のおかげで、これまで何回も救われてきた。それによってマーケットのたくさんのブレイクを避けることができたからだ。つまり、私にとって不安は良いことだと思っている。。。私は不安になる特性によって真剣にマーケットを読み、マーケットに同調しようとする。うまく説明できないが、不安のおかげでマーケットとうまく波長を合わせられている。つまり、不安をうまく活用できるようになった。 一流のトレーダーにとって致命的な欠点と言えるN1(不安)の高さを持っていながら、マーケットで大成功したザンガーの「不安感との付き合い方・生かし方」は非常に印象深くかつ勉強になりますね。(続く)
Jan 22, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト124位トレーダーのメンタルエッジ(ジェイソン・ウィリアムズ著、パンローリング、2013年) の第3弾です。 今日は、第14章 神経症傾向とトレード から。 まずはロ、レービン、スティーンバーガーが2005年に発表した研究を紹介しよう。。マーケットで感情の起伏をより抑制できた人は、トレード結果も良かったことがはっきりと表れていた。 神経症傾向が低い人と投資の成功に最も高い相関性が見られた。。。その理由は第3章で見た脳の外側と内側の経路に関係がある。穏やかな気質で、感情が安定していて、リラックスしているトレーダーは、勝ちトレードのあとでも負けトレードのあとでも論理的かつ適切な判断を下すことができる。 神経症傾向が強いことはトレードの世界では大きなハンディキャップになるということですね。そして私たち 日本人は「不安遺伝子」を持っていることが多く、世界中で最も不安を感じやすい民族である と言われているので、もしかするとそれで日本人には「投資嫌い」や「投資下手」が多いのかもしれないですね。 つまり、すでに公表されている研究によって、トレード中の感情の状態が極めて重要だということは分かっている。。。勝ちトレードや負けトレードに感情的に反応することは、マーケットでの成功に悪影響を及ぼす。 しかし、なぜなのだろうか。それは、マーケットでのトレードがギャンブルではなく、技術的で知的な仕事だからである。 父と私はこれをさらに掘り下げていきたいと思った。そこで、私たちは独自の研究を始めた。まず、世界中から先物トレードで大成功を収めている一流トレーダーのみを選んでNEO-AC検査の完全版を受けてもらった。知りたかったのは、世界最高峰のトレーダーに共通する性格特性があるのかどうかである。もしあるならば、普通のトレーダーも自分自身をよりよく理解したうえでトップトレーダーの情報を参考にすればトレードの成功につなげられるかもしれない。 彼らの神経症傾向をファセットのレベルで見ると、非常に興味深い発見があった。実は、勝ち続けるトレーダーは、NのファセットのなかでもN1(不安)とN6(傷つきやすさ)がという2つのファセットがかなり低かったのである。つまり、成功したトレーダーは、ストレスがかかる状況においても失敗や負けに関して不安になったり傷つきやすくなったりすることが普通の人よりもはるかに少ない人たちだった。 N1が高い人はトレード中の不安の大きさに特に注意しなければならない。資金を失う恐怖は非常に大きいため、これを軽視してはならない。 前述したように、日本人の多くは不安レベル(N1)が高いわけなので、投資に当たっては「自らの感情のコントロール」に最大限の注意を払わなくてはならない、ということですね。非常に参考になりました。 また改めて考えてみると、資産が余裕で自由億を超えているような投資家の方は確かにあんまり神経質な人はいないし、どちらかというと大らかだったりちょっとズボラだったりする傾向があるなあ、とも感じました。実に面白いですね。(続く)
