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家入レオのセカンドアルバム「a boy」である。発売日は明日なのだが、ネット予約をしていたら本日到着したという次第である。おそらく大雪の影響で配達遅れが生じる可能性があるので一日早く出荷した・・・ということだと思うのだが、まあ個人的にはラッキーということで。しかし、なぜ家入レオなのか?という皆さんの疑問もあるだろう(無いよ)。実は最近やたらとオーディオで盛り上がっているのは、全て彼女の歌のせいなのである。とあるお店で流れていた「太陽の女神」というシングル曲に衝撃を受けて家入レオを知り、現在結構はまってしまっているのだ(笑)。まあ、はまると言ってもアイドルじゃないので、歌に惚れたってところか。もともと女性ヴォーカルが好きなので、声にびびっとくると聴いてしまうのだが、彼女の場合は歌全体のパワーというか、声力をすごく感じる。さらに19歳でシンガーソングライター、デビュー間もないと後で知ってこれは只者ではないぞと。しばらくはネットでPVを聴いたりしていたのだが、そのうちに寝る前に必ずPVを見るようになって、あとはご覧の通りw。CDを買うなどホントに久しぶりなのだが、ファーストも買ってしまったのでここまできたらセカンドも買わんとしゃあないでしょ。正直なところ、ファーストアルバムの出来は決して最高!というわけではない。まだまだ方向性も定まらず、どういう売り方をするか?と事務所も考えている最中という感じもあった。作詞もまだまだ、いろんなフレーズを集めてみました的なものが多い。歌い方も、もっとストレートに歌ったほうが自分はいいのになぁと思う。へたにビブラートとか使わなくてもねぇ。このくらいの年の娘はしようがないけど宇多田ヒカルの影響があるのかね。しかし、年齢から言ってもこれからどんどん伸びる可能性がある。ここは将来への投資という意味でレンタルではなく購入を決意したわけだ(大げさだな)。まあ、とにかく事務所もがんばって売り込みをしているようだし、アーティストが売れるには本人の実力だけではどうしようも無い部分がある。なんとか売れて欲しいと思う。どんどん曲を作ってどんどん伸びて欲しいと思えるアーティストである。肝心のセカンドのレビューは・・・まだほとんど聴いてないので後日ということで(笑)。チラッと聴いてる段階ではなかなかいいですよ。これはお奨めできる!と、思いますw。
February 18, 2014
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久しぶりに興味深いという意味での面白い本を読んだので、紹介してみたい。【送料無料】ナイトランド [ ウィリアム・ホープ・ホジソン ]価格:3,360円(税込、送料込)ウィリアム・ホープ・ホジスンという作家で1900年頃のイギリスの作家。同じ作者の「異次元を覗く家」というハヤカワ文庫の作品を所有しているのだが、怪奇幻想譚といった感じの作品を書いている。ラブクラフトみたいな、と言えばわかりやすいか。この「ナイトランド」はかなりの長編で、内容はアマゾンのレビューなどを参照してもらえればわかるのだが、100万年後の滅び行く地球を魑魅魍魎が跋扈しているという、ほとんどその情景描写を延々と読み進めていくというような感じだ。それだけをとって見れば、特に読むに値しない古びた怪奇譚になってしまうのだが、年代的にまさにファンタジー創世記に書かれた物として読めばまた違った印象となる。当時、地球上にはまだまだ未知の領域が存在しており、科学技術という存在が身近に感じられるようになってきたものの、人々は不可知なものへの興味・恐れ・憧れといったものを抱きながら暮らしていたはず。そういった近代世界へ突入しつつある時代の空気を作品として書き残しているのが、この「ナイトランド」なのである。100万年後の滅び行く地上でなんとか生き延びている少数の人間たちという世界観もさることながら、注目すべきはやはり闇の世界「ナイトランド」の主役である怪物たちの数々だろう。獣人や巨人族といったおなじみのものもいるが、「監視者」と呼ばれる山のように大きな異形の物体などはゾクゾクするような存在だ。この世界の始まりの時からその場に存在し、生き残りの人類が生存している大ピラミッドを監視し続けている・・・これだけで作品が一つ書けそうなヤツだ。他にも「沈黙の家」や「無言のやつら」とか、こんなものがそこかしこに存在するとんでもない世界をよくもまあ作り出したものだ。ストーリー的には主人公が愛する女性を救い出すためにナイトランドを決死の思いで進んでいくという、特筆すべきところのないものだ。そのロマンチックすぎる愛情描写については当時においても「読むに堪えぬ冗長なロマンス」と評価され、訳者も「信じがたいほどのアナクロニズム」と表現するものだ。正直なところ、作品後半部分は「あーもう、いい加減にしてくれ!」的な、二人の乳繰り合いばかりなので相当飛ばし読みしてしまった(これでも原文からは大幅にカットされているらしい)。なので、かなり評価は分かれる作品だとは思うのだが、やはりこれは読んでおくべき作品ではないかと思う次第である。今読めばさほど目新しいものはないのかもしれない。しかし、裏を返せばこれ以降現代まで続くファンタジー作品の数々に、この作品中の様々な要素が取り入れられているということではないのか。そう考えれば、ホジスンの恐るべきオリジナリティというか、幻想怪奇に対するバイタリティーに敬服してしまうのである。ちなみに、作品はすでに絶版のようであるが、一応リンクだけ貼っておく。中古であればそこそこ売っているようだ。蛇足だが、これを読んでいてコリン・ウィルソンの「スパイダー・ワールド」を思い出してしまった。雰囲気が似ているなぁ・・・。「ナイトランド」が少しでも面白いと思えた人は是非読んでみてw。あと、「賢者の石」も超大好きな作品、オススメ。
January 31, 2014
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夏恒例のポケモンですwさすがに上の子は「もう見に行かなくていい」というので、下の子だけ連れて行ってきた。今回は久々に二本立て。今まで、「踊る秘密基地」とか「わんぱくアイランド」とかはまずまずの出来だったので、どうかなーと思いつつ見たんだけど・・・いや~やっぱおもんないわ(爆)。本編もどっちも。年々面白くなくなってきてるんだけど、ココまでくるともう手抜きと言うか、ほんとにやる気がないとしか思えない。映画用の人間の主要キャラが一人も出なくて、新しく出てくるポケモンが全部しゃべるし、キャラを考えるのがめんどくさいというのがモロわかり。ていうか、まともなストーリーすらない。今まではつまらんながらも、ポケモン世界に関係するなんらかの現象があって・・・というようなストーリーを一応用意していたんだけど、今回はもう何もなし。ケルディオのただの成長物語で、それもたいしたひねりもなく、ピカチュウの活躍もなく、内容的にはテレビ放送レベルの話。ほとんどが戦闘シーンで、ポケモンバトルでもないし、最後の方の戦闘シーンは見てる子供もダレまくり。椅子の上で横になって寝だすし・・・。もうええやろ?ってくらいにくどい戦闘・・・見るべきところはほんとにほとんどない。ダークライから五年連続で見てるけど、ダークライがピークだったな。まだ面白かったのになぁ。DSのキャラをもらえるから見にいってる人がほとんどなんだろうね。製作側も、まじめに作っても興行成績には何の変化もないから、やる気が出ないのかねぇ。どうせなら違う映画が見たいわい!
July 29, 2012
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【送料無料】《本屋大賞2012 ノミネート作品》ジェノサイド価格:1,890円(税込、送料別)「13階段」と「幽霊人命救助隊」は読んだことがあるんだけど、久しぶりにこの作者の作品を読んでみた。かなり色んなところで評価されてるので、期待しながら読んだけど・・・めっちゃオモロイやん!!間違いなく、一級のエンンタテイメントミステリーですよ!書下ろしではなく、連載でここまで緻密なストーリーを書き上げたって事もすごいなーと思う。日本と外国で全くキャラクターの違う登場人物たちが同時進行で物語を進めて行くんだけど、その書き分けも違和感がなく、日本に関しては当たり前だけど、外国だっていう雰囲気を壊さずに描写しているのもすごいと思った。なかなか日本人作家が海外(及び外国人)の雰囲気を描写するのって難しいからね。色んな実在する組織やそれに絡んだ専門用語なんかも出てきて、よく調べてあるなーとも思うし、作品に奥行きを出しているポイントでもある。もちろん、良く知ってる人が読めば粗はたくさん出てくるのかもしれないけど、所詮はフィクションなので、どれだけたくさんの人にリアリティを感じさせることが出来るかってところが肝心だと思うので、それは十二分に成功してると思う。とにかく良く出来た作品。起承転結もしっかりできてるので、終盤の盛り上がりからエンドに向けての組み立てもばっちりだし、終わり方もキライじゃないので自分的には文句の付け所がない。まあ、強いて言えば「ジェノサイド」に関しての記述にちょっと説教臭いところがあるので、多少、一方からの解釈に偏ってるのかなーというところ。このあたりは作者の主張だろうから、別にいいのだけれど。あとは、少々SFチックな部分があって、ストーリー上の鍵となる部分が「神の手」の介在で説明されちゃってるところもあるので、そういうところは納得いかない人も出てくるかもしれない。そのあたりはエンタテイメントってことで、勘弁してください。なかなか爽快なミステリーって少ないので、そういうのが好きな人にはオススメです。
June 16, 2012
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「家」のことで何かと忙しくて、なかなかこっちのヒマがとれない。生きてますよーという意味で、頑張ってアップしていこー!!【送料無料】華竜の宮地殻内の変動による大規模な海底の隆起で、海抜が200m以上上がってほとんどの陸地が没してしまった近未来の地球。ウオーターワールドのような世界で、これまでどおり陸地で暮らす人々と遺伝子操作で身体をある程度順応させ海で暮らす人々とがいて、陸地側は大国の連合みたいな感じで、海側は自由人て感じ。個人の物語というよりはその世界を描こうとしている作品かなぁ。こういう作品の場合、どうしても説明的な文章が多くなってしまうんだけど、色んな立場の人物を登場させることでうまくその説明をこなしている。話の内容自体は、まあ普通。めちゃくちゃ面白いというわけではない。地殻変動後に起きた世界中での戦争、その時にばら撒かれた遺伝子操作による戦闘生物が今も世界中に跋扈して・・・とか、近未来モノとしてはよくあるパターンなんで、新鮮味はそれほど感じなかった。それでも、安っぽいヒューマニズムとかではなく、人類ってなんだ?っていうような大きなテーマが感じられたので、自分としては評価をしたい作品です。新しいアイデアは少ないかもしれないけど、それをよく吟味して理路整然としたハードSFとして書き上げるのは並大抵ではないよね。こういう長編は書くほうも出版する方も、今ではそれなりに冒険なのかなーと思うので、良くやったと言いたい。あと、最後の方の再度の地殻変動のシーンなんかはかなり雰囲気出てました。それも、そこに至るまでのストーリーがあってこその良さだと思うので、筆力は相当あるんじゃないかと。もっともっと、頑張ってたくさん作品を書いて欲しいし、読んでみたいです。
May 16, 2012