Jan 13, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト124位トレーダーのメンタルエッジ(ジェイソン・ウィリアムズ著、パンローリング、2013年) の第2弾です。 今日は、第3章 脳の構造に関する基礎知識 から。 成功したトレーダーのなかにはごく平均的な知能指数の人もたくさんいる。その一方で、ものすごい天才がトレードで惨敗することもある。 みんな安く買って高く売るべきだという理論は分かっている。しかし、実際には感情的に踊らされて、その逆をしてしまうことが多いのである。 うんうん、その通りです。私たち投資家は「自らの感情」という魔物と常に対峙しなくてはならず、これが実に難しいんですね。私も「投資家20年生」ですが、未だにとても苦労しています。(汗) 図3.1 脳の基本的な構造ー中心の核と外側の殻 脳の核となる辺縁系は脳の中心部にしまいこまれており、太古の時代からあまり変わっていない。ここでは基本的かつ原始的な精神機能、つまり生存欲、恐れ、怒り、飢餓、性欲などの感覚を担っている。脳の中心部は、もともと白黒はっきりした判断を素早く下すことができるように作られている。つまり、この部分は「考える」のではなく、反応するのである。 図3.2 感情刺激を管理するための2つの経路 荒野を抜け出す道をうまく探し当てるためには、論理的な脳と感情的な脳の両方が必要で、同じことはマーケットでうまくトレードする場合にも言える。 もちろん実際には、人は成功するために直感と分析を巧みに組み合わせてきた。マーケットへの投資も例外ではない。つまり、トレーダーは脳の外側と内側の両方を使わなければならない。 さて、これでウォーミングアップは終了です。次回からは、この本の大トロの所をサクッと一緒に見ていきましょう。(続く)
Jan 11, 2022
皆様、2022年明けましておめでとう御座います。 さて早速今年の抱負ですが、 1. 「いつもニコニコ全財産フルインベストメント」を原則とする。決して「悪魔のささやき」であるマーケット・タイミング戦略 を取らない。過去200年の期間で見てあらゆる金融商品の中で株が最も長期リターンが良いことはデータから明白なので、その「最も有利な所」にシンプルに全財産を賭け続ける。(上記データは「株式投資の未来 ジェレミー・シーゲル著、日経BP、2005年」より引用) また「失われた30年」が続き、世界でダントツの低パフォーマンスに喘ぐ日本市場ではあるが、過去115年間(1900~2015年)の超長期での「1か月物Tビルと比較した年平均プレミアム」で見ると、6.2%と世界平均の4.2%、アメリカの5.5%を上回っている。 マーケットは「平均回帰の原則」が強く働くところであることを考慮すると、過去30年間があまりにもとんでもなく酷過ぎた分、ここからの数十年の日本株市場の長期パフォーマンスは世界平均を大きく上回る可能性があると個人的には考えている。 何が言いたいかと言うと、「長期ポテンシャル抜群」&「長年戦い続けてきて裏路地の隅々まで知り抜いている」ここ日本株市場で、今年2022年も全身全霊を賭けて戦う。(上記データは、「ファクター投資入門 アンドリュー・L・バーキン+ラリー・E・スウェドロー著、パンローリング、2018年」より引用) 2. 1年間例えどんな事があろうとも、株式市場から絶対に退場せずに生き抜く。そして「常に上機嫌で、朗らかに楽しく」毎日を過ごす。株式投資は「世界最大のグレートゲーム」であり、それに参加できることへの感謝の気持ちを持ち続ける。 3. 「優待株いけす」から選び抜いた総合戦闘力の高い精鋭銘柄に資金を集中し、ベンチマーク(TOPIX)を上回る成績を上げることに注力する。 自分には投資でワクワクドキドキ感を味わいたい、スリルとサスペンスを楽しみたいという無意識の欲求があり、それでリスク・リワード比の劣るギャンブル的な銘柄で勝負してしまうという悪癖が以前からある。またそれによって平均するとこれまで毎年3~4%のパフォーマンスを失っている。 なので、「野菜畑を育てる農夫」の様な気持ちで、リスク・リワード比の優れた、地味だけど魅力的な銘柄に限りなく特化して堅実に戦う。投資に過剰な楽しみを求めない。普通にやっているだけでも十分に面白いんだし、自分は「とにかく勝つためにマーケットにいる。」ことをしっかりと意識し続ける。 具体的には数多くの優待銘柄でポートフォリオの防御力・総合利回りを限りなく高めつつ、強い確信の持てる上位銘柄には迅速&大量に資金を投入する「カウンター狙いの投資」に徹底する。 毎年少なくとも2回か3回は絶好の投資チャンスが訪れる。例えば2021年だったら 1605INPEX や 9267ゲンキードラッグストア に、「ボールが止まって見える。お金が目の前に落ちている。」と感じる瞬間があった。それを決して逃さない。絶好球は強打する。 イメージとしては、モンゴルの大草原の草むらに体を低くして隠れ獲物を捕らえるチャンスを粘り強く待つマヌルネコの様に「極限まで重心を低くして」集中して戦う。 (撮影 みきまる 名古屋東山動物園) 4. 投資戦略としては、現在の自分の根幹手法である バリュー → モメンタム戦略 を貫き、少しでも良好なパフォーマンスを目指す。「勝つことにどこまでも貪欲」に戦い続ける。 5.優待銘柄への感謝の気持ちを忘れず、戴いた優待は様々な手段を駆使して100%使い切る。 といったところです。 尚ここで、自らの利便性のために、昨年2021年末のベンチマークとなる各指数を貼っておきます。今年も絶対に、各指数を確実に一人ずつ順番に○ってやります。(上記データはSBI証券より引用) 今年はどのような優待バリュー株との出会いがあるのか、どの銘柄を新たに主力として戦うことになるのか、今から本当に楽しみです。何があろうとも、自分が生きている限りは最後まで死力を尽くして頑張ります。それでは皆様、今年2022年も1年間何卒よろしくお願い申し上げます。 みきまる拝。
Jan 3, 2022
どれだけ勉強しても、1000冊に迫る程の投資本の読書を重ねても、どうしても精度の高い、異次元に住んでいる自由闊達なS級凄腕投資家の域に達することが出来ない。 株式投資は純粋な自然科学ではなくギトギトの社会科学+総合芸術。算数や国語だけではなく音楽+美術の能力も必要。 才能が全然足りない。自分には絶望的に欠けている。それは分かっている。 それでも、今日よりも少しでも、0.1歩でも明日には良い投資家になれるように、努力を続けるしかない。自分には「蛇のような執念と燃えるような情熱」しかない。他には何も持っているものはない。裸で、死ぬ気で戦い続けるしかない。失うものなどない。やるしかない。
Jan 2, 2022
いやあ2021年が終わってしまいました。月日の流れは本当に早いですね。 次に2021年の最終成績ですが、対2020年末比で+19.4%(税引き後・入出金は影響0に補正済み・優待は全て0円換算)となりました。 さて実は2021年は年初に、以下のように自分に対して誓っていました。「自分にはリスク・リワード比の劣ったギャンブル性の高い銘柄をポートフォリオ上位に据えて戦ってしまう悪い癖がある。投資はスリルやサスペンスを味わうためにやるのではなく、とにかく勝つためにやるものだ。平凡で地味だけどリスク・リワード比が優れた銘柄を厳選してポートフォリオを組み上げ、丁寧に手堅く戦って、確実にTOPIXを上回る成績を出すことだけに集中しよう。」 1年間が終わってみると、目標通り大振りをせず、投機色の強い銘柄には一切手を出さず、堅実に戦い抜けたと思います。自分はおっちょこちょいな性格なので細かいミスは例年通り実にたくさんありましたが、それでも致命的な大きなミスは無く良い1年だったと考えています。また最終成績に関しても、極限まで保守的に戦ったことを考えればまずまず合格点を付けられると個人的には認識しています。 2022年も、昨年のように規律を守って戦えたらと思っています。
Jan 1, 2022
さて今日は株式投資本オールタイムベスト123位ラリー・ウィリアムズの短期売買法 第2版 (ラリー・R・ウィリアムズ著、パンローリング、2012年) の最終回第10弾です。 今日も、第14章 ケネディからオバマまでー50年のトレード経験から得た教訓 から。 いつも負けてばかりのトレーダーが多いのはなぜ? つまりはこうだー市場は急に方向転換できるが、トレーダーにはそれができない あなたが従うべきシグナルは最新のシグナルであって、あなたが有効であることを願うそのひとつ前のシグナルではない。このビジネスでは期待は通用しない。市場のやっていることに従う。つまり、現実に沿ってトレードすることが重要なのだ。期待ではなく現実に沿ってトレードすることの重要性を認識したときに初めて、防火壁を打ち破ってトレーダーとして成功への道を歩き始めることが出来るのだ。 