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【送料無料】《本屋大賞2012 大賞作品》舟を編む価格:1,575円(税込、送料別)出版社で辞書を作るという、地味に思える仕事を取り上げて書かれた作品。色んな出版社の色んな辞書がある中で、どうやってこれらの辞書が作られていくのか、地味に思える辞書が、実は出版社の底力を見極めることが出来るほどの多大な時間と労力を費やされて世に出されているという興味深い裏側も見ることが出来たりする。とは言ってもそんなマジメ一本の作品でもなく、やっぱり三浦さんなんで、最高に面白い愛すべきキャラクターが山盛り出てくる。辞書の話だけじゃなく、人物のストーリーもしっかりと作られているので、硬軟織り交ぜてしっかりと楽しむことができる。それにしてもホント、三浦さんは抜群のセンスだね。とりあえず、ちょっとしたやり取りや表現が面白い。頭の方に出てくる、怪しいカップ麺「ヌッポロ一番」は笑いました。作り方の手順の怪しい日本語なんかは「あるある~!」って感じで、よくこういうところに着目するよなーと感心しちゃった。で、最後にはしっかりと泣かされまして、こうくる流れはわかっているのに泣かされてしまうという・・・まあ、個人的な不満としては、もっと掘り下げて欲しかったキャラクターもいたりするんだけど、バランスを考えるとしようがないねってことで。いつもながら、単発で終わるのがもったいないくらいの作品。ホントにいいお話でした。
April 26, 2012
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【送料無料】ペンギン・ハイウェイ価格:1,680円(税込、送料別)この作者の作品は「太陽の塔」以来。「太陽の塔」はあまり内容を覚えていない。だからといって、面白くなかったという印象ではなくて、それなりに興味深いものだったはずなのだ。なぜなら、「そのうちにもう一冊この作者の作品を読もう」と思っていたからなんだね。てな感じの一人称の語りで始まる。主人公は小学校四年生のアオヤマ君。ちょっと変わった感じの少年で、このキャラクターがなかなかいい。まあ、ここまで論理的に物事を考えられる四年生はいないけどね。現代版ファンタジーと言えばいいのか、ある日突然住宅街の空き地にペンギンたちが出現するという不思議な出来事の謎を調べていくのがメインのストーリーだけど、ストーリーよりも登場人物同士のやりとりや、なんでもない日常(ちょっと不思議な日常だけど)をつらつらと読む感じなのがいい。発想というか仕掛けの部分はそれほどでもないんだけど、雰囲気がすごく良かった。地味な展開なので中盤まではパラパラめくるような読み方をしてたんだけど、終盤に動き出してからは一気読み体勢に入っちゃいました。個人的にはすごくノスタルジックというか、自分が子供だった頃とアオヤマ君がダブる感じで、ヤマモリ持っていた将来の夢とか、大人の女性に対する憧れとか、色んなわけのワカランことをまじめに考察していたこととか、なんだかそういう感情がポコポコと湧き出てくるようなエンディングだった。作者の思いとすごく共感できる部分があったのも良かった。子供の頃に、「人間は死ぬ」ということに気が付いて大泣きしたこととか、宇宙が誕生する前の「無」ってどんな状態なのかすごく気になって先生との交換ノートに何ページにもわたって色々書いたこととか、やっぱりそういうことを思ってたやつもいるんだなーと、みんなそうだったのかなーと。そういう色んなことを思いだして「ウフフ」と少し笑えるような、懐の深い作品だと思います。
April 6, 2012
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【送料無料】ナニワ・モンスタ-価格:1,680円(税込、送料別)バチスタシリーズの作者が書いたってことで、医療ジャンルの作品だというのはわかってたけど、舞台設定もバチスタと同じだった。東城大学病院もあるし、田口も白鳥も作品世界のどこかに住んでいるだろうし、シリーズに出てくる人物も顔を出すし、重要なキャラクターもかぶってる。スピンオフってやつですか?序盤は、少し前に現実に起きた豚インフルエンザの感染騒ぎをなぞるかのような出来事が書かれてあって、いつものように医療従事者の目線から見た暴露手記みたいな感じで、これを最後まで延々続けられるとちょっとつらいなと思い出した頃にスカッと場面転換。ここで出てきたキャラは後々重要な役を担うんだろうね?そうじゃないとこの章の意味がない。その後は、実際に起きた事件や出来事をなぞるというパターンでストーリーが展開していくって感じ。メインキャラはたぶん某元知事なんだろうけど、そのままキャラクターを拝借している感じで、政策やなんかもそのまま流用してて、その辺りはちょっと安直すぎるというか完璧にダブって見てしまう部分もあって違和感があった。作者の意図はわからないけど、ここまで真似する必要があるのか?と思う。現実とリンクさせてリアルさを出そうということかもしれないけど、リアルに引っ張られすぎるデメリットの方が大きいと思うけどねー。作者の予想以上に現実が暴走してきてるところもあるので・・・。まあ、実際には全く関係ないことなので、切り離して読めばいいのだろうけど、策士策に溺れるというか、せっかくすごい話を書く力があるんだからもっとオリジナルなものをガンガン書いて欲しい。最近のバチスタシリーズもそうだけど、ちょっと説教臭い雰囲気になってきてるので、そのへんも鼻についてストーリーに没頭できない。で、結局なんの決着も付かず「続く」って感じの終わり方で、ああ、またかという脱力感の残る読後でした。作者の頭の中ではちゃんとつながってるんだろうけど、読むほうとしてはどの作品が何と関わってるのか、どの順番で読めばいいんだと、少しイラつくところもある。筋金入りのファンでもないから全ての著作を網羅してるわけもないし、ちょっと困る感じもありですね。
March 31, 2012
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【送料無料】沈黙のフライバイ価格:630円(税込、送料別)ずいぶん前に知り合いに薦められていたこの作品を、ふと思い出して読んでみた。これは面白い!こんなSFを書ける日本人がいたんだ!ということに驚いた。本格的なハードSF、それでいて知識の押し付けだけの作品じゃなくてキャラクターにもきちんと存在感があって物語を作っているところがすごい。短編は好きじゃないんだけど、これは話しの収まりがすごく上手なので、ほんとに面白く読めました。特に表題作の「沈黙のフライバイ」は最高で、久しぶりに最後の1ページでゾクゾクするような感動を覚えたねぇ。鳥肌が立っちゃったよ。極限まで無駄を省いて最小限度の言葉で表現している、本当の短編。気持ちのいい短編を読ませてもらいました。
March 19, 2012
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【送料無料】下町ロケット価格:1,785円(税込、送料別)直木賞を受賞した作品。「空飛ぶタイヤ」が相当面白かったので、これも期待して読んだんだけど、かなり面白いです。読み始めたら最後まで読んでしまうので、時間のあるときに読まないと、とんでもないことになりますw。ぶっちゃけ、話しのつくりは「空飛ぶタイヤ」とそれほど変わらないので、違うものを求めてた人にはちょっと残念かも知れない。中小企業の経営者が孤軍奮闘して困難に立ち向かうというストーリーで、取引先や銀行、大手メーカーに苛められながらも、夢を追いかけて前へと進んでいく姿を書いているんだけど、「夢を忘れない」というところが大きく扱われているかもしれない。それにしても話しの進め方が上手だね、ほんとに。最初は一人で奮闘していて、もうダメだってときにちょっとずつ誰かが助けてくれたりして乗り切って、そのうちに周りの人間も一緒に頑張りだして、みたいなところはパターンなんだけど、それがものすごく面白い。山あり谷ありじゃなくて、山また山って感じ。ほんとに一息つくところが全くない、ノンストップで一冊読ませてしまうというのはスゴイことだと思います。まさに、これぞ直木賞という作品ですねー。
March 8, 2012
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【送料無料】蜜姫村価格:1,575円(税込、送料別)ホラーミステリーというのでしょうか。山奥の村のそのまた外れの地区にある小さな村に隠された秘密。物語の発端は偶然発見された日本には生息していないはずのアリだった。腹の部分に蜜を貯めるという特徴で有名なそのアリを発見した男は、結婚したばかりの妻を連れてその村に一年間滞在し、アリの研究を進めることを決意する。とまあ、こんな感じの出だしなんだけど、こういう作品はその着想がすべてというか、幻想怪奇な雰囲気を気に入るかどうかなんだろうね。この作者は物語の組み立ても非常にうまくて、当然出てくるであろう理屈に合わない話の部分を上手に雰囲気でカモフラージュして気にならないようにしてある。かといって、完全に世間と隔絶させるわけでもなく、うまく現実世界を織り交ぜて浮世離れした世界感に浸りすぎることなく物語を進めていると思う。ただ、個人的にはもう一押し何か「おおっ!!」って思えるものが欲しい。人物の感情にしても、割合ありきたりな表現で(あっさりとも言える)、共感できるでもなし、否定するほどでもなし、「ああ、あるかもなー」程度の感想しか出てこないような感じなので、ストーリーを追うくらいしか楽しみがないって感じです。そのストーリーも、大体予想が付くようなオチに収束していくので(そう意図されているのだろうけど)、最後まで読んでも(ちょっとだけ意外だったけど)「ああ、そっちできたのね」くらいの感慨しかなかった。今まで読んだこの人の作品って、そんな感じが多いんだよね。淡々と始まって淡々と終わるって感じで、最初の話に戻るけど、雰囲気を楽しめばいいのかなーって。ただ、途中の盛り上がりは結構あったりもして、すごく想像力をかきたてられる部分もあるのだけど、なかなか自分の思うようなエンディングには行かずに淡々と終わってしまうのであった(笑)。苦手な雰囲気ではないので、気が向けば他の作品も読んでみたいです。そのうち当たりが出るかもしれないので。
February 28, 2012
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【送料無料】まほろ駅前多田便利軒価格:570円(税込、送料別)三浦さんの本は久しぶり。知らない間に映画とかになってたらしいコレ。どういう話なのかなーと思いながら読み進めていったけど、ちゃーんと三浦節してました(笑)。一風変わったキャラクターがこの作者の特徴かなとも思うんだけど、しっかりとそういう人物たちがヤマモリ登場してる。なんだか、「こんなヤツいねーだろ!」と思いながらも読み進んでいくと「そういやいるかもしれんなー」と思えてきたりする。好きじゃないけど憎めない、そんな感じの脇役が相変わらずいい味だしてるね。それなりに重い過去を背負っている主人公の止まっていた人生が、そんなキャラクターたちと関わりあうことで一歩進みだすのかも・・・というような、暗い題材を扱いながらも前向きな「人間」を書いている作品です。こういう作品がもっともっと読まれて欲しいデス。
February 22, 2012
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【送料無料】謎解きはディナーのあとで(2)価格:1,575円(税込、送料別)本屋大賞をとった作品の続編。実は1はまだ読んでいない。借りようと思ったらなかったので、2を借りてみた(2から読んでも大丈夫、と言われたので)。読んでみて、そう言われた意味はわかった。短編集だったのね。実は、同じ作者の「放課後はミステリーとともに」という作品を一緒に借りて先に読んでいたんだけど、コレも同じような短編集。主人公が高校生で、探偵みたいな感じで事件を解決してゆくというもの。で、言ってしまうとこの二冊、形としてはほとんど同じようなもの。キャラクター設定が違うだけで作品の構成の仕方はほとんど同じ。正直、自分的にはあまり面白いと思えるミステリーではない。ノリが軽くて、ドタバタコメディミステリーというような感じで、シリアスさはほとんどない。こういうミステリーもありなんだろうけど、このノリには付いていけないので作品の良さがわからなかった。主人公は基本的に自分では何も解決していなくて、他の人が推理してくれたことを「ふんふん」と聞いているだけ。「ディナー」のほうはお嬢様と執事というキャラクターがウケたんだろうけど、ミステリーとしての完成度はどうなんでしょうね?まあ、短編があまり好きではないのと、ミステリーファンでもないので適当に聞き流しておいてください(笑)。お嬢様ミステリーなら、森博嗣のシリーズの方がよほど読み応えがあって面白かった。ジョークも気が利いていて、洗練されているという印象。比べることが間違ってるのかな?ところでこの作品は延々このまま続いていくのだろうか。この本を読んだ印象では、キャラクターの成長というものがほとんどないので、サザエさん的な作品に分類されるんだろうか。できるものならそうではなくて、きちんとキャラを成長させていって、ちゃんとした作品の背景を作って欲しい。そうしないと、この軽いノリのままずーっと続くことになってしまうので、それはちょっと悲しいかなーと思います。とりあえず、機会があれば1も読みたいです。