なぜ負けるのか?という根源的な質問に対するこのウィリアムズの答えはいいですね。特に私達バリュー投資家は「自分が考える銘柄の価値」を信じ、それが実現する日を夢想して「市場が付けている目の前の価格」を軽視してちーとも見ておらず、その結果として大敗することがよくあるので、肝に銘じておく必要があると思います。ね、この本、中長期投資家にとっても役立つでしょ。♪ さてこれでこの本の紹介は終わりです。短中長期、どんな時間軸の投資家にとっても得られるところのある良書と思います。未読の方は是非。(終わり)
Dec 31, 2021
さて今日は株式投資本オールタイムベスト123位ラリー・ウィリアムズの短期売買法 第2版 (ラリー・R・ウィリアムズ著、パンローリング、2012年) の第9弾です。 今日は、第14章 ケネディからオバマまでー50年のトレード経験から得た教訓 から。 頭を垂れた果実 パーティーがいつ終わるかは、実際に終わるまで分からない。 パーティーが終わるまで、あるいは終わる兆候が見えるまで、待ってはどうだろうか。終わったら、そこで売ればよいのだ。フルスピードで走っている貨物列車の前に、なぜそうも飛び出たがるのか。そんなものに勝てるわけがないじゃないか。 上昇トレンドにあるときに売るよりも下降トレンドにあるときに売ったほうがよいとは思わないだろうか?私はそう思う。それに私の経験からしてみても、それが最良の選択であることははっきりしている。古いことわざに「トレンドはあなたのフレンド」という言葉があるが、まさにそのとおりである。 これこそが頭を低く垂れた果実であり、収穫されるのを待っている果実なのである。こんな果実は収穫するのに力は要らず、しかも甘い。 トレンドを見つけてそれに従った方がはるかに簡単だ。 この文章には、モメンタム投資家の考え方が非常によく表れています。 私は現在バリュー投資家としての視点で株の買い時を探し、モメンタム投資家としての視点で株の売り時を探るという、 バリュー→モメンタム戦略バリュー投資家としての視点で厳しく株の買い時を探り、実際の売却に当たってはモメンタム(勢い)がある限りは指標的に既に割高になっていても我慢して乗り続け、株価がついにそのモメンタムを失って下落し始めたことを確認してから静かに去る投資手法 を取っているのですが、株の売り時に関してのこのウィリアムズの指摘は完璧です。上げ局面は我慢してそのまま乗り切って、明らかな下降トレンドになったことを確認してから降りる方が明らかに「取れる利益を嵩上げ出来る」と思いますね。(続く)
Dec 25, 2021
さて今日は株式投資本オールタイムベスト123位ラリー・ウィリアムズの短期売買法 第2版 (ラリー・R・ウィリアムズ著、パンローリング、2012年) の第8弾です。 今日も、第12章 投機ビジネスについての考察 から。 恐怖と強欲の板ばさみ われわれは単なるアドレナリンの分泌によって引き起こされる恐怖心のために最高の勝ちトレードや最大の勝ちトレードを見送ってしまう。 私からのアドバイスは、あなたのなかの恐怖が何かをやるなと言ってきたら、このビジネスではナイキのキャッチフレーズのように「やるっきゃない(Just Do It.)」という意味にとらえよ、ということである。 ちょっとおっかない考えかもしれないが、トップトレーダーが成功しているのは、「ジャスト・ドゥ・イット」だからなのである。 このラリー・ウィリアムズの恐怖に関しての考察は興味深いです。 ローレンス・コナーズ が言うように、 恐怖が高まるほど、証券価格のゆがみは大きくなる わけですし、この「恐怖効果」を投資に生かさない手はないです。 恐怖心を金に換えろ ということですね。 (続く)
Dec 23, 2021
さて今日は、2021~22主力株概況シリーズで紹介してきたポートフォリオTOP30銘柄をまとめておきます。 1~10位 11~20位21位 9831 ヤマダホールディングス MSCI除外の影響が強かったとはいえ、今のヤマダHDの株価的な低評価は、優待族的には正直に言ってちょっとびっくりするくらいのレベルですね。22位 2737 トーメンデバイス 私のポートフォリオ上位に長年登場し続けているいぶし銀の実力派銘柄ですね。23位 7552 ハピネット オリックスに万一のことがあった場合の「5代目 絶対基準優待バリュー株」の筆頭候補です。最高に頼りになる超実力派ですね。24位 7705 ジーエルサイエンス 私のポートフォリオ上位には他にあまりいない精密機器セクターの銘柄であることがとても気に入っています。多種多様な銘柄でPFを組み上げることは安全性と健全性の観点からも大切ですし、またその方が勉強になって楽しいですからね。25位 2193 クックパッド 、、、果たして「稀代のポエマー」クックパッドたんの未来には何が待ち構えているのでしょうか?26位 9324 安田倉庫 実は地味に成長していますし、もちろんファンダメンタルズからは激安水準ですし、とても良い銘柄と思うんですよね。27位 5283 高見澤 ま、なめたけですね。。。28位 7185 ヒロセ通商 日本を代表する、「クレイジー系優待株」ですね。29位 7533 グリーンクロス 地味ですが偉大な存在ですね。30位 3228 三栄建築設計 「同じ家は作らない」という当社のコンセプトは最高に魅力的ですね。 以上、2021~22ポートフォリオTOP30銘柄のまとめ でした。2021~22主力株概況シリーズ 免責事項2021~22主力株概況シリーズ は私が主力で勝負している銘柄について、本当にその価値はあるのか、私を投資家としての次のステージに連れていけるだけの力があるのか、「リスク・リワード比」が優れた最強で最上の頑健な銘柄なのか、何か見逃している弱点はないか、戦い続けるのに絶対に必要な「銘柄としての鮮度」が落ちていないか、などを多角的に検討する目的で書くものです。記事内容は一般的に入手可能な公開情報(ただしIRへの蛇の様にしつこい独自の取材内容を含む)に基づいて作成していますが、同時に諸々のバイアスのかかったあくまでも個人的な見解であり、特定銘柄の売買の推奨を目的としたものでは全くありません。また市場と個別銘柄の未来がどうなるかは誰にも分からないため記事内容の正確性は保証しません。そのため当シリーズに基づいて投資を行い損失が発生した場合にも当方は一切の責任を負いません。投資はくれぐれも100.0%御自身の判断と責任の元で行って頂きますよう、伏してお願い申しげます。
Dec 20, 2021
さて今日は株式投資本オールタイムベスト123位ラリー・ウィリアムズの短期売買法 第2版 (ラリー・R・ウィリアムズ著、パンローリング、2012年) の第7弾です。 今日は、第12章 投機ビジネスについての考察 から。 投機を仕事として見るときに重要なのは、、、軌道を外れることなくいつも正しいことをすることである。私は投機というこの芸術に仕事として興味を持っているのであって、最近のトレードに勝ったとか負けたとかはどうでも良いことである。 実にいい表現ですね。 仕掛けよりも手仕舞いが大事 ケンカを仕掛けるのはバカでもできる、、、、、しかし、勝者になれるかどうかはまた別の問題だ。 トレーディングに関する本や講習のほとんどが手仕舞いのテクニックではなくて仕掛けのテクニックから教えており、市場に災いをなしている。 というのも、トレードを仕掛けるのは簡単だ。どんな愚か者にでもできる。しかし、利益を生み出すのは手仕舞いであり、それは仕掛けほどたやすくはない。 あなたが人生のなかでかかわる戦いのなかで、市場ほど厳しい戦場はないと私ははっきり断言できる。私がこの考えに対するインスピレーションを得たのは、これまでの株式市場関連の本のなかでおそらくベストセラーと言ってよいジェラルド・ローブの「投資を生き抜くための戦いー時の試練に耐えた規律とルール」(パンローリング)からである。 市場の厳しさを表す言葉として、彼の「投資を生き抜くことは戦いである」という言葉ほど的を射たものはない。これはあなたと市場との闘いであり、あなたとほかの市場参加者との戦いであり、あなた自身との戦いなのである。 ジェラルド・ローブの「投資を生き抜くための戦いー時の試練に耐えた規律とルール」は私も大好きでかつ大きな影響を受けた神本なのですが、ラリー・ウィリアムズも激賞しています。