February 20, 2012
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【送料無料】小暮写眞館価格:1,995円(税込、送料別)古びた商店街にある元写真館に引っ越してきた家族を中心に、語られる物語。中篇が幾つか集まって構成されているんだけど、その構成の仕方も素晴らしく、関係なさそうなストーリーの伏線が絡み合って集約されていくところなど、すごく「良かった~」と思える作品だった。もともと、宮部さんは好きな作家さんなんだけど、ファンタジー作品はあんまり面白いと思えなくて、やっぱりバリバリのミステリーじゃないとダメなのかなと思っていたところ。この作品も、最初はなんだか「心霊探偵」みたいな雰囲気で、ほのぼのとした雰囲気で進められると、本が分厚いだけに全部読むのはつらいかもなーとか思ってたらとんでもない!途中から目が離せなくなるというか、ちゃんと物語のヤマが用意されていて(アタリマエか?)、一気に読み終えてしまった。登場人物のリアルな感情表現が宮部さんのすごいところだと思うんだけど、それが悲しみであっても前を向いている悲しみで、その悲しみを背負って生きていくんだ!という強さを感じられるところが好きですねぇ。久しぶりに「うるうるっ」と来てしまう作品でした。っていうか、最近、涙腺がゆるくなってるような気がする・・・。でも、やっぱり宮部さんは好きだわ~。
February 16, 2012
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【送料無料】リヴァイアサン価格:1,680円(税込、送料別)最近流行り(らしい)スチームパンクというジャンルで大人気(らしい)の作品を読んでみた。時代設定は第一次世界大戦勃発のころで、オーストリア大公夫妻の暗殺事件を発端としてこの物語も始まる。世界は、ダーウィニストと呼ばれる遺伝子工学を用いて生物を改造し利用する人々と、クランカーと呼ばれる機械を利用する人々とに別れて争っている。まあ、そんなことは読めばわかるので説明はそのくらいにして、感想はというと・・・ずばり、こんなもんなの?という感じ。確かに話しは面白い。この先どうなるの?という引き込まれるようなストーリー性はあるし、実際の史実に絡めた作品世界全体の動きもよく作りこまれていると思う。でもねぇ、正直なところセンスオブワンダーが足りない。クランカーの使う兵器なんて、なんの目新しさもないし、ダーウィニストの兵器も同様で、クジラが空を飛ぶって普通じゃないかな(昔、ムーの白鯨ってあったよねw)。ストーリーの緻密さが面白いだけで、SFならではの斬新さとか脳みそが痺れるような感激とかは全く感じない。三部作の最初なので、導入部と考えれば、まあこんなものかね?卵の謎とか、次につながる楽しみはあるので、二作目には期待したいですけど。キャラクターも結構ありきたりで、主要キャラのラブロマンスも陳腐なものに終わらなければいいなと勝手に心配中。ちょっと厳しいコメントだけど、ローカス賞を受賞しているということで結構期待して読んだので、その分落差も大きかったということです。辛口ついでにもう少しコメントすれば、訳者のセンスもあるのかも知れない。センスが悪いというんじゃなくて、自分のセンスと合わなかったってこと。ちょっと柔らかすぎるというか、子供向けすぎる表現が鼻に付く感じだったかな。あと、挿絵はどうなんでしょ?生物兵器はともかく、メカはちょっと、初代ガンダムどころかマジンガーレベルだと思うのは自分だけかね?(わざと古めかしいタッチにしているというのは承知してますが・・・)原作そのままということでしょうがないんだろうけど、吉原先生あたりに描いていただいてれば全く違う雰囲気になると思うんだけど(笑)。
February 13, 2012
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【送料無料】RDGレッドデータガール(4)ようやく4巻を読んだ。相変わらず、面白いねー。年が明けてすぐに読んだけど、あまりに面白くて、「オレは今、ひょっとして今年一番面白い本をいきなり年明けに読んじゃってるのかもしれない・・・」と心配になったほどである(笑)。この作品がすごいなーと思うのは、ファンタジーな作品なのにものすごくリアルな作品になっているところ。よくわからない文章で申し訳ないけど、要するに、主人公はごく普通の日常的な生活を送っているけど、その日常のなかでファンタジーが展開してゆくって感じ?自分としてはファンタジー小説であってもリアルでないと面白くないと考えているわけ。「指輪」みたいに完全に違う世界の作品ではその世界をどれだけ作りこんでるかでリアルさが違ってくるけど、この作品みたいに現実の世界を舞台にした場合は、キャラクターに普通の生活感を出させてなおかつファンタジーな要素も感じさせないとダメという、これはこれでかなりの技術を必要とするんじゃないかと思ってます。大抵の作品ははかなり小難しい理屈や文章で攻めてきがちで、文章量も増えたりしてちょっと気合を入れて読まなきゃダメみたいなところがあるけど、この作品はほんとに易しい文章でサクッとリアル感を出している。コレは本当に神業レベルだなーといつも思います。あんまり褒めすぎると気持ち悪いので、こんなものにしておきますが、もっともっと評価されてもいい作家だと思うんだけどね。でも、自分の読んだ本、発売一ヶ月少々で3版まで重版かかってるんで、ちゃんと買ってくれてる人がいるんですね!良かった良かった。え?お前は買ってるのかって?スイマセン。文庫になってから買ってます・・・。
January 11, 2012
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【送料無料】マンチュリアン・リポート張作霖が爆殺された事件の真相を究明するために、昭和天皇の密命を受けた陸軍将校の報告書という形で物語りは進む。「蒼穹の昴」シリーズで、今までの作品を若干おさらいしながらそれぞれのまとめのような形でもある。書き下ろしだけあって、とても読みやすい。一気に読める。このシリーズは少しファンタジーっぽいというか、非現実的な側面もあるんだけど自分はそういうところがすごく好きで、この作品でもそういうところはばっちりでてる。浅田次郎さんの作品にはほんとうに優しさが満ち溢れてて、それなのに登場人物はみんな己にはとことん厳しいという、こんな人たちが世界を動かしてくれたらものすごくいい世の中になるんだけどなーという、ちょっと悲しい気持ちにもなったりするんだけどね。ファンタジーっぽいと言ってもいい加減に書いてる部分など一つもなくて、まるでノンフィクションを読んでいるかのような文章内容で、いつもながら浅田次郎さんの作品はすごいです。文字が血肉を持ちそれがリアルとなる。そんな感じ。当時の日本の内閣の様相や(作品内での)昭和天皇の人物像など、なかなか興味深い点もたくさんあるので、読んで損はしない作品だと思います。っていうか、浅田ファンならとっくに読んでますね。
November 20, 2011
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【送料無料】偉大なる、しゅららぼん滋賀の、それもびわ湖が舞台の・・・ジャンルはなんだ?SF?ファンタジー?相変わらず面白い。どうしたらこんな物語を思いつけるのか?不思議でしょうがない。「しゅららぼん」に関してはちょっとハズされたという気がするけど、それはそれでいいかと思える。正直なところ、インパクトはいまひとつ。どうしても「プリンセストヨトミ」と比べてしまうので、超えたか?と聞かれれば超えてない、と言うしかない。滋賀県のびわ湖の近辺で話が進むのでスケール感が少し足りないのかも。実際にはびわ湖って大きいし、子供が見ると海と間違えるくらいのスケールはあるんだけど、活字になると不思議とこじんまりしてしまう。まあ、物語的にもスケールがでかいのか小さいのか微妙なところだけど。そういう、ローカルなところで歴史が動いてきたという意外性がこの話の面白いところでもあるので、そのあたりを楽しめるかどうかがポイントかもしれない。(歴史的には滋賀は決してローカルではないんですけどね・・・)相変わらずキャラクター作りがとても上手で、人物の相関関係もよく考えてあり、それぞれの活躍シーンもきっちりと用意してあって、キャラに関しては本当にうまい人だなーと感じる。厳しく言えば、主人公があまり目立たないことにもつながるんだけど、全員主人公みたいなところもあるので、良しとしましょう。一人だけすげー!!ってところがあればひょっとしたらもう少し盛り上がるのかも知れないけど、サブキャラの「ホントはすごいんです」的なところをちょっとづつしか見せないというようなところも懐の深い部分かなと思っているので、自分は大好きですw。ホント言うと、これだけで終わるのはもったいない作品だなーと思ってて(他の作品もそうなんだけど)、続編とか外伝とか書いてくれるとうれしいなーと思うんだけど、単発で終わるところもこの人の持ち味なんだろうなぁとも思うのでないものねだりはやめときます。シリーズとか出たらメッチャ面白いだろうに・・・。
November 18, 2011
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【送料無料】ストーリー・セラー価格:1,365円(税込、送料別)新潮文庫刊「ストーリー・セラー」に掲載されている作品がside:A、単行本化にあたって書き下ろされた作品がside:Bとして収録されているので、二度楽しめるという構成です。相変わらずウマイ文章で、ファンなら十分楽しめる作品。ただ、ちょっと作りすぎな面もあるので(それが持ち味なんですが)、引いてしまう部分もあったというのが本音。有川節なアツイ文章がコレでもか!と出てくるんだけど、いつものラブコメ的なアツサにプラスして悲しさの部分があるので、「さあ!悲しめ!」っていうような感じにとってしまうと、そこから一歩引いてしまうのね。で、それに加えて、どこからどこまでが(小説世界的に)本当なのか、現実と虚構の境がよくわからなくて、どこまで突っ込んで読むべきか、とか考え出すとよけいに入り込めなくなってしまった。自分の中では、有川作品のあんまり好きじゃない部分がネガティブに出てしまっている作品で、そのあたりが残念。まあ、良いとか悪いとかじゃなくて完全に好みの問題だけど。ただ、好き嫌いは抜きにして、こういう作品を書ける人はなかなかいないよね。「残念」な印象の作品でも、「読んでみろ」って言いたくなるような・・・。この調子で、自分の好きな、自衛隊モノもどんどん書いてほしいです。【送料無料】Story Seller価格:860円(税込、送料別)
February 25, 2011
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【送料無料】影法師価格:1,680円(税込、送料別)「BOX」「永遠のゼロ」の作者が書いた時代小説。Gさんイチオシとのことで、早速読んでみた。いや~、ストレートです。相変わらず。感動もんです。ストーリーは二人の侍の人生が軸になっていて、一人は国家老まで登りつめ、もう一人は不祥事で国を追われて流浪の生活に。二人は小さい頃からの親友で、なぜこのような違いが生じてしまったのか、主に家老になった人物の視点から書かれている。ただの人生譚というものではなくて、「剣」と「米」にスポットが当てられてる感じで、この二つが当時の侍社会(社会全体だけど)の大きな重要アイテムであり、この作品的には調度「剣」から「米」へと価値が大きくシフトしていく時代であることもストーリーに絡んでくる。そのあたり、百田さんらしい切り口で、読ませる作品になってると思う。剣術の描写は、時代物を読んでる人には普通のインパクトかも。それほど、「凄まじい」描写ではないけど、たぶん、意図的にあっさり目にしてるんだと思う。剣技の描写よりも、その前後の心理的な描写のほうを書いてるような感じなので。そういう、キャラクターの心の動きとかがよく書けてるので、自分的には感情移入しやすい方だったかな。割合、淡々と物語が進むので、このまま淡々と終わるのかなと思ってたんだけど・・・そんなわけないよね(笑)。最後は圧巻ですよ。これは好きな人にはたまらないエンドでしょう。作者の言いたいことはただ一つ!「人間、まっすぐに生きろ!!」ってことじゃないでしょうか。
February 6, 2011
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【送料無料】アリアドネの弾丸価格:1,500円(税込、送料別)バチスタシリーズの最新刊。文章は相変わらず抜群に上手だなと思う。まさに「立て板に水」という感じで、ストーリーの間に挿入される色々な説明文もすんなりと頭に入ってくるし、作中人物に語らせる説明にもイヤミが無いのでひっかかるところがほとんど無い。にもかかわらず、やっぱり一作目の「バチスタ」は超えられない。どうしても、医療現場の現状を訴える部分が前に出てきてしまって、ストーリーが二の次になってしまってる気がするので、ストーリーの本来の面白さが抑えられてしまってる気がする。一番痛いところは、田口や白鳥といったキャラクターが微妙に「いい子」になってきてるところかな。ほんとはもっとハチャメチャなキャラのはずだったのに・・・。それが、このシリーズの一番の魅力だろうと思ってる自分としては、「いい子」の白鳥なんて見たくないわけで。一応、伏線として何やら裏のほうでうごめいてきてるモノが色々と書かれているけど、う~ん、ちょっと散漫な印象もあるかなぁ。ちょっと、各キャラの行動が非現実的すぎる部分も見受けられるような気がするし、一作目のリアルな医療サスペンスからは少し(だいぶ?)はなれてきてる感じ。ありえない系のサスペンスなら、もっとぶっ飛んだキャラがいないと厳しいような気もするけどね。ちょっと、どっちつかずな作風になってきてるのが心配ですな。
January 30, 2011
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【送料無料】グラスホッパー価格:620円(税込、送料別)「マリアビートル」の前の作品ということで、ちょっと期待しながら読んだけど、「あれ?」って感じ。こないだ久しぶりに会った先輩が、「伊坂はあまりにも非現実的で好かん!」と言っていたのが腑に落ちなかったんだけど、これを読むと納得。自分としてはキライじゃないけど、ちょっとホラーミステリーみたいになってるよねw。「マリア」のときは、一応、みんな普通の人間だったから伊坂節的な悪ノリ感が面白かったんだけど、これはもうそういうのを超えてしまってる。そう、まさに超能力(霊能力か)の世界だから。そういう意味では、キワモノ的な作品になってしまうのが残念。でも、キャラクターたちはしっかりと伊坂ワールドしてるので、ちゃんと読める作品になってます。この先がどうなるか、さっぱりわからないという面白さと、そう来るの?っていう意外性が自分は好きだけどね。ただし、「重力ピエロ」みたいな感じを求めて読んだら「?」って感想になるかもデス。
January 21, 2011
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【送料無料】小太郎の左腕価格:1,575円(税込、送料別)「のぼうの城」の作者が書いた時代小説。作風はほとんど同じような感じ。魅力のあるキャラクターはよく作りこまれているし、当時の生活感の書き表し方は相変わらず秀逸。この、暮らし方(生き方)の違いが考え方の違いでもあり、登場するキャラクターたちが現代では考えられない行動を見せる、その意外感がこの作者の作品の魅力の一つだと思う。ただ、そういう面白さを含めても、この作品は「のぼうの城」以上ではなかった。「のぼう」のような、読んでいる人間を津波のようにかっさらって行く展開には及ばない。盛り上がりがいくつかに分かれてしまった感があるし、最後の展開も意図的だと思うけど、読者にわかるようになってしまってるので、ワクワクというよりは、痛々しい作品になってしまっている。このへんは好き嫌いの問題だろうけどね。戦国時代は所詮は人の殺し合いだし、きれいごとを書いてもしようがないというのもわかるんだけど。何か、もう一つ突っ込みが足りないというか、本当のメインキャラは誰なんだ?ってところがあって、感情移入の相手を絞りきれないもどかしさを感じながら読んだ作品です。そうそう、面白いのは間違いないけど、帯で絶賛しまくる手法はそろそろやめにしてもらいたい。オオカミ少年みたいになっちゃうよ。
January 20, 2011
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【送料無料】【セール特価】タイタンの戦い 3D & 2D ブルーレイセット【...価格:2,987円(税込、送料別)たいして面白くなかった。ギリシャ神話のペルセウスの物語だけど、特にひねりも無く、普通にメデューサを倒してアルゴスを救うというそれだけのもの。神話の世界を現在のCGを使って表現(リメイク)しようという発想は悪くないと思うけど、見るべきところがCGだけではどうしようもない。ギリシャ神話をどう解釈するかで色んな作り方があると思うんだけど、そんなものは一切なしで、たんにゼウスとハデスの兄弟げんかに、ゼウスが他所で作っちゃった子供(ペルセウス)が絡んでくるというような、ただのホームドラマみたいな作品です。演出もたいした工夫が無く、いくらCGが良くても観客を飽きさせない工夫が無ければどうにもならない。そういう作品がホントに多いと思う。同じギリシャ神話の話でも、子供の頃に見た「アルゴ探検隊の大冒険」の方がずっと面白いと思う(81年の同名作品は見てないんです)。今見てもガイコツ戦士とかすごく新鮮に思えるよね。何をどう見せるか、という演出が大事だということがよくわかる。CGのインパクトだけで見せる時代はとっくの昔に終わってるんだから。もっと勉強してくださいよ~。
December 25, 2010
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【25%OFF】[Blu-ray] G.I.ジョー スペシャ...価格:2,235円(税込、送料別)CMなどの宣伝を見てると、SF映画は見たくなってしまう方なので、DVD借りて見てみた。感想は・・・イマイチ。まあ、SF映画で出来のいいものってなかなか無いってのが正味の話で、この作品のように原作(と言うか元ネタ)があるようなものは、とりあえず適当なストーリー作ってドンパチやってみましたみたいな中身のほとんど無いものが多い。それはそれでいいと思うんだけど(G・Iジョーが動いてるだけでいいという人もいるだろうし)、中身が無いなら、せめて映像の見せかたくらいもう少し考えて欲しいというのは無理な話なんだろうか。パリの通りを、敵を追いかけて走り回るのも結構だけど、もうちょっと「カッコエー!」というシーンは撮れないんでしょうかね。結局、格闘シーンが一番良かったというのは、あれだけCG使ってるのに悲しいよねぇ(CGも漫画チックで安っぽかったけど)。そろそろ、ネームバリューだけのSF作品作りもやめなきゃアカンのやないかと思うんですけど・・・。
December 20, 2010
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英雄の書...価格:1,680円(税込、送料別)とりあえず読んだので、感想は書くけど、はっきり言って、つまらなかった。やっぱり宮部さんはファンタジー書くべきじゃないね。悪い作品だと言うつもりはないです。よく出来た、よく考えられた作品で、発想も悪くないし文章や構成もさすがに上手だと思う。「ブレイブストーリー」や「ドリームバスター」なんかが好きな人は読んでみるといいのかもしれない。でもねぇ、自分的にはちっとも面白いと思える部分がない。はっきり言って、すべてどこかで読んだ気がするし、目新しさが感じられない。新聞連載作品ということもあり、とにかくイベントが起きて、それに対しての説明があって・・・の繰り返し。いつもの宮部ファンタジーと同じで、ゲームのシナリオだね。読んでても作品世界の説明が延々と続いてる感じで、作者の作品に対する愛着はわかるんだけど、余計なんじゃないかなぁ。ストーリーの中で読者が自分なりに世界観を感じ、自分の中での想像を膨らませていけるのがファンタジーの醍醐味の一つだと思うので、あんまり説明しちゃうと一方的というか活字を読んでる意味がない。テレビと変わらなくなってしまう。そのあたり、ファンタジーは舞台設定に妥協を許さないミステリーとは真逆とも言えるものだから、いや、むしろ文字にはしていない部分を読ませる必要があるわけだから、書き方はまったく変わってくるわけで、いつも思うんだけど作者のセンスの問題かな、と。そもそも、この作品読んでラブクラフトの雰囲気を感じる人間がどのくらいいるのか?(途中で出てくる怪物はショゴス?)和モノではないな、とは思うけどまさか幻想怪奇だったとは・・・。宮部さんほどのビッグネームなら、次はこんな作品が書きたい!と言えば通ってしまうのだろうけど、誰か止めてあげたほうがいいと思うんだけどなぁ。ライトノベルと比較するならともかく、他のファンタジー作家の作品と比べれば一目瞭然(一読瞭然か)でしょう。頼みますから、宮部さんはミステリーを書いてください。その方が絶対面白いって(間違いない)。
November 29, 2010
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NAVY YARD (ネイビーヤード) 2010年 11月号 [雑誌]価格:2,200円(税込、送料別)アーマーモデリング別冊、艦艇模型誌、NAVY YARDのvol.15。今回の特集は帝国海軍重巡洋艦総覧。ずらりと並べられると、なかなか壮観です。ハセガワ1/700青葉の改造の詳細解説は初心者的にはうれしいかも。最近はエッチングパーツがすごいようで、各作例でもフル活用されているので、かなり参考になりそうです。アフターパーツもホントにすごいですね。もう少しお値段が安くなればうれしいのですが・・・。そういう意味ではフジミ1/700妙高のデラックスキットなんかはありがたいですね。実はこの川合氏製作の妙高、今号でワタシが「おおっ!」と思ってしまった作例の一つでもあります。好みの範囲だと思いますが、こういう存在感のある作品は大好きです。これもエッチングパーツのおかげ?いやいや、やはりそれを活用できるモデラーさんの技術でしょうねー。相曽氏の「サボ島沖海戦」も、相変わらずの素晴らしい文章です。毎回毎回、ほんとに勉強になります。面白かった記事は「現用艦船倶楽部へようこそ!」の海上自衛隊ミサイル艦「はやぶさ」型etcです。キットの本体もいいのですが、付属の小さなミサイル艇と揚陸艇のデティールアップが素晴らしい。指先に乗ってしまうような小さなものによくまぁ・・と感心します。場所もとらないし、こういう楽しみ方もあるんですね。他にも見所満載で、紹介し切れないのですが、今号にも矢萩氏のすばらしい作品が紹介されています。ピットロード1/700高雄と第21回ピットロードコンテスト金賞受賞作の1/700 USS ALBANYです。もはやくだらん言葉はいらないという代物ですので、雑誌にてじっくりとご覧くださいw。「矢萩登の素晴らしき艦船模型の世界」、もう買いましたか?コレはホントに必見の本だと思います。どうしたらこんなに素晴らしい作品が作れてしまうのか?この本を読めば・・・って、読んでもわかりませんけどね(笑)。真似をしてみようとチャレンジすることは出来ますw。さらに!あの「戦時輸送船ビジュアルガイド」のvol.2が出るらしいです!これは楽しみですねー。Vol.1は相当売れたようなので、今回は予約しておくかな?戦時輸送船ビジュアルガイド(2)(書籍)[大日本絵画]《予約商品12月発売》いやはや、もうしばらくの我慢ですね。 ↓↓↓ vol.1も相当面白いです戦時輸送船ビジュ...