というか、彼が推薦しているもので、これまでにクソ本だったものは1つも記憶がありません。彼の「投資本」に関する選球眼も、これまた超一流なんですね。 ちなみに、私の株式投資本オールタイムベストシリーズ第2位で、永遠の名著である、 マックス・ギュンター の マネーの公理 についても、「投機家であることというアートについて、私がこれまでに読んだ中で最高の本である。」と、最大級の評価を下しています。 すいません、悪い癖が出て話がそれました。話を元に戻します。 さて今日は改めてローブの傑作の書評を下に貼っておきますので、未読の方はぜひこの機会に改めてご覧ください。投資を生き抜くための戦い (ジェラルド・M・ローブ著、パンローリング、2010年) 1. 投資で成功するには投機的な心構えが必要 特にお勧め!!!2. 分散投資は問題 3. 株の買い方のコツ 4. 損切りの大切さ お勧め5. 株をいつ売るか お勧め6. 株式市場には常にチャンスがある7. ローブの考える「なぜ買うか?」8. ローブの考える「なぜ売るか?」 この本は真の傑作です。言葉の1つ1つが深く、それが真実であると言う重い響きがあります。生き残りのディーリングと双璧を成す株式投資本の最高峰 ですね。。。。 、、、本文に戻ります。 それにしても「市場ほど厳しい戦場はない」上に、私達日の丸投資家が戦っているのは、「失われた30年が続く世界最弱の日本株市場」なわけですから、これはつまり、我々は「世界最悪の過酷なバトルフィールド」で戦っていることなります。このような「タフで凄惨な生き地獄」で生き延びるには、当然に武器が必要です。それが私の場合は、専門とする 優待バリュー株投資手法 なんですね。 本書の目的は、読者のみなさんにトレーダーとして成功してもらうことである。そのためには、今抱えている負けトレードをどう扱うべきか学ぶ必要がある。損失はけっして避けることのできない市場の真実だ。したがって、損失から立ち直る方法を学ぶまでは、自分の持てる能力をフルに生かして市場でお金儲けをすることは不可能だと思ったほうが良い。 一番大切なのは、資金管理≒損失の管理ということです。ラリー・ウィリアムズは本書中で何十回も同じことを述べています。それだけ重要という事ですね。 ちなみに私も、毎日自分のポートフォリオをその「含み損順」にランキングして並べて凝視し続けています。それは自分が犯した「失敗のリスト」でもあります。そして、「投資家として許容できないレベルの損失になっている子はいないか」を厳重に管理し、「これはもうアカンな。」と判断した場合には機械的に無慈悲に損切りしています。決して愉快なことではないですが、これを徹底しているからこそ、私は日々ご機嫌でこうやってブログを更新し続けることが出来ているんですね。(続く)
Dec 18, 2021
さて今日は株式投資本オールタイムベスト123位ラリー・ウィリアムズの短期売買法 第2版 (ラリー・R・ウィリアムズ著、パンローリング、2012年) の第6弾です。 今日は、第5章 短期トレーディングの理論 から。 この章で述べる真実は、あなたにとって、経済的にも心理的にも常に人よりも優位に立つうえで重要なことばかりだ。市場は絶えず変化している。しかし、正しくトレーディングするためのルールは変わらない。 私はこれまで何千人というトレーダーを育ててきた。そのほとんどが成功し、なかには華々しく活躍している人もいる。彼らの共通点は、この章の教訓に従っているという点だ。 勝者と敗者の違いは情勢の変化という1つの単純な事象によるところが大きい。勝者は努力し、絶えず変化に注意し、変化があればただちに反応する。しかし、敗者は努力もせずにすべてを欲しがる。。。彼らは人の言葉や市場の声に耳を傾けない。頑固でトレードにも柔軟性がない。 投資家としての最も重要な資質が 柔軟性 であるというのはよく言われることですが、私もそれは真実だと思います。モメンタム投資手法 を完成させた大投資家である ウィリアム・オニール はこのことを、 市場に一貫性がないのだから、あなただけが一貫しているわけにはいかない。 という印象的な言葉で表現しました。 そして自分は以前からですが、 くらげの様な投資家 を目指しています。 