November 26, 2010
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マリアビ...価格:1,680円(税込、送料別)これは面白い本です。東京発、盛岡行きの東北新幹線「はやて」の中に乗り合わせた幾人かの人間たち。それぞれの「仕事」や「思惑」が絡み合って複雑なストーリーを織り成していくが、果たしてそれは偶然なのか必然なのか。まあ、細かいこと抜きにして、単純に面白い。一台の新幹線に何人殺し屋が乗ってるんだ!ありえねー!と、突っ込みたくなるくらい、殺しの連続。ただ、小気味良いテンポとあっさりめの描写のせいか、殺伐とした印象は全くなく、むしろ可笑しさが漂うくらい。正直、人殺しのシーンで笑ってしまったのは初めてかもしれない。行き当たりばったりのようなシーンの連続だけど、もちろん計算された作品作りで、進行するストーリー自体も面白いけど「作り」でもきっちりと読ませてくれるところはさすがエンタテイメントをわかってるなぁと感じる。「どうして人殺しをしてはいけないのか?」人類永遠の命題ともいえるこの問いに、実に伊坂幸太郎らしいリアクションで応えてくれているので、そこいらのネクラで堅苦しい作品の著者は一度コレを読んで見ろ!と言いたい。オチも自分好み。このあたりは人にもよるだろうけど、やっぱりスカッと終わってくれると気持ちが良い(ひねりもちゃんと効いているところは流石だ)。読後感が良くない作品はもう最悪なので。とにかく、ウマイ。とことん楽しめるのは間違いないので、ぜひ読んで欲しい作品です。前作、「グラスホッパー」読んでなくても全く問題ないです。自分も読んでないのでw。むしろ、コレ読んでからグラスホッパー読んでも面白いかもしれない。そのあたりも、スゴイですよ、ほんと。
November 25, 2010
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シアタ...価格:641円(税込、送料別)有川浩続きだけど、読んでなかった作品を固めて読んだので(ラブコメ今昔とか)。潰れかけの小劇団の運営というのか、財政面にスポットを当てて書かれた作品なので、有川節は若干弱めかな?出てくるキャラクターは相変わらず癖の強い人物ばかりなので、十分楽しめるけどね(一冊で終わるのがもったいない)。演劇なんてものは多くの人にとってはあまりなじみがないんじゃないかと思う。劇団四季とか宝塚とか、そんなもん?あとは芸能人が出てるものとか、特別なファンが見に行くものっていう印象。でも世の中には小さな劇団がいっぱいあって、役者として仕事してる人たちがいっぱいいて、でもその人たちの給料って・・・?まあ、そんな視点もありつつ、ドタバタと面白く且つ真剣にキャラが動き回ってくれる。楽しく読みつつ、小劇団の現状も勉強できちゃうという作品。いつもながら、説明臭くない文章ですっと読めちゃうよね。有川さんが教科書とか書いたら、めちゃくちゃわかりやすいかも?難点をあげるとすると、挿絵でキャラクターイメージが固定化されてしまうところ。ライトノベルならしようがないところかもしれないけど、もろキャラが描かれている挿絵(表紙と見開きだけですが)はあんまり好きじゃない。ま、このへんは好き嫌いでしょうけどね。
October 24, 2010
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レインツリーの国価格:420円(税込、送料別)「図書館戦争」の有川浩の恋愛小説。って、全部恋愛小説かw。今だったら、「フリーター家を買う」の・・・って書いたほうがわかるのかな?ついにテレビドラマにまで進出かー。この作品を読んで思ったことは、ああ、この人にもこういう書き方ができるんだってこと。アツイ系の作品ばかり読んでたので、(本人曰く)ベタ甘ラブな恋愛しか書けないのかと(失礼)思ってたので。良く考えると「阪急電車」なんかでも控えめな作品書いておられたので、そりゃ書けるよね。ということで、なかなか面白い作品です。物語の基点となる架空のライトノベル作品のストーリーと、この作品のメインキャラ二人の絡みがかぶるような形に収束していく作りなど、やっぱり物語の作り方が抜群にうまいなぁと唸らされてしまった。それとなく読者に気付かせてあげようという配慮なども見られるし(意図してるかどうかは?ですが)、至れり尽くせりの一級エンターテイメント作品だね。主人公の女の子が聴覚障害を持っているということで、そっち系の作品なのかという捉えかたもあるかもしれないけど、そんなこと抜きで読んでも十分楽しめるし、もちろんそういうところにピントを合わせて考えることも出来る作品。こういうテーマを取り上げるのは色々と勇気もいると思うけど、よくやったなぁと褒めてあげたい(上から目線かよ!)。個人的には自衛隊+SF系の作品をもっともっと書いて欲しいですけどね(笑)。
October 22, 2010
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結婚するまでは「本は買って読む」派だった。しかも、買った本は捨てられない人なので、中学生以降に購入した本は大体残ってる。たまにそういう本も読んだりするので、「何回読んでも、やっぱりいいよなぁ」なんて思った本もせっかくなので紹介してみようというシリーズw。この作品は当時かなり話題になった記憶がある。三作目の「巨人たちの星」も持ってるはずなんだけど、山に埋もれて発見できず・・・。手元の「ガニメデの優しい巨人」を見てみると1983年8月の14版とある。初版が1981年の7月だから2年で14版というとんでもない部数が売れたってことか。一回5千部とすれば7万部?もっと少しずつ刷ったのかな?どちらにせよ今では考えられない部数だねぇ。いい時代でした。ホーガンといえばハードSFのイメージなんだけど、この作品でも謎解きの楽しさと緻密な設定を読み込んでいくSFならではの醍醐味が存分に味わえる。今読んでも遜色ないよね。ただ、作中では2028年で有人木星探査をしていたり月面基地もあったりで、少々将来を夢見すぎている部分はある。まあでもこの年代のSF作品は大抵、宇宙旅行に関しての予測はこんなものだったと思う。もちろん、当時の東西冷戦が終結して(ある意味では正しかったけど)、核戦争の危機を脱した人類が(核融合、あるいは新エネルギーの発見という筋書きが多い)その闘争本能を宇宙に向ければ、という前提があってのことだったけど。そう考えると、ほんとにそうなっていれば月面基地くらいは建設できてたかもしれないけど、現在の世界情勢では宇宙どころじゃない。「はやぶさ」の第二段の予算を削って子供手当て?高速道路無料?そんなものに当てようとしてるんだから、考えてみるとほんとに夢のない世界になってきてるね。この、「ガニメデの優しい巨人」の14版という栄光も、当時はまだまだ未来に対する希望ってモノを世間の人たちがいっぱい持ってたからできたことだったのかもしれない。SF小説ってモノも、そういう未来への憧れを作品中で体験できるってところが一つの面白さだからね。今の出版業界を見てると、ネクラな作品が幅を効かせてるけど、やっぱりそういうことなんでしょうね。ホントはSF小説がバンバン売れるような世の中にしていかないと、イカンのじゃないか?星を継ぐもの価格:735円(税込、送料別)今回、「どうせ絶版だろう」と思って検索してみたらちゃんと売ってたので感激。しかも、帯に小野不由美センセーのお言葉まであるじゃありませんかw。ホーガンは不滅ですなぁ。まあ、絶版SFは多々あるんですけどね・・・。
October 19, 2010
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サマーウォーズ【Blu-rayDi...価格:8,232円(税込、送料別)テレビ放送分を録画してたのを、ようやく見た。これは面白かったねー。「DVD借りて大画面で見たい!」と思える作品。特別出来のいい作品と言うつもりはないんだけど、ちゃーんと見る人を楽しませようという演出があって、手抜きのない作り方だなぁと思う。やっぱり映画ってエンターテイメントなんだから、テレビと違ってみんなお金払って見に来てくれるんだから、そういうところはきっちり押さえとかないとアカンと思うんだよね。キャラクターが絵的に個性が少なく少しギャップも感じたけど、アバターキャラとの違いを出す演出かと考えると納得できるからまあいいか。演出は押すところは押す!という感じで、非現実一歩手前の悪ノリ的な盛り上げ方はアニメならではの作りなので嫌いじゃない(むしろ大好きw)。ヤマ場も、一つ目二つ目とどんどん盛り上げて、最後の見せ場でちょびっとリアルな感動も混ぜて(こういうの大好きだなー)、オチもきちんとアリだし。さすがにそういうところのセンスはいいなぁ。深く考え出すと粗はたくさん見えちゃうんだけど、そういうところをつつくような作品でもないし、純粋に用意された出し物を楽しめばいいという、よく出来た作品だと思う。テレビでの前宣伝は結構見かけたけど、どのくらいお客さん入ったのでしょうか?こういう映画がもっと売れて欲しいねぇ。
October 15, 2010
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20世紀少年 BD<ブルーレイ・ディスク>セット【Blu...価格:13,608円(税込、送料別)そこそこ話題になってた映画で、こないだテレビでやってたので三本がんばって観たけど・・・なんじゃこりゃ?って感じ。みんなこれを面白いと思って観たんだろうか?浦沢直樹の原作は読んでないので、とくに先入観なしで観たんだけど、ちょっと失敗なんじゃないかな。浦沢直樹作品は「モンスター」を全巻持ってるんだけど、派手な演出や面白いストーリーってタイプじゃなくて、緻密なストーリー構成と人物描写で魅せる人だと思うんだよね。そういうのは全く感じられない。映画を観てると、なんだか場面場面を抜き出してつなぎ合わせたパッチワークみたいになってるし、昭和の面白さを描いてる部分はシュールを通り越してただの悪ノリになっちゃってる。くだらんギャグが出てくるたびにリアル感がどんどん薄れていくというか、出来の悪いコントを見てる気分になった。原作の雰囲気を残したかったのかどうかはわからないけど、あれだけ長い原作を映画にしようとするなら、作り手が全部自分で作り変えないと絶対無理だと思うんだよね。それで原作と別物になってもしょうがないと言うか、別物にしかならんでしょ。漫画を映画にするんだから。ひょっとして漫画を馬鹿にしてるんじゃないの?「なんでオレが漫画なんかを映画に撮らなきゃいかんのだ?」とか思いながら作った作品というなら、納得できる部分もあるんだけど。脚本もダメだし演出もダメ。何を見せたいのか全くわからない作品でした。制作費はかなりかかってるんでしょ?もったいないよねぇ。かけるところ間違ってるよね。なによりも、これを映画館に三度も見に行った人がかわいそうだ。大画面だと楽しめたのかな?そうであってほしい・・・。