E・H・ハリマンの金儲けのルール 今なお持続するハリマン家の家督は1900年代初期に、フロアの使い走りからスタートし、大銀行家・ブローカーにまで上り詰めた「偉大なるハリマン」によって築かれたものだ。 1912年、インタビューで株式市場における売買技術と秘訣について聞かれた彼は次のように答えた。「株で儲ける秘訣を知りたければ、損失を消せ。これが答えだ。4分の3ポイント以上逆行したらすぐに損切をし、順行の場合は利を伸ばす。利が乗って来たら、価格に動く余地を与えるために損切り価格を引き上げよ。」 彼が1912年にわれわれに提供してくれた投機のルールほど耐久性のあるものはない。 ラリー・ウィリアムズがこの名著で口を酸っぱくして何度も繰り返しているのも、「損失はすぐに切れ、利はトレイリングストップを置きながらとことん伸ばせ」ということなので、結局はこのハリマンの言葉とおんなじです。これが、永久に変わらない、「正しくトレーディングするためのルール」なんですね。(続く)
Dec 13, 2021
さて今日は株式投資本オールタイムベスト123位ラリー・ウィリアムズの短期売買法 第2版 (ラリー・R・ウィリアムズ著、パンローリング、2012年) の第5弾です。 今日は、第3章 短期トレーディングの真実 から。 短期トレーディングの「真実」-それは、トレードする時間枠が短いほど、儲けもそれだけ少なくなる、ということである。 悲しいけれど、これは事実である。。。利益を増やすには時間がかかるのだ。 短期トレーダーのバイブルとして高名なこの本ですが、実は意外なことにラリー・ウィリアムズは、「デイトレード」を優位性がないやり方であるとして明白に否定しています。どこまでも徹底的に論理的で分かりやすいのが、彼の素晴らしさなんですね。 すべての利益のカギを握るのはトレンドである。。。トレンドがなければ、利益も出ない。トレンドは時間の関数だ。したがって、トレードの保有期間が長いほど、大きなトレンドをとらえられるチャンスは増える。こうした意味では、デイトレーダーは非常に不利な立場にある。 勝ちトレードを持ち続けることを学ばないかぎり、大金を手にすることは不可能だ。勝ちトレードは長く持てば持つほど、儲かる可能性は高まる。成功する農業家は作付けしたあと数分ごとに掘り返して生長具合を確かめたりはしない。生長を見守るだけだ。われわれトレーダーは生長のこの自然のプロセスから学ぶべきことは多い。われわれのトレーダーとしての成功も同じである。お金儲けには時間がかかるのだ。 これを読むと、短期投資の神様であるラリー・ウィリアムズがまるで我々中長期投資家を励まし、そのやり方を祝福してくれているようでもあります。彼は極めて経験豊富で、多彩で深い視点と洞察力を持った投資家です。そしてだからこそ、この本は短期投資家だけでなく、私たちの様な「時間軸を長く取ったおっとり投資家」にとっても役立つ1冊になっているんですね。(続く)
Dec 11, 2021
さて今日は株式投資本オールタイムベスト123位ラリー・ウィリアムズの短期売買法 第2版 (ラリー・R・ウィリアムズ著、パンローリング、2012年) の第4弾です。 今日も、第2章 重要なのは価格と時間 から。 ここで私の2つの法則を紹介しよう。 1. ほとんどすべての天井は、終値が1日の最高値で引ける日か、もしくはその直後に発生している。 2. ほとんどすべての底は、終値が1日の最安値で引ける日か、もしくはその直後に発生している。 高値近くで引ければそこが上昇トレンドの終点になり、安値近くで引ければそこが下降トレンドの終点になることが予測できるのである。 図2.27 S&P500指数(月足) なるほどー。これまた言われて見ると説得力があります。ラリー・ウィリアムズに与えられた「最も多くのトレード成功者を生み出した男」という称号は伊達じゃないですね。(続く)
Dec 9, 2021
さて今日は株式投資本オールタイムベスト123位ラリー・ウィリアムズの短期売買法 第2版 (ラリー・R・ウィリアムズ著、パンローリング、2012年) の第3弾です。 今日は、第2章 重要なのは価格と時間 から。 知識のない人々は、トレンドが反転するのは「情報通の投資家たち」が買うからだと思っているが、これはまったくの誤解だ。私の古くからの友人であるトム・デマークが言うには、「市場が大底を付けるのは買い手が一気に押し寄せるからではなく、もはや売り手がいないからである。」 このウィリアムズの指摘は鋭いと思いました。自分の経験からも、「結果的にタイミングの良い底値買い」になった取引と言うのは、「もう、この株、完全に灯が消えて死んでるな。」と思いながらも、それでも渋々&嫌々買ったときが多いんですね。 1960年代初期から1970年代中盤のトレーダーたちは無料のコーヒーを飲みながらおしゃべりすることにうつつを抜かす間抜けな奴らで、ただ座ってティッカーテープ(その日に売買が成立するたびに表示される株価)で株価の流れを見ているだけだった。 当時、ジャックとマーレーという2人の風変わりなじいさんがいた。彼らは毎日やってきては知識を披露し、私たちは彼らの言葉の1つひとつに耳を傾けた。 ジャックは「落ちるナイフを拾うようなことはしたくないだろ。」と1日に少なくとも1回は言ったものだ。そしてこう付け加えた。「落ちるナイフは床に突き刺さって、振れが収まるまで待つ。そのときに初めて拾うのだ。私は50年以上にわたって人々がお金を失うのを見てきた。これはそこから学んだ最大の教訓だ。」 私はジャックの言葉を次のように解釈した。つまり、売られている間は買ってはならない、貨物列車の前に飛び出してはならない、ということである。 1929年の株価大暴落をリアルで体験したこのジャック爺さんの話は非常に鮮烈で印象的でした。 私自身は非常に逆張り思考の強い人間で、自分に確信があればリスク覚悟で落ちるナイフでも掴みに行くタイプですが、確かにそれで頻繁に掌の動脈が切れて大出血を起こしていますし、今後は出来る限りは「ナイフが刺さった後、揺れが収まるのを見極めて」から、 市場が無関心になっている闇のどさくさに紛れて、静かにソロソロとドロボーみたいに買い出動する ようにしよう、これまでよりも出動タイミングを意識的に後ろにずらそう、少しでも良い投資家になるために考え方と投資行動を変えよう、と思いを新たにしました。(続く)
Dec 4, 2021
いやあ、今年も楽しく街が華やぐ12月になりましたね。 さてマーケットでは昔から12月は「期待を裏切らない月」とされています。そしてそれは、1950年以降で、12月はダウ平均の上昇率で2位、S&P500では1位、また小型株でも1位、ナスダックでは2位という統計データにも表れています。(出典 アノマリー投資、ジェフリー・A・ハーシュ著、パンローリング、2013年) 11月は残念ながらアノマリー不発でしたが、心機一転して今年も素敵な「ウインターラリー」の快走が続く1か月になるといいですね。 ♪ ま、いずれにせよ、今月も丁寧に集中して戦って行きます。泣いても笑っても残りは1か月。それでは皆様、2021年も最後までよろしくお願い致します。
Dec 1, 2021
いやあ2021年11月相場も終わりましたね。 さて11月と言うのは、アノマリー投資(現代ポートフォリオ理論や相場に関する理論の枠組みでは理由を説明することができないものの、経験的に観測できるマーケットの規則性のこと)的には、 「1年で最高の3か月」の始まりを告げる、祝砲轟く(とどろく)素敵な1か月 のはずでした。なので、11月の始めには私はウキウキした楽しい気持ちでいました。 でも結果としては、今年に関しては当てが外れて実に冴えない1か月となってしまいました。イメージでいうとこんな感じです。↓ ま、マーケットと言うのは気まぐれなものですし、また多くの投資家がアノマリーを意識し出すと途端に通用しなくなるという事も良く観察される事実なのでこれは仕方ないですね。でも今の気分はこんな感じです。↓ 次に今月の成績ですが、対2020年末比で+12.5%となりました。先月の+17.9%からはかなり後退しました。指数以上に私が専門としている中小型の優待バリュー株の下げがキツく、体感温度では氷点下くらいの厳しい1か月でした。 それでは皆様、来月もよろしくお願い申し上げます。
Nov 30, 2021
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