September 24, 2010
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ひそやか...価格:1,575円(税込、送料別)あらすじを書くとネタばれになっちゃう気もするんでやめておくけど、なかなか面白かった。最初、読んでるうちは「ありゃ~、昨今流行のネクラ系の作品かなー」とやな感じだったんだけど、さすがは角田光代、みごとにエンディングは読ませてくれたなぁ。こういう題材をこういう切り口でこんな作品にしてしまう作者の力量はたいしたもの。やっぱりこういうところが一流なんでしょうか。読めば読むほど、考えれば考えるほどいろんなモノが含まれてそうなんだけど、べつに難しいこと考えなくてもストレートに響いてくるものもあり、「ああ、よかったなぁ」という読後感が気持ちよい。売る側としては、一見アクが少ない感じなのでそれほど盛り上げようという姿勢もないのかもしれないけど、いっつも言うけど、こういう作品こそ売らなきゃいかんと思うんだけどねぇ。刺激のたくさん詰まった作品は一時は売れるかもしれないけど、そういうのはどんどんエスカレートさせていかなきゃ売れなくなると思うので、じきにバブルがはじける気がする。自分で自分の首を絞めるような行為はそろそろ終わりにしませんか?ま、そういうのは置いといて、この作品を読んで思うのは、作者は本当に人間が好きなんだなーということ。人に対する愛情がないとこういう作品は書けないと思うし、人をキライになるより好きになったほうが絶対にいい!という気持ちになれるね。自分がこう書くと、なんだか単純なお話みたいに思うかもしれないけど、決して単純にハッピーな作品ではなくて、どちらかと言えば苦しい悲しい部分が多いふかーい深い作品なので、読書好きの人はぜひ読んでみて下さい。
September 20, 2010
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終わらざる夏...価格:1,785円(税込、送料別)終わらざる夏...価格:1,785円(税込、送料別)浅田次郎の新作、上下巻。正直、自分が期待していたようなものではなかったかな。胸のすくようなエンタテイメントを読みたかったんだけど、さすがに終戦を題材にした作品なので全体的に重たい雰囲気がある。それと、登場人物が多いので各人物の書き込みが若干あまいような感じもあって、イマイチ物語に入り込めなかったところもある。もっとも、始まりから結末までが一ヶ月半ほどの期間の出来事を書いた作品なので、それを何人もの登場人物を描いてきちんと収めているんだから、やっぱりすごいんだろうと思う。題材が題材なんで、書こうと思えばもっと凄惨なものにするのは簡単なんだろうけどね。そう考えると、すごくあっさりと書かれてるのかも知れない。自分は浅田次郎の書く「人物の物語」が好きなんだけど、これは「終戦」という出来事を書いた作品なのでよけいに入り込めないのかな。ただ、出来事そのものではなくて、いろんな人の日常を描きながら全体としての「終戦」をまとめあげていく筆力はすごいなぁ。登場人物一人ひとりがそれぞれ長編小説が書けそうな出来で、それをあっさりと脇として書いちゃうんだから・・・もったいない。次は爽快な作品が読みたいぞ!ぜひともお願いします、浅田先生。
September 16, 2010
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クォンタム・ファ...価格:2,100円(税込、送料別)第23回三島由紀夫賞を受賞した作品。パラレルワールドもののSF作品になるんだろうけど、正直な感想をのべるなら、あんまり好きじゃない。まず、導入部がめんどくさい。難しい語句を並べて色々と書いてくれてるんだけど、自分の駄脳では理解できないのでその内容に意味があるのかただの言葉遊びなのか良くわからん。たぶん、読者に理解させようという意識はないと思う。全部を読み終えて、導入部に「あぁ、なるほどね」と思うところがなかったわけでもないけど、だからといってそんなややこしさが必要だったとも思えない。自分的には、もっと易しい文章で書いてくれてるほうがSFとしてはいい作品になったと思う。パラレルワールドにお約束のパラドックスや、そこに時間旅行のパラドックスまでプラスさせて作品を構成させているところはなかなか読み応えがある。その成り立ちをコンピューターのネットワークに絡めて人間の精神世界にまでつなげていくやり方も、少々乱暴だけど面白いと思う。ストーリーが動き始めると、謎解きの連続という感じで最後まで一気に読み進められる。だけどねーどう考えてもハッピーエンドに向かうようには思えないので、あんまり楽しくは読めないのが残念。けっこうきわどい描写もあるし、悪く言えば怖いもの見たさ的な興味を持たせて読ませるタイプの作品。帯に「家族の絆」云々の宣伝文句があるので(題もファミリーズだし)、そういう「家族的」な部分を期待して読んだんだけど、なんだかねぇ・・・自分にはそういう作品の「心」は感じられなかった。ファミリー「ズ」ってところがミソなんだけどね。一番の問題は登場人物に倒錯した性癖があって、幼女がその対象になってるってとこなんだよね。決してそれを肯定してる作品ではないけど否定もしてないし、単に物語の構成上必要だったから書きました的な感じで、そういうところは娘を持つ身としてはどうしても拒否反応が出る。作品が面白くなるからというだけの理由で軽々しく扱っていい題材とは思えないんだけど、そういうのは業界としてはなにも考えないのかねぇ。エンディングをみても、よく出来た「和製SFホラー小説」としか思えないし、結局だれも救われない作品がまた一つ出てきたかぁ、というのがワタシの総括です。作者は何を語りたかったんだろうなぁ。
September 14, 2010
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NAVY YARD (ネイビーヤード) 2010年 07月号 [雑誌]価格:2,200円(税込、送料別)アーマーモデリング7月号別冊。今号は戦艦大和の特集。こうして模型としての大和を見ると「意外に甲板上はすっきりとしてるんだなー」というのが率直な感想。絵や写真なんかで見てるとハリネズミのような対空砲火群のイメージがあるんだけど、それはやっぱりそういう風に見せようという送り手側の意思があるんだろうか。すっきりしてるのはアレかな?主砲発射時の恐るべき爆風対策ってことなんでしょうかね?下手な構造物を造ろうものなら、発射の衝撃で吹き飛びかねないからなのでしょうか。なーんていう知ったかぶり風コメントも、今号を読んで初めて知った情報をもとに書いておりますw。1/700の大和の作例はウォーターラインばかりなんだけど、フジミの1/500の作例紹介もされていて、これはフルハルなので、これを見ると「宇宙戦艦ヤマト」のデザインのもとになってるんだなぁというのがよくわかるね。今回の特集ではエッチングパーツや金属砲塔などのアフターパーツを使用してのディティールアップの紹介がされていて、使用前使用後の比較写真などもあり、よりわかりやすい記事になってると思う。ちょっとした工夫で自分の作品のグレードが数段アップするんだから、いい時代になったもんだ。他の記事としては、幻の巨大戦艦の日米対決で紀伊(フジミ1/700)とモンタナ(フルスクラッチ1/700)の比較がなかなか面白い。「とにかく巨砲」の日本と現実的な選択をして砲数を確保しているアメリカの違いなど、「ヘェ~」10回押しデス(ふ・・古っ!)。民族的な違いもありそうな感じで、興味が尽きないね。それとお待ちかね、矢萩氏の作品「矢矧」(ハセガワ1/350)。氏の1/350はとにかくものすごい。もはや自分がどうこう言うようなものではないけど、個人的には海面の波の再現が感動的に素晴らしい。見開きの写真はまるでスポットライトで疾走の瞬間を切り取ったかのようなシーン、まずそれにびびったんだけど、氏曰く「海面の周りに囲いを付けてしまうとプールに浮いたようになる」のでずっと手間はかかってしまうけれども敢えて枠なしにしているとのこと。「ベースも含めて作品」と言われる言葉の重みが表れてるよねぇ。矢萩氏の作品集「矢萩登の素晴らしき艦船模型の世界」が既発売ですが、これはおすすめの本ですよぉ~。色んな賞を受賞した作品群を改めてじっくりと紹介してくれているし、神技テクニックの紹介もされているので、模型ファンの方にはぜひとも読んでいただきたいですね。最後に、相曽氏の「天一号作戦」の記事は必読(いつものことですが・・・)。心なしか、いつもは淡々と書いておられる氏の文章も少し感傷的になってるような雰囲気もあり、特にミリタリー好きでもない自分でもセンチメンタルになってしまいました・・・。作戦自体はめちゃくちゃ無謀なものだったとしても、撃沈されるのを覚悟して出撃して行った軍人さんたちのことを思うとやりきれない思いがあります。まじで「NAVY YARD」、学校の副教材で使って欲しいぞ!てな感じで、リニューアル第一号の14号、早めにお買い求めくださ~い。
July 16, 2010
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インパラ価格:1,575円(税込、送料別)若い女性が一人で約二年をかけてユーラシア大陸を横断してアフリカ大陸を旅してきた、旅行記と言うよりはエッセイ集という感じ?よくある旅行記のような「ここの土地にはこんな人がいてこんな食べ物がありました~」というものではなくて、一旅行者として「危険」と言われているような国を旅して感じた世間との「ズレ」を言葉にしてみたような、ちょっと「詩」に近いような・・・そんな感じもある。発展途上国や異文化の国に対する先進国の対応の仕方など、どこかで目にするような内容もあるけれど、実際に女性一人でその国を旅して体験したことをもとに書いてあるので臨場感があるし、文体にお仕着せがましいところが少ないので、さらっと読んでからずしっと来るようなボディーブローのように後から効いてくるものがある。旅行記として読んでも読めるだろうし、南アフリカなんかの現状(ちょっと前のことだけど)に興味がある人なんかでも面白いかもしれない。とにかく、冷静に考えると「良く帰ってこれたなぁ」というような冒険旅行ですねw。
July 14, 2010
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RDGレッドデータガ価格:1,680円(税込、送料別)出ました!第三巻!相変わらずの面白さ。定期的に刊行してくれそうなので、楽しみが一つ増えたなー。大人向けの作品ではないので、ストーリー的には不足を感じる人もいるかもしれないけど、それを補って余りあるファンタジーテイストがありまくり。荻原さんの学園物もこれはこれで意外とイケる。昨今の殺伐とした作品群は読み飽きちゃったからね。まあ、今回目立ってる脇キャラの宗田姉弟はあんまり好きなキャラじゃないので(ちょっとありきたり?)、そこが不満と言えば不満。とは言え、どこかで借りてきたような世界設定のファンタジーとは一線を画す素晴らしさはたまらない。ほんとにこれは子供に読んでもらいたい作品。ただ、この巻は次の四巻への序章的なところもあるので、少々物足りなさも感じるかも。というか、この前読んだ「氷と炎の歌」シリーズに比べると短すぎw。じっくり読んで1時間くらいかな。二巻まとめて読むくらいがちょうどいいかも。
June 29, 2010
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乱鴉の饗宴(下)価格:2,940円(税込、送料別)乱鴉の饗宴(下)価格:2,940円(税込、送料別)ようやく読みました・・・。読もうという気になかなかならないものすごさなんで、だいぶほったらかしにしてたんだけどね。読み終わった感想としては、正直なところ「?」って感じ。まず、本筋がほとんど書かれていない。脇の話ばかりで、それすらまだまだ途中のままで終わってる(というか始まったばかり?)。ちょっとやばいパターンにはまってきたなぁと思う。作者がいろんなことを書きたいと思うのは自由だけど、それに付き合わされるほうはたまったもんじゃない。特に今回の作品ではキャラクターがやたらと「語り」始めてるので、ストーリーを読みたい自分としては何もかもが散漫になりすぎていて読みづらい。面白いのは間違いないんだけど、この分厚い本を二冊も読んで、結局何にも決着付いてないってのはちょっとキツイんじゃない?終わりが見えない続きモノってあんまり好きじゃない。次読むときは完結してからかなぁ(苦笑)。あと、今回から訳者が変更になった。「ハイペリオン」でおなじみの酒井氏だけど、既出だろうけど大いに問題あり。固有名詞がガンガン変わってるんだよね。地名なんかは確認する気にもならんけど、人物名が大幅に変わるっていうのはどうなの?三部までを読み終えてそれぞれのキャラクターのイメージを各人固めてしまっているというのに、名前が変わるとイメージも崩壊しちゃうよ!本国のドラマCDの発音に合わせたって言うけど、だから何?作者が意図する発音だからなんだっての?発音なんて地方に行けばいくらでも変わっちゃうものなんじゃないのかなぁ。そんなにこだわる必要があるとは思えないけどね。はっきり言って相当読みにくい状況だよね。作品に入り込めない、ものすごく大きな要因の一つになってると思う。ただでさえ地名や人物名が腐るほど出てくる物語で、ようやく名前とイメージが一致しだしたところでコレをやられると最悪です。「ブリエンヌ」が「ブライエニー」って、そりゃないだろ、誰だかわからんぞ。翻訳作業が大変なのは良くわかるけど、訳者の勝手な理屈にしか聞こえないんですけどね~。もっと開き直って、「オレの思ったとおりの発音で訳させてもらわないと、翻訳が大変なんだよ!だから勘弁してくれ!」って言われたほうが納得できるぞ!とにかく、早く完結して欲しい。脇の物語は外伝でお願いしますってことで・・・w。
June 18, 2010
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1Q84 BOOK3 (10月-12月)価格:1,995円(税込、送料別)待望のbook3です!前作からどのようにストーリーが進むのか、はっきり言って全く想像もつかなかったんだけど、「こう来るか~」って感じで、もう何でもいいから読ませてくれ!ってなっちゃうね。最初のほうは焦らされる感もあり、ゆっくり読んでたんだけど、すぐに入り込んでしまってとにかく先が知りたくてしょうがない。こうなってくるともうダメだ。ストーリーを追い始めると、自分は速読モードに入っちゃう。ページあたり2秒くらいで読み進めちゃうんだけど、不思議とストーリーはスッと頭に入ってくるんだよね。もちろん、本当の意味での速読ではないので(正しく言えば飛ばし読み?)文章の細かいニュアンスまでは受け止められていないかもしれないけど、もう止められないね。「この先はどうなる?どうなるんだこの先は!」という強迫観念のようなものに突き動かされて読み進めちゃうわけだ。しかーし、さすがにこの本の場合、そのまま速読モードで最後までは行かせてくれない。20章を過ぎたあたりから、きちんと文字を追って読まないとモッタイナイ状態になってくるので、ちゃんと丁寧に読み進めた。やっぱり、いいねぇ~。どこがどうっていうよりも、読み終わった者同士の会話としては、「読んだ?」『読んだ』「いいねぇ、アレ」『いいよなぁ、ホント』「この先、どうなるのかねぇ」『早く読みてぇ~!』これだけでオッケーみたいな感じだな。でもね、結果が全てじゃないところがこの作品のすごいところで、今でも十分満足できてるんだよね。ここで終わってしまっても尻切れトンボにはならないっていうところもあるんで、次のbook4が5年後に出たとしても何も変わらずに楽しめると思う。時代の流れとは無縁なところが村上春樹のすごいところだと思うね。だからこの作品、「1Q84」はあせって読まなくてもいいと思う。頭のどこかに入れといてもらって、いつかふと出会ったときに「この本のこと薦めてたやつがいたよな」って感じで手にとって読んでもらえたらいいんじゃないかな?この本はそういう本です。
June 16, 2010
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ミレニアム(3 〔上〕)ミレニアム(3 〔下〕)「ミレニアム」の第三部、完結編。前作のラストで重症を負ったリスベットはその後どうなるのか・・・誰しもが気になるところだと思うけど、さすが世界中のミステリー好きを唸らせたというだけのことはあって怒涛の展開が待っていた。良い意味での予想を裏切る展開の連続で、読者を飽きさせない術をちゃんと心得てるね、ホント。うまいなぁと思うのは、ひたすらメインのストーリーを・・・というのではなくてちゃんと脇のストーリーも用意してあること。それも適度にメインキャラと絡ませていくところは心憎い演出。圧巻は後半の裁判のシーン。地味になりがちだけど、怒涛の台詞でぐいぐいと引っ張られるように読み進められる。このシーンばかり何度も読み返してしまったw。作者が急死しているので、中途半端に終わっているのでは、と心配してたんだけど、多少の謎は残しつつも一部二部で提示されていた謎は全て解決している。作者としても、ある程度リセットしてから次作に取り掛かろうとしてたんだろうね。第四部が出るかもしれないとのことで(草稿は作者のパソコンに入ってるらしい)、リスベットの活躍を見たいのは山々だけど、今までの水準から落ちることのないようにしてもらいたいね。ところで・・・やっぱりミカエルは気に入らないぞ!ていうか、中年のラブロマンスはもういらないと思うのは自分だけか?ミカエルもエリカも40過ぎ・・・本国で製作された映画のキャストをチラッと見たけど・・・とてもハンサムでもてもてのおじさんとは言えないような気がするなぁ。リスベットもイメージと全く違うし・・・。キャラクターを美化する傾向の強い人は映画は絶対見ないほうがいいと思う(笑)。ハリウッド版が出来れば見ちゃうかもしれないけどね。
June 7, 2010
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神様のカルテGさんイチオシの本を読んでみた。確かにこれは面白い。面白いだけではなく「いい本」だ。作者が現役の医者なので、実体験から来るリアリティはなかなかのもの。医療行為の描写が浮いておらず、物語に自然と溶け込んでいるところはうまいなぁと思う。独特の語り口の一人称で進む作風も「読ませ方」がうまい。それに加えて、作者が読者に伝えようとしているモノがストレートに心に響いてくる(しかし押し付けがましいわけではない)。この作品が訴える「地域医療の現実」なんかをおいといても、魅力のあるキャラクターたちが織り成すストーリーだけで十分楽しめる作品だね。むしろ、自分なんかはそういう要素に惹かれる。起きている出来事は人の命に関わる医療の現場の話だけど、登場人物たちは少々非現実的なクセのある人たちで、なんだか浮世離れしたシチュエーションが多々描かれて・・・そういうギャップがこの作品の魅力じゃないかと思う。テーマは重たいかもしれないけど、読後に心があったかくなれる作品です。
May 23, 2010
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空飛ぶタイヤ走行中のトレーラーからタイヤが外れ、歩行中の母子に衝突。母親が死亡してしまうという事故が起こる。当初、運送会社の整備不良で済まされようとしていたのだが、その運送会社の経営者である赤松はその結果に納得がいかず、メーカーの部品の不良ではないかと疑いを持つ。そして、メーカーに対する孤独な戦いを始めるのであった。とまあ、実際に起こった事故を題材にして、社会派サスペンス風に仕上げられてるんだけど、これがとにかく素晴らしく面白い。Gさんのオススメなわけですが、仰るとおり、読み出したらやめられない。一気読みですな。結末を見るまでは寝られないから、寝る前に読み始めるのは危険w。主人公である赤松がいろんな逆境に立たされながらも、その朴訥な性格で粘り強く前進していく、そして捨てる神あれば拾う神ありって感じで助けられながらゴールへ向かうという、ありがちではあるけど、最後に正義を見たい!という強烈な意思が読者である自分にも乗り移るような感じかなぁ。整備の現場で仕事をしていた者としては作中の全部にうなずけるわけではないけど、人の命に関わるっていうのは自動車整備の原点だ。でも、最近のトヨタのリコール騒ぎを見ててもわかるけど、メーカーにはそんな視点はあんまりない。ユーザーと直に接しているのはあくまでも現場だからねぇ。メーカーとしては現状通り、コストダウンと大量生産でシェアを確保していかないと会社が成り立たないと考えてるわけで、どこまでも売り続ける決意なんだろうね。そこには一台の車を大切に乗り続けようとするユーザーなんて眼中にはない。古い車はさっさと潰して「リサイクル」しろ!ってことだ。結局、「地球に優しい」とか言ってても大量消費を続けるなら意味は無いよね。プリウスの新車を購入することが本当に地球に優しいことなのか子供でもわかりそうなものなんだけど、理解しようとする以前に考えようとしない人が多すぎるんだろうか?みんな忙しそうだもんねぇ・・・。空飛ぶタイヤ DVD-BOX
May 20, 2010
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エデン「サクリファイス」の続編。今回はツール・ド・フランスが舞台。かなり期待して読んだんだけど、面白いのは間違いないけど前作と比べてしまうと物足りない。ストーリーの展開がスムーズでキャラクターの描写が秀逸なところは前作同様、読んでいて安心できる。でも、展開も前作に似ていて、そういう意味でのわくわく感が少なく感じるところが残念。また、テキスト量も少なくて、一時間ほどで読み切れてしまうので、よけいにあっさり感が感じられてしまう。一冊の本というよりは、長編小説の第一章くらいにしか思えないところがもどかしい。続編はいつ書いてくれるのか?それだけが気がかり(笑)。せめて年に一冊くらいは出して欲しいなぁ。主人公の白石のキャラクターは好印象。こういうキャラは好きなので、ぜひとも頑張ってもらいたい。
April 28, 2010
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【入荷予約】 天地明察これはいい本だ。めちゃくちゃ面白い。「これは面白い!」と万人が認めたようで、第31回 吉川英治文学新人賞受賞、2010年 本屋大賞受賞と、大きな賞をダブル受賞したところだ。当然だろう。とにかく、自分の大好きなポジティブ作品。とことんポジティブ。主人公は前しか向いてない。後ろを振り返らず、しかし後へ置いてきた人たちの思いは忘れずに、前へ前へひたすら進む。ジャンルは時代物なんだけど、今読んでも全く違和感がない。かといって時代考証がいい加減ということもない(と思う)。大きな賞を受賞しているということは、時代物としてもそれなりのレベルに達しているということなんだろう。主人公の渋川春海は将軍様の前で「御城碁」をうつ「碁打ち衆」という役職(ちなみに実在の人物である)。そこからしてあんまり聞きなれない言葉なんだけど、碁の話かと思いきやそうではなく、この時代に広まりだした「算術」のほうが好きという変わり者で、その算術から始まって天体観測や測量、ついには江戸幕府や朝廷を巻き込んだ一大事業にまで・・・というような、ダイナミックなだけでなくドラマチックでもある素晴らしい作品なので、ぜひとも読んで欲しい一品。ワクワクドキドキだけではなく、しんみりとさせるところもあり、三回くらい泣けてしまった。最近、涙腺がゆるいんだろうか?泣けると言っても決して暗いわけではない。エンディングでは感動で泣けてきたくらいだから。最近は世相を反映してか暗い作風がスポットを浴びがちだけど、いつも言ってることだけど根暗でネガティブな作品読んでも得るものなんて一つもない。だから、そんな作品を世に広めてもいいことなんて何もない。そいういう意味でこの作品が「本屋大賞」をとったことはとてもいいことだと思う。ぜひ、これからもこういうパワーみなぎるポジティブな作品を選んでいって欲しい。最後に、この作品の面白いところをもう一つ。作中で当時の幕政の良いところ悪いところを色々述べてあるんだけど、それが今の政治を揶揄しているようでとても興味深い。特に将軍綱吉治世のもとでの「緊縮政治」、その結果生じた江戸城の貧窮の様子(城で働くものに給与を支払えなくなる)などは、まったくそのまま今の社会の様相だ。時の権力者を「暗愚を通り越して末期症状」と記すところなど、けっこう痛快。ほんとに、政治家にこそこういう作品を読んでもらいたいものだ。漫画もいいけど、小説も読んでくれよ~。結局、三日で二度も読んでしまった・・・。
April 24, 2010
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3001年終局への旅何気なく寄ったブックオフで発見。2001年、2010年は持ってるけど、2061年?は知らんなぁ。これは3001年か。どこまで続くんやろ。ん?これで最後か。だったら買っておこう。ということで、とりあえず買っておいた。ま、105円だし。「2001年」はキューブリックの映画が頭に焼き付いていて、あんまり小説版は印象薄いんだけど、読んでいて、「ふむふむ、なるほど、アレはこういうことだったのか」というような解説本的な読み方をした記憶がある。(確か映画が先だったっけ?)時は3001年、所は太陽系。海王星軌道にて、ディスカバリー号副長のフランク・プールの凍死体が1000年ぶりに発見されて・・・、というところから始まる。1000年経った地球がどうなっているのか、モノリスの起こした事象はどのような結末を迎えるのか、いろんな期待を持って読んだんだけど、あんまり期待しすぎると空振りしちゃうね。いい意味でこの頃のクラークはとっくに円熟の域に達していたので、それほど奇想天外な結末は用意していない。でも、さすがにハードSFを牽引してきた御大だけあって、安定した語り口や未来の地球世界の描写は読んでいて楽しい。地球や人類に対するクラークの暖かいまなざしが感じられて心地よい作品になっている。今までの作品の集大成的なところも有るといえばあるし、軌道エレベーターや軌道上都市、そういえばクラークが最初に書いたんだっけと今更ながらにその科学知識の豊富さに驚くね。クラークの作品で印象深いのはやっぱり「幼年期の終わり」。とにかく発想が斬新で、あのキャラクターでハードSFを描くというのがただただ、驚愕だった。まあ、どの作品も読み応えはあるけどね。数十年経っても色あせない、しかもハードSF、すばらしい慧眼。こんな作家はもう出ないかもしれないなぁ。二十世紀という時代が生んだ偉大な作家ですね。
April 7, 2010
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ミレニアム(2 〔上〕)ミレニアム(2 〔下〕)ようやく読みました。面白い本だというのはわかってたんだけど、イマイチ大好きなタイプの作品ではないので延び延びになってたわけ。読んでみると、確かに面白い。特に下巻は途中で読むのをやめられなくなる。思っていたほど陰惨なシーンがなかったのも好印象。決してソフトなミステリーではないけども。今回はリスベットが主人公だったので自分的にはマルでした。とにかくミカエルは気に入らない。スウェーデンだから許されるキャラクターなんだろうけど、日本なら敵は多そうだw。前作ではほとんど謎だったリスベットの過去が徐々に明らかになっていくところは、とてもうまくできていると思う。前作の過剰と思える演出も、今回で納得できるという按配だ。いいですねぇ、リスベット。次回もこのままリスベットがメインで進めて欲しいデス。脇キャラもリスベットがらみのほうがずっと面白い。次回作がほんとの最後というのが惜しい。映画が上映中のようですが、どうもキャストのイメージが合わない感じで、ちょっと…特にリスベットは全くイメージと違うなぁ。完全に歳相応にしか見えませんな。まあ、難しいでしょうけどね。私のイメージしてたのは、昔のミラ・ジョボビッチか「レオン」の時のナタリー・ポートマンて感じ?足して2で割ると完璧!(笑)。他のキャストもちょっと年とりすぎのイメージかなぁ。まあ、小説と映画は別物ですからね。
March 17, 2010
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鷺と雪第141回直木賞受賞作。直木賞作品はエンターテイメント性があるものが多いので面白いものが多く、暇があれば読むようにしている。これも、最初はどうかなーと思ったんだけど、とても面白かった。昭和10年頃の日本という時代背景で、それほど昔ではないけれど、ほんとにそんな時代があったのかというような・・・、確かに父親や母親が生まれている時代なんだけどリアルに感じられない不思議な時代。緻密な時代考証のおかげか、知らないはずの当時の雰囲気が良く感じられて、作家のうまさを感じる。なんてことない良家のお嬢様の日常なんだけど、そこに絶妙な緩急があって別宮という女性運転手という渋い脇がいて、とても面白い話に仕上がっている。特に直木賞を受賞した表題作の「鷺と雪」は最後の最後まで計算されつくした「間」が感じられて、「う~ん、うまいなぁ」と唸ってしまうほど。文学には縁のない自分だけど、なんだかその端っこでも感じられたかのような、そんな気分にさせてくれる作品だった。やっぱり、文章のうまい人ってすごいねぇ。ジャンルとか嗜好とか関係無しに訴えるものがある。読書っていいね。こういう作品に出会うと、つくづくそう思います。
March 11, 2010
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NAVY YARD (ネイビーヤード) 2010年 03月号 [雑誌]今号の第一特集は開戦当初から活躍していた第二航空戦隊の航空母艦、「蒼龍、飛龍」。3人のモデラーさんの作例を丁寧に紹介してある。姉妹艦の違いが良くわかる。素人目には艦橋が左右対称に見えて、なんだかほほえましいw。第二特集は1/350キットの特集。巡洋艦「矢矧」を神様モデラー矢萩さんが作るという心憎い演出(?)もあり、ダイオラマなんかもあって見所満載(ジオラマとは言いわないのね)。普段1/700を見慣れていると1/350はものすごく細かく作ってあるように思える。矢萩さんは相変わらずすごいけど、他のモデラーさんの作品も凄みがあるというか、とにかくスゲーぞ。相曽氏の記事は相変わらずためになる。太平洋戦争初頭のインド洋作戦時に見られた帝国海軍の基本姿勢が後のミッドウエィの敗北にもつながる、という考察は非常に面白い。この筋の方々には既知のことなんだろうけど、こんなことはどこでも教えてくれない。そしてそして!今号には矢萩氏の作品がもう一つあるのだよ。イギリス海軍軽巡洋艦ベルファスト(自分は良く知りませんが・・・)。航行中の姿を再現したダイオラマになっておるのですが、まあなんとも・・・言葉にならないくらい素晴らしい。「この海面、どうやって作ったの?」と思ってしまうようなきらめく海面。(ちゃんと作り方も載っています)普通の作品でもそうなんだけど、氏は、「写真を撮ったとき」や「他人がどう見るか」というシーンを想定して作っておられる気がする。もちろんみんなそうだろうけど、想定度合いのレベルが違うのと、頭で考えてることを実際に実現できるところがすごいのだろうね。まさにゴッドハンドですよ。これは(いつも言ってますが)本当に一見の価値アリではないでしょうか?さらにさらに、な、なんと!矢萩氏の作品集が5月に出版予定とのこと!これはぜひとも手に入れなければイカンですよ。作品ももちろんじっくり見たいけど、インタビュー記事なんかも期待したいなぁ。模型には素人の自分だけど、氏のお話にはとても含蓄があってためになるというか、自分の人生にプラスになるようなことがいっぱいあるような気がするから。その道を極めた方の言葉は、ほんと違いますからねぇ。今からほんとに楽しみです。Gさん、頑張ってくださいねー。
March 9, 